領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

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お久し振りです。
忘れてたわけじゃないです。
でも設定とか忘れてるかもしれないです。


いつも脱走する京

この話は主人公、桐ヶ谷 京(きりがや みやこ)が中学2年生、禪院姉妹が中学3年生、琴音が禪院本家に来た頃の話。

 

 


 

 

「うぃーあーふぁいてぃんぐどりーまー!! 高みを目指して」

 

「うるさい」

 

「ふぁいてぃんぐどりーまー!!なりふりかまわず 」

 

「うるさい」

 

「ふぁいてぃんぐどりーまー!!しんじるがままに」

 

「うるさい」

 

「おーりおりおりおーじゃすごーまいうぇ…「うるせえっつってんだろうがよ!!」ゴフッ」

 

早朝山中ランニング中、真希の踵落としが脳天に突き刺さる。

 

「痛いじゃんか……」

 

「うるさいのよ朝っぱらから!!」

 

「朝は元気なほうが良くない?」

 

「さっきから信郎さんが後ろについてすごい形相で見てんのよ!!」

 

「真希、勝手にやるなよ俺だって殴りたかったんだから」

 

「マジじゃん、やっべ、逃げろ!!」

 

京はランニングコースから離れ山肌を滑り降り始める

 

「あっ、待てコラ!!」

 

信郎もそれを追いかけて滑り降りる

 

「………はぁ………やっと静かになった……」

 

その後、朝の鍛錬を無事に終えた真希は汗を洗い流して朝食を食べるために食堂に来た。

 

ボコボコにされて変形した顔の京と思われる物体が山盛りのご飯を崩していた。。

 

「で、どこから食べてんの?」

 

「口に決まってるだろ?何いってんだ?」

 

口が見えないんだよ。

 

「ことねー、おかわりー」

 

「かしこまりました。」

 

琴音が空になった丼にご飯を盛り付ける。

 

「琴音ちゃん、もっと雑に山にしていいのよ。」

 

「はい……」

 

「そうそう、京のはもっと雑でいいの。」

 

「ありがとうございます。」

 

琴音の表情は変わらない日本人形のようである。

無理のもない任務で両親が呪い殺された彼女は本家に京の結婚相手として拾われたのだ。

 

食事を終えると学校に登校する。

 

気を抜くと直ぐに脱走して呪霊退治に向かってしまう京を双子が両手を持って宇宙人のように登校するのは風物詩であったが最近は京の背が少し伸びたので二人に関節をキメられながら通学するのを琴音が後ろから着いていく。

 

「真希姉さんも真依姉さんも今日も一段とキレイっすね………あのぉ……もう少し関節緩めてくれないですか?」

 

「じゃあ、私が琴音と代わるわね。いい?琴音。しっかり脇に挟み込むのよ」

 

「こうですか?」ミシミシミシミシミシ

 

「いてええええ!!!!加減しろ馬鹿!!!」

 

「うるせぇ関節キメながら歩くの大変なんだよ!!」ミシミシミシミシミシ

 

「ぎゃああああああああ!!!ギブッ!!!ギブギブ!!!」

 

登校をして退屈そうに従業を受けていると3年の教室に琴音が駆け込んできた。

 

「真希さん!!!真依さん!!!京様が消えました!!!」

 

「「はぁ!?」」

 

既に出席日数ギリギリの京。京が進級できなければ世話係の琴音は勿論、同じ学校に通う姉妹も怒られる。

 

「すみません、先生、探してきます!!!」

 

「またですか…早く行ってきなさい。」

 

「ありがとうございます!!!」

 

受験生だが進路が決まってる二人には直ぐに許可が出た。

 

美人の禪院姉妹に面倒を見られていて、途中から琴音も世話係に追加された京は禪院家のお嬢様3人を侍らせる謎の大物として学校内では有名人になっている。

 

「あのバカ……たしか隣街で任務の話があったからそこを見てくるよ」

 

「わかった。私は校舎内を探すから琴音は校舎の外をお願い。」

 

「わかりました。」

 

二人と別れると真依は屋上に向かう。

屋上には正門から出ていく真希を眺める京の姿があった。

 

「やっぱりここにいた」

 

「あ゛………真依姉さん……」

 

「早く授業戻んなさいよ」

 

「いやぁ……呪霊祓いたくて……」

 

「あんたがバカみたいにはしゃぐから負の感情を元に集まったり生まれたりする呪霊が学校内で出来にくくなってんのよ」

 

京がいつも呪霊を探すために学校中をふらついているため過度なイジメが起きにくくなっている……陰湿なものは続いているがその陰気に載せられてきたまだ育っていない呪霊を京が片っ端から祓っている。

 

「琴音はどんな感じ?」

 

「え?今体育倉庫の裏にいるみたいだけど」

 

「違うわよ一緒に暮らしててどうなのって話。」

 

「家で家事してる時と変わらないと思うよ。まるで人形。たまに感情が出るようになったけどね」

 

「まさかあんなことになるとはね」

 

「弱ければ死ぬ。それだけだよ。俺はそうならないように琴音を強くしなければならない。」

 

「……はぁ………私、高専行きたくないなぁ……」

 

「俺からは何とも言えねえ……」

 

「はぁ……双子の呪いかー………」

 

呪術界では双子の術師は二人で一人という扱いを受ける。

一人分の呪術の才能を二人で分け合うためその呪術の才能(呪力量や術式)も半分になる。そのため双子の術師は大成しないと言われ、ある種の呪いとして双子は語られている。

 

「……あと少し、あと少しで呪術の真理に到れると思うんだ。そうしたら姉さんたちが自由になれるように……双子の呪いを無くすことだってできるんだ。」

 

「……どうせ、自分が強くなるためでしょ?」

 

「まあね……そろそろ、琴音は回収しようか。」

 

 

 

 

琴音は京を探すフリをする。

『陣』を使う京を見つけることは私には無理だろう。

すでに諦めている。

 

問題児の京を手懐けるのは無理であるのは大人たちも分かっているのでそんなに怒られないが、注意としていちいち小言を言われるのは嫌である。

 

「バカ京」

 

悪態もつきたくなる。

私が拾われてから彼の自由さに巻きこまれている。

 

授業中に勝手に抜け出したり。ご飯をつまみ食いしたり。直毘人様のコレクションを持ち出して見たり………もう、めちゃくちゃである。

 

彼の世話を頼まれているので炊事洗濯掃除だけだと思っていたが剣術も教えてもらいながら面倒事に巻き込まれる。

術式を持たない私が禪院家で生き残るには京に付き従うしかない。

 

でも、勝手に学校から脱走するのはやめてほしい。本当に。

私も授業をサボりたいので誘ってほしい。外でポテトフライ食べたい。

 

「………何やってんだろ…私……」

 

「よっ」

 

「どこにいたんですか京様。」

 

「屋上、真依姉さんが手を振ってるよ、おーい。」

 

確かに真依さんが手を振っている。

 

「一緒にサボろっか。」

 

京が琴音の手を引いて走り出す。

 

「………行ってらっしゃい」

 

屋上に居た真依は走って校外に逃げる二人を羨ましそうに見つめていた

原作『死滅回遊編』が終わるまで、番外編「日常回」どこら辺を読みたいか。

  • 禪院家の日常
  • 双子と行く特別一級術師の仕事見学会
  • ピク○ンが来た
  • 卒業旅行の一コマ
  • 京都校の日常
  • 桐ヶ谷流剣術講習会

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