赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです   作:書鳳庵カルディ

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第17話 新任

「それで五条、私は今どういう立場になるんだ? 高専結界のアラートが鳴らなかったって事は、私の情報が残ったままだとは思うんだが」

「そうだね。確か、ゲブラーは行方不明として処理されたから、四級呪術師としての立場は一応残ってると思う」

「なら、復帰して11年前と同じように活動するのが無難か。私にとっては、そこまで昔の話でもないが」

 

 あれから、長い昔話を終えた五条にゲブラーはそう話す。

 しかし、今の五条は昔とは違い、ゲブラーを四級呪術師のままで居させる気は全くなかった。

 

「いや、これは僕個人の望みなんだけどね。ゲブラーには、もう実力相応の立場に居てもらいたいんだ」

「というと?」

「高専で近接戦の講師をやって欲しいから、実力を隠されると不都合なんだよね。生徒にまで口止めするわけにはいかないでしょ?」

 

 にやにやといい笑顔を浮かべながら、すっかり軽薄になった五条はそう話した。

 一方で、ゲブラーはこの話に渋い顔をする。

 

「私みたいなのが目立ったら、上層部に目をつけられるんじゃなかったのか?」

「それに関しては安心して、僕が手を出させないから。昔に比べれば、権力と武力の使い方には随分慣れたし」

「他に教師候補はいないのか? こんな仕事だ、私以外にも近接戦が得意な奴は居そうなもんだが」

「それはその通り。でも、みんな術式自体は持ってるから、武器と術式を組み合わせた我流になってる人が多いんだよね。純粋な武器の扱いだったら、ゲブラーに勝てる人はまずいないよ?」

 

 ここまで言われて、ようやっと観念したゲブラーは、呆れた顔をして口を開いた。

 

「あぁ分かった。一応、お前の夢に賭けるとは言ったからな。協力はしてやる。ただし、呪術師としての給料とは別に報酬は用意してもらうぞ」

「オッケィ。それじゃあ早速教室に――」

「それと、夜蛾の許可も貰ってからだ。そんな顔してないで、さっさと学長室に案内しろ」

 

 そうして、ゲブラーは面倒臭そうな顔の五条と共に、学長室の夜蛾の下へと向かった。

 

 ゲブラーに会った夜蛾は、案の定とても驚いた表情を見せたが、五条の提案に関しては意外なほどあっさりと了承した。

 どうやら、近接戦闘の講師が足りないというのは、五条だけの認識ではなかったらしい。

 

 かくして、ゲブラーは高専で講師も兼任することになるのだった。

 

 ++++++

 

「新任の先生を紹介しやす! 盛り上げてみんな!」

 

 予定していた時刻よりも遥かに遅れて教室に現れ、突然そんな事を言い出した五条に、呪術高専一年の禪院真希、狗巻棘、パンダの三人は冷たい反応を見せた。

 というのも、彼らは高専に入学してからおよそ一か月も経っているので、五条の破天荒な行動にいちいちリアクションをとるのは無駄だという事に気づいているのだ。

 

「今の今まで新しい先生の話なんてなかったじゃん。遅れて来たのも怪しいし、突然適任の人が湧いて出てきたのか?」

「そうそう、実はあながち外れでもないよ。ほら、入ってきてー!」

 

 そう言われて、ゲブラーは五条の教師としての態度に不安を覚えつつも教室に入った。

 それに対して生徒三人は、長身で傷だらけの顔に赤い長髪という、ゲブラーの異様な容姿に多少なりとも好奇心を見せる。

 

「ゲブラーだ。こいつに頼まれて、お前たちに近接戦を教えることになった。呪力も術式もないから、そのあたりはどうにもならんが、近接戦が得意な奴の立ち回りは大体教えてやる」

「ってな感じで、本日付けで四級呪術師に復帰したゲブラーさんでーす。と言っても、真希と同じく諸事情で階級が低いままになってただけで、実際には特級レベルの強さだから安心してね!」

 

 五条の発言に、生徒三人は戦慄した。

 

 実力だけは確かなこの男が言うのなら、強さに関してはまず間違いないのだ。

 特に、呪力も術式もない辛さを実感している真希にとっては、衝撃の言葉だった。

 

 それから、生徒三人も軽く各々の自己紹介を済ませたところで、ゲブラーは五条に話しかける。

 

「狗巻といいパンダといい、随分と個性的なクラスだな。都市にもこんな感じの連中はいたから、今更驚きはしないが」

「いいでしょ? 僕の自慢の生徒たちだよ」

 

 そうゲブラーに返事をした後で、五条はその生徒たちに改めて向き直り口を開いた。

 

「てことで、今日の午後は予定を変更して、早速近接戦の訓練をしよう。ゲブラーの実力も気になるよね?」

「しゃけ」

「確かに」

「……まぁ」

 

 こうして、生徒たちの同意も得たゲブラーは、早くも訓練を担当することになった。

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