ラブライブ!~アウトローと、虹とトキメキの女神達~   作:弐式水戦

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 大変長らくお待たせ致しました。

 今年1発目の投稿です。


※タイトルが被ってしまうため、第9話のタイトルを変更させていただきました。


第10話~アウトローの同好会見学第2弾・前編~

「1、2、3、4、5、6、7、8……!」

 

 アメリカでアレクサンドラ達が心配する中、昼下がりの虹ヶ咲学園のテラス。

 そこではせつ菜の手拍子と掛け声が響き、かすみ達4人が必死にステップを踏む。そんな彼女等の様子を、紅夜は傍で見守っていた。

 

「(気合い入ってんなぁ……まぁそりゃそうか。もうすぐお披露目ライブだもんな)」

 

 かすみ達の説得で、2度目の体験入部を行う事になった紅夜。だが今回は、同好会のお披露目ライブが迫っているのもあって練習の見学のみに留まっていた。

 

「はい、じゃあ今のところをもう一度!」

 

 せつ菜の怒号とも言える声が飛び、4人は息も絶え絶えになりながら先程のステップを繰り返す。

 そこには、先日のような余裕や楽しさは微塵も感じられない。

 

「(でも、ちょっと飛ばしすぎな気もするな。さっきの休憩だって前より短かったし、それに……)」

「彼方さん、そこの動きはもっと早く!!かすみさんも、もっと大きく動いてください!!」

「(何か、彼奴焦ってないか……?前みたいな余裕がまるで感じられねぇ)」

 

 以前の体験入部では、全員がもっと楽しそうに活動していた。紅夜も表情には出さなかったし、結局彼女等からの勧誘は断ったものの、居心地自体はそこまで悪くないと感じていた。

 それこそ、過去の一件が無ければ、そして自分が人間不信になっていなかったら、あの勧誘を受け入れていた。あるいは所属する事は出来なくても、時折顔を出して様子を見てやるくらいなら良いかもしれないと思わせるくらいには。

 

 それと比べて、今はどうか?必死にステップを踏む彼女等からは、楽しさなんてものはまるで感じられない。ただ、『パフォーマンスを完成させなければならない』という義務感や、『せつ菜を怒らせないように』という考えでやっているようにすら見えてしまう。

 正直、こんな状態でパフォーマンスを完成させたとしても観客を楽しませる事は出来ないだろう。何なら、彼女等も『これで良かった』と思えるような形で終わらせられるとも思えない。

 見学している紅夜も、段々と居心地が悪く感じられてきていた。

 

 不特定多数の人々に見せるのだから、100%遊び気分でやる訳にはいかない。しかし、だからと言ってこれは少々厳しすぎる。

 加えて、せつ菜以外の4人はスクールアイドル初心者だ。別に大会に出る訳ではないのだから、もう少し肩の力を抜いても良いのではないかと、部外者ながらにそう思っていた。

 

「かすみさん、そこ前にも言いましたよ!」

「は、はい……!」

「(容赦ねぇなぁ……)」

 

 現状、4人の中ではかすみが一番怒鳴られている。その理由は簡単で、中々動きについてこられていないからだ。

 

 ハイテンポ且つ動きの大きいこのステップは、小柄なかすみには非常に不利だった。体格に関して言えばせつ菜も小柄ではあるが、彼女にはスクールアイドル経験者という大きなアドバンテージがあり、そもそも条件が対等ではない。

 一応、同じスクールアイドル初心者である彼方達は何とかついていけているようだが、それはかすみよりも体格で勝っているからだろう。

 エマや彼方は言うまでもなく、しずくも女優志望で演劇部と掛け持ちしているため、ある程度の体作りは出来ている筈だ。

 それらを考慮すれば、かすみはこのメンバーの中でも一番不利な状況に立たされていると言っても過言ではない。

 

「はぁっ……はぁっ……!」

 

 息も絶え絶えになりながら必死にステップについていこうとするかすみだが、現実というものは何処までも非情で、一向についていける気配が無い。

 大きく動こうとすれば4人のペースについていけなくなり、かといって逆に動きについていく方を取れば、今度はその動きが小さくなってしまう。あちらが立てばこちらが立たぬとは正にこの事だ。

 

「……ッ!」

 

 せつ菜もそれを感じ取ったのか、再び表情が険しくなる。そう遠くない内に、また怒号が飛ぶだろう。

 

「…………」

 

 流石の紅夜も、こうして何度も怒鳴られる様を見るのは気分が悪い。それが、決して怠けていた訳ではなく、寧ろ必死についていこうと頑張っているのであれば尚更だ。

 しずくやエマ、そして彼方も、こうして何度も怒鳴られるかすみを気の毒そうに見ているが、せつ菜の剣幕に怖気づいて中々口には出せないようだ。

 

「(あまり関わるつもりは無かったが………まあ、今回ばかりは仕方ねぇよな)」

 

 彼女等のためではなく、あくまでもこの居心地の悪さに我慢出来なくなっただけ。そう言い聞かせてこれから起こそうとしている行動を正当化させ、紅夜は口を開いた。

 

「すまない、ちょっと良いか?」

 

 軽く手を挙げ、声を発する紅夜。見学を始めてから今まで一言も発しなかったためか、その声に全員が動きを止め、視線が集中する。

 

「そろそろ休憩にしたらどうだ?見たところ、大分疲れてきてるみたいだしな」

「そ、そんな!私は……!」

「お前は良いかもしれんが、4人を見てみろ。今にも倒れそうじゃないか」

 

 提案に嚙みつこうとするせつ菜だが、かすみ達の方を向くとそうも言えなくなる。

 特にかすみに至っては、どうにか動きを合わせようとしていたのか一際疲れており、足元のタイルには、彼女の汗で黒い染みが幾つも出来ている。

 

「お披露目ライブが近くて焦るのは分かるが、だからって無理させても良い事は無い。それで誰か怪我でもしたら本末転倒だろうが。良い機会だし、お前も少し心を落ち着かせてこい」

「……分かりました」

 

 そう言うと、せつ菜は建物に入っていく。彼女の姿が見えなくなると、しずく達が申し訳なさそうに近づいてきた。 

 

「ありがとうございます、紅夜先輩。私も休憩にした方が良いと思っていたのですが、中々言い出せなくて………」

「ごめんね、紅夜君……」

「私達、お姉さんなのにちゃんと言えなくて……」

「……別に構わん。俺が勝手に提案しただけの事だ」

 

 そう返すと、紅夜はせつ菜が歩いて行った方をチラリと見て再び口を開いた。

 

「それにしても彼奴、随分余裕無さそうだったな」

「ええ、前に体験に来ていただいた後からこんな調子で……まあ、お披露目ライブの日が近づいてるのもありますし、それで焦っていたのではないかと」

 

 そう答えるしずくに『そうか』と返したところで、紅夜はその場に崩れているかすみに声を掛けた。

 

「おい、中須。疲れてるところ悪いが、ちょっと顔を貸せ」

「は、はい……」

 

 かすみは気まずそうに答え、立ち上がる。

 

「ね、ねぇ紅夜君。あまりかすみちゃんを……」

 

 見学に誘った本人でありながら練習であのような体たらくだった事を怒っていると思ったのか、エマが声を掛けようとする。大方、あまり彼女を責めないでやってほしいとでも言いたいのだろう。

 勿論、紅夜にそんなつもりは一切無いのだが。

 

「安心しろヴェルデ、別に説教する訳じゃない」

 

 彼女の言葉を遮るようにそう言って、かすみを伴ってその場を後にする紅夜。

 そうして彼等がやって来たのは、建物の1階。紅夜は周囲に誰も居ない事を確認するとかすみを傍に座らせる。

 

「あ、あの……紅夜先輩……」

 

 エマにはあのように返したとは言えやはり不安なのか、おずおずと口を開くかすみ。

 練習中は何度もステップについていけずせつ菜に怒鳴られるという有様だったためか、すっかり体を縮こまらせて委縮してしまっている。

 

「…………」

 

 そんな彼女をチラリと見た紅夜は、近くにあった自販機でスポーツドリンクを買ってきて渡す。

 そして、此方の機嫌を窺うように見ながらちびちびと飲み始めたかすみに、漸く口を開いた。

 

「ヴェルデにも言ったが、別に説教しようって訳じゃない。お前が頑張っていたのは見れば分かる」

「…………」

「その上で聞きたいんだが……あの振り付け、本番までに仕上げられると思うか?お前、練習中ずっとついていけてなかったろ」

「ッ!」

 

 かすみの体が軽く跳ねた。どうやら図星のようだ。

 

「あ、あの……えっと……」

「別に、此処で無理だと答えたところで怒ったりはしないし、優木に告げ口するつもりも無い。単に出来そうか、それとも無理そうか聞きたいだけなんだ」

「………」

「それで、どうなんだ?間に合いそうか、それとも厳しいか」

 

 かすみは暫くの沈黙の末、首を横に振った。

 

「……厳しい、です」

「そうか……やっぱり厳しいか」

 

 そういう彼の声に落胆や失望の色は無く、淡々としていた。まるで、そう答える事が分かっていたかのように。

 

「この曲、結構テンポ速いし、動きも大きくて……それでも、何とかついていけるように、毎日家でストレッチしたり、朝早く来てトレーニングしたりしてるんですけど………」

「……結果は変わらなかったと?」

 

 三角座りで膝に顔を埋めながら、かすみは頷いた。

 彼女とて、別に好きでステップが遅れている訳ではない。繰り返すようだが、彼女自身も何とかせつ菜や他のメンバーについていこうと必死なのだ。

 だからこそ、これまでトレーニングを欠かさなかったのだろう。しかし残念ながら、他の面々に食らいつけるだけの効果を得るには与えられた猶予が短過ぎた。その結果がこれという訳だ。

 

「せめて、もっとやりやすいような振り付けに変えてくれたらな……」

 

 溜め息混じりに呟くかすみ。彼女としても、もうどうしようもないのだろう。

 

「………」

「あっ、すみません。かすみん、こんな弱音吐いちゃって……そろそろ戻りません?もう十分休憩出来ましたし、気分も落ち着きましたから」

「………ああ」

 

 そうしてテラスへと戻る2人だが、紅夜には前を歩くかすみの後ろ姿がいつになく小さく見えた。

 

「…………」

 

 テラスが近づいてくるにつれ、かすみの歩みが遅くなる。先程はあんな事を言っていたが、本心では未だ不安なのだろう。

 今日の練習が終わるまで、また動きが遅れては怒鳴られる。そんな未来を想像して、怯えているようだ。

 

「……中須」

 

 不意に足を止め、かすみを呼び止める紅夜。

 

「は、はいッ」

 

 振り返った彼女の瞳は、不安に震えていた。

 

「(……仕方無い、か)」

 

 紅夜は意を決して口を開いた。

 

「そんなに不安なら、俺に1つ考えがある」

「え?考えって……」

「その内分かる」

 

 そう言うと、紅夜は先にテラスへ足を踏み入れる。そこでは、既に残りの4人が集まっていた。

 

「待たせてすまないな、中須からスクールアイドルに関して色々聞いてたら遅くなってしまった」

「い、いえ……」

 

 部員ではなく、あくまでも見学者であると同時に自分が欲している人材であるためか、紅夜に対してはいまいち強く出れないせつ菜は、小さくそう言った。

 

 そして、再び練習が始まる。

 やはりと言うべきか、かすみは苦手としている区間で4人に後れを取っていた。

 

「(やっぱりな……よし)」

 

 紅夜は小さく頷くと、声を掛けた。

 

「なぁ、ちょっと良いか?」

「「「「「?」」」」」

 

 すると、5人の動きが止まる。

 

「紅夜さん、どうしました?」

「いや、これまでずっと見てたんだが……今のフレーズの動きに少し違和感を感じてな」

「違和感、ですか?」

「そ、それってやっぱり………」

 

 『自分が遅れているからではないか』、そう言おうとするかすみだったが、紅夜は首を横に振る。

 

「いや、中須が遅れているとかは関係無い。ただ、今の動きが雰囲気に合っていないように思えただけなんだ」

「は、はあ………」

「ですが紅夜先輩。今から代わりの振り付けを考えようにも、もう時間が……」

 

 気まずそうに言うしずくに、彼方やエマも頷く。お披露目ライブまで半月も残されていない今、振り付けを一新されても逆に困るだけ。

 だが、紅夜には何の問題も無かった。

 

「それなら心配は要らん。別に全部一新する訳ではないし、代わりの振り付けなら既に考えてある」

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

 あっけらかんと言い放つ紅夜に、5人の声が重なる。 

 

「い、何時の間にそんな事を……?」

「今までずっと眺めていたからな。何回も同じ動きを見せられたら誰でも要領は掴める」

 

 そう言って立ち上がった紅夜は、自らが考えた振り付けのプレゼンを始めた。

 

 彼が変えようとしているのは、これまでかすみが遅れを取ってはせつ菜に怒鳴られていたフレーズだ。

 見たところ、そこ以外の動きにはついていけるようだったため、問題のフレーズを変えれば彼女もやりやすくなると考えたのである。

 

「………とまぁ、動きとしてはこんな感じだな。これなら次の動きへのアプローチもしやすいと思うが……中須、どうだ?」

「は、はい!」

「よし。じゃあその通りに動いてくれ。それと……」

 

 次に紅夜が視線を向けたのはしずくだった。

 

「このフレーズで中須と反対側に居るのは、桜坂だったな。お前は、中須と鏡になるように動いてくれ。出来るか?」

「はい。その動きでしたら、問題無く出来ると思います」

 

 その返答を受けた紅夜は、最後にせつ菜へと視線を向けた。

 

「それじゃあ優木、もう1度やらせてみろ。これなら大丈夫な筈だ」

「わ、分かりました」

 

 そうしてせつ菜は再び手拍子を始め、4人も動き出す。

 そして問題のフレーズに差し掛かると、せつ菜の表情が変わり、かすみを含めた4人も同様の反応を見せた。

 

 何と、これまでずっと遅れていたかすみが他の面々にしっかりとついてきていたのだ。

 しかもそれだけでなく、紅夜が新たに提案した振り付けは元のものより曲の雰囲気に合っており、更に次の動きへのアプローチもしやすかった。

 その甲斐もあって、気づけば最後まで通せていた。

 

「す、凄い……」

「最後まで出来ちゃった……」

 

 しずくや彼方が、未だ信じられないとでも言うような表情で呟く。

 

「それに今の動き、前のものより曲の雰囲気にマッチしています。少し変えただけでここまで良くなるなんて……!」

 

 それはせつ菜も同じ気持ちのようで、目を大きく見開いて紅夜を見つめる。 

 

「あれ?ところで紅夜君って、私達の曲聞いた事あったっけ?」

 

 そんなエマの疑問に、他の4人も『あっ』と声を漏らす。そして恐る恐るといった様子で紅夜へと目を向けると………

 

「……ああ、そう言えば無かったな」

 

 そう返した紅夜に、同好会メンバーの驚嘆の声が上がった。

 

 これまでの彼等のやり取りからお気づきだとは思うが、紅夜は今の今まで、彼女等のやろうとしている曲を聞いた事が1度も無い。

 にもかかわらず、こうしてかすみが他の面々に追いつけて、尚且つ曲の雰囲気に合致した振り付けを考えてみせたのだから、驚くのは無理もない。

 

「いや、『そう言えば』じゃないですよ紅夜先輩!1回も曲聞いてないのに振り付けだけ考えられるなんて、普通に考えても異常ですよ!?」

「そうですよ紅夜さん!一体どんな特訓したらそんな事が出来るようになるんですか!?」

 

 詰め寄ってくるかすみとせつ菜。その後ろではしずくやエマ、彼方もウンウンと相槌を打っている。

 

「い、いや。そんな事言われてもな………」

 

 紅夜は返答に困った。

 

 彼も、他のMAD RUNメンバーも、何か歌やダンスに関して特別な特訓をしていた訳ではない。

 音楽スクールに通っていた訳でもなければ、誰か音楽の師匠が居たという訳でもない。強いて言うなら、ストリートレース以外に趣味に出来そうなものがこれしかなかったため、レースが無い日はひたすら音楽動画を見漁ったり、トラビスのガレージで行われるパーティでバンド演奏やダンスを披露していたくらいだ。

 勿論、こんな事を言ったところで最早答えにすらなっておらず、それで彼女等が納得してくれるかどうかは正直怪しいところだ。しかし、それしか答えようがないというのも事実。

 

「……まあ、ひたすら仲間達と遊んでたら何時の間にか出来るようになった。としか言えんな」

「「「「「…………」」」」」

 

 そうして導き出された彼の答えに、5人はただ呆れるしか出来ないのであった。




 最近、プロセカの映画見てきました。
 ぶっちゃけゲームは未プレイだしボーカロイドを数人知ってる程度の知識しかありませんが、意外と面白かったので既に3回も見ちゃいましたね。

 そして映画を見て思ったのですが…………


 サンシャインと初音ミクがコラボ(?)したぐらいだしラブライブとプロセカのコラボ小説作れんじゃね?(某GT7実況者の動画タイトル風)
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