現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢が牧場を救うのはちょっと大変   作:れべっか

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ご本家の「お嬢様と兵器見本市 その2」を勝手に補足。


第32話 兵器見本市と馬

兵器見本市で馬を見かけた*1のだが、最初に競馬の馬と見間違えた馬以外にも、一目で見違えることもない大型馬と小型馬も近くのブースで展示されていた。流石は展示市、何でもあると感心してしまう。

 

「先ほどの軍馬はアングロアラブ種、アラブ種とサラブレッド種の混血です。サラブレッドはレースに勝つことを重視しすぎて気性難や虚弱体質といった弱点も顕在化してきたので、頑丈さや温厚な気性をアラブで補います。アングロアラブはタフでサラブレッドより出走間隔が短くて済むので、頭数が少なくても継続開催しやすいという理由で戦後すぐの競馬では重宝されました」

「重宝されました、って過去形なのね」

「昭和30年代まではアラブ系も人気があったのですがね。サラブレッドにスピードで劣るので格下と見られること、サラブレッドの管理ノウハウが広まったことなどの理由で、昭和後期にはアングロアラブの生産数もレース数も右肩下がり。中央競馬は1995年を最後にアラブ系のレースは消滅しました。地方競馬では、南関東なんかは早めに中央を追従しましたが、広島県・福山競馬はまだアラブ専門*2ですし、山形県・上山競馬*3や石川県・金沢競馬*4などはまだアラブ系レースが残っています」

 

おや、山形・上山競馬も僅かなりとも関連する話でしたか。

山形で馬を生産している牧場が儲かる話なら、まあ悪くはない。兵器市ゆえに気分が良い話と言い切れないのがあれだけど。

 

「こっちの大型馬は…… 迫力あるわね」

「ばんえい競馬で使われる日本輓系種(にほんばんけいしゅ)は体重1トンを超える大型馬も珍しくありません。サラブレッドの体重が500kg前後なので約2倍ですね」

 

明治期にペルシュロン種、ブルトン種、ベルジャン種という大型馬が海外から輸入され、日本で混血を繰り返しながら北海道開拓のため農耕や荷物運搬などに使われた馬だが、今ではばんえい競馬用に牽引力や登坂力を追及した日本独自の種となっている。

 

「それに対してこっちは…… サラブレッドと比べてちっちゃい」

「日本在来種の木曽馬や道産子は体重が350~400kgとポニーに分類されます*5。小柄ですが50貫(187kg)ほどの荷駄が可能で山間地でも使いやすい、頑丈で粗食に耐え温厚な性格、男と比べ力の弱い女でも飼育しやすいという評価です」

「あれ、日清日露戦争後は日本政府が軍馬生産を奨励したが、日本在来種は体格に劣り軍馬には不向きであるとされて西洋種との混血が推奨されたと聞いたけど」

「軍馬目的には不向きでも、戦に出さず家畜として扱うことがありますから」

 

岡崎が視線を山羊に向けたのを見て、納得。

*1
お嬢様と兵器見本市 その2

*2
史実ではアラブ限定を維持できなくなったのは2005年12月

*3
史実では廃止された2002年にはアラブ系レースが残っていた

*4
史実ではアラブ系レース廃止は2005年

*5
ポニーの区分は体高147cm以下。木曽馬や道産子は体高135cmほど




修正履歴:タイトルに「第」がかけていたので修正
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