赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです   作:書鳳庵カルディ

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第28話 伝説

 ゲブラーの大切断-横を、夏油は游雲で、イオリは両手剣でそれぞれ受ける。

 しかし、その威力を殺し切れるはずもなく、両者は持つ武器が手に食い込んで来るのを感じながら、後方に勢いよく吹っ飛ばされた。

 

 夏油は黒い骸骨のような呪霊に支えてもらって、イオリは地面に両手剣を突き立てて、自身の飛ばされる身体を止めようとするが、それでもこの吹っ飛びは抑えきれない。

 両者はともに、広場を囲んでいた塀に突っ込んで行き、身体をぶつけて激しい衝撃音をたてた。

 

 土煙をたてて塀が崩れる中、ゲブラーは油断なくイオリの方に追撃を仕掛ける。

 一方で、乙骨と里香はその隙に同級生たちの身体を回収し、比較的安全な付近の建物の回廊に移した。

 

 それから、乙骨は里香の力によって反転術式を使い、同級生たちの治療を行う。

 コピーされたその反転術式の力は強力で、欠損部位さえも再生させてしまう程だ。

 これならば、後遺症が残る心配もないだろう。

 

 治療の最中、里香が真希に嫉妬してしまう場面もあったが、乙骨はそれを宥め、すぐにゲブラーの援護に向かった。

 そこで乙骨が見たのは、広場の塀の向こうにある林の中で、獅子奮迅の戦いを繰り広げるゲブラーの姿だ。

 

 ゲブラーが放った大切断-横は、夏油とイオリに確かな大ダメージを与えたが、仕留めきるには至らなかった。

 そのため、ゲブラーは足止めのためにも、二対一の戦闘を続けていたのだ。

 

 数で劣っているゲブラーだったが、そこまで苦しそうな様子は見られない。

 何せ、ゲブラーはパワーアップ状態を継続しているのに対し、夏油とイオリは大技を受けた直後だ。

 力関係は十分に釣り合っている。

 

 だが、ここに乙骨が加わるとなれば話は別だ。

 

 今度は、駆けつけてきた乙骨は夏油と、ゲブラーはイオリと対峙する形になる。

 それぞれぶつかり合うが、夏油とイオリはもう、乙骨とゲブラーに敵わない。

 

 具体的には、夏油は呪霊たちを里香の力による呪言に潰され、肉弾戦でも乙骨と里香の連携に押され気味だ。

 斬撃体勢のイオリの方も、パワーアップ状態のゲブラーとの斬り合いで押されている。

 

 追い詰められた夏油は、遂に最後の切り札を出した。

 

「やるじゃないか。だが、それもここまでだ。これは特級を冠する呪い、特級仮想怨霊「化身玉藻前」だ。更に、私が今所持している4461体の呪いを一つにして、君にぶつける」

 

 そう話して、夏油は特級仮想怨霊「化身玉藻前」と巨大な禍々しいうずまき、呪霊操術極ノ番『うずまき』を展開する。

 

「させるか!」

 

 そう叫んで、ゲブラーは夏油の邪魔をしようとするが、そこにイオリが立ちはだかった。

 防御体勢に変更してからの、決死の割り込みだ。

 ニヤリと笑みを浮かべるイオリに、ゲブラーは舌打ちをする。

 うずまきによる攻撃は、大切断-縦ならなんとか対抗できるかもしれなかったが、これではそれも叶わない。

 

 焦るゲブラーはイオリを越えるために、本からテレポート機能が存在する黄金狂を取り出そうとする。

 しかし、イオリは未来を見通したかのような反応速度で、ゲブラーが取り出した黄金狂を両手剣で叩き落とした。

 

 どうやら、イオリは意地でもゲブラーを通さないつもりらしい。

 もはや、乙骨があの『うずまき』をなんとかするしかない状況だ。

 ところが、ゲブラーはこれまでの訓練で、乙骨があれに対抗できそうな大技を使ったのを見た事がない。

 

 そんな中で、ゲブラーが手出しできない事を悟った乙骨は、突然里香に感謝の言葉を話し始め、最後には「一緒に逝こう?」と告げて彼女にキスをした。

 自らを生贄とした呪力の制限解除だ。

 

 この乙骨の決断を、ゲブラーは黙って見守るしかなかった。

 

「そうくるか、女誑かしめ!」

「失礼だな、純愛だよ」

「ならばこちらは大義だ」

 

 乙骨と夏油がそんなやり取りをする一方で、ゲブラーとイオリも口を開く。

 

「これがお前の目指した結末なのか!?」

「結末と言うにはまだ早すぎるよ。最後まで見届けるんだね」

 

 E.G.Oの鎧の内側にあるゲブラーの顔は悔し気で、イオリの顔は疲労困憊といった様子だ。

 

 間もなく、夏油の『うずまき』の呪力と里香の呪力がぶつかり、その場にいた四人は衝撃と舞い上がる土煙に呑まれるのだった。

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