領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

54 / 62
死滅回遊編
三十九話 恩師


庵歌姫はとある教え子の資料を確認していた。

 

桐ヶ谷 京は幼い頃に両親を亡くし、祖父で超実戦的剣術の桐ヶ谷流剣術の師範、桐ヶ谷 文幸の元で暮らしていた。

 

教えることを教え尽くした文幸は術式を持つ彼を旧友、禪院直毘人の元に預ける。

 

禪院家で呪術について学ぶ中で彼は呪術の本質に触れていく。

 

呪力操作と縛りのみで領域を展開する『疑似領域』

 

彼の術式『投影呪法』

 

領域『戦場の映画館』

 

加茂家に羂索が残した研究資料から得た知識で

 

『双子の呪い』の解呪と『術式の抽出』

 

「交流戦の時にはもう既に双子の呪詛師を従えてたのよね……」

 

認識するだけで多大なダメージを与える呪霊(推定特級)を一人で祓っていた。

 

そして、渋谷事変にて大量の人間を喰らい『呪霊化』

 

千年前、最強の呪術師、宿儺が至った境地に足を踏み入れる。

 

現在『特級術師』から『特級呪霊』となった彼は特級呪霊『漆姫』の子供であり器の呪詛師。禪院琴音を引き連れている。

 

特級呪霊『漆姫』、御三家に入り込んで自らの眷属を増やしていた呪霊。術式は侵食術式。影のような黒いナニカがすべてを侵食する

 

「はぁ……ふたりとも大丈夫かしら……………なんて言えないのよね……」

 

現在、彼女は書類整理という建前で保護と言う名の軟禁状態を命ぜられている、死滅回遊のルールが開示されても開放の見通しが立たないのは緩やかな死刑である。それも全て特級呪霊と呪詛師を在学中に排出してしまった責任を取ってである。

 

今はそれどころじゃないのに。

 

歌姫は彼の祓った呪霊の報告書をさらに詳しく見直す。

 

 

 

京都百鬼夜行にて東堂と共に祓った『侵食』の特級呪霊『漆齧(しげつ)

『漆姫』の産み落とした呪霊と思われる。

 

高専入学前に遭遇した禪院家に入り込んでいた特級呪霊『漆姫』

 

交流戦にて祓った『認識のトリ』、某SNSの『認知』と『情報量』の呪霊。

 

『双子の呪詛師』禪院家にて■■■■………

 

「あれ………?」

 

「お疲れ様です歌姫先生。」

 

一人しかいないはずの資料室、それの机の対面に件の学生、京が座ってコーラを飲んでいた。

 

「……あなた!!何処から!?」

 

「普通に入り口から入ってきただけですよ先生。俺は呪術高専の生徒じゃないですか?」

 

「貴方は呪術師から呪詛師に変更されてるわ。高専生ではないのよ」

 

「まあ、そうでしょうね。おかげで『真依』の試し斬りができました。」

 

京の後ろに立つ琴音は血の滴る日本刀の呪具を持っていた。

 

「……………貴方……それって………」

 

「構築術式で作ってみたんですよ。やはり身体(ハード)が良いと術式(ソフト)の出力が違うなー。姉さんの身体ではここまでの業物は中々作れるものではないでしょう。」

 

「…………術式の抽出?」

 

「姉さんに術式は必要ないからね………」

 

庵歌姫はここで思考を巡らせる

 

(学長が出払っている時間に来たのか。先程の死霊の黒塗りを見る限り既に漆姫の術式の影響下にある……少しでも時間を稼いで………)

 

「お手上げよ……何しに来たのかしら?」

 

「先生には仲間になって欲しいんですよ。」

 

「どうしてかしら?」

 

(術式の抽出ができる彼にとって目的は私の術式でしょう。私の術式を貴方がうまく使えるとは思えないけど……)

 

「脚本を書いてくれる作家が欲しいんですよ。」

 

「……………………は?」

 

「俺の術式って『物語』が合ったほうがいいんですよ。だから物書きできる人が欲しいなーって」

 

「はぁ………」

 

彼の予想外の返答に歌姫は飽きれてしまった。

 

「あ、術式使おうとしてもこの『領域』内だと使えないと思いますよ。」

 

「なっ!!!……、■■■■■、■■■■■■■…………」

 

「でしょ?別に先生にとって悪い話でもないと思うんですよ。」

 

「……………」

 

「先生、このままだと死滅回遊に参加できなくて死んじゃうと思うんですよ。それに、今の呪術界に思うところがあるのは先生もそうでしょ?俺に乗っかってみませんか?」

 

「………一つだけ条件があるわ………」

 

「何でしょう?」

 

「貴方も琴音も『誰一人高専生は殺さない』で………」

 

庵歌姫にできる唯一の抵抗であった。

 

「…………努力しますよ」

 

「そう……ありがとう。」

 

歌姫の体は黒い影に侵食されていく。

 

「心配しなくていいですよ。大丈夫ですよ最初からそのつもりです。ちゃんと寝れてないでしょう。」

 

『今はゆっくり休んでね。せんせ』

 

歌姫は消えゆく意識の中で居ないはずの生徒を幻視した。

 

「京様、どうしますか?」

 

「面倒だけど死滅回遊参加しないとなー、何処のコロニーに行こうかな?」

 

「どこへでもお供します。」

 

「東京は宿儺いるんだろ?少し離れたところ行ってみるか…………コーラ飲まねえとやってらんねえな。」

 

京は必要な資料を回収したあと静まり返った建物を切り倒し外へ出る。

 

空は曇天、青空一つない。今にも雨が降りそうである。

 

「今日も天気がいいな」

 

「そうですね。」

 

「…………とりあえず姉さんたちに合流しようか。」

 

「ええ。」

 

二人の姿は影に消えた。

原作『死滅回遊編』が終わるまで、番外編「日常回」どこら辺を読みたいか。

  • 禪院家の日常
  • 双子と行く特別一級術師の仕事見学会
  • ピク○ンが来た
  • 卒業旅行の一コマ
  • 京都校の日常
  • 桐ヶ谷流剣術講習会
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。