赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです   作:書鳳庵カルディ

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第14話 赤い霧

 死に際で呪力の核心を掴み、反転術式に目覚めた五条悟は、血まみれの制服のまま盤星教本部へと向かっていた。

 全ては、伏黒甚爾にリベンジを果たして、星漿体を取り戻すためだ。

 

 ところが、その道のりで五条が目撃したのは、血の池に沈んだ甚爾の死体と、自分と同じようにボロボロになって道端に座り、煙草を吸っているゲブラーの姿だった。

 

「……生きてたのか」

「あぁ、喉もブチ抜かれて頭もブッ刺されたが、反転術式に目覚めて生き返ってやった」

「硝子の言ってたやつか。いいイカれ方をしたな、五条。怒りに呑まれて、自らの刃に切られて血を流すよりかは余程いい」

 

 ハイになっている五条を見たゲブラーは、吸っていた煙草を揉み消しながらそう言った。

 その後、神妙な顔をしながら彼女は話を続ける。

 

「私は、都市でいつも誰かを守る戦いばかりやってきた。そして、完璧に守り抜いたことは稀だ。正直言って、こんな悲劇には慣れてる。もちろん、今回の件で、私が怒りや後悔に苛まれていないと言えば嘘になるがな。お前はどうだ?」

「悪いけど、天内のために怒ってないし、誰も憎んじゃいない。全能感に満ち溢れてるよ」

 

 にやりと口角を上げて、五条はそう返事をした。

 それに対して、ゲブラーはすっと立ち上がると、ミミックを持って口を開く。

 

「残念な知らせだが、私はあと少しでこの世界から去らないといけない。あの男を殺したときから、元の世界に引っ張られる不思議な感覚がするんだ。また戻って来れるかもしれないが、いつになるか分からない。だから……最後の模擬戦をしようか。また、あの男のような敵が現れたとき、お前が守りたい者を守り抜けるように」

「いいけど、今の俺は多分加減できない。それでもか?」

「ああ。それと、最後に一つ教える」

 

 ゲブラーがそう言った途端、彼女の姿に異変が起き始める。

 

 身に着けていた焦げ茶色のコートは赤黒く変色して、赤い長髪と共に炎のように揺らめき始め。

 身体は、黒に赤いラインが入った機械的な全身鎧に覆われた。

 その鎧の顔と胸の中心部では、赤い円が煌々と輝いている。

 

 それから、ゲブラーは赤い霧に包まれた。

 

「私がE.G.Oに喰われなかったのは、自分だけのE.G.Oを発現したからだ。そして、これが私のE.G.Oだ。反転術式に目覚めたお前と、E.G.Oを発現した私。どちらが本当に強いのか、試してみようか」

 

 ゲブラーがそう言い終わるなり、五条は早速弾く力、術式反転「赫」を彼女に放つ。

 しかし、ゲブラーはこれを並外れた力から放たれるミミックの一振りで相殺してしまうと、そのまま五条に斬りかかった。

 

 五条の身体能力では、ゲブラーの斬撃を回避するのはまず不可能だが、彼は術式順転「蒼」によって自身を引き寄せ、巧みに身体を操作することによって、ひらりと一撃目の斬撃を躱す。

 ニ撃目の斬撃もあったが、それは無限の速度ではなかったため、無下限呪術に止められた。

 一撃目を防げないからといって、五条は術式を解いてはいなかったのだ。

 

 仕方なく、ゲブラーは一旦距離をとろうとするが、そこに二回目の術式反転「赫」が放たれる。

 一度攻撃を防がれて隙を晒したこともあり、この攻撃は彼女に命中した。

 

 ゲブラーは派手に吹っ飛び、大きな音をたてて建物に衝突したが、E.G.Oも彼女自体も非常にタフだ。

 この程度では、まだ行動に支障はでない。

 

 そこにとどめを刺すべく、宙に浮きながらゲブラーを追う五条は、虚式「茈」を放つ準備をする。

 一方で、ゲブラーも自身の持つ渾身の一撃を放つ準備をしていた。

 ミミックのもう一つの特殊能力、武器のサイズの増大を発動させるためには、チャージが必要なのだ。

 

 そして、チャージを終えたゲブラーが跳躍によって、五条の目の前まで迫ったとき、ついに技は放たれた。

 

 順転と反転、それぞれの無限を衝突させることで、生成される仮想の質量を押し出す、虚式「茈」。

 チャージによってサイズを増大させた大剣ミミックを、並外れた力でただ一つの目標に振るう、大切断-縦。

 

 両者、今放てる最大の一撃が空中でぶつかり合う。

 そして……互いに逆方向へ落下しながら吹っ飛び、五条は無下限呪術で、ゲブラーはE.G.Oの鎧で身を守った。

 結果としては、相打ちだ。

 

 この結果に、もはや戦う気の失せたゲブラーと五条は、よろよろと起き上がった後に歩いて合流する。

 この際、ゲブラーは自身のE.G.O発現を解除した。

 

「はぁ……今のお前なら、あの男にも勝てただろうな。テストってわけじゃないが合格だ。これは最期の言葉なんだが、あの男の子供が二、三年もしたら禪院家に売られるらしい。私にはどうにもできないから、お前に任せる。好きにしろとの事だ」

 

 半ば投げやり気味に、ゲブラーは五条にそう話した。

 しかし、ここで彼女は口調を真面目に戻すと、話を続ける。

 

「最後に、お前が冷静になって正気に戻ったときのためにこれだけは言っておく。天内は死んだが、お前は何も守れなかったわけじゃない。あの三日間、お前は天内の最後の日々を確かに守り抜いたんだ。何も残らなかったとしても、それだけは忘れるな。夏油にも、同じことを伝えておいてくれ。……じゃあな」

 

 その瞬間、舞台が終幕する"カッ"という音が鳴り、ゲブラーは呪術世界から消滅した。

 

「はっ、本当に消えるとか。勝手に来て、勝手に挑んで、勝手に助言して、勝手に帰るって、勝手すぎんだろ」

 

 一人、その場に残された五条はそう悪態をついた。

 

 こうして、まるで霧のように消えてしまったゲブラーの真実を知るのは、呪術世界においてしばらくは五条、夏油、硝子、夜蛾の四人のみとなるのだった。




以下はlibrary of ruina内における赤い霧のパッシブスキル「伝説」の効果の独自解釈です。

・感情が一定のレベルまで高まると、固有のE.G.Oを発現することが出来る。
(今回は伏黒甚爾との戦闘等で感情が高まったところに五条悟が来たので、ゲブラーはすぐにE.G.Oを発現できました)

読みたい今後の展開方針は?

  • これまで通りのダイジェスト風で原作沿い
  • 呪術キャラとゲブラーの絡み多めで原作沿い
  • 原作を沿れない程度にキャラの生死を変える
  • 原作ブレイクしてオリ展開にする
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