ラブライブ!~アウトローと、虹とトキメキの女神達~   作:弐式水戦

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 今回は紅夜の妹である綾と幼馴染み達の登場です。

 それにしても、何気に無印版アウトローより綾の事しっかり書いてるなこの作品。


第2話~アウトローと妹と幼馴染み~

 あれから時間は流れ、今は昼休み。3年のとある教室には、机に突っ伏す紅夜の姿があった。

 

「(あぁ~、マジ疲れた……こんなに疲れるのは久し振りだな……)」

 

 心の内でそう呟く彼が思い浮かべたのは、この学校に足を踏み入れてから今に至るまでの数時間の流れだ。

 

 先ずは職員室で担任との顔合わせを行い、教室へ向かう。そして朝のHRで挨拶をする。

 ここまでは転校生や留学生であれば誰もが通る道であり、紅夜としても、ここまでの流れには何1つとしておかしな部分は無いと思っている。だが問題はその後だ。

 

 どうやらこの虹ヶ咲学園では、留学生自体はそれ程珍しくはないものの、その殆んどがこの学校の専攻学科の1つである国際交流学科へ所属してしまうらしい。そんな中、日本人とは言えアメリカからの留学生が別の学科へとやって来たのだから、クラスは一気に盛り上がった。

 その後の休み時間ではお決まりの質問タイムとなり、紅夜は波のように押し寄せてくる生徒達の対応に追われる羽目になった。

 更に、これだけではなく、その後の専攻授業において紅夜が実力を発揮すると、また更にクラスが沸き上がり、再び質問タイムへと突入する。

 最早朝のHRから昼休みになるまで、彼がリラックス出来る時間は無かったと言っても過言ではないだろう。

 

 悪意を向けてくる人間が居なかっただけ未だマシなのだが、せめて新入りがリラックスする時間くらいは寄越せと言いたかった。

 

「(しかもこの学校、女多すぎだろ……何処のアニメの世界だっての)」

 

 そして極めつけには、この学校の男女比だ。

 具体的な比率は不明だが、少なくとも男子が全校生徒の内のほんの一握りしか居ないという事は確かだ。

 それは休み時間に押し寄せてきた生徒や、移動教室の際に軽く覗いた他のクラスの様子から確認出来た。

 

「(まぁ仕方無いか、此所ってつい最近まで女子校だったみたいだしな……ったく、別に廃校になりそうな気配も無いのに、なんで共学化なんてしたんだか)」

 

 そんな事を考えている間にも、彼の腹は減っていく。

 

「(このままボーッとしてても状況は変わらねぇしな……そろそろ、飯食うか)」

 

 そうして体を起こし、鞄から弁当箱を取り出した時だった。

 

「あの、長門君……ちょっと良いかな?」

 

 突然、1人の女子生徒が恐る恐るといった様子で話し掛けてくる。

 

「……?どうかしたのか?」

「実は、長門君にお客さんが来てて……」

「……お客さん?」

 

 鸚鵡返しに聞き返した紅夜が廊下へ視線を向けると、そこには見知った人物が立っていた。

 それは、黄緑のロングヘアにスレンダーな体型が特徴の少女だった。

 

「兄様!」

 

 視線が合うと、その少女は駆け出す。生徒や机の間を縫うように進んでくると、そのまま紅夜に抱きついた。

 

「おっと……おいおい、教室走っちゃ危ねぇだろ。(あや)

 

 飛び込んできた少女を受け止め、紅夜はそう言った。

 

 彼女は長門 綾と言い、2人のやり取りから分かるように紅夜の妹だ。

 今年この虹ヶ咲学園に入学してきた1年生で、所属している学科は、料理や衣服といった、小中学校でいう家庭科に該当するものを重点的に学ぶライフデザイン学科だ。

 

「だって兄様、お父さんと2人で先に行っちゃうんだもの!どうせ学校同じなんだから連れていってくれたって良いのに……」

 

 どうやら、自分だけ1人で登校するに事になったのが不満だったらしい。頬を膨らませて拗ねる妹に、紅夜は『すまんすまん』と苦笑混じりに言いながら頭を撫でる。すると、最初は不満げだった彼女の表情も見る見るうちに気持ちよさそうなものへと変わっていった。

 

「……っと。それはそれとして、今日はどうしたんだ?」

「あっ、そうだったわね」

 

 綾は漸く紅夜から離れると、彼の手を掴んだ。

 

「兄様を学食に連れていこうと思って来たのよ」

「学食?……あぁ」

 

 2人揃って弁当を持っているのに態々学食へ行こうとする綾に首を傾げる紅夜だったが、直ぐにその意味を理解した。

 

「彼奴等だな?」

「ええ、だから早く行きましょうよ。皆楽しみにしてるわ!」

 

 そうして駆け出した綾に引っ張られるようにして、教室を飛び出していく紅夜。

 あまりにも急すぎる流れについていけなかったのか、クラスメイト達は呆然と、彼等が出ていったドアを眺めているのだった。

 

 その後、学食であるカフェレインボーへやって来た彼等を待っていたのは、既に7人分の席を確保していた幼馴染み達による歓迎だった。

 

「いやぁ~。これで俺達幼馴染みグループ、全員集合だな!」

 

 そう嬉しそうに言うのは、首元まで伸びた黒髪に龍の如く鋭い紫色の瞳を持つ青年だった。

 情報処理学科3年、篝火 大河(かがりび たいが)である。

 その隣では、同じく情報処理学科に所属する少女、不知火 蓮華(しらぬい れんか)が同感だとばかりにウンウンと相槌を打っており、そのロングストレートの黒髪を揺らしている。

 

「ああ。こうして全員揃って学校に通うっての、ずっと夢見てきたもんな。やっと叶ったぜ」

 

 次に発言したのは、大河よりやや短めの黒髪に赤い目をした青年、普通科3年の辻堂 達哉(つじどう たつや)だった。

 先程の大河と比べれば言い方こそ落ち着いているものの、その表情は嬉しさに満ちており、こうして自分達全員が集まれた事を喜んでいるのが分かる。

 

「そうそう。私なんて、七夕のお願い事で『皆で同じ学校行けますように』ってずっと書いてたもん!やっぱり願いが叶うって嬉しいよね!」

 

 そんな達哉の意見に賛同したのは、綾と同じライフデザイン学科に所属する草薙 雅(くさなぎ みやび)だ。

 彼女は桃色のツインテールと頭頂部のアホ毛をピョコピョコと揺らしながら、無邪気にそう言った。

 

「雅ったら、毎年デパートの七夕イベントに行っては短冊に書いてたものね。それで店員さんや他のお客さん達にも覚えられちゃって……」

 

 そう言ってクスクスと微笑を溢しているのは、長い銀髪を紅夜と同じポニーテールに纏めた、ライトブラウンの切れ長の目が特徴の少女だった。

 国際交流学科3年、北条 瑠璃(ほうじょう るり)。紅夜達幼馴染みグループのNo.2のような存在であり、今は紅夜がアメリカで暮らしているために代理でリーダーの地位に収まっていた。

 

「でもまぁ、こうして来てくれて本当に良かったわ。このまま貴方だけ別の学校で卒業するなんて寂しいもの」

 

 そう言って紅夜に寄り掛かる瑠璃。

 普段なら達哉や大河辺りがヒューヒューと冷やかしの口笛を飛ばしてくるのだが、今回はそれが無い。皆、彼女の意見に同意なのだ。

 

「皆……ありがとな」

「ハハッ、礼なんて言うなよ水臭ぇ」

「そうそう。私達だって、たった1年だけでもこうして来てくれて嬉しいもん!」

 

 達哉や雅の言葉に頷く幼馴染み達。彼等は紅夜が里帰りしてくると、何時もこうして暖かく彼を出迎えていた。

 そんな彼等に、紅夜は思わず目頭が熱くなる。

 

「ちょ、おいおい紅夜。こんなの何時もやってる事なのに何泣いてんだよ」

「ば、バカ!泣いてねぇよ!」

 

 そう強がりながらグシグシと目を擦る紅夜の姿に、思わず笑いを溢す綾や幼馴染み達。

 

「まあ何はともあれ、こうして皆揃ったんだから楽しい1年にしていきましょう」

「だな。紅夜も日本(こっち)で高校最後の1年過ごすのは不本意かもしれねぇけど、何かあったら何時でも相談乗っから、あんま難しい事は考えねぇで過ごしてくれよな!」

「ああ」

 

 蓮華や大河の言葉に紅夜が頷くと、瑠璃が徐にコップを掲げる。

 

「さて、それじゃあ改めて乾杯しましょうか。綾の入学と、私達グループがまた、こうして同じ学校に通える事を祝って!」

「「「「「「おう!」」」」」」

 

 すると、他の6人もコップを掲げる。

 普段のようにジュースは入っておらず、そもそも空になっているものもあるが、そんな事はこの際どうだって良かった。

 

「「「「「「「乾杯!」」」」」」」

 

 誰が言い出す訳でもなく、互いに掲げたコップを打ち付ける7人。

 

 それから予鈴が鳴るまでの間、カフェレインボーの一角では7人の男女の楽しそうな笑い声が響いていた。




 次回、漸く原作キャラを本格的に登場させます。

 一応1話でもそれらしいキャラを出していましたが、此方は容姿だけだったし、プロローグだと容姿すら書いてませんでしたからね。

 さて、誰が出るのやら……?
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