土御門フミの祖父。
総監部の人。
呪術界の闇の煮こごりみたいな人。
夜、桜島の術師達は息を潜め体を休める。
夜闇の漆黒の帳の中でフミは寝れないでいた。
「はぁ………………」
土御門フミは名門『土御門』家の長女である。
それなのになぜ危険な任務を任されるのか。
それも全て家からは『死んでも問題ない人』として扱われているからである。
土御門フミは約10年前、高専時代に癌を患い子宮の摘出手術をしたのである。その時の手術費は家に借金と言う形になり、危険な任務を任されるようになった。
「私ってなんで生きてるんだろう……?」
彼女の命には多額の生命保険がかけられている。
任務に失敗すると事故死のカバーストーリーが作られるため生きて任務を遂行し続けても失敗して死んでも家にお金が入るようになっていた。
死後にすら彼女に自由はなかったのである。
「フミさん、眠れませんか?」
深夜の飲食店の中
順番で見張りのために起きている琴音に話しかけられた。
「琴音ちゃん…………そうね……………聞いたことあると思うんだけど、色々あって子供産めないの………」
「それは……お聞きしています…………」
「だよね……家では私はもう死んでるの。手術が終わって退院して帰ったら、家にね……居場所がなかったの……。父親からは殴られたわ。『なんてことしてくれたんだ』って、その後に『土御門家への借金返済しろ』って言われて、『土御門』の名前があれば任務を受けやすいからって理由で名字はそのままなんだけど名前は変えられちゃった。昔は『土御門
まだ小学生に上がるぐらいの親戚もこの『死滅回遊』の『泳者』になっているかもしれない。
「なーんか、話してたら。ぜーんぶ、どーでもよくなっちゃったー」
「……………」
「ごめんね。かなり重いよね。」
「私も術式を持ってなくて『禪院の女』ってことだけで京様にあてがわれたので……想像に難くないです………」
『より強い子供』『より強い術式』『より強い術師』
それを産み落とすのは結局は女にしかできない。
その為に琴音の母は呪霊と契約し『呪胎』として彼女を産み落としたのである。
「おい琴音、交代の時間や。お前は寝ときや」
交代の時間になり直哉が起きてきた。
「あの……」
「早う、ねーや。」
大丈夫かな?この人と二人きりにしたらフミさん朝には首吊って冷たくなってないかな?
『琴音、寝ろ、ハードの長時間の稼働はこっちにも影響が出る。』
「………わかりました。」
琴音は心配だが体を休ませることにした。
残ったのは直哉とフミ
「…………………」カチャナチャカチャカチャ
「…………………」
「…………………」カチャナチャカチャカチャ
「…………………」
「…………………チッ………」カチャナチャカチャカチャ
「……………あの」
「なんや?」
「何やってるんですか?」
「ゲームや」
「いや、それは見てればわかります。」
「スマブラや」
「え?」
「格ゲーやな。」
「へぇ………」
「ゲームはアニメーションをプレーヤーがコマンドで選んで画面に反映させる体感型の映像作品や。投射呪法はこれを書き込みと打ち込みからやっとるや。めっちゃ良いお手本やでゲームって。」
「………教えるんですね………」
「昔は術式の事、練習の事を教えへんかったやろな。ただ、それじゃぁ強くなれんのや。」
「え?」
「手の内明かして術式の補強するんも、隠して奇襲するんも駄目なんや。術式も戦い方も明かしたうえで戦えるようにならんと。『本物』になれへんのや」カチャナチャカチャカチャ
「………………」
「手の内隠して騙し合いは雑魚と遅れてるやつがやったらええ。正々堂々とも言わへん、ハンデがあろうが術式が割れてようが関係なく勝ち続けるのが『本物』や」カチャナチャカチャカチャ
直哉の脳裏には悟と甚爾の顔が浮かぶ。
二人共術式や戦い方は皆に知れ渡りながらも戦い、勝ち続ける『本物』であった。
「御三家の人って
「土御門ねぇ………御三家でもないのに総監部の既得権益に執着する三流の家やん。体のこともお金のことも聞いとるで。それ、騙されてるわ」カチャナチャカチャカチャ
「………はい?」
「術師やその家族の病気の治療は国とうちら御三家から補助金が出てんねん。人手が足りひん仕事やからなぁ。だから土御門家は殆ど払ってあらへんで。」
直哉はゲームをしまって真面目に話し出す。
「当主って別に子供うまんでも関係あらへん。強けりゃええねん。元々あんさんが当主の予定やったやろ?」
「ええ…、まあ……私がなる予定でした。」
「等級は二級やけど、本当は准一級ぐらいやな、極端に弱くなるのはこの術式の縛りみたいなもんやろ?」
「………よくわかりましたね。」
フミは術式を解くと術式に使われていた呪力が戻ってくる。
『
術式を使わずに呪力を込めて戦えば准一級といったところである。
「私も寝ますね。」
「おう、寝とき寝とき。」
夜は老けていく。
「刀ぁああああああああああ!!!」
「相撲だあああああああああ!!!」
「うるせぇえええええ!!!!」
「おめぇがうるせぇ!!!!」ドゴォ
おはようございます。朝5時です。
「おはようございます……京様、なんなんですか?」
「かーたーなぁあああああああ!!!!」
「すぅもぉうううううう!!!!」
「わかんねぇ。めっちゃうるせえ。あと脇腹痛え」
「ちょっ、私の刀取んじゃねっ」
ゾクゾクゾクッ
その場にいた術者はただならぬ悪寒を感じた。
ただ、一人を除いて。
「……………『桐ヶ谷流』」
『斬』
キンッ
謎の剣士は京の抜刀術を涼しい顔で受け流す。
「ことねぇ!!!!コイツ強いぞ!!!」
「良い太刀筋!!!これでこそ日本男児だ!!!!この刀は妖刀か?面白い。」
「ちょっと遊んでくる!!!」
名も知らぬ剣士とともに京は駆け出す。
「私も行きます!!!」
琴音も追いかける。
「いいぞ!!!走りながらでも上半身がブレない!!!」キンッキンッ
「爺さんこそ、年齢感じさせねえじゃねえか!!!さっきっから殺気で肌がヒリヒリするぜ。」キンッキンッ
「ハッハッハッハッまだまだ序の口!!!」
謎の剣士、大道鋼の大振りに見せた一振りは急激に加速する。
「うおっあぶねえー!!!」
京は体を反らして回避する。
「これを避けるか!!!」
「すげぇ!!!すげぇよ!!!爺さん!!!!」
周りに何もない交差点の中心で二人は足を止めて見合う。
「『桐ヶ谷流』」
『斬』『七連』
キンッキンッキンッキンッキンッキンッキンッ
大道は全ての抜刀術を受け流しそれでいてカウンターも行う。
京はその全てを掻い潜る。
『天照』
「剣先がブレとるわ!!!!」
「ちぃいいいいい!!!!!」
一瞬だけ大道は動きを止めたが流石は最強の武人。
京のブレに気が付き息をついて反撃してきた
「まだ使いたくなかったんだけど!!!」
京はもう一本の刀を取り出す。
『真依』と『真希』
亡き姉の呪力と呪力を失った姉の呪力を其々自らの呪力と重ねて鍛え上げた二刀一対の刀である。
姉の名前をつけたのはイメージしやすいからである。
「今度は二刀流か!!良いぞ!!!どんと来い!!!」
「『桐ヶ谷流』『
体の回転と捻りで繰り出す連続の斬撃は受け止めた大道を弾き飛ばした。
「『桐ヶ谷流』『
日本の刀で横に並行にした胴切り。
その追撃を大道は飛び上がり回避すると後ろにあった信号機が両断され倒れる。
「やっと避けた!!!」
「おうおう!!良いぞ良いぞ!!!」
「『桐ヶ谷流』『
2連続の高速の突きで空に飛んだ大道に追い打ちをかけるが体の捻りで一気に急降下した大道にしゃがみステップで回避され距離を取られる。
「嘘だろ!!?」
「喉を狙った良い突きじゃ」
『
京は無言で刀を交差させて切り開く。
「浅いわ!!!」
大道は交差の中心に刀をはさみ振り抜くことでお互いに距離を離そうとする、その攻撃を受けて京は日本の刀を捨てて懐に潜り込む。
『閃』
京の無刀の抜刀が大道の胴を切り裂く。
「ふんっ!!!」グサッ
大道は刀を持ち替えて京の背中に刀を突き立てた。
「京様!!!」
「ごっほっ!!!ストップ琴音!!!」
「見事。今の攻撃、あそこからよく急所を外したな。」
「ははははは………真依姉さんじゃなかったら祓われてた………」
「この刀の作り手はお主の姉か?通りで言う事を聞かんと思ったわ。……それにしてもお主、本気じゃなかったな?」
「そりゃあ、ねぇ。呪術師としてじゃなくて剣士として戦いたかったし。」
「あの手刀も本気で切れば体を両断していただろう?なぜしなかった?」
「なんか他人な気がしない。」
「そうだな。お前は分かるやつだ。」
「戻るぞ琴音」
「………………はぁ………わかりました………」
「爺さん、これ使えよ。それ姉さんの形見なんだ。」
「そうか、それは悪いことしたな………コレもなかなかの業物じゃないか?」
「『文幸』っていうんだ。俺の爺ちゃんが友達に打ってもらった刀なんだ」
『文幸』は京の呪力で呪具になっている。
「そうか、有り難く使わせてもらおう。」
「じゃ、俺は傷を癒やすよ。爺さんまたやろう。」
「おう!!!」
京は琴音の影に消えた。
「なんと!?彼は妖の物だったのか?」
「京様は……そんなところです。私と同い年ですけど。」
「妖の剣士かぁ!!!今の若いもんは進んでるなぁ!!!」
「………………そうですねー」
琴音は説明を放棄した。
二人が戻ると何故か残った人たちがみんなで相撲していた。
「俺もやる!!!」
「休んでろ」「バカ」
生得領域から出ようとする京をミミナナが引き戻すのだった。
大道鋼は直系ではないが京の遠い親戚ってことでよろしく。
原作『死滅回遊編』が終わるまで、番外編「日常回」どこら辺を読みたいか。
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禪院家の日常
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双子と行く特別一級術師の仕事見学会
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ピク○ンが来た
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卒業旅行の一コマ
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京都校の日常
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桐ヶ谷流剣術講習会