領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

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三十四話 命の天秤

桐ヶ谷は都庁の上層階を貫通して吹き飛ばされていた。

 

人から『呪霊』に格ったと言えど『宿儺』とは格が違った。

 

家電量販店の屋上に着地する桐ヶ谷。

 

「『琴音』……もっとだ!!モッと喰わせロ!!」

 

「はーい、おかわり入りまーす」

 

『領域展開』〜漆黒暗影庭〜

 

まだ客の多い飲み屋街を漆黒の帳が包み込む

 

『投影呪法』『時間(デュレーション)』『操作(コントロール)

 

飛んでくる『宿儺』の時間を縮め、自らを伸ばすことで『加速』をつける。

 

発破(ボム)

 

接敵する寸前に爆炎が宿儺を襲うが宿儺は気にせず突っ込んでくる

 

「良い『解釈』の広げ方だ!!だがまだまだだ!!」

 

蹴りにより桐ヶ谷は夜の新宿駅に叩きつけられる

 

「小僧はいい目を持っているから『見せる』のも良いな!小僧!!よく『見て』おけよ」

 

新宿駅の上で宿儺は印を結ぶ

 

『領域展開』〜伏魔御厨子〜

 

それは『範囲』に閉じ込めない『領域』

『画角』という『縛り』から開放された『領域』

薄れゆく意識の中で桐ヶ谷はまた新しい『呪術の真理』に触れるのだった。

 

 

 

 

 

 

後方待機している家入の元に『術師』や『呪詛師』が集まっていた。

 

『呪詛師』の全員が家入の命目当てではなく、仲間や自分の怪我を治すために来ていた。

 

忙しなく働く家入の手伝いをする禪院真希の元に電話がくる。

 

「はい。もしもし!!!琴音!!今どこいるんだよ!!」

 

「………今、禪院家の自分の部屋に居ます……」

 

「はぁ??なんで?」

 

「五条先生が封印されたため……京様が逃してくれたんだと思います」

 

「え?どうして?」

 

「『宿儺を復活させる』からだと思います」

 

「はあ?なん………」

 

「女……コイツを寝かせておけ……」

 

一瞬だけ現れた『宿儺』の圧、存在感により一瞬その場にいる全ての人間の時間と息が止まった。震える真希はその声に従うしかなかった。

 

「…………京!?家入さん!!京が!!」

 

宿儺が姿を消すと全員が息を吹き返す。

京の身体は胴体が二つに切れていた

 

「……寝かせとけば治るよ………」

 

「はぁ!?何言ってるだよ!!体が真っ二つだぞ!!」

 

「………だってこの子、もう『呪霊』だもん……」

 

「えっ………」

 

「………やっぱり……」

 

「あ、琴音!!大丈夫か?」

 

「大丈夫です……大丈夫なんです………はい……でも……少し休ませてください……」

 

「ああ、わかったから休め!!母さんたちにも伝えとくから!!」

 

電話が切れると本家に電話する真希

これまで断片的であった『五条封印』の影響が『宿儺』の登場により皆が自覚し始める。

 

暫くして、渋谷の一部が灰塵と化し、『伏黒恵』が待機所に連れてこられていた。

 

「恵!!!」

 

真希は恵を待機所のベッドに乗せると隣のベッドに寝ていた京が起き上がる。

 

「京!?お前大丈夫なのか?」

 

「よし、生きてるね……おはよう真希姉さん。俺は『特級呪霊』になった。人も万単位で喰った。これから『呪術師』から全力で逃げるから。じゃ!!」

「ちょっと待て、少しは説明しろ!!」

 

京は真希の静止を振り切って走っていった。

 

「もう!!何なんだよ!!!!」

 

真希の叫びが廃墟だらけになった渋谷でこだました。

 

 

 

 

「………五条先生を!!返せ!!!」

 

京は偽夏油に叫ぶ虎杖を見つける。

 

「よう……『偽物』」

 

「君は無事になれたんだね?じゃぁ、話そうか……これからの世界の話」

 

「そうだね……、話してもらおうか。面白ければ乗ってやるよ先輩」

 

「クククッ本当に君、『呪霊』になったんだね………」

 

「さっき『宿儺』にボコボコにされて真っ二つにされたけどね」

 

「それは勿体ないことをしたな……実は『呪霊操術』の極ノ番にはとても良い副産物があってね……準一級以上の呪霊を使用した場合、その術式を『抽出』できるのさ。」

 

小さくまとめた『真人』を飲み込む夏油。

 

「……はぁ………私が気が付かないとでも思っているのか?」

 

偽夏油は西宮の合図で飛んできた血の矢とライフルの弾丸を避ける。

 

『シン・陰流』『簡易領域……

 

極ノ番『うずま……『終末(アルマゲドン)』……き』

 

「先輩たち……少しは話を聞こうよ」

 

夏油は頭上に現れた『うずまき』をぶつけるが圧倒的質力に粉砕される。

その膨大な呪力の固まりに全員が空を見上げ立ち尽くす。

 

一時停止(ストップ)

 

「…………流石にあれが頭上にあったら落ち着いて話せないんだけど?」

 

「そう?舐めたこと話したら落とそうかなっておもってたんだけど」

 

『範囲指定』『切り取り(カット)

 

「てめえら何やってんだ!!!全員引くぞ!!!」

 

一瞬で現れた歌姫先生と長谷川先生が学生たちを回収する。

 

「加茂憲倫!!!!!よくも!!俺に弟を殺させようとしたな!!」

 

「身をわきまえろ三下」

 

腸相が偽夏油に殴りかかるが裏梅に止められる。

 

場が乱れたことに乗じて『獄門疆』を取り返そうと動く『術師』達。

 

京はつまらなそうに地面に瓦礫の破片で『印』を描く。

 

『領域展開』〜漆黒暗影庭〜

 

一体に漆黒の帳が降りる。

その場にいた全員が影に縛られる。

 

「落ち着いて……話をさせてくれないかな?」

 

「………いやぁ、ありがとうね…隕石よりこっちの方が助かるよ」

 

「私も混ぜてもらおうか………」

 

九十九由基が現着する。

 

「覚えているかな?世界から『呪霊』を無くす方法、どんな手段を取るにしろ人類は一つ上の段階に進めることになる、人類の未来(ネクストステージ)は」

 

「呪力からの"脱却"だよ」

 

「違う、呪力の"最適化"だ……君もそう思うだろ?未来(ネクストステージ)に格った桐ヶ谷くん」

 

「……………禁書棚漁って、『天与呪縛』の人体実験して、実際に"最適化"に格った俺から言わせてもらえば………」

 

「どっちも無理があるってのが本音かな?理想論だけじゃ半端者は迫害され、力無き者には死が与えられる。"最適化"も"脱却"も『命の天秤』を自由に傾けられるのはアンタらや俺みたいな一部の『特級』だけだよ」

 

「ほう、それで君はこれからの世界、『五条悟』のいない世界をどう生きる?」

 

「俺は『思想家』じゃないよ、アンタらが何しようと関係ないね、気に入らないなら『切る』だけだよ。自由にしなよ」

 

偽夏油の拘束を解いて『自由』にする。

 

「おい!!桐ヶ谷!!何やってんだ!!」

 

「君は僕が考えている以上に僕側の『ニンゲン』で助かるよ…………既に『術式』の『抽出』は済ませてある………」

 

『無為転変』

 

上空に巨大な『印』が描かれる。

 

「いま、僕がマーキング済みのニ種類の非術師たちに、遠隔で『無為転変』を施した。虎杖悠仁のように『呪物』を取り込ませたもの、吉野順平のように『術式』を持ちながら頭の構造が非術師のものそれぞれの脳を術師の形に整えたんだ…………これなら君も楽しめると思うよ桐ヶ谷京、1000人の『虎杖悠仁』が世に放たれたよ……」

 

「……そう、それは楽しみだよ……」

 

ニンマリと笑う桐ヶ谷京。

 

「私が配った呪物は千年前から私がコツコツ契約した術師たちの成れの果てだ、だが私が契約を交わしたのは術師だけじゃない、まあそっちの契約はこの肉体を手にした時に破棄したけどね。」

 

「まさか」

 

「これがこれからの世界のだよ」

 

偽夏油の影から大量の呪霊が放たれる

 

「じゃあね、虎杖悠仁、桐ヶ谷京、君等には期待しているよ。」

 

再び呪術全盛の平安の世が訪れる。

 

「悪いねみんな……俺は自分勝手に『天秤』を傾けることにしたよ……………」

 

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