比企谷君、ヒーローになる   作:おたふみ

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十話

「にゃ〜にゃ〜」

 

「雪ノ下、猫を少し休ませてやれ」

 

「ヒッキー!このケーキ超美味しいよ!

 

「少しボリューム下げような、由比ヶ浜」

 

本日は土曜日、奉仕部はお仕事中。決して猫カフェを堪能している訳ではない。

 

店員さんにフリーペーパーへの掲載交渉や取材、猫の種類や名前のメモをしているのが俺だけなんですけどね。

 

………。

 

「紅茶の味はまずまずね」

 

「ケーキは◎だったよ」

 

やっと二人も仕事してくれたよ。

 

「吉祥寺にはカピバラも居る猫カフェがあるみたいだな」

 

うむカピバラ。うらやましい。エサを食べて温泉に入って寝る。最高じゃん。

 

「えっ!カピバラ!行ってみたい!」

 

「私は猫だけでいいわ」

 

「えぇ〜、ゆきのん一緒に行こうよ〜」

 

「仕方ないわね…」

 

相変わらず、仲の良いことで。

 

ん?スマホに通信が…。雪ノ下と由比ヶ浜の携帯もほほ同時に鳴った。

 

また出動ですか。

 

「ごめんなさい、家から呼び出しが来てしまったわ」

 

「あぁ、私もママに買い物頼まれちゃった」

 

なるほどね。薄々はそうじゃないかと思っていたけど、ほぼ確定だな。ま、言わないですけどね。

 

「んじゃ、解散でいいな?」

 

「ええ。ではお疲れさま」

 

「バイバ〜イ」

 

三人バラバラに帰路につく。出動場所はここからは遠くない。徒歩で十分だ。

 

「あ、せんぱ〜い」

 

「げっ!一色」

 

「『げっ!』とはなんですか!」

 

やべ、声に出てた。

 

「おう、じゃあな、俺は行くとこあるこら」

 

「えっ!ちょっと、待ってください。先輩が休日に忙しいわけがないですよね?」

 

くっ、何故食い下がる。

 

「ほら、あれだ、猫カフェいかないと」

 

「結衣先輩から、もっと早い時間の集合って聞いてますよ?」

 

「あっ!小町に買い物頼まれてるんだよ」

 

「嘘つかないでください」

 

うぐっ!

 

「副会長と書紀ちゃんは二人で取材に行ってるし、会計君はパッとしないから一緒に行動したくないし」

 

稲村、ご愁傷さま。

 

「その論法だと、俺も眼中ないよね?」

 

「先輩はいいんです。つかえ…役に立つので」

 

「言い直したようで、直せてないからね」

 

「かわいい後輩とデート出来るんですよ」

 

「カワイイネー」

 

「適当過ぎます!」

 

コイツに関わる時間はないんだがな。ここは逃げしかない。

 

「兎に角、俺は忙しい!じゃあな」

 

ダッシュで逃走。

 

「先輩、待ってくまさい!」

 

「ついてくるなよ!」

 

「嫌です!断ります!」

 

「さらに、それを断わる!」

 

位相空間の堺が見えた。角を曲がったら変身して、位相空間に飛び込めば逃げられる。

 

…よし!入れた。

 

「遅いぞブラック」

 

「アンタ遅刻かい?」

 

レッドとグリーンに怒られてしまった。

 

「すまんな」

 

「私達も遅れたから、あまり言えないけど、もっと早く来なさい」

 

「そうだよ」

 

「ちょっとな…」

 

一色のヤツ、まだウロウロしてる。

 

「あれ?ブルーは?」

 

「今日は来れないそうよ」

 

残念。

 

「よし、早く片付けよう」

 

「天がよ…「派手に行くぜ!!」…我に言わせてよ」

 

「悪い、レッド」

 

いつものように戦闘です。飛び道具のブルーが居ないのは痛いがなんとなるだろ。

 

「ちくしょー!今回は我が言いたかったぁ!」

 

がんばれレッド。その怒りを敵にぶつけてくれ。

 

「え〜い!」

 

あれ?ピンクの武器がクナイになってる。

 

「ピンク、ハンマーどうした?」

 

「なんかレッドがこの武器の方がしっくりくるって」

 

アイツ…、やってくれるな。

 

「お尻を叩きます!お姉さんは怒りました!」

 

何を言ってんだピンクは…。

 

そしてこっちは…。

 

「しつこいよ、ホワイト」

 

「貴女こそしつこいわよ、エビ女

 

相変わらずですな、あの二人も。

 

「グリーン!この前は地盤沈下で有耶無耶になったけど、今日こそ決着をつけるし!!」

 

「なに言ってるのさ、ドリル女。ブラックにお姫様抱っこされて、照れてたくせに!」

 

「て、照れてないし!」

 

何を言ってるんだ、アイツら。

 

「アンタこそ、あーしがお姫様抱っこされて、ヤキモチ妬いてるんじゃないの?」

 

「なっ!そんなこと…」

 

「スキあり!」

 

「卑怯だぞ!」

 

「関係ないし!アンタに勝って、もう一回、お姫様抱っこしてもらうし!」

 

「いや、次は私だ!」

 

もしもし?どういう争いなんですかね?

 

…よし!聞かなかったことにしよう!

ブラックキコエナカッタ。

 

 

「べ〜、べ〜」

 

アイツ、位相空間の外に出ようとしてる。出れないよな?

 

「きゃー!!なんなの!!」

 

あの、べ〜怪人(推定・戸部)、位相空間から出やがった。って、一色まだ居たのか!流石にマズイな。襲いかかろうとしてる。間に合うか。いや、間に合わせる!!

 

「くっ!」

 

一色と怪人の間に入ったら、モロにくらった。流石に痛ぇ。

 

「おい、大丈夫か?」

 

一色の方を見ると。

 

「あ…、あり…が…と…」

 

気を失ったか。

 

「お前は、中に戻りやがれ!」

 

「べ〜」

 

鎌振り回したら戻ったな。

ん、視線。物陰から、こっちを見てる。何者だ?…姿を消した。とりあえず、一色をベンチに寝かせて。

 

黙っていれば、可愛い後輩なんだけどな。

 

「ううん」

 

いかん、無意識にお兄ちゃんスキル『撫で撫で』が発動してしまった。

 

黒服さんが来たな。あとは任せよう。

 

………。

 

なんで、女性陣がこっち見てるんですかね?

 

「あ〜んブラック様、私にも」

「あ、あーしも…」

「アイツの『お兄ちゃんスキル』みたい…」

「いいなぁ」

「調き…教育が必要ね…」

 

………。

 

「べ〜、お、覚えてろ!!」

 

なんとか今日の戦闘も終了。

 

「お疲れさま、今日は解散よ」

 

一色のヤツ、まだ寝てやがる。

 

「俺はアイツが起きるまで居るよ」

 

「ま、まさかいかがわしいことを…」

 

「公衆の面前でするかよ。俺が連れてきちまったからな」

 

「そう、では任せたわ。くれぐれも変なことしないように」

 

「しねぇよ」

 

変身を解き一色が寝ているベンチに座る。早く起きてくれないかね。

 

「…あれ?先輩?」

 

「よぉ、起きたか?こんな所で寝てると危ねぇぞ」

 

「あっ!怪人!それに黒い人は?」

 

「なんだそりゃ?夢でも見てたのか?俺が用事済ませて来たら、一人で寝てたんだぞ。仕事熱心なのもいいが気をつけろよ」

 

「か、髪がぐしゃぐしゃになっちゃうから撫でないでください」

 

しまった。またやってしまった。

 

「あれ?この撫で方…」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「いえ、なんでもありません。先輩、駅まで送ってください」

 

「面倒くさい」

 

「えぇ、いいじゃないですか」

 

「へいへい」

 

まぁ、怖い思いさせちまったんだから、いいかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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