現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢が牧場を救うのはちょっと大変   作:れべっか

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牧場と無関係で話が終わります。


第26話 企業城下町

2004/10/23に新潟県中越地震が発生。

桂華グループとしては、桂華電機連合(旧・四洋電機)の半導体製造工場が被災してしかも地震保険に入っていなかったとか*1で目も当てられない状態だったりするのだが、この話はそれより少し後の時間軸である。

なお、この話の執筆時点では本家のストーリーは2004夏*2であり、新潟県中越地震の発生前であることにご注意。

 

長野県須坂市。長野県の北部にある桂華電機連合(旧・古川通信)の企業城下町である。

元々は昭和17年に古川通信の工場が戦時疎開して、戦後も工場が残ったことで企業城下町として発展した。高度成長期には市の労働人口の約半数が何らかの形で古川通信に関わっていたと言われたほどである。古川通信は長野市にも工場を持っており、長野県北部に強い影響力を持っていた。

しかし1980年代後半以降、円高の影響などにより国内工場は人件費の安い海外(東南アジア)へ移転し、製造業の産業空洞化と呼ばれる現象が目立ち始めた。古川通信も長野県の工場再編を計画しており、2002年夏に大規模リストラが行われる…… はずだった。

2002年春、古川通信・四洋電機・ポータコンの合併による桂華電機連合の誕生*3という巨大プロジェクトが発生したことで、長野県北部に吹き荒れるはずだった大規模リストラは計画中断された。

とはいえ、桂華電機連合も合併後に再編するのは当然のことであり、中断された大規模リストラ計画が形を変えて再開されることは目に見えていた。

そのリストラ計画が世間に出てくる切っ掛けの一つが中越地震というわけだ。長野県北部では新潟県ほどではないが被害があり、老朽化した工場や社員寮などの施設を補修するより潰して新しく建てた方が安い、という名目で再編を進めるのだ。

 

このニュースに泡食ったのが長野県須坂市長であろう。市の税収・地元の雇用を考えれば当然である。とはいえたかが一市長が遺憾の意を示したところで、巨大企業である桂華電機連合に対しては蟷螂の斧でしかない。

 

「ここまでが前振りなんだ」

 

たまの休みに本家へ寄って、可愛い甥っ子の様子でも見てやろうと思ったら。

仲麻呂お兄様が愉快な話をしてくださると言うが、生臭い話になりそうである。

 

「桂華グループは『第二の故郷』北海道*4に代理人として泉川太一郎参院議員を送り込んでいる。ならば桂華グループから代理人を受け入れれば長野県が『第三の故郷』になる、そう考えた人がいてね」

「長野県には前から第三セクター鉄道支援*5とか資本投下していましたけど。その理屈だと、私の故郷は酒田と北海道だけでなく大分(由布院・黒川)やら栃木(鬼怒川)やら、際限なく増えそうですね。だいたい代理人なんて、どこから連れてくるんですか。桂華電機連合の経営陣から須坂市長へ天下りとでも?」

桂華院(うち)の一門衆から出すのだそうだ」

「はぁ?」

「北山流だか岩崎流だか*6忘れたが、目先のことしか見えない阿呆が私に売り込みに来てね」

 

仲麻呂お兄様の表情を見れば、さぞかし『愉快』な話だったのであろう。

カッコ付きの愉快って、まったく意味が違うじゃないですか!

 

 

ちなみに、桂華電機連合の企業城下町は他にも大阪府大東市(旧・四洋電機)や福島県会津若松市(旧・古川通信)がある。須坂市の状況次第ではそちらに波及する可能性があると聞かされ、げんなりしたのは仕方ないこと。

*1
「第1回目のプロポーズ」

*2
本話執筆より後に公開された「野党ですが内閣支持率下がったから勝ったと思うじゃん?」が2004/7衆院選を扱った内容

*3
「桂華電機連合設立会議議事録」

*4
「帝都学習館学園七不思議 序」

*5
「お嬢様の無駄遣い その2」

*6
「デザイナーメモ 桂華院公爵家 一門衆」




修正履歴:企業城下町が他にもあることを追記。
修正履歴:桂華電機から桂華電機連合に社名を修正
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