現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢が牧場を救うのはちょっと大変 作:れべっか
魔鏡を封じることになった*1鬼怒川温泉だが、これは新田銀行が抱えていた旅館・ホテル・ゴルフ場など不良債権の山を桂華鬼怒川リゾート*2という形で一本化したものである。
特区法を利用して再開発に関する権利関係も一本化して桂華グループ主導で再開発*3ということになったのだが、これに喰いついてきたところがある。
なお話が逸れるが、一時は鬼怒川にある赤字ゴルフ場を潰して競走馬用牧場に転換することも考えた。(申し訳程度だが競馬に触れておくという作者の拘り)
話を戻して。寂れた温泉観光地の再開発という動きに喰いついてきたのは、長野県千曲市の戸倉上山田温泉である。
大分空港連絡鉄道を造って由布院・黒川・別府温泉に資本投下*4しており、今度は鬼怒川温泉となれば、全国の温泉観光地が桂華グループの支援を望むのはある意味で当然のこと。
この戸倉上山田温泉は、元々は戸倉町の戸倉温泉と上山田町の上山田温泉がセットでそう呼ばれていたが、平成の大合併により戸倉町と上山田町が2003年に合併し千曲市となり行政的に統一されたこと、桂華グループが経営支援している信州鉄道*5の沿線に存在すること、この2点が揃ったことで桂華グループに陳情してきた。
「まあ、陳情理由はそれだけじゃないんだけど。まさか鬼怒川温泉のコンパニオンに神奈水樹を登録した*6のが決め手ってのは……」
戸倉上山田温泉は最盛期には年間130万人以上が訪れたが、その名目は”善光寺の精進落としの場”であり、正確には観光地ではない。
正確には、戸倉上山田温泉は長野県最大の色街である。最盛期には300人以上の芸妓が存在し、長野県の会社は年一回の社員旅行で一泊二日の戸倉上山田温泉というのが定番であった。
もともと神奈一門は政財界要人の妾*7となることも多く、男の下半身を扱う業界と繋がりのある人物は神奈水樹以外にもいるのだろう、多分。よう知らんけど。
この戸倉上山田温泉に陰りが生じたの原因の一つに、1997年の長野新幹線の開通と並行在来線の廃止(第三セクター化)がある。
戸倉上山田温泉の最寄り駅は戸倉駅で、新幹線の停車駅である長野駅・上田駅から第三セクターの信州鉄道に乗り換えて30分ほどかかる。新幹線開通前は特急あさまが停車したのに対し、信越本線の軽井沢・横川間が鉄道廃止になり関東から電車直通でなくなったのだ。
「鬼怒川は帝東鉄道*8が直通、別府は直通鉄道を建設。碓氷峠の廃線区間を趣味で維持*9したのが期待持たせちゃったのかな? さすがに関東との直通電車の運行は無理」
三木原社長が碓氷峠の線路維持は大変*10だと言ってたが、改めて調べると本当に大変なのだ。
軽井沢と横川の距離約11kmで標高差が500m以上、最大66.7‰の急勾配。観光列車を走らせたいという我が儘で線路だけは維持しているが、レールが自重でずれるので小まめな点検保守が必要になる。正直言えばレールを撤去して道路にし観光バスを走らせるほうが設備維持費が圧倒的に安い。
ついでに言うと、該当区間を走らせる車両は連結器や車体の歪み防止といった特殊対策が必要になるし、電車単体の動力だけでは足りず補助機関車を連結しないと急勾配を登り切れない。さらに横川駅にあった補助機関車用の横川運転区は線路と同時に廃止された。
東日本帝国鉄道が碓氷峠の列車運行から手を引いて数年、もはや定期運行復活は施設的に不可能。観光列車を一本走らせるだけでいったいどれだけの赤字を垂れ流すことになるのか。
長野新幹線が横川を通過しないルートでトンネルを掘ったのも、勾配を緩くするためである。
「戸倉上山田温泉の復興は、ぶっちゃけ鬼怒川や夕張市*11のように樺太移民受け入れが主軸になるのよね…… 白人ロシア娘を抱けるって評判の街? いや、それは駄目でしょ……」
さすがに性風俗を前面に押し出すのは無理がある。
ならば、長野市や上田市など近隣の観光地をプッシュして、お泊りは戸倉上山田温泉という選択肢もありますよ、という形にするのがせいぜいか。
幸い、善光寺のある長野市と、戦国武将真田氏と上田城のある上田市は、どちらも新幹線停車駅であり信州鉄道で30分の距離である。
「北海道キャンペーンをやっているのに信州鉄道キャンペーン同時は無理か。上田市には帝西百貨店がある*12から、イベント出張するくらいはできるけど」
この手のプランニングはできる人間に丸投げするのが吉。
とりあえず一条絵梨花あたりに話を振っておこうかしら。
修正履歴:誤字訂正 誤:善行寺 正:善光寺