転生したからとりあえずハッピーエンドに導く   作:零之悪夢

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現在地、黄泉の国?

この場所を一言で表せ。と言われたら、一言で言いきれないほど特徴があると言える。何しろ"研究所と不気味な塔"が一体化しているナニカなのだ。そして、ここの調査をする上で重大な問題があった。

 

「んー。マシュが居ないのが違和感だなぁ………」

 

そう、"サーヴァント"を連れてくることが出来ないのだ。マシュも例外ではなく元々シールダーの霊基を持っていたことが条件に引っかかったらしい。

 

「それで、これねぇ………」

 

今持っているのは、魔術的な強化を受けた携帯。スマートフォンである。なぜ、こんなものを持っているかと言うとこの入口にいた"彼女"に手渡されたものだ。

 

「まさか、ぐっちゃんに会うなんて思わなかったな」

 

現在、カルデアにいる虞美人と変わりないのだが姿が変わっており喪服のようなものを着て自分たちの前に現れ、この場所について説明してくれた。ここは、誰かが"消えたい"と願ったが故に作られた世界らしい。その誰かを止めればこの世界は無力化するとの事だ。

 

「誰かいる………?」

 

足音。しかし、静かである。タッ、タッと近づいてくる音。その方向を壁を使いながら覗くと、人なのか良く分からないモノが歩いていた。恐らく此処の住人の可能性が高いが、意思疎通を図ることは難しいと思われるため避けながら奥へと進む。

 

 「――――――――」

 

止まれ、と本能が察知し後ろへ後退。何かトラップでもあるのだろうかと思ったら謎の集団がこの大きな道を走って来ていたのだ。

 

 「ヒーーー!!ホーーー!!」

 

 「なんだ、あの雪だるまもどき」

 

数分もすれば”ソレ”は通り過ぎていった。嵐の様だと、自分は思った。

 

 「また来ると困るな、走るか」

 

来たら面倒だと思い、この通りを走って通り抜ける。一つこの研究所に入って気づいたことは研究所の様な場所であるはずなのにある扉を開けて中に入ると都市、田舎、見知った場所など…………。入り混じっている…………いや、混濁しているといった方が良いという位おかしい。

 

 「これは、サーヴァント、居ないと、厳しい、な…………」

 

息も耐え耐えになりながらも通りを抜け、扉を開ける。そこには、質素な部屋があった。

 

 「…………部屋?誰かの、かな」

 

とりあえず物色。机、クローゼット、棚、エトセトラ、エトセトラ。探せば探すほど時間は過ぎていくが何も見つからず。

 

 「…………ん?何だこれ」

 

何かないかともう一度探していた机に違和感を感じた。どうやら、二重底になっていたらしくガタガタと揺れた。

 

 「取れるか…………?よっ、と」

 

板を取り外すと、一つのお菓子の箱が出てきた。箱と言っても金属でできているが。

 

 「ん…………?」

 

其処から出てきたのは写真。かなりの人数での写真だが…………中心にいる人物が”黒く塗りつぶされている”。後から塗りつぶしたのか、もともと陰で見えないのか。

 

 「でも、何か…………見たことあるような。誰だ?」

 

自分の記憶の中にある何かにヒットしたらしい。人と言う事は、カルデアに居る人物と言う事になる。しかし、これは比較的最近という日付になっている。と言う事はカルデアスタッフ、マシュ、ダヴィンチちゃんは除外。

 

 「英霊、サーヴァントの中の誰か、か。誰だろう?」

 

英霊の中でも藤丸立香と現代的な話ができるのは、アルトリア、エミヤ、クーフーリン、ギルガメッシュ。そして…………。

 

 「いや、無いか…………」

 

その可能性があるとはあるが、その可能性は限りなくゼロに近い。この写真からは”後悔”という想いが感じられた。

 

 「とりあえず写メ、写メっと」

 

現物が無くなった場合に記録できるように携帯で写真を撮り、部屋を出る。

 

 「ん…………?場所が、変わってる?」

 

あの都市の通りではなく、目の前には病院が建っていた。

 

 「っ――――。――――――!!」

 

何か黒い影がこの病院の中に猛スピードで入っていった。何故か、すごく焦っていて。

 

 「付いて行ってみるか。何かわかるかもしれない」

 

その黒い影は受付らしき場所で何かを聞くと階段を使って物凄いスピードで登っていった。三段飛ばしぐらいしている。

 

 「早っ、追いつけるか?」

 

上って、階数を確認する。2階、3階、4階…………そこまで大きい病院ではないはずなのに足取りは重く感じる。最上階まで無事に付いた所で急カーブ、一番奥の病室へと走っていく。その手前で見えたのは”終末期用病室”。

 

 「ふぅ……はぁ……。結構きつかった、ぞ」

 

かなり厳重な所だと思っていたが、そうでもないようだ。扉を開けると、そこには、生命維持装置(・・・・・・)がピーと音が鳴っていた。

 

 「――――――――。―――――――ッ!!」

 

叫び、サケビ、さけび。痛々しい声。自分の心を抉るような叫び声。いや、呻き声か。

 

 「―――ッ!!―――ァァッ!!」

 

 「ッ!!」

 

突然攻撃を仕掛けてきた。いや、病院であるはずだが廊下に出されているようだ。だから、後ろに下がれるのか。

 

 「――――」

 

相手は我を失っているわけではない。だから冷静に攻撃を仕掛けてくる。それを後ろに下がりながら避けて、回避して。こちらにも攻撃手段はあるが…………

 

 「投影開始(トレース・オン)ッ」

 

質素な剣を生み出し、攻撃に転じる。しかし、相手が上手。どうやっても捌かれる。相手は素手なのに。

 

 「ッ、しまっ―――」

 

拳。いや、魔術的な力で攻撃してくる。伏せるか、横に逃げるか。いや、間に合わない―――

 

 「(あやかし)よ、去れ」

 

ふと、誰かの声。綺麗な声、だった気がする。その声を聞きながら意識を失った―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――――ん」

 

 「ああ、起きたか。まあ、仕方ないか」

 

ふと、ベットから起き周りを見ると保健室の様な場所だった。自分はベットに寝ていて先程の声の主は保険医の椅子に座りながら本を読んでいた。

 

 「まあ、自己紹介位はしておこうか人類最後のマスターさん。そうだな…………無名のセイバーとでも名乗っておこうか」

 

そう名乗った、便宜上セイバーと呼ぶ彼は乾いた笑みを浮かべながらそう言った。そうして彼から語られたのは此処の場所についてだった。ここは、彼の知り合いが作った世界。すべてが幻想で、偽物。生きる者はおらず、神秘にあふれている奇妙な場所。

 

 「そうだな、日本の有名な神話。知ってるか?」

 

 「…………伊邪那岐と伊邪那美の話?」

 

確か、伊邪那岐が死んでしまった伊邪那美を迎えに行くために黄泉の国まで行くという話、だったはず。

 

 「ああ、その話が此処につながっている。その後は分かるか?」

 

 「確か―――。姿を見てしまった伊邪那岐が逃げて、伊邪那美が追いかける。最後に伊邪那美が1000人殺すと言って、伊邪那岐が1500人生むって言った話だったかな」

 

其処の名前が、確か。

 

 「そう、此処の場所は黄泉比良坂(よみひらさか)。あいつが死にたいと思って作った死の国。絶望に塗れた場所」

 

黄泉比良坂。闇という闇に塗れている最悪の場所。上に上がろうと思っても下におろされる。抜け出せない穴。

 

 「此処は、黄泉比良坂の最奥。マガツマンダラ。迷路のような場所さ」

 

 「最奥…………どうしてこんなところに?」

 

どうやら、あの敵を倒したところ此処に落とされたらしい。此処から脱出するにはここの要になっている物を破壊するしかないらしい。

 

 「じゃあ、進むか。とりあえず契約を」

 

 「うん、宜しく。セイバー」

 

そうして、先に進む。ここはサーヴァントを連れて行けないはずなのだが、此処に居るサーヴァントに関してはそれは当てはまらないらしい。しかし、セイバーはただの刀を振り、全てを斬り伏せる。斬り、斬り、斬り伏せる。全てを斬る彼は、修羅の様であると言える。

 

 「さて、最深部まで着いたのはいいが…………謎解きか?」

 

目の前にあるのは10本の剣。その先にあるのは鞘。要するにその鞘に当てはまる剣を納刀しろと言う事らしい。

 

 「ん、分かりそうで分からないな」

 

 「…………十、九、八、七、六、五、四、三、二、一。なら、こうか」

 

そうしてセイバーは次々と剣を納めていく。納めていくごとに鍵が外れていく音がする。

 

 「おし、解除成功。思った通りだったな」

 

そうして近未来的な扉が開いていく、その先には映画館ような場所が広がっていた。

 

 「映画館?まだあるのかな」

 

 「いや、これで終わりか。多分、もう少しで上映されるこの映画を見れば良いはず」

 

上のモニターに上映映画の時刻が表示されている。残り十分程度で上映するらしい。

 

 「席は自由だろうし、行くぞ」

 

そうして席に座り、映画を見る。たけど、その映画は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやっても、どうしても、復讐者()の映像であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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