北国に住む高校生なんだけど、災難に遭いまくってます。助けて。 作:ひいちゃ
俺は米谷宏行。中倉観汐や清田美佐子のクラスメートだ。
いたって普通の男子高校生の俺だが、まさか俺にまで災難が降りかかるとは……
* * * * *
さて、あるクリスマスの夜……クリスマスと言ってる時点で、「ある~」も何もないよな……俺は電車でクリスマスパーティの会場に向かっていた。
嬉しいことに、俺は一人ではない。俺の前には……
「? 何独り言言ってるの、米谷くん」
「い、いやなんでもない……」
クールな物言いで聞いてくる彼女。そう、俺は清田と一緒に電車に乗っているのだ。
俺としてはマンモスラッキーだぜ。
それにしても……
「結構混んでるよな……」
「そうね……。言っとくけど、こんなに密着してるからと言って、変な気持ちになったりしないでよ。なったら絶交よ、絶交」
「わ、わかってるって」
今が帰宅ラッシュの時間帯だからか、満員電車に乗り合わせてしまった俺と清田。
案の定、ぎゅうぎゅう詰めにされとります。
なんとか平成……もとい平静を装ってるけども、なんというか、その……俺も健全な男子でありまして……
密着してる清田の体の感触と、彼女の芳香に反応するのは自然な成り行きといいますか……
「ちょっと、変な反応しないでよ、絶交よ、絶交っ」
「わ、わざとじゃないって……」
『どこ』が『どんな』反応したのかは、ここでは秘密にしておく。一応この作品は全年齢向けなんだ。
…………
さて、まず乗り換えの駅に到着。だけど……
「大雪のため……」
「電車の運行に遅れが生じております……」
「皆様には……」
「ご迷惑をおかけしますが、ご容赦ください……ね……はぁ……」
まぁ確かに、学校から、最初の駅に着くまでの間にも雪は降ってたけどな。まさかそこまでとは……
仕方ないので、適当に時間をつぶすことにする。
清田は普通に読書……俺は……
「米谷くん。ゲームなんかしないで、たまには本読んだり、勉強したりしたら? 三学期の勉強についてこれなくなっても知らないわよ」
「失礼だな。俺はゲームばかりしてる人間じゃないぞ、ほれ」
と、俺は清田に持っていた携帯ゲーム機を見せた。そこに映されていたのは、ゲーム画面ではなくて一面の文字。
「あら、小説」
「どうよ」
そう、俺は気に入った小説を、ゲーム機に入れて読んでいたのだ。
「でも、これ、ラノベじゃない?」
「ははは……」
…………
さて、そうこうしてるうちに、電車が到着。
着いたばかりのおかげか、俺と清田は楽に空いてる席を確保し、座ることができた。
だが……
「なかなか発車しないわね」
「まぁ、運行に遅れが出てるみたいだしな。仕方ないだろ」
「そうね」
「ただいま、運行変更のため、ただいま入りました列車が先に発車いたしまーすっ」
なんだってえええええ!?
俺は慌てて清田に声をかけ、隣のホームに入った電車に飛び乗った。
…………
そして俺たちが慌てて飛び乗った電車は走り出したわけだが……
「……変な気起こしたらダメだからね?」
「……わ、わかってるよ。というか、この態勢で、どうやって変な気を起こせっていうんだよ……」
そう、俺たちはまたも満員電車に乗り合わせたわけだが、今回はお互い横に並んでいる。
こんな態勢では、変な気を起こせと言われても無理だな、うむ。
「それにしても暑いわね……」
「……そうだな」
満員電車の中は暑い……
…………
そしてそれから数十分経過。
やっと満員状態から解放され、俺は清田と席に座っていた。
清田は俺の前の席で横になって眠っている。
と、そこに、車内に間もなく目的地に着くとのアナウンスが流れた。
俺は清田を揺さぶって起こそうとした……が、その前に清田が起きてしまったようだ。
ちぇ、残念。
「ん、お、おはよう……そろそろ着くみたいね」
「お、おう……」
「あら……前の席開けて寝かせてくれたのね。他の人もいるのに、こんなことしなくていいのに」
「そ、そうか、ごめん」
と、そこで清田は少しほほを染めた。
ほんのかすかで、俺でなければ見抜けないほどだけどな。
「で、でも……ありがと……」
「お、おう……」
そして列車は到着した。
…………
そして列車を降りた俺と清田は、雪降る街を、パーティ会場に歩いている。
「すっかり遅くなっちまったな」
「そうね。着いたらちゃんと謝らないとだめよ?」
「お、おう……」
そんな会話をしながら会場に到着。すると……
ぱぱぁん!
中に入った俺たちを、ライスシャワーの雨が出迎えた。
「よう、やっときたな」
「待ってたよ~、二人とも」
そう言う雅人と中倉に、目を点にしている俺と清田の二人。
「ニュースで大雪で電車が大幅に遅れてるってやっててな」
「これだときっと、みさたちも遅れてるだろうなって思って、待ち構えててあげようと思ってたんだよ~」
そう言いながら、にこやかに笑う二人に、俺たちもつい笑顔になる。
遅れてきて大変な思いをしてる俺たちに、こんなサプライズを用意してくれたことに、なんとも胸熱になる。
「必要なかったな」
「そうね」
「? 何がだ?」
「いいや、なんでもない」
そう言って二人で顔をぷるぷる
「さて、それじゃパーティ始めようぜ。おなかすいちまったよ」
「そうね」
「うんー。今日は私が腕を振るったんだよ~」
「今日は盛り上がろうぜ!」
そして俺たちは楽しいパーティの中に飛び込んでいった……
全4話、ありがとうございました!
これもひいちゃが数十年前に遭遇した出来事が元になっています。
さすがに意中の娘と一緒にというシチュエーションではありませんでしたし、電車に乗っていた理由もパーティとかではなく、単純に帰宅というだけですがw
さて、これにて完結。楽しんでいただけたら幸いです。
改めて、ありがとうございました!