赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです 作:書鳳庵カルディ
「まずはゲブラーさんから説明してください。あなたは確か、元居た世界に帰っていたはずですよね?」
「ああ。だが数時間前にこの世界に帰ってきたんだ。夜蛾と話をして、取り敢えずお前の手助けにきたんだが……この分だと、特に助けはいらなかったみたいだな」
五条のことを見ながら、ゲブラーは伏黒の質問にそう答えた。
それを聞いた伏黒は、今度は五条の方に質問を投げかける。
「それで、五条先生はどうしてここに?」
「来る気なかったんだけどさ。特級呪物が行方不明となると、上がうるさくてね。観光がてらはせ参じたんだけど、思わぬ再会だよ。で、それはそうとして呪物は見つかった?」
五条が逆にそう聞くと、伏黒は気まずそうな顔で虎杖の方に視線を向ける。
そして、虎杖は衝撃の告白をした。
「ごめん。俺それ食べちゃった」
「は?」
「マジ?」
「マジです」
それぞれが三者三様のリアクションをする中、五条は六眼でまじまじと虎杖のことを見つめる。
それで、虎杖が呪物と本当に混じっていることを確認した彼は、ゲブラーの方に話しかけた。
「本当に混じってるみたいだよ、彼。試しに戦ってみない?」
「遠慮しておく。無駄に体力を使いたくない」
「ちぇっ、そういう真面目なところは相変わらずだね~」
そう言うと、五条はゲブラーを置いてさっさと虎杖の方に歩き始め、彼に代わってもらった宿儺と十秒間限定の戦いを始めてしまった。
その光景を見て、ゲブラーはやれやれと首を振る。
ちなみに、彼女は五条からの仕事の報酬で、両面宿儺についての情報は既に把握済みだ。
(宿儺の実力を測るにしたって、別の場所でやればいいと思うんだが……あいつは理屈だけで動いてるわけじゃないだろうからな)
伏黒の隣で、そんな事を考えながら戦いを眺めていると、程なくして五条は虎杖を気絶させてから戻ってきた。
そして、五条は伏黒に一つ質問をする。
「さて、ここでクエスチョン。僕たちは彼をどうするべきかな」
「……呪術規定にのっとれば、虎杖は死刑対象です。でも死なせたくありません」
「それって私情?」
「私情です。何とかしてください」
「だってさ。ゲブラーはどうしたい?」
そう言って、五条はゲブラーの方を向く。
それに対して、彼女は少し考えた後に口を開いた。
「伏黒の頼みならある程度は協力しよう。色々と縁もあるからな」
「そうこなくちゃ。可愛い生徒の頼みだからね、僕ももちろん協力するよ」
「……しかし、お前が協力するなら私が出る幕はないんじゃないのか?」
そんな事を言うゲブラーに、五条はいやいやと首を振ってからこう答える。
「そりゃ僕ほどじゃないけど、ゲブラーって結構影響力あるよ? 呪力がないから最初は舐められてたけど、今はもう十分に実力を示したし、仕事ぶりも呪術師の中じゃ真面目過ぎるぐらいだからね。いなくなった後の穴埋めも大変だったよ」
「……そういう事なら、復帰の挨拶も兼ねて適当な関係者に話でもしに行こうか。多少なりとも、いい影響は与えられるだろう」
かくして、最強二人は虎杖悠仁の死刑回避のために奔走することになる。
無茶苦茶なことを言ってはいるのだが、恐らく彼らの要求はある程度通るだろう。
何せ、彼らは誰もが認める最強なのだから。