赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです 作:書鳳庵カルディ
虎杖悠仁の死刑回避に協力するかたわら、ゲブラーはついでに半年前までの知り合いへの挨拶回りも行っていた。
そして、その挨拶の対象にはもちろん呪術高専の教え子たちも含まれている。
時間が空いて、自分たちの教室を訪ねてきたゲブラーを、現二年生たちは快く出迎えた。
「久しぶりだな、ゲブラーさん。私たちが学生の内には、もう会えねぇもんだと思ってたけど」
「夜蛾にも似たような事を言われたよ。そっちも、全員無事に半年間生き残ったみたいで何よりだ」
「なんやかんやで俺たちも成長したからな」
「しゃけしゃけ」
和気あいあいとそう話をする二年生たちを見て、ゲブラーは顔を綻ばせた。
何せ呪術界は相変わらず過酷な業界だ。
無事に生き残ってくれてよかったと、ゲブラーは本気でそう思っている。
「そういえば、あの事件の後乙骨はどうなった? 海外にいるとは聞いてるが、詳しい事は聞いて無くてな」
「里香がいなくなって一旦四級にまで降格したけど、また三か月で特級に戻ったぞ。結局のところ、憂太はセンスも呪力量もピカイチだ」
「そりゃまた、人の事は言えないが規格外だな。あいつとも再会するのが楽しみだ」
パンダが質問に答えるのに、ゲブラーはそう言葉を返した。
事実として、乙骨は里香無しでも十分すぎるほどの力を手に入れている。
菅原道真の子孫でもある男の実力は、伊達ではない。
「そういや、いつになったら訓練には顔を出せるようになるんだ?」
「あー、今は復帰直後で少し忙しくてな。面倒な案件にも首を突っ込んじまったし。まぁ、数日中には片が付くと思う」
「そいつはよかった。半年間の鍛錬の成果を、しっかり見てもらわないといけないからな」
ニヤリと笑って、真希はゲブラーにそう言った。
確かに、講師ならば教え子の成長を確かめる義務があるだろう。
そして、その機会は後でも今でもいい。
「……一時間程度なら、今でもなんとか時間がとれる。軽い手合わせぐらいならできると思うが、やるか?」
「やる」
「明太子」
「二人がやるなら、俺ももちろん付き合うぞ」
「よし、決まりだな」
こうして、ほんの僅かな時間ではあるが、ゲブラーと二年生たちは久しぶりの手合わせをすることになる。
彼らにとっては残念なことに、手合わせの勝敗は相変わらずだったが、ゲブラーは二年生たちの成長を十分に感じることができた。
それと同時に、ゲブラーは二年生たちの新たな改善点を見つけてしまったが、まぁこれはどちらかと言えば良い事だろう。
今日はあくまでも再会の日。
丁寧な指導はまた後日、じっくりと行われるはずだ。