赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです   作:書鳳庵カルディ

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第三章 呪術高専入学編
第32話 三度目


(さて、取り敢えずは学長室に向かうとするかな。ここの景色は相変わらずだが、今度はどれぐらい時間が経ったのやら)

 

 これまでと同様に、呪術高専の敷地内で目覚めたゲブラーは、そんな事を考えながら学長室へと向かう。

 夜蛾から、現在の呪術世界についての情報を教えてもらうためだ。

 

 そうして、学長室にたどり着いたゲブラーは夜蛾の姿を見て、意外そうな表情を浮かべた。

 

「驚いたな。その姿を見るに、そこまで時間はたってないのか?」

「驚いたのはこっちの方だぞ、ゲブラー。君が元の世界に帰ってから、こっちは半年程度になる」

「……そうか。前回の十一年と比べれば随分と早いな」

「てっきり我々は、また十年程度は待たされると考えていたんだがな。何はともあれ、早く戻ってきてくれたのは喜ばしいことだ。呪術界の一員として、呪術高専の学長として、特級呪術師であり講師でもある君の帰還を歓迎しよう」

 

 そう言って、夜蛾はゲブラーに手を差し出し、彼女は求められた通りにその手を握った。

 

 すっかり定着してしまったこの関係を再確認して、ゲブラーは何とも言えない気持ちになる。

 今の彼女にとって、一番大切なのは無論図書館の仲間たちだが、この世界の仲間たちにも少し深入りしすぎてしまったようだ。

 これまで過ごしてきた時間を考えれば、情が湧くのも自然だと言える。

 

 とはいえ、ゲブラーは図書館の目的のためになるなら、彼らのことを容赦なく裏切れるだろう。

 今のところ彼女にそんな予定はないし、彼女もそんな事はしたくないだろうが、その心構えはある。

 それだけの話だ。

 

「それで、その特級呪術師に任せる仕事はあるか? 半年しかたってないなら、呪術師の人手不足も相変わらずだろう」

「その通りだ。今も人手不足のせいで、うちの一年生が特級呪物である両面宿儺の指の回収をやっている」

「ここの一年? となると、まさか恵か?」

 

 少し驚いた表情で、ゲブラーは夜蛾にそう聞いた。

 

 五条に任せてしまったとはいえ、ゲブラーは遺言で託されたあの子供のことを、それなりに気にかけていたのだ。

 ゆえに、彼女は伏黒恵の年齢や術式の事情をしっかりと記憶している。

 

「覚えてたか。あいつも成長したが、階級はまだ二級だ。呪物とはいえ、特級の相手は手に余るだろう。ギリギリだがまだ間に合う時間だ。復帰の手続きはこっちでやっておくから、今話した案件のカバーに向かってくれ」

「分かった」

 

 こうして、ゲブラーは伏黒恵の手助けをするために、宮城県仙台市の杉沢第三高校へと向かうことになる。

 既に十か月もの間、特級呪術師として活動をしていたため、彼女もこのような出張にはもう慣れっこだ。

 

 夜中にはなってしまったものの、ゲブラーは東京から目的地の高校までたどり着いた。

 

「ッチ、少し遅かったか」

 

 件の高校から漂う異様な雰囲気を感じ取って、ゲブラーはそう舌打ちをする。

 それから間もなくして、校舎からは次々に衝撃音が聞こえてきた。

 これを確認したゲブラーは、迷わず高校の敷地内に突入する。

 

 しかし、彼女が衝撃音の出所に到着した頃には、事は既に終わってしまっていた。

 その結果として、校舎の渡り廊下の天井に以下の人物が集まることになる。

 

 伏黒恵の手助けをしにきたゲブラー。

 上にせっつかれてやってきた五条悟。

 呪霊に殺されかけてた伏黒恵。

 宿儺の指を食べた虎杖悠仁の四人だ。

 

「この状況……一体何がどうなってるんです?」

 

 そんな伏黒の言葉に、その他の三人は全力で同意した。

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