領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

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窓窓窓窓窓
フミ□直哉
真希□加茂

 京 琴
 □ □
 空 空
 席 席


いろんな媒体でちゃんと出てくれるかわからない席順。
語られる呪術理論は京が独自解釈したものです。


四十一話 愛の呪

「で、(お前)の目的は何なんだ?」

 

「それについては俺からも聞きたい」

 

加茂先輩と真希と合流した一行は無人のファミレスで会議をしていた。フミは手を拘束されて猿轡をしている。

 

「なんや、己等も聞いてへんかったんか。」

 

「あー…………そうですねー……………」

 

京は言うか迷ったが口を開く。

 

「琴音が生きていていい世界を作る………ですかね………」

 

ここにいる全員が共有している情報。

 

『禪院琴音は呪胎である』

 

この問題はかなりシビアなものになっていた。

 

「今もうすでに上は知ってることだと思うんですけどね……上層部は五条先生がいたからできなかった呪術界の異物の排斥をどんどんする気なんですよ。だったら羂索や宿儺に乗ったほうがまだマシ。呪術全盛上等じゃね?ってところです。」

 

「琴音の件はもう耳に入っとるやろなぁ……。ウチは今や分家と宗家が入れ替わっとるし………」

 

伏黒が当主になったこと、本家から呪詛師を排出したことにより禪院家のパワーバランスが崩壊、現在の当主は伏黒恵であるが実権は甚一が握っている。

 

「だから、この戦いには参加しますけど………琴音の影に入ったままコロニーに入ったら一緒の参加者扱いになっちゃったんですよね……完全に失敗した。マジでやらかしたぁ…俺も参加したかったー。俺もコガネほしー」

 

「これ可愛いですよねー」

 

「せやろか?」

 

「んで、お前は何しにここまで来たんだ?」

 

「…………俺、五条悟の封印を解くの反対なんだよね」

 

その瞬間、加茂と真希の首筋がヒヤリとする。

 

「俺としては九十九派と共闘する気は一切ないよ。六眼も無下限呪術も生きたまま封印すべき。これまで手にしていたのが『五条悟』だったから良かっただけさ。他の者が手にする可能性があるならば先生は永遠に封印しておくべきだね、あの人なんやかんや保守派だし……それで………」

 

その瞬間、その場にいた全員がコロニーに入る巨大な呪力を察知した。

 

「それで?」

 

「ちょっとまって……何だよこの呪力………」

 

「苛つく呪力やな……」

 

「近づいてますね」

 

「別に気にしなくていいわよ」

 

「そんなこと言っても真依ねえ………さ………ん」

 

京は声の方を振り向くと座っていたテーブルの対面に真依が座っていた。

 

「なっ!?」

 

「何?わたしの顔になにか付いてるかしら?」

 

領域展開バリンッ!!!!

 

ファミレスが真依?の生得領域に包まれた。

 

「あっぶねぇ、冗談きついで………」

 

「我々も領域対策を本気で考えなくては………二人共大丈夫ですか?」

 

「いてててててっ………なんとか……」

 

「私はなんでもない。で、あのバカはどうした?」

 

真希は京にぶん投げられた琴音を受け止め、窓からファミレスを脱出していた。

 

「多分あいつはあん中やな……お前は何でもかんでも気絶し過ぎや!!!」

 

フミに平手打ちをするが起きる気配がない。

直哉は深くため息をついて謎の領域に気を回す。

 

ファミレスは生得領域で覆われている。

 

「真希、入ろうとしたらアカンで」

 

直哉が石を投げ込むと一瞬で溶けた。

 

「凄い熱量………」

 

「おい、琴音、京にどんだけ残った?」

 

「ちょっとまってくださいね。」

 

琴音は印を結び生得領域から式神を呼び出す。

 

「久しぶりだな二人共」

 

「庵」「歌姫」「「先生!?」」

 

まんじゅうのような手足のない一頭身の式神。

 

「なんや、歌姫せんせ、軟禁じゃなかったんやな」

 

「軟禁とは名ばかりの処刑だったのを助けてもらったのよ。」

 

「せ、先生?それ体は大丈夫なんですか?」

 

「むしろこうなったおかげでコレ(死滅回遊)の泳者にならずに済んでるのよ。それより不味いわ、京、今は刀以外を全部あなたの中に置いてきてる状態だわ。」

 

「そうか……アイツなら問題ないやろ」

 

(死ぬなよ京、まだ話は終わってないで………)

 


 

「アナタ、色んな女から愛されていたみたいねぇ」

 

「そりゃ、禪院家だと周りが酷すぎて愛され枠だったかもしれないけど」

 

呪霊の顔がよく知る人たちの顔に次々と変わっていく。

 

禪院家の奥様方、分家の子供たち、二組の双子、琴音、京都校の先輩たち、庵先生。

 

「………つーか、アレか、愛って『友愛』や『家族愛』も含めるんか。」

 

「そうよ〜」

 

「………呪力を持つ人間が『愛』による感情の変化によって漏れ出た呪力の塊」

 

「正確には人を愛するばかりからの怨み辛み嫉み憎みが私を構成するの」

 

「そうかいな。」

 

話しながらも京は思考を巡らせる。

恐らくこの領域はかなり狭い範囲で限定的に発生させる縛りによって強度を高めている。

 

取り込む相手の術式有効範囲はテーブル一つ分といったところだろうか?

 

「さっきっから領域に入れたのにお喋りばっかりじゃねえか。」

 

「気になったのよ、ここまでいろんな人から愛される呪術師なんてそんなにいないからね。」

 

「そりゃ、俺は別に呪術師である必要あんまりないし。」

 

「それなのにその才能、恨まれて当然だわね。」

 

「………いやマジ何しに来たの?」

 

「そりゃぁもう羂索に頼まれて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呪い殺しに来たの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ暗なファミレスの窓が外から赤い光を取り込む。

 

何もなかった空間から包丁や5寸釘などの刃物が現れ京を襲う。

京は陣にて領域効果を打ち消すがそれでも飛んでくる刃物を避ける。

 

「なんか、めっちゃ多い!!!!」

 

「それはあなたに何らかの愛情を持つ女のから零れ出ていた思いの総量よ。特にあなたに救いを、思いを向けられることを願っていた者が多いと多くなるわ」

 

「ああ、そりゃ多いだろうねぇ!!!!」

 

京はクソみたいな禪院家の環境を嘆いた。

 

(とうする?避けててもジリ貧だぞ?かと言っていま手元にあるの刀だけだし………)

 

自らを手の内は『投影呪法』と自らが構築した刀『真依』しか手元にない。

 

あと、まだ目を通していない歌姫先生描き下ろしの台本である。

これを試すのはまだ早い。

 

(………ああそうだ、アレを試してみるか。)

 

「『投射(アニメーション)』『敷写(トレース)』………一刀流……………」

 

京は『真依』を取り出し彼のよく知る、いや誰もがよく知る構えを取る。

 

「『獅子歌歌』」ジャキンッ

 

納刀の音だけが残される抜刀術は『愛の呪霊』の領域を切り裂いた。

 

「何っ!?」

 

「まだ終わってねえぞ!!!『敷写(トレース)』『威国』!!!」

 

振り上げの衝撃波で再構築されつつあった領域を完全に破壊して彼はファミレスから飛び出す。

 

「京っ!!!」

 

「京様!!」

 

「琴音、俺だけで大丈夫だ!!!『月牙天衝』!!!!」

 

京は斬撃を飛ばし、『愛の呪霊』に自らも近づく。

 

「『飛天御剣流』」

 

『龍翔閃』

 

(浅い………)

 

相手を浮かせることに成功したが手応えが薄い。

 

「『牙突三式』ってぇええ!!!」

 

包丁が京の背中に刺さり剣先がズレる。

 

「京様!!!」

 

「やっべぇなにこれ!?呪力が練れねえ!!!わりぃ、やっぱりバトンタッチする!!『導入(インストール)』」

 

駆けつけた琴音の中に入り京は自らの魂を回復させる。

 

「逃さないわ」

 

「『桐ヶ谷流』『抜刀』『斬』」

 

琴音は『文幸』を振るう

 


 

琴音の生得領域の中で治療を施す。

 

「大丈夫?」

 

「余裕よ」

 

「汗すごいけど?」

 

「余裕よ」

 

グィイイイ

 

「痛゛い゛痛゛い痛゛い゛痛゛い゛」

 

「油断しないの、あんたが死ぬと私達も道連れなんだから。あとまた捻くれて変なこと言ってるんじゃないよ。」

 

歌姫は京の傷口に薬を塗って包帯を巻く

 

「いや、だって、顔真似してた相手って全員弱いし………痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

 

「にしてもアレは何?なんか見たことある気がするんだけど?」

 

「多分アニメで出てた技じゃない?」

 

「術式でアニメの再現してたんだと思う」

 

「途中から普通にやってたけど………」

 

ミミコとナナコはわかったらしい。

 

「今なら剣八名乗れるかもしれない。」

 

「調子のんな」

 

「あの、手伝ってくれませんか?」

 

琴音に言われてミミコとナナコは戦闘に集中する。

琴音に刻まれた術式。

 

『侵食術式』は相手を黒く飲み込んでいくのだが、未だに使いこなせているわけではない。

 

だからこそミミナナや数多くの体を喰らい大量の人間の脳を演算装置に変えている京を術式で飲み込み演算装置として借りている。

 


 

「急に動きが良くなったじゃない」

 

『断』

 

琴音は無言で振り抜くが紙一重でかわされる

大量の刃物が彼女に降り注ぐが琴音は回避せず突き進む。

 

「まだまだ…」

 

呪力を込めた斬撃の連続。

京のように一撃必殺の威力は出せないため手数で勝負する。

降り注ぐ刃物は全て黒く染まり琴音から溢れ出る黒い呪力に飲み込まれていく。

 

「『天照』………」

 

あからさまな連撃の中で始めてとる上段の構えから振り下ろされるゆっくりと美しい縦斬りは呼吸を忘れさせる。

 

もし、相手が呪術師ならば避けることはできなかったであろう、しかし相手は呪霊である。

 

愛の呪霊は体をひねらせてそれを交わし腕を鋭く変形させて突き刺してくる。その切っ先が琴音の右肩に触れようとしたとき、肩から腕が飛び出しその腕を掴んだ。

 

………いただきます………

 

呪霊を琴音の影に投げつけると影が呪霊を黒く侵食する。

 

「何よこれ……私が……溶けて……………いやぁああああああああああああああ!!!!!!」

 

黒く染まった呪霊は溶けて消える。

 

「あっぶねぇ…………」

 

京は琴音の生得領域から外に出てくる。

 

「助かったぜ琴音…………琴音?」

 

ザクッ

 

「は?」

 

「彼は貴方の対策するに決まってるじゃない。あなた彼の後追いでしょ?」

 

琴音の刀が京の体を突き刺さる。

 

「「京!!!」」

 

「来んじゃねぇ!!!!」

 

京を助けようとする三人を京が制止する。

 

「ハハッ………『侵食』を逆手に取って乗っ取ったか………まるで『トロイの木馬』だな……」

 

「ええ、でも、あなたが悪いのよ………わかりやすく呪術体系をノートにまとめさせてくれるなんて。この子にはとてもとても特別な時間になったそうよ……」

 

五条悟は呪術師を家電と捉えていたが、もっと進んで京はパソコンと捉えていた。

 

彼が呪術を学ぶ中で感じたことは『術式とはアプリケーション』である。

他の特級術師の話しや御三家宗伝の術式とその成り立ちを学ぶ中で彼は呪術の根幹はもっと近代的であると考えたのである。

というより、非術師が術師に科学で追いついてきたというのが近いだろう。

 

脳を含めた肉体がハードウェア、術式や領域をソフトウェアと捉え、術師と非術師の違いはそのハードがソフトを使用できるかどうか?の違いに過ぎない。

 

乙骨のリカを見て『外付けバッテリー兼2ndPC』、六眼は『無限』を処理できる『超高性能CPU』といったところだろうか。

 

だからこそ京は琴音やミミナナを使って彼女らを自らの術式の演算に使えないか試した。

 

答えは成功。

 

特に琴音は受胎であることも含め最高のCPUBoxに、ミミナナはグラフィックボードになってくれた。渋谷で大量に喰らった人間は性能の高いCPU基盤になってくれている。

 

彼の『術式』である映像制作に必要な他のアプリケーションを探した。それが真依と歌姫である。

 

彼は呪術の根本はPCとアプリケーションであるとしてそのPCを強化して映像制作アプリを作り上げ、そのアプリで作った映像を領域として使用していたのである。

 

彼はいわば監督兼編集者。

 

画角の中では彼が王であり神、『領域の支配者』である。

 

「………動かない!?」

 

「やっぱり、琴音には何も言わないが正解だったな………PCにはウィルス対策しとくのは常識だろ?」

 

『ウィルスを検知しました削除します。』

 

琴音は呪霊を自らの体から分離させた後に刀で斬り伏せる。

 

「ぎゃああああああああ」

 

「琴音が俺より弱いと思って狙ったのかもしれないけど。琴音の方が術師として処理能力が高いに決まってるじゃん」

 

CPU本体と出力デバイス。

どちらが処理能力高いかと言われたら一目瞭然である。

 

京は自分をテレビだと思っている。

決まったチャンネルしか映すことができないが外部から入力することで色んな映画、ドラマ、アニメ、ゲームを映すことができる。

だからこそ外部入力機として琴音PCを作ったのである。

 

黒に侵食された呪霊は消滅していく。

 

「羂索がもう少し現代にカブれてたら負けてたかも」

 

「その傷は大丈夫なんか?」

 

「余裕余裕。俺呪霊だし。これぐらいなら中で休んでりゃ治るよ」

 

「そうかい、寝る前にお前の目的を言え」

 

「俺は現体制を壊し俺が新体制を作る。トップには宿儺でも羂索でも乙骨先輩でも五条先生でも誰でもいい。一番強い奴を据える。可能なら俺がやるけどね。挑戦受け付けてます。その気なら琴音に攻撃仕掛けてみてくださいよ。」

 

京は琴音の影に消えた。

 

「相変わらずやなぁ。」

 

「言ってること羂索の野郎と変わんねえじゃねえか」

 

「京様はこう言ってますけど、羂索も宿儺も倒すつもりらしいですよ。五条先生も次の最強が生まれないことに努めてくれるなら良いらしいです。あくまで次の『最強』が五条先生ほど優しくない可能性を危惧してるだけなので。大丈夫です。今、そのことで歌姫先生に怒られてるので。」

 

「ああ!!もう!!!最初っから素直に話せよ!!!」

 

「なんとも彼らしいな。」

 

「で、処刑人さんとその見届人さん。京様と私の首を取りますか?」

 

「俺はパスやで。」

 

恐らくここで琴音に攻撃すれば周りの術師が本気で殺しにくる。そう考えた土御門フミは決断する。

 

「わ、私は上層部を裏切ります!!!」

 

通信用のケータイを破壊した。

 

(チョロいな)

 

(チョロい)

 

(コイツ……ほんま大丈夫か?)

 

こうして京と直哉は九十九派と協力することになった。

原作『死滅回遊編』が終わるまで、番外編「日常回」どこら辺を読みたいか。

  • 禪院家の日常
  • 双子と行く特別一級術師の仕事見学会
  • ピク○ンが来た
  • 卒業旅行の一コマ
  • 京都校の日常
  • 桐ヶ谷流剣術講習会
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