「直毘人さん何でしょう?」
「このノートにまとめといた術式を組んでおけ、いずれ役立つ」
「???」
「東京行くで」
夏休み期間中のある日、直哉の憎たらしい声に叩き起こされた真希は直哉の右肩に抱えられていた。左肩には真依が目を擦っている。現在4:30、外はまだ暗いのだがこの男は何を言っているんだ?
「喜べ、真希ちゃんの学校見学や」
「は?」
「東京の高専に見学行くで」
「それじゃあ、許可出たんですね」
「おはようさん、京くん」
「おはようございます。直哉さん」
「出た出た、向こうも歓迎してくれるみたいやし、五条悟とも会えそうや」
「いやちょっと待て!!何の話だ!!あとケツ触んな!!」
「いやあ、こんな家に籠もってばかりで高専入学を目指してるかわいい妹のためにお兄ちゃん頑張って東京高専の学校見学する権利をもらってきたんや、しかも俺がケツ持ちで同伴するのが条件で…ケツの1つや2つ触らさてもらってもバチは当たらんと思うのよ……」
「ねーさんたちは着替ぐらいはさせてあげてもいいんじゃないですか?電車で行くんですよね?」
「まあ、確かに朝ごはんは外で食べるから、はよ着替えてきなあと30分で出るで、荷物は準備させといてあるから」
「「グヘっ」」
肩から落とされた二人はカエルが潰されたような声を出していた
「ぜってえ寿司か焼肉奢らせてやる!!」
「久しぶりの外出な気がする……東京始めていく。何着てこうかな?」
二人共、直哉同伴といえど外出、東京の響きは良いらしい
「自分もシャワー浴びて着替えないと!!」
京は朝のランニングの汗を流すために風呂場へ向かった。
それで………
「東京だー!!」
東京駅についた
それから………
「高専だーー」
東京都立呪術高等専門学校についた。
「すげぇ田舎!!」
「田舎からわざわざ出たのにまた田舎……」
「まあ、こんなもんだろ?」
「一応、五条悟が案内してくれるようになってるけど多分遅刻してくるな……いつものことやねん。少しの休もかー」
「それにしても夏の繁忙期に良く許可が出ましたね」
「五条悟のアポは何時も大変やねん、問題は俺やな帰りに東京と名古屋の一級何体かついでに祓ってったるわって事で許可降りたんよ、だからこのあと原宿と新宿、千住、あと府中の方を回ったりした後は高専の施設に泊まるで」
「明日は名古屋に行って祓いまくって帰宅や、ホンマ辛いで」
「「「ありがとうございます」」」
そんな話をしているうちに
「いやあ、遅れてすみませ~ん」
五条悟が背後にいた先日の任務から呪力の気配を探ること絶えず行っていたが、全然気が付かなかった。直哉も同じく全く気が付かなかったらしく小声で「ホンマモンはやっぱ違うわ……」と呟いた。
「わざわざ禪院家当主の御子息達が見学に来てくださるなんて光栄ですー」
「悟、変な敬語はやめーや」
「そうだね、何しに来たの?」
「表向きには妹の学校見学の同伴、実際は特級呪術師をみんなで見るためや」
「ふーん、そう、君等が禪院家の双子ちゃんと噂に聞く非術師が育てた呪術師ねぇ……」
五条悟がじっくり舐め回すように三人を見始める。
「直哉さん、あの人目隠ししてて見えるんですか?」
「『六眼』って言ってな、千里眼みたいなもんや、あれしてないと見えすぎるらしいで」
「なるほど、特級は術式以外も凄いですね」
二人でコソコソ話してると五条悟が話し出す
「よし、君ら、戦おうか」
「「「え?」」」
「ええやん、やってきな」
「私もですか?」
「うん、高専入るんでしょ?」
「いや、私は」
「私は「やってやろうじゃねえか!!」
「私の「願ってもない話ですね!!やってやりましょう!!」
「んじゃ、あとは頼んます。自分、夜蛾さんと話してきますんで」
「はいはい任されたよー、じゃあ運動場まで飛ぶから捕まっててね」
三人を小脇に抱えると体が垂直に飛び上がった。
「ひいいやああああああああああ」
真依の悲鳴が木霊した。
真依は移動だけでダウンした。
真希は無断で借りてきた呪具を振るう前に腹パン食らって倒れた。
『投影呪法』
「『
三人の京が五条に襲いかかるがすべてをかき消される
「ふーん、面白い術式だね…」
『投影呪法』
「『
時間圧縮して無刀抜刀術の溜めを短縮
「『
溜めの構えのまま移動
『閃』←無刀抜刀術に直毘人さんが名前をつけてくれた
首を捉えたと思える抜刀術の刃は届かなかった
「うんうん、十分強いねでもまだまだ。」
(マジかよこの人、こっちは全力でやってんのに全然底が見えねぇ)
「『陣』」
「あ、それヤバいかも」
『
「おろ!?」
ここに来る前日、直毘人が仕込んだvs五条悟のための安全装置、『陣』で領域内の五条を覆う無限を知覚してしまうとそのまま六眼の無い京は脳死してしまうため直毘人に処理の無限ループが起きないように仕込まれていたのだ。その代わり本人は強制的に気絶するが五条悟が近くにいるなら命はなんとかなるだろうという考えである。
「止まっちゃった……どうしよう?おーい!おーい!」パンパン
顔の前で手を叩いても起きそうにない。
「よし、ふんっ!!」
呪力で心臓と肺を無理やり動かしてみた
「ごっふぇい!!…………ん???何が起きた?」
「君、僕の無限を知覚しちゃって気絶しちゃったのよ。気絶してなかったらヤバかったよ」
「マジか……そしたら直毘人さんすげぇわ、前に変な術式のノート渡されたんだけど、そういうことね。」
「あははははは、ぶっつけ本番で命がけの新術式成功させたのかい?しかも、使用用途が超限定的なやつ!!」
「今は成功なのか失敗なのか全然実感沸かない。」
「よし、じゃあお互い術式なしで戦おうか」
「はい!!よろしくおねがいします!!」
五条悟は感じていた。彼は既に『イカれてる』側の人間だ、自らの技術向上のために命を簡単にかけられる人。
『桐ヶ谷流抜刀術』
久しぶりにやる術式を用いない戦い。
「『閃』!!」
五条は紙一重で回避する。
「見えない刃を避けるのは目の力ですか?」
「そうだねー、次は僕から行くよ」
左ジャブのフェイントからの右フック。
「(術式なければ投射呪法のほうが早っ『黒閃』バコンッ
完璧なガードをしていた京が吹っ飛んだ
「おっ?今日は一発で決まったかー!!大丈夫ー?」
「……いってぇ……大丈夫でーす」
「今のが『黒閃』拳のインパクトと呪力のインパクトのタイミングを誤差0.000001秒以内にすると起きる現象ねー、威力は通常の2.5乗、普通はこんな簡単に出ないんだけど今日は君が面白いから一発で出ちゃった!」
「……なるほど。……なるほど。ちょっと思いついたことあるんで試してもいいですか?」
「いいよー」
『投影呪法』
「『
「なるほどね……その発想はすごいかも、でも。」
五条悟が舌を巻くほどの術式、それは人為的な『黒閃』
すべての攻撃をガードしつつ術式を紐解いていた。
京が行っているのは呪力のインパクトの時間を伸すことで必要タイミング誤差0.000001を広くしていくというもの。衝撃が長く続くというのも不思議な体験だが徒手空拳をメインに鍛えている京の『黒閃』は相当の威力である。だが、それも全て五条悟は受けきってしまった。10発の黒閃を打ち切ったときには
「もう無理、呪力切れ……タフ過ぎ、勝てねーよ最強」
「そうだね、僕最強だからね〜♪んじゃみんな集まってー」
夢中で気がついていなかったが、姉さん達は起きて見ていたようだ。
「では、総評を言わせていただきます。眼鏡の方、高専来るならうちに来なさい。君みたいなタイプは京都校だと腐らされる確率が高いからね、思い当たる節はあるでしょ?」
「はい」
「そして眼鏡じゃないほう。君はもう少し護身術などを身につけて衝撃に耐える練習をしなさい。僕ほどとは言わないけど御三家は呪詛師から狙われるからねーもう少し人から命を狙われる危機感を持ちなさい」
「……はい……」
「そして最後にサムライボーイ!!ズルして『黒閃』が出せてもダーメ!『本物』と同等の威力は出るけどガス欠が早すぎ!!『黒閃』の旨味はコスパなの。ただ、練習には良いかもしれないので鍛錬の一環としてイメトレに使いなさい。最後に『陣』に僕を巻き込むのは禁止。イイね?」
「はい……」
「というわけで、グレートティーチャー五条の特別授業終了!!」
「おつかれさん。途中から見とったけどなんか掴めたか?」
「……一瞬『陣』で見た無下限呪術と六眼、あと、直に食らった『黒閃』……なんか、呪術の真理に触れた気がします」
「もっと強くならないと……」
「……………」
「そうか、とりあえずご飯いこかー、京もいるし回る寿司の食べ放題で勘弁なー」
「やったあああ寿司だあああ「五月蝿いねん」ゴッ
「二人共、あそこの高専の車で行くからそこまで京を頼むわ」
「「わかりました」」
寿司の力は偉大だ基本的に直哉に負の感情しかない双子が異を示さずしたがって引きずっていった。
「悟、あいつは
「だろうねぇ、あの年であそこまでなのは僕や傑以来かもねー」
「腹立つけどそうなんや、ただ、あいつといると呪術の真理に近づける気がするんや………お前にとって傑君がそうだったようにな……俺は今でも甚爾君を手放した親父たちは馬鹿だと思ってるで」
「そうだねぇ僕もそう思うよ…つくづく本当に……じゃ、寿司行くんでしょ?僕も行っていい?」
「………お前の会計はお前でやれよ。」
「やったーー」
このあと京の食べっぷりに五条がドン引きしたのを『五条悟にまつわる笑い話』として得られた直哉は上機嫌だった。
まだ『領域展開』はできない。
支配者になるのは高専入学後になると思う