映司の欲望から産まれたグリード、ゴーダは倒された

だがもしゴーダにこんな救いがあったら?

これはそんなお話

これは前に投稿したゴーダの章の短編版です復活のコアメダルのネタバレを含みます。ご注意ください

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書いていたゴーダの章ですが読み直すとちょっとぐだってしまっていたので最終回部分だけを短編にしました。


復活のコアメダル ゴーダの章

 深い眠りの中に俺はいた。

 

 意識なんてない、暗い微睡みの中。

 

 誰かの声を聞いた気がした。

 

『ごめんね、君に俺の欲望を背負わせちゃって』

 

 その声を俺は知っている気がした、ずっと昔から…

 

『でももう背負わなくていいんだ、火野映司はもういない君はなりたい自分になっていい』

 

 難しいことを、それが出来なくて足掻いて挙げ句この様なのに……。

 

『できるよ君には今の俺と違って明日があるから』

 

 明日?

 

『自分の価値は自分で決められるんだ、君には時間はたっぷりある、君は君の進みたい明日に進めばいい、そうやって歩いて来た道が君を形作る筈だから』

 

 その言葉の意味は俺にはわからなかった、そもそもグリードは不老不死、メダルを砕かれなければ死にはしない。

 明日なんて待っていれば勝手にやってくるものだ……

 俺にはそれは俺を哀れんで言った慰めにしか聞こえなかった……。

 

 でも

 

『じゃあ、俺はそろそろ行かないと

 さよならゴーダ』

 

 その言葉を聞いた時、俺の気持ちほんの少し軽くなった気がした。

 

           ooo

 

 夢から醒めて最初に見上げた天井は知らないものなんかじゃない、よく見慣れた隠れ家の天井だった。

 

「お目覚めかねゴーダ君」

 

 傍らには男が立っていた初老に差し掛かる年齢だろうにその身体からは覇気が満ち満ちてる、寝起きにはきついテンション、鴻上光生がそこには居た。

 

「なんで俺は生きてる?」

 

 礼儀を気にする中じゃない、俺は聞きたいことを単刀直入に聞いた、俺はあの時オーズに止めを刺された筈だ、当然の疑問だった。

 

「君を倒し新しいタジャドルコンボ、

 エタニティは確かに強大な戦闘能力を有しているがあくまで鳥類のメダルを使ったコンボだ恐竜メダルのようにメダルを砕く力はない……

 君は確かに倒されたが、それだけだ!君はメダルに戻っていたので我々で君を回収した」

 

 変なところでテンションを上げるから会話のテンポが掴み難い……、だが言いたいことはわかって、どうやら命拾いしたらしい、嬉しいとは全然思わないが。

 

 なら次だ

 

「この身体は?」

 

 本来俺に実体はない、だが今の俺には身体があった。

 しかもこの身体は映司の身体に近い……鏡を見てないからわからないが顔もそっくりなんだろう。

 

「火野くんの身体のデータを元に作ったかつて鴻上ファウンデーションで研究していた技術を転用したクローンだ、それに君のメダルを移植した。」

 

「アンク達が聞いたら切れそうだな」

 

「できれば内緒にしておいてくれたまえ」

 

 おっさんの困り顔なんて誰が得をするのか……まぁどうでもいいか、まだ大事なことを聞いてない。

 

「何で生かした?」

 

 俺は一度やらかしたグリードだ壊せないなら地下に幽閉するなりすればいい、俺の意識はメダル一枚だ、人間捕まえとくより遥かにお手軽だろう、しかもわざわざ身体まで与えて。

 

 何もないと考える方が不自然だろう。

 

「火野映司くんは死んだがさっきも言ったようにメダルはまだ残っている、ヤミーも健在だ、バースだけでは手が足りない、私達にはまだオーズが必要だ、

 君には新しいオーズになってもらいたい」

 

「成程、体よく使えるオーズならなお良いわけだ、この身体にも細工でもしてるのか?」

 

 そう聞くと鴻上は真剣な顔から相好を崩して。

 

「その身体は今回の君の報酬だ

 受け取ってくれたまえ、その後の経緯はともかく王を倒したのは君だ、君にはそれを受け取る資格がある。

 そして…新しいオーズになる件だが断ってくれても構わない、そして受けてくれるならこちらから望むものを用意しよう!」

 

 至れりつくせりだな………だが望むものか……

 

「報酬は何でもいいか?」

 

「用意できるものなら」

 

「そうか……」

 

 欲しいものは自分。

 それは変わってない……変わってないが

 俺は(ゴーダ)それ以上でもそれ以下でもない。

 

 そう自分を納得させられる自分が俺の中にいた、

 

 考え込む俺に鴻上は楽しそうな表情を浮かべてる。

 

「なんだ?」

 

「失礼、少し君が変わったと思ってね

 君の欲望は自分を望みながら自分を否定していた

 矛盾は君を苦しめていた、欲望による閉塞だよ!

 時に人は自分の欲望で動けなくなることもある。

 自分の欲望に絶望して立ち止まってしまう者もいる、道を誤る者もいる。

 だがそんな自分を前に進めるのもまた欲望だ

 それを人は変化とも言うし、進化ともいう

 素晴らしい!君は新しい自分を手に入れた」

 

「新しい自分ね……」

 

 それはこれから探しに行くのかもな、それを探したいと思うのも欲望か。

 

 俺は考えを纏めて、そしてそれから三本指を立てた。

 

「報酬は俺の望みを三つ叶えること、それを呑むならあんたの言うことを聞いてやっていい」

 

「三つか……随分と欲張って来たね、だがいい、では一つ目から聞こうか?」

 

 俺の一つ目の望みは……

 

「服を寄越せ、まずはそれからだ」

 

           ooo

 

「パンツが備えてある墓なんてお前のもの位だよ」

 

 二つ目の望み、俺はそれを使いとある墓の前に来ていた……まぁこんな墓他にはないそこは火野映司が眠る墓だった。

 

 小高い丘に建てられた墓はとても世界を救った英雄サマのものには見えなかったが、映司らしいと言えばそれまでだろう

 

 備えてあるパンツを見る。

 俺が目覚めるまでかなり経ってる筈なのに汚れ一つない新しいパンツ、多分仲間の誰かが毎日替えているんだろう、このパンツは一日毎に変えなくては意味がないから。

 

 明日のパンツか……

 

 映司が大切にしていたもの、男はいつ死ぬかわからないからパンツだけは一張羅を穿いて置け、だったか。

 

 映司が唯一信頼してた親族の教えらしい。

 

 でも映司に取り付いていた時意味がわからなかった、今もわかってるわけじゃないが。

 

 俺はグリードだ不老不死である俺に明日を大切にする気持ちは理解できない、でも

 

 大事なのは明日って部分。

 

「明日ってのは額面通りの意味じゃないってことだよな」

 

 今日という日を重ねたいつかの明日を迎える為の決意

 それが映司にとってはパンツだったんだろう。

 

 日が沈んで日が昇る

 その繰り返しの限られた時間の中で明日をより良くするために今日を生きる、いつか来る今日より良くなる明日を願って

 

 欲望によって今日を望む明日に進化させる。

 

 その果てにあるのは……

 

「何なんだろうな」

 

 今の俺にはわからない

 だがこれだけはわかる。

 

 映司はいつかの明日の先に辿り着いたんだ、今日を必死に生きて辿りついた幸福な明日に満足してそしてその満たされた報われた思いを抱えて明日に旅立っていく。

 

 それは間違いなく満たされた人生だろう。

 

「もう行くか」

 

 俺にはまだ明日の形は見えていない、どこを目指せば良いのかもわからない。

 

 俺の欲しいもの

 本当の自分を、俺が他でもない自分自身だからなんて言葉で納得できるほどの自身を持ってない。

 

 だから探しに行こうと思う。

 

 三つ目の望み

 日本はバースに任せ俺は世界を周り鴻上の命令を受ける。

 ここは映司の思い出が多すぎるから、だから映司が世界中で見た景色を見に行こうと思う。

 

 風景でしか知らないその場所を見て聴いて感じてもっと多くの人と関われれば俺は答えを見つけられるかもしれないから。

 

 映司とは違う俺だけの明日を探しに。

 

 最期に墓を一瞥する毎日来てるならいつここに映司の仲間が来るかもわからない、会ったら面倒だ、用が終わったならとっとと退散すべきだろう。

 

 今日を明日にするのが欲望であるなら、明日に向かう途中で迷った時、振り返るべき今日は必要だ。

 

 今日の決意があれば例え困難でも明日を目指せる……

 

 だから映司。

 

「さよなら」

 

                 ゴーダの章(完)

 

いつかの時代、どこかの国で

 

『助けてって言っただろ』

 

『俺の手の届く範囲で人を死なせねえよ』

 

『俺か?俺はただの旅行客で』

 

『タ・ト・バ タトバ・タトバ』

 

『仮面ライダーだ』

 

『歌は気にすんな』





以下オーズ復活のコアメダルの感想を含むあとがきです。


復活のコアメダルを見た感想としてはこんなにきっちり終わらせてくるのか……って言うのが最初の感想でした。

最初のPVを見たときは無難にアンクの復活と新フォームのお披露目10年の時間が彼らを変えたのか、みたいな無難なものを想像してたんですが……その予想が見事に裏切られました。

賛否はあると思うんですけど自分はやっぱり映司くんはこういう道を選んでしまうんだな……映司くんは旅立ってしまったんだなという納得の思いでした、そしてそれはオーズという作品が欲望を描く中で映司くんが得たものが満足だったという欲望の終着点になってると思えたので自分の中では寂しい思いはあるけどこれで火野映司くんの物語は終わりなんだなと思えたんです。

ただ個人的に納得できなかった部分もありまして。
それがゴーダ、映司くんの欲望から産まれたある意味もう一人の火野映司と呼べる存在でした。


ただ結局彼になんの救いもなく彼は映司くんが欲望と決別し旅立つ為の舞台装置に過ぎなかったように見えてしまったんです。


出来れば映司くん自身に救いがあったように彼の欲望に魅せられたゴーダにも救いがあって欲しい、って思ったのが小説を初めて書こう!って思った出発点だったりします。

ゴーダ自体のキャラクターを好きになったのもあったんですがゴーダの否定は映司くんの欲望の否定でもあり、そんなのはちょっと寂しいかなって感じてしまったんです。

映司くんの欲望はその叶え方を間違えてしまっただけでとても素晴らしいものでしたし彼の欲望は別のあり方を見つけ明日に進んでいく、そんな救いがあってもいいんじゃないかと思ったんです。

この小説のテーマは自分の中で救いと自分と明日でした。

駄文でしたがそれを少しでも表現できていたら嬉しいです。

長々お付き合い頂きありがとうございました、またお会いできたら嬉しいです。

では最期にありがとうオーズ、さようなら映司くん。

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