三十五話 虎杖と桐ヶ谷とお兄ちゃん
呪術総監部より通達
一、夏油傑生存の事実を確認
同人に対し再度死刑を宣告する。
二、桐ヶ谷京を『特級術師』から『登録特級呪霊』へ登録を変更『一級』以上の術師は見つけ次第それを祓うこと。
三、五条悟と桐ヶ谷京を渋谷事変共同正犯とし呪術界から永久追放かつ五条悟の封印を解く行為も罪と決定する。
四、夜蛾正道を五条悟と夏油傑、桐ヶ谷京を唆し渋谷事変を起こしたとして死罪を認定する
五、虎杖悠仁の死刑執行猶予を取り消し速やかな死刑執行を決定する。
六、虎杖悠仁の死刑執行役として特級術師乙骨憂太を任命する。
「だってよ……どうするの?」
京の『生得領域』で『ナナコ』は問う。
京が食らった人間の体に魂を『
「私はどっちつくにしても京様について行くよ」
『琴音』は『漆姫』を受け入れまた一体となった。
それにより琴音は『漆姫』の術式が刻まれた。
「………結局夜蛾さんはアウトか……今はとりあえず姉さんたちを助けに行かないと………」
「やっぱり、京のお姉さんたちもあの儀式されるかもなんだ?」
「ああ、俺も『後天的天与呪縛』の書物があんなに見つけやすいところに置いてあったのが気になってたんだ……それで、探りを入れたらビンゴ……上層部は直毘人さんの入院中にあの儀式を行う気満々だった………渋谷事変が無くとも何かしらの理由をつけてやる気ではあったんだろうね……ちなみに候補には君達の名前もあったよ……双子の術師は珍しいからね」
「そう………で夏油様はいつ開放するの?」
「時期を見ては本気で殺し合うかな。『五条悟封印』の役目は終わったし。彼の言う『死滅回遊』の準備が終わったら。参加してやればそのうち行き着くでしょう?」
「九十九派はどうする?」
「乙骨先輩とは戦いたいなぁ。どうせ虎杖は殺されないと思うし……真希姉さんと真依姉さんの現在地掴めてないし合流するなら虎杖探せばいいか……」
思い立った京が立ち上がると『領域内』の『幻影』も消えて黒塗りになり。
マンションの一室に変わる。
「みんな水着から着替えて出発しようか」
ところ変わって病室には横たわる直毘人と見舞いにきた直哉が居た。
「で、アイツは『呪霊』になっちまったと……」
「ああ、俺も待機所で寝転んでるときに見たけど完璧に呪霊になってたぜ、真っ二つにされた胴体も少し眠っただけでくっついていたりもした。」
「へぇ……やるやん……で『禪院家』はどうする?」
「『禪院家』は『我関せず』だな。………建前上はアイツは既に『呪術高専』の管理下だったからな、本当なら『禪院家』本家の子供と婚約関係にあった高専生が呪霊になっちまったんだから責任追及してもいいんだけどよ、アイツが『禪院家の懐刀』で名が通っちまってるからな。お互いにそこの責任は追求しねえだろよ。」
「んじゃ、お咎めナシか………『親父』はどうしたいんだ?」
「………可能ならぶん殴って、あいつが殺した人の家族に一人一人一緒に謝って回るかの………」
「………喧嘩して怪我させたガキの親かよ…………そういえば………京の両親って何してはるん?」
「京の親は亡くなっとるよ」
「は?」
「京の親はアイツがまだ生まれて間もないときに『不慮の事故』により『受肉体』になってしまったから『呪術界』に秘匿死刑が行われている……アイツにはガス爆発の事故に巻き込まれて死んだって教えられてるけどよ。」
「『ガス爆発』って、またベタなこと、アイツも気がついてんじゃね?………………ん?………『不慮の事故』って?」
「上層部が現役術師に黙って行っていた『受肉体』を『使役』する実験に手違いで選ばれて『受肉』させられちまったんだ 、書類を間違えた奴はその場で死んじ待ってるから真実は闇の中……」
「………そのことあいつは知らんのやろ?」
「アイツは知らねえだろうけどよ……他の『上層部の連中』は今、生きた心地はしねえだろうな………『夏油』の『桐ヶ谷』に命狙われながら『宿儺』も受肉してるのは……『乙骨』は過去に『秘匿死刑』を言い渡してるし、『九十九』は助けてくれって頼んで助けてくれる訳ではない、『五条悟』は封印され、『禪院家』に『桐ヶ谷』の件は頼めねえ…………何なら『加茂憲倫』の書物を見せた『加茂家』も他の『上層部』は信用できなくなってる…………実際のところ京は気にも留めてないだろうけどな」
「なるほどねぇ……なんで親父が責められずにのんびり入院できんのか合点がいったわ」
「それでよ………俺が入院している間はお前が『当主代理』だからよ……真希と真依の事を頼みたいんだ……」
「………?なんでなん?」
「あの二人は上層部の人体実験の対象になっとる……」
「…………『宗伝』の術式を継ぐ可能性を可能な限り減らしたくないと……」
「わかってるじゃねえか……甚爾の息子の件もあるからな。」
「……任されたよ……ゆっくり寝ときなよ〜ゆっくり寝てる間に俺が当主になっといたるわ~」
「おう……頑張ってくれよ……」
渋谷のビル街の真ん中で手を叩く虎杖。
パンッ!パンッ!パンッ!
音に釣られて沢山の呪霊が群がる。
その光景をビルの上から眺める京と琴音とミミナナの四人組が見下ろしていた。
「ちょっと『虎杖』に真希姉さんがどこにいるのか聞いてくるから」
京はビルから飛び降りると同時に虎杖に襲いかかる呪霊の半分を祓う。
「桐ヶ谷!!テメェ!!」
「虎杖!姉さん達がどこにいるか知ってる?」
「あんだけ人を食っといてどうして平気な顔をしているんだよ!!」
虎杖は桐ケ谷に殴りかかる
「てめえも同じぐらい殺してんだろうが!!」
桐ケ谷も応戦する。
「そうだよ!!だからなんで平気な顔してられるんだよ!!」
虎杖の『逕庭拳』が桐ケ谷の顔に決まる寸前で回避する。
「エゴを通しておいて死人に悪びれてたらテメエは満足かよ!」
桐ケ谷の『閃』を振り抜く寸前で弾く。
「そういう話じゃねぇ!!」
虎杖の振り抜いた拳が回避した桐ケ谷の後ろにあったコンクリの塊を破壊する。
「なんで、みんな、人を殺しても心が傷んでねえんだよ……」
「…………オメェ、『五条悟』に護られて、最初から『宿儺』と『偽夏油』に作られた強靭な体と強さを持ってるからわかんねえんだよ……」
「は?」
「力が無いと守りたいものを守れねえ!!!テメエは自分で守れるかもしれねえけどよ!!自分も守れねえ『術師』がどれだけいると思う?そいつらのほとんどは『五条悟』に護られてきた!」
「テメエが守ろうとしてた『呪術界』は本当にテメエの友人を助けてくれるんかよ!エゴを通すなら力を持つしかねえ!!」
「そんなこと!わかってんだよ!!それでも……それでも……俺は平気な顔をできねえ……殺してしまった人達に対して最期まで真摯に向き合って生きたい」
「そうだな……悪いけど俺の『天秤』は1万の命じゃなくてエゴに傾いただけだよ。オメェはオメェが守った人間に自分の殺した犠牲も背負わせんのかよ。」
「俺はそんなつもりはねえんだよ………でも………」
「…………だよな……虎杖はいいやつだもん。」
二人は互いの矛を収める
「悠仁!!大丈夫か!?」
脹相が駆けつける
「貴様!!俺の弟から離れろ!!」
『赤血操術』『刈祓』
飛ばされた血の手裏剣を桐ヶ谷ははたき落とす。
その時、『陣』に禍々しく圧倒的な『呪力』が入る。
知ってる、この呪力は奴の……乙骨の呪力である。
「えーっと、赤髪の方が虎杖くんで、そっちが桐ヶ谷くんだよね………とりあえず今日は悪いけど虎杖くんだけ祓わせてもらうよ……」
「貴様も悠仁の命を狙ってきたのか!?」
「…………なるほどっ」
桐ヶ谷が脹相へ攻撃を仕掛ける。
「邪魔をするな!!」
「まあまあ……俺もアンタとやってみたかったんだ。」
桐ケ谷は脹相の体に拳を振り抜くとそのまま五反田の方まで一緒に跳ぶ
「ふ〜ざ〜け〜る〜なあああああたああ」
真っ暗なコンクリートジャングルに木霊した。
脹相を大型商業施設屋上の看板に叩きつけると。手刀を叩き込む。
『桐ヶ谷流』『抜刀』『閃』
脹相は『百斂』で受ける
「この練度の『閃』を受けられのは初めてだよ!!」
「俺はお兄ちゃんだぞ!!そんな攻撃を通すわけにはいけないのだ!!」
弾かれた京は空中で留まり抜刀の構えを取る
「そうっすか!!」『
『桐ヶ谷流剣術』『抜刀』『天地返し』
空中で体の捻りを使った抜刀を脹相は宙返りで回避すると距離を取る。
「………あのさ、『受胎』に家族愛ってあるの?」
「??何いってんだ、産まれ出た生物である以上、家族への愛情は備わっているものだろう?」
「………そうか…………ありがとう。そろそろ終わってるだろうし戻るかー。」
「…………待て…貴様、なぜ俺にそんなことを聞く?」
「ちょっと気になっただけさ……さて……そろそろ戻ろうか」
千駄ヶ谷に向けて力強く大地を蹴る桐ケ谷とそれを追う脹相。
先程戦っていた場所に着くと乙骨が虎杖に『反転術式』を施していた。
「乙骨先輩……少し話したいことがあって……」
「奇遇だね桐ヶ谷くん、僕も話したいことがあるんだ……」
二人はゆっくりと『お話』しながら『虎杖』を探しているであろう『伏黒恵』の到着を待つことにした。