「にゃ〜にゃ〜」
「雪ノ下、猫を少し休ませてやれ」
「ヒッキー!このケーキ超美味しいよ!
」
「少しボリューム下げような、由比ヶ浜」
本日は土曜日、奉仕部はお仕事中。決して猫カフェを堪能している訳ではない。
店員さんにフリーペーパーへの掲載交渉や取材、猫の種類や名前のメモをしているのが俺だけなんですけどね。
………。
「紅茶の味はまずまずね」
「ケーキは◎だったよ」
やっと二人も仕事してくれたよ。
「吉祥寺にはカピバラも居る猫カフェがあるみたいだな」
うむカピバラ。うらやましい。エサを食べて温泉に入って寝る。最高じゃん。
「えっ!カピバラ!行ってみたい!」
「私は猫だけでいいわ」
「えぇ〜、ゆきのん一緒に行こうよ〜」
「仕方ないわね…」
相変わらず、仲の良いことで。
ん?スマホに通信が…。雪ノ下と由比ヶ浜の携帯もほほ同時に鳴った。
また出動ですか。
「ごめんなさい、家から呼び出しが来てしまったわ」
「あぁ、私もママに買い物頼まれちゃった」
なるほどね。薄々はそうじゃないかと思っていたけど、ほぼ確定だな。ま、言わないですけどね。
「んじゃ、解散でいいな?」
「ええ。ではお疲れさま」
「バイバ〜イ」
三人バラバラに帰路につく。出動場所はここからは遠くない。徒歩で十分だ。
「あ、せんぱ〜い」
「げっ!一色」
「『げっ!』とはなんですか!」
やべ、声に出てた。
「おう、じゃあな、俺は行くとこあるこら」
「えっ!ちょっと、待ってください。先輩が休日に忙しいわけがないですよね?」
くっ、何故食い下がる。
「ほら、あれだ、猫カフェいかないと」
「結衣先輩から、もっと早い時間の集合って聞いてますよ?」
「あっ!小町に買い物頼まれてるんだよ」
「嘘つかないでください」
うぐっ!
「副会長と書紀ちゃんは二人で取材に行ってるし、会計君はパッとしないから一緒に行動したくないし」
稲村、ご愁傷さま。
「その論法だと、俺も眼中ないよね?」
「先輩はいいんです。つかえ…役に立つので」
「言い直したようで、直せてないからね」
「かわいい後輩とデート出来るんですよ」
「カワイイネー」
「適当過ぎます!」
コイツに関わる時間はないんだがな。ここは逃げしかない。
「兎に角、俺は忙しい!じゃあな」
ダッシュで逃走。
「先輩、待ってくまさい!」
「ついてくるなよ!」
「嫌です!断ります!」
「さらに、それを断わる!」
位相空間の堺が見えた。角を曲がったら変身して、位相空間に飛び込めば逃げられる。
…よし!入れた。
「遅いぞブラック」
「アンタ遅刻かい?」
レッドとグリーンに怒られてしまった。
「すまんな」
「私達も遅れたから、あまり言えないけど、もっと早く来なさい」
「そうだよ」
「ちょっとな…」
一色のヤツ、まだウロウロしてる。
「あれ?ブルーは?」
「今日は来れないそうよ」
残念。
「よし、早く片付けよう」
「天がよ…「派手に行くぜ!!」…我に言わせてよ」
「悪い、レッド」
いつものように戦闘です。飛び道具のブルーが居ないのは痛いがなんとなるだろ。
「ちくしょー!今回は我が言いたかったぁ!」
がんばれレッド。その怒りを敵にぶつけてくれ。
「え〜い!」
あれ?ピンクの武器がクナイになってる。
「ピンク、ハンマーどうした?」
「なんかレッドがこの武器の方がしっくりくるって」
アイツ…、やってくれるな。
「お尻を叩きます!お姉さんは怒りました!」
何を言ってんだピンクは…。
そしてこっちは…。
「しつこいよ、ホワイト」
「貴女こそしつこいわよ、エビ女
」
相変わらずですな、あの二人も。
「グリーン!この前は地盤沈下で有耶無耶になったけど、今日こそ決着をつけるし!!」
「なに言ってるのさ、ドリル女。ブラックにお姫様抱っこされて、照れてたくせに!」
「て、照れてないし!」
何を言ってるんだ、アイツら。
「アンタこそ、あーしがお姫様抱っこされて、ヤキモチ妬いてるんじゃないの?」
「なっ!そんなこと…」
「スキあり!」
「卑怯だぞ!」
「関係ないし!アンタに勝って、もう一回、お姫様抱っこしてもらうし!」
「いや、次は私だ!」
もしもし?どういう争いなんですかね?
…よし!聞かなかったことにしよう!
ブラックキコエナカッタ。
「べ〜、べ〜」
アイツ、位相空間の外に出ようとしてる。出れないよな?
「きゃー!!なんなの!!」
あの、べ〜怪人(推定・戸部)、位相空間から出やがった。って、一色まだ居たのか!流石にマズイな。襲いかかろうとしてる。間に合うか。いや、間に合わせる!!
「くっ!」
一色と怪人の間に入ったら、モロにくらった。流石に痛ぇ。
「おい、大丈夫か?」
一色の方を見ると。
「あ…、あり…が…と…」
気を失ったか。
「お前は、中に戻りやがれ!」
「べ〜」
鎌振り回したら戻ったな。
ん、視線。物陰から、こっちを見てる。何者だ?…姿を消した。とりあえず、一色をベンチに寝かせて。
黙っていれば、可愛い後輩なんだけどな。
「ううん」
いかん、無意識にお兄ちゃんスキル『撫で撫で』が発動してしまった。
黒服さんが来たな。あとは任せよう。
………。
なんで、女性陣がこっち見てるんですかね?
「あ〜んブラック様、私にも」
「あ、あーしも…」
「アイツの『お兄ちゃんスキル』みたい…」
「いいなぁ」
「調き…教育が必要ね…」
………。
「べ〜、お、覚えてろ!!」
なんとか今日の戦闘も終了。
「お疲れさま、今日は解散よ」
一色のヤツ、まだ寝てやがる。
「俺はアイツが起きるまで居るよ」
「ま、まさかいかがわしいことを…」
「公衆の面前でするかよ。俺が連れてきちまったからな」
「そう、では任せたわ。くれぐれも変なことしないように」
「しねぇよ」
変身を解き一色が寝ているベンチに座る。早く起きてくれないかね。
「…あれ?先輩?」
「よぉ、起きたか?こんな所で寝てると危ねぇぞ」
「あっ!怪人!それに黒い人は?」
「なんだそりゃ?夢でも見てたのか?俺が用事済ませて来たら、一人で寝てたんだぞ。仕事熱心なのもいいが気をつけろよ」
「か、髪がぐしゃぐしゃになっちゃうから撫でないでください」
しまった。またやってしまった。
「あれ?この撫で方…」
「ん?どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません。先輩、駅まで送ってください」
「面倒くさい」
「えぇ、いいじゃないですか」
「へいへい」
まぁ、怖い思いさせちまったんだから、いいかな。