ラブライブ!~アウトローと、虹とトキメキの女神達~   作:弐式水戦

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 一先ずGW編はこれで終わりかな


第8話~アウトローと幼馴染み達の一幕~

 愛や璃奈との邂逅から1日空け、ゴールデンウイーク3日目。紅夜と綾はある所を目指して歩いていた。

 

「んぅ~!久々に皆で集まるわね!」

 

 紅夜に抱き着いた綾が、器用に体を伸ばしながら言った。

 実は昨日、久々に幼馴染みグループ全員で集まろうと瑠璃から連絡が入り、今はその集合場所に向かっている最中なのだ。

 

「おいおい。久々って言うが、学校じゃ昼休みに何度も集まってるだろ?都合が合えば登下校だってしてるんだし」

「それはそうだけど、あくまでも学校がある日の事でしょ?此方はプライベートなんだから別物なのよ!」

 

 そんなやり取りを交わしながら歩みを進めること15分、2人は目的の場所に到着した。

 彼等がやって来たのは、待ち合わせ場所としてはお馴染みの公園でもなければ喫茶店やコンビニでもない、ましてや、彼等のグループの誰かの家でもない。

 

「……今更だし長年此処で遊んでてこんな事言うのも変な話だけど、解体場で集まるって中々変わってるわよね、私達」

「ああ。本っ当に今更だが同意するよ」

 

 そう。彼等がやって来たのは車の解体場。中を覗けば、山積みにされた車のボディや大きなパーツ。正に『車の墓場』と呼ぶに相応しい光景だった。

 

「あっ、紅夜君!それに綾ちゃんも!」

 

 中に進んでいくと、上から声が掛けられる。見上げると、そこには雅が座っていた。

 彼女は軽い身のこなしで2人の前に降り立ち、無邪気な笑みを向けた。

 

「ヤッホー、2人共!ゴールデンウィーク満喫しちゃってる~?」

「ええ!」

「お陰様でな……お前も元気そうじゃねぇか」

「そりゃそうだよ!だって5連休だよ?5連休!楽しまなきゃ損でしょ!」

 

 やはり誰でも連休は嬉しいもので、雅も楽しそうだ。

 

「雅、お仕事の方はどうなの?」

「明日撮影だよ。あまり気乗りはしないけど、仕事だからね」

「まぁまぁ、出たらちゃんと買うわよ」

「ホント?約束だよ!」

 

 そう言って、雅は2人に向けてウインクした。

 このやり取りから分かるように、雅は学生でありながらモデルとして活躍していた。

 というのも、未だ彼女等が中学生の頃、紅夜との和解記念にメンバー全員で遊んでいたところに芸能事務所の人間から声を掛けられたのだ。

 当初はお洒落への興味はあってもモデルになろうとは思っていなかったために拒否したのだが、色々あって受ける事になったのだ。

 因みに、その時にスカウトマンが紅夜に対して失礼な態度を取った事で、警察や事務所の社長が出てくる程の喧嘩騒ぎが起きたのは余談である。

 

「ええ、勿論よ。ねっ、兄様?」

「いや、俺男だし、そもそもお洒落とか興味無いんだけど……」

 

 そんなやり取りを交わしている内に瑠璃や他の面子も集まり、何時もの集会が始まる。

 と言っても、各自で持ってきたゲームで対戦したり世間話をするだけなのだが。

 

 

「……そういや紅夜、あの事言わなくて良いのか?」

 

 不意に大河が紅夜に話題を振ると、他の連中も何事かと視線を向ける。

 

「あの事って?」

「ホラ、優木せつ菜に会った上に勧誘されたって話だよ」

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 すると、メンバーの中にどよめきが広がる。

 基本的にスクールアイドルには大して興味が無い彼女等でも優木せつ菜の噂については知っているようで、紅夜が彼女に会ったというのはかなり大きなニュースのようだ。

 

「ちょっと紅夜、それ本当なの?」

 

 先に口を開いたのは瑠璃だった。

 

「まあな。ちょっと前に音楽室で遊んでたらいきなり乗り込んできて、そのままスクールアイドル同好会の部室まで連れてかれたんだよ」

「ついでに言うと、ソイツ前にお前と曲の打ち合わせしてるの聞いてたみたいだぜ?他のメンバーも引き連れてさ」

 

 大河が補足する。

 

「そう……」

「瑠璃、気づかなかったの?」

 

 そう問い掛けてくる綾に、瑠璃は頷いた。

 そもそも、彼女等は盗み聞きしているのがバレないよう、ドアを開ける時も僅かしか開けなかった上に物音も立てないようにしていたのだ、バトルアニメのキャラクターのように気配で察知する、なんて特殊な能力がある訳でもではないのだから、これで気づけというのが無理と言うものだろう。

 

「いやぁ~。それにしても、まさかこの学校の都市伝説扱いされてる優木せつ菜ちゃんが会いに来るなんて……流石は紅夜君だね!」

「いや、流石って……」

 

 紅夜が溜め息混じりにツッコミを入れた。

 

「だって、学校中どころか外にもファンが居るせつ菜ちゃんが自分から会いに来たんでしょ?それって凄い事じゃん!」

「……まぁ、そうなのかもしれんが」

 

 紅夜はいまいち乗り気ではなかった。

 どんなに有名人だとしても、興味が無かったら向こうから会いに来られたところで大して嬉しいとも思わない。

 どうせ有名人が会いに来るのなら、有名な走り屋やレース業界の人間に来てほしかったと内心呟く。

 

 それから彼は、スクールアイドル同好会に連れていかれてからの事を話した。勿論、その後の彼女等からの勧誘を断った事も。

 

「そう……」

 

 その事を聞いた瑠璃は、短く言った。

 他の面子も紅夜の事情を知っているため、あまり多くは語らない。ましてや、『勿体無い』だの『何故断ったんだ』なんて言葉は論外だ。

 

「まあ、あれよ。別に勧誘断ったところで潰れてしまうような連中じゃないだろうし、変に気に病む必要は無いわよ」

 

 蓮華はそう言って、軽く紅夜の肩を叩いた。

 

 そのやり取りで僅かに空気が淀み始める一行だが、そこでこの空気を変えるべく、達哉が口を開いた。

 

「それもそうだけどさ、これ見ろよ」

 

 そう言ってリュックから取り出したパソコンの電源を入れ、手早く操作していく達哉。

 そして最終的に彼が開いたのは、動画サイトWeTubeだった。

 

「……?WeTubeがどうかしたのか?」

 

 意図が分からず首を傾げる紅夜に、達哉は画面を見るよう促す。

 瑠璃達は勿論、綾までもが、事情を知っているのか同じように視線で促してくる。

 

「…………」

 

 言われるがままにパソコンを自らの正面に向けると、紅夜は漸く理解した。

 

「コレって、もしかして………!」

「そう、俺等のチャンネルさ!」

 

 立ち上がった達哉が誇らしげに両腕を広げて言った。

 

「へぇ~、お前等WeTube始めるのか」

「ええ、ちょっと興味が湧いてね。初めて貴方のバンド演奏の映像を見た時にやってみようと思って、始める事にしたのよ」

 

 そう答える瑠璃の隣では、達哉が当時の事を思い出したのか、少し疲れたように首を左右に倒しながら言った。

 

「それまで大変だったんだぜ?何せ俺や達哉はパフォーマンスの撮影に加えて、マシンのレストアもあったからな」

 

 口ではそう言うも、表情は楽しそうな達哉。

 

「まっ、それでも楽しかったし、ただ何となく過ごすよりはよっぽど充実してたぜ!」

「ええ。紅夜が里帰りしてくるまでの、良い暇潰しにもなったしね」

 

 大河や蓮華も言葉を続けた。

 

 そんなの彼等のやり取りを聞きながら、チャンネルを見る紅夜。

 幾つも動画を撮っていたと言っていた割には、未だ動画は1つも投稿されていない。

 

「ん?このチャンネル、未だ1個も動画出してねぇんだな」

「まぁな。動画自体は撮り貯めてるし編集も終わってるけど、仲間内だけに留めてたんだよ」

「チャンネル作ったのも、つい最近だしね~」

 

 達哉と雅が答えるが、そこで紅夜にはちょっとした疑問が湧いた。

 

「じゃあ、最初の動画は何にするんだ?今までの動画から選ぶのか?」

 

 すると、他の面々の表情が変わった。その顔は、あたかも『よくぞ聞いてくれた』とでも語っているかのようなものだった。

 

「……?」

「実は、その件でちょっと相談があってな……」

 

 何事かと首を傾げる紅夜に、達哉はある話を持ち掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~っと」

 

 あの後、集会を終えて帰宅した紅夜は自室のベッドに身を投げ出し、天井を見上げた。

 

「いやはや、まさかあんな事になるとはな……」

 

 そう呟く紅夜が思い浮かべたのは、先程の集会で達哉から持ち掛けられた、ある話だ。

 

「彼奴等も考えたモンだ。お台場でライブをやって、その動画を第1号として投稿するなんてな……てか、先ずはよく許可が降りたモンだとでも言うべきか?」

 

 そう。達哉から持ち掛けられたのは、今月の下旬にお台場のダイバーシティでお披露目ライブをするというのだ。

 本来なら、彼等のようについ最近始めたばかりで何の実績も無い駆け出しWeTuberグループの申請など歯牙にも掛けないだろうが、彼等で交渉しにいったところあっさり許可が下りたそうだ。

 

「向こうがこういうのに寛容なのか、それとも瑠璃や雅達みたいなのが居るからか……分からんな」

 

 有名な売れっ子モデルである雅と、これまでは語らなかったが国内でも有名な名家である北条家や不知火家の娘である瑠璃と蓮華。

 彼女等を交渉人として出せば、大抵の人間は頷くしかない。

 果たして今回はどちらなのだろうかと、紅夜は苦笑を浮かべた。

 

 だが、そんな事よりも驚いた事が1つある。

 それは、お披露目ライブの曲に紅夜が作曲したものを使わせてほしいと言われた事だ。

 

 彼等もまた、バンド演奏やダンスをやっていくにあたってそれなりに作曲の心得がある。

 だが、どうせなら紅夜が作った曲でやりたいというのが彼等の意見だった。

 更に言えば、先日瑠璃と打ち合わせをした時の曲も、そのお披露目ライブのための曲だったらしい。

 てっきり仲間内で演奏するための曲だと思っていたために切り出された時にはかなり驚いたが、同時に嬉しくもあった。

 たとえ別々のチームとして活動していても、同じ舞台に立てなくても、こうして繋がっていられるのだ。

 

 

「(お披露目ライブ、上手くいくと良いな……)」

 

 そう呟いた紅夜は静かに目を閉じ、暫しの眠りにつくのだった。

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