現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢が牧場を救うのはちょっと大変 作:れべっか
樺太競馬の問題点として、北海道・本州から馬をどのように輸送するかというものが挙げられる。
馬の輸送手段は自動車・飛行機・船・鉄道貨物があるが、鉄道貨物は昭和30年代後半までで姿を消した。ちなみに鉄道貨物だと北海道から中山競馬場まで4~7日くらいかかったらしい。今は茨城県の美浦トレセンから札幌競馬場まで馬運車主体で22時間ほどだそうだ。(滋賀県の栗東トレセンから札幌競馬場までだと36時間らしい)
残る手段のうち、船も基本的に好まれない。馬も船酔いするのか、馬運車と比べると同時間の輸送でも発熱や体調を崩す率が高いと言われ、津軽海峡の青函フェリー(片道4時間)以外は陸路というのが日本競馬界の常識である。(ただし競走馬より気を使わなくてよい繁殖馬などであれば八戸-苫小牧フェリー(片道7~8時間)などもある)
飛行機については1992年にJRAが空輸テストを行ったが、輸送コストの都合で基本的に海外遠征に使うものという認識だ。
しかし樺太競馬が交流重賞レースを開催し、中央競馬・他の地方競馬から競走馬を呼び込むとなると、輸送手段の第一に挙げられるのは空輸である。
成田空港から樺太・豊原(ユジノサハリンスク)空港までフライト時間は2時間10分ほど、美浦トレセンから成田空港経由で樺太競馬場まで5時間ほどと予想されている。
これが陸路メインだと、上にあげた美浦トレセン-札幌競馬場(22時間)に加えて札幌-稚内(陸路5時間)、稚内-大泊(フェリー6時間)、大泊-樺太競馬場(陸路1時間)の合計34時間となる。また20時間以上輸送すると競走馬は輸送熱の発症率が大幅に上昇することが知られており、途中で半日ほどの休憩を挟むのであれば片道二泊三日は確実になる。競走馬に帯同するスタッフの人件費なども込みで考えると、空路の方が輸送コストが安くなる。
馬輸送のための地図
「舞鶴や敦賀、あるいは大洗から大泊への直通フェリーじゃ駄目なの? 快速フェリー*1なら24時間前後のはずだし、北海道フェリーを買収して樺太航路は
私が疑問に思ったことは専門的でありすぐに答えが得られるものではなかったので、いったんメイド兼秘書である一条絵梨花に預けて、後日になって回答が返ってきた。
競走馬を馬運車に入れてその馬運車をカーフェリーで運搬するという方法は、少なくとも日本では短距離輸送に限られる。
理由は馬運車内の換気を行わないと馬が体調不良を起こすから。馬運車にはエアコンが装備されているが、フェリー内だと自動車のエンジンは原則停止であり、換気が停止してしまう。冷凍車などはエンジンを止めても外部から電気を供給してもらう仕組みがあるが、この外部供給システムはフェリー・自動車双方に仕組みが必要なことから、短距離輸送であれば車のエンジンを動かし続けるのが目こぼしされている現状がある。
流石に24時間もアイドリングしたままというのはよろしくない。また陸路であれば輸送中に馬の具合が悪くなったときに車を止めて近くの獣医を探すことができるが、長距離海路はそれができない。獣医を帯同させて輸送コストを上げるか、獣医なしでリスクを取るかの二択となる。
「現行の馬運車に外部電源供給装置を後付け改装するとして、改装費の元が取れるだけの輸送需要があるのか…… いや、ない」
中央競馬の札幌函館開催ですら舞鶴-函館直行21時間のフェリーが使われていない現状で、中央地方交流レースしか参加枠のない樺太競馬のために長距離フェリー輸送が使われるとは思えない。
樺太航路に30ノット快速船を投入するなら、稚内-大泊*3あるいは小樽-大泊*4のドル箱航路にする方が、まだ馬輸送の需要にマッチするか*5。
参考資料:
【対談】競走馬の国内空輸は実現するか
https://news.sp.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=50555&rf=column_view_prev
競走馬の長距離輸送について
https://blog.jra.jp/shiryoushitsu/2021/11/post-98a4.html