鬼強いリーグスタッフさん   作:スタッフさん


原作:ポケットモンスター
タグ:オリ主
ワイルドエリアって過酷ですよね。で、そんな場所を見張る人員はやっぱり強いですよね?という訳で、表に出る事が殆ど無い鬼強いスタッフさんをぶち込んで見ました

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鬼強いリーグスタッフさん

 ポケモンリーグの運営には、多くの人々が携わっている。

 特に、危険度が高い仕事がワイルドエリアの監視、及び警邏。特に後者は、一定水準の実力がある、とリーグに認められたスタッフのみが行う事が決まっていた。

 

「んじゃ、上がりまーす」

「おう、おつかれー」

「お疲れ様です、先輩!」

 

 制服である帽子をかぶり直して、主に目元の保護のためのスポーツグラスを畳んでシャツの襟元に掛けて、リーグスタッフのシギは詰め所を後にする。

 彼は二日前ぐらいから昼夜問わず、ワイルドエリアどころかガラル地方を東奔西走してやっと事後処理まで終わった所だった。因みに、家には一週間近く帰れていない。

 疲労困憊、とまではいかないが肩を回せば鈍い音がする。

 一応、手持ちのポケモン達には不便を掛けさせないために色々と気を配り、休む様に指示したおかげで元気な点は救いか。寧ろ、彼らに余分な負荷をかける者などトレーナー失格と言っても良いとシギは考えていたりもする。

 

 とにかく、暫くぶりの帰宅だ。洗濯物や食事、何より入浴。詰め所でシャワーを浴びる事は出来るが、シギとしては湯を張った浴槽にじっくりと浸かる方が好きだったりする。

 シュートシティの道をゆったり歩きながら、この後の事を考え――――

 

「シギさーーーんっ!!!」

 

 横合いから響く、元気な声。振り向けば、緑の帽子をかぶった少女が駆けてくるではないか。

 このガラルでも有名人の一人。今をトキメク時の人。

 

「どうも、チャンピオン。どうしたんです、こんな所で」

「いやー、帰り道でシギさんが見えたので、つい……」

「……まあ、あんまり奔放な事はしないようにお願いしますね。オリーヴ女史に怒られても知りませんから」

「だ、大丈夫です!そ、それよりも、シギさん!私の事は、ユウリって名前で呼んでくださいっていつも言ってるじゃないですか!」

「俺は、公私を分けるタイプなんで。今は制服、“公”の時間ですので」

「ぶー……」

 

 頬を膨らませる少女、ユウリ。美少女ともいえる彼女は、このガラルのチャンピオン二年目。

 若干、十三歳にてジムチャレンジを突破、トーナメントを勝ち抜き、更にガラルを席巻した事件解決の立役者。

 チャンピオンとしての実力もあり、秘書としてオリーヴを共として日夜精力的に活動していた。

 

 そんな少女を前にして、しかしシギの態度は模範的。悪く言うなら素っ気無い。

 仕方がない。早く家に帰りたいのだから。誰もがお近づきになりたいと考えるチャンピオンが相手であったとしても、今の彼の天秤はリフレッシュに傾くのだから。

 そして、そんな彼の内心を読み取ったのかユウリの頬はぷっくり膨れる。

 

「むぅ……シギさん、今から帰るんですよね?」

「ええ、まあ」

「じゃあ、明日はお休み?」

「……まあ」

 

 嫌な予感が過る。しかし、シギとしてもここで嘘を吐いた方が面倒な事をよく知っている為、不承不承に頷くしかない。

 案の定、というべきかユウリの目が輝く。

 

「それじゃあ明日、デートしましょう!」

「…………ああ、チャンピオン?ソレは、バトルのお誘いで?」

「どうでしょうかね~♪とにかく、明日ですからね?」

 

 そう言って微笑む彼女に、シギはため息を一つ吐き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女にとって、かの青年は所謂ところの救いの神。若しくは、ヒーローと称しても良いかもしれない。

 ガラル地方には南北に大きくワイルドエリアと呼ばれる範囲が存在する。

 そこは、多種多様なポケモン達が暮らすと同時に、様々な気候や天候、地形や環境が存在しており、過酷に過ぎる場所だった。

 基本的に、立ち入りは禁止。入るためには、一定の実力を示して許可証を得るか、或いはとある期間限定で立ち入る場合。

 この後者が、ガラル地方名物とも言われるイベント、ジムチャレンジ。

 他地方とは違って興行として成り立っており、ポケモンバトルの行われるスタジアムは満員御礼など珍しくない。

 更に、このチャレンジに参加するには、推薦状が必要となりそれが無ければ参加できない。この辺りも、他地方との違いだろう。

 

 推薦状を得るという事は、それだけ光るものを持っているという事に他ならない。

 だがしかし、先述の通りワイルドエリアという場所は過酷だ。如何に才能あふれようとも、自然の暴威によって摘み取られてしまう事も珍しくはなかった。

 

 その摘み取られる一人となりかけたのが、他でもないユウリその人。

 今でこそ、チャンピオンとして相棒含めて強力な手持ちと確かな戦略眼を持ち合わせているものの、だからといって最初から最強ではなかった。

 推薦者からもらった初めてのポケモン、ヒバニーとそれからココガラと共に足を踏み入れたワイルドエリア。

 彼女はそこで、不用心にもキテルグマに近づいてしまった。

 それが、間違い。

 着ぐるみのようなファンシーな見た目に反して、彼らのパワーは容易く人一人を死に至らしめる。特にハグは樹木をへし折るほどであり、人が巻き込まれればまず間違いなく大怪我、最悪命を落とす。

 レベル差も相まってとてもではないが、勝てない。逃げることも出来ない。

 絶体絶命。

 

 しかし、天は彼女を見放さなかった。

 

『――――ハガネール、アイアンテールッ!!』

 

 目の前に迫った巨体が、横合いからの鋼の一撃に大きく吹き飛ばされたのだ。

 その特性上、直接攻撃系の技は効きが悪い場合の多いキテルグマなのだが、しかしそんな事は関係ない。そう言わんばかりの一発。

 そして、彼の背中がユウリの前に差し込まれた。

 

『自分の力量は、しっかり把握すべきだぜ、お嬢ちゃん。相手は確りと、見極めな』

 

 そう言ったリーグスタッフの彼は、手持ちであろうかなり鍛えこまれたハガネールに指示を飛ばし、難なくキテルグマを押し返し、住処へと送り返してしまった。

 只管に、強い。それこそ、駆け出しのユウリの目から見ても圧倒的。まるで、テレビ越しに見たトーナメントへと出場するジムリーダーにも勝るとも劣らない、と思わせる程に。

 一つ補足をするのなら、彼はユウリだから助けた訳ではなかった。彼の仕事は、ワイルドエリアで()()()()怪我人死人を出さないというもの。後は密猟者の対処や、生態系を乱す存在の()()等など。決して、綺麗な仕事ではない。

 

 この時は、偶々彼の巡回に、ユウリがかち合った。それだけ。近くの町にまで送られて連絡先などを交換したりすることも無く分かれた。

 彼にしてみれば、リーグスタッフになってから数ある仕事の内の一つでしかない。

 だが、その一方でユウリにしてみれば忘れる事など早々できない出来事だ。

 

 その背中は、あまりにも鮮烈だった。それこそ、彼女の前任のチャンピオンであったり、後々に知り合う最強のジムリーダーよりも。

 

 これは後に聞いた事だが、彼はリーグスタッフ内に置いて、最強と呼ばれるらしい。一部からは、トーナメント出場を勧められるほどに。

 

 それから、ユウリは我武者羅に突き進んでいった。

 多くのポケモン達のみならず、多くの人と出会い、彼女の世界は大きく広がっていく。

 同時に、その心も育っていく。

 ワイルドエリアに出れば、自然とその背中を探していた。リーグスタッフが多く在中するシュートシティなどには、何度も足を運んだ。

 

 自分の心をよりハッキリと自覚したのは、ダイマックス事変の折。

 ムゲンダイナの一件後に発生したその事件では、地方の各地でポケモン達が突然ダイマックス。

 その元凶は、この地方の貴族の二人だったのだが、その二人と最初に対面して、そしてコテンパンに叩きのめしたのが、リーグスタッフの彼だった。

 もっとも、その日の彼は非番で、偶々その現場に居合わせただけだったのだが。

 

『何が貴族だ、馬鹿共が。テメーらの主張が何であれ、ポケモン巻き込んでんじゃねぇよッ!!!』

 

 激怒する彼と、そんな彼の心に呼応するように激しく怒り暴れる三頭龍、サザンドラ。

 圧倒的だった。貴族二人合わせた八体のポケモンに、プラスしてダイマックスしたポケモン。それら全てをたった三体で完封したのだから。その三体にしたって、余裕を持って交代で出しており、戦闘不能は零だったりする。

 そこまでボコボコにされながらも、諦めなかった貴族たちだが、トラウマとしては十分だったらしい。それこそ、彼の姿が視界を過れば真っ青になるレベルで。

 

 ユウリは、その背中に憧れた。バトルの腕もさることながら、その姿に見蕩れた。

 手持ちのバランスの良さもさることながら、ポケモン達を信じて、逆にポケモン達から信じ切られた信頼関係。

 

 そして、彼女の自覚した気持ちが大きく育ったのは、チャンピオンになって半年ほど経った時の事。

 迫ってくるチャンピオンとしての業務と、心無いアンチからの誹謗中傷。味方が周りに居ても、彼女はまだまだ十三歳の子供だった。

 気付けば逃げ出して、そのままげきりんのみずうみの奥地に逃げ込んで、一人泣いていた。

 

『よお、チャ……いや、お嬢ちゃん。こんな所で、一人キャンプか?』

 

 一頻り、泣いて泣いて、そろそろ涙も枯れそうになった所で彼はやって来た。

 いつものリーグスタッフとしての格好ではなく、ラフな格好。深緑のワークパンツに、黒のウィンドブレーカー、それから灰の登山靴にリュックサックといった格好。

 そんな彼は、泣き腫らしたユウリの顔に片方の眉を上げると無言で近付き、その目元を拭った。

 

『旨いものでも食うか。ま、カレーなんだがな』

 

 深い事は何も聞かない。ただ、美味しいカレーをお腹いっぱい食べて、自然と眠って、起きた時には体の中に渦巻いていたモヤモヤとしたものもだいぶ薄らいでいた事を、彼女は今でも忘れられない。

 

 それから、幾つかの相談、という名の愚痴を吐き出す時間。

 

 そして、懸かる物など何もない、純粋に楽しむためのバトル。

 

 最早、惚れるな、と言う方が無理な話。

 元来、割と一直線なユウリは、バトルの終わりと同時に彼に告白していた。まあ、速攻で振られていたが。

 しかし、彼女は諦めない。現在進行形で、彼が付き合っている女性が居ない事もその後押しとなった。

 

 丸二年経っても、その炎は絶えることは無い。寧ろ、より強く、より激しく、燃えに燃えて燃え続けている。

 ついでに、彼の周りには()()()()が多いというのもまた、その炎を滾らせる要因ともなっていた。

 

 チャンピオン(ユウリ)は諦めない。彼をその手に掴むまで、決して










キャラデータ

 シギ:リーグスタッフ
 年齢は、ダンデたちと同年代で、実はジムチャレンジにも参加していた。しかし、とある理由で、バッジを一つも手に入れる事無く終わった過去がある

 顔立ちは整っているが、流石に顔面600属なんかと比べると霞む。普通に良い人程度。ただし、体はバッキバキに仕上がっていて、捲った袖の下から露になる腕にドキリとする人が居るとか、居ないとか

 性格としては、割と面倒くさがり。ただし、ポケモン達の世話は手持ちでも、手持ちでなくとも、或いは野生であっても誠心誠意取り組む。
 公私を分ける事を心掛けており、リーグスタッフの制服ならば砕けた敬語。私服ならば、タメ口

 バトルスタイルは、力押し。圧倒的なパワーで相手を叩き伏せるバトルを好む。ただ、搦手も可能でフィールドを技で乱して自分の場を作る事にも長ける
 何より、手持ちとトレーナーとして互いの深い信頼関係が武器

手持ち

 サザンドラ
 モノズの頃からの付き合いで、最初の一匹

 ハガネール
 ワイルドエリアの暴れ者として有名だったところを捕獲

 ギャラドス
 初釣りで捕獲したコイキングが進化して手持ち入り

 ユキノオー
 10番道路で出会って捕獲したユキカブリが進化

 ギャロップ(ガラル
 ルミナスメイズの森で出会ったポニータが懐いた結果手持ち入り

 ウルガモス
 鎧の孤島で昼寝をしていたところに、彼の腹に乗ったメラルバがそのまま手持ち入り

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