赤い霧が呪術廻戦の世界へやって来るようです   作:書鳳庵カルディ

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第4話 E.G.O

「ねぇオバ……じゃなくて、ゲブラーさん。特色って要はさ、呪術師の階級に直せば特級に当たるんだよね?」

「そうなるな。枠組み自体が違うからなんとも言えないが、突出した実力を持つ人間に与えられる階級、という意味では変わりないだろう」

「じゃあさ、同じく"特"の俺にどれぐらい力が通用するのか、試してみたくねぇ?」

 

 生意気な笑顔で、五条は煽るようにしてゲブラーにそう提案をする。

 そこで、ゲブラーは少し考えを巡らせ始めた。

 

(五条との力試しという意味では、戦う必要性はまるでないな。ただ、この世界に私の戦闘能力がどれくらい通用するかの力試しという意味でなら、戦う意義はある)

「夜蛾の許可があるなら、五条と戦ってみてもいい。もちろん、模擬戦にはなるが」

 

 考えた末、ゲブラーはそう結論を出した。

 発言のバトンを託された夜蛾も、ゲブラーと似たような考えに至ったところで口を開く。

 

「分かった、話してばかりもなんだからな。ただし、ゲブラーには先に傑の呪霊と戦ってもらう。それで実力が十分だと分かったら、悟との勝負も許可しよう」

「さっすが先生! 分かってるぅ!」

 

 先に夏油の呪霊と勝負をさせるという条件はつけられたものの、おおよそ希望が叶った五条は上機嫌だ。

 物理攻撃を完全に防ぐ無下限呪術を持っている彼は、術式を持ち合わせていないゲブラーに負けるとは微塵も考えていない。

 

 そうして、一行は場所を呪術高専のグラウンドへと移すことになった。

 

「それじゃあ、まずは私が出す適当な呪霊の相手をしてもらう、という事でいいのかな?」

「そうらしい。余裕があったら、呪霊は殺さない方がいいか?」

「出来るものなら」

 

 そう言って夏油が出したのは、丸い口と鋭い牙を持つ巨大な芋虫型の呪霊だ。

 対象を丸呑みさせれば殺さずに済むため、呪霊狩りやこういう時には都合がいい。

 

 夏油は呪霊操術で、ゲブラーにこの呪霊を突っ込ませる。

 しかし――

 

「遅い」

 

 ゲブラーは突進してくる呪霊をステップで横に避けると、そのまま横を通っていく呪霊の胴に、ミミックを振り下ろす。

 それによって、呪霊の胴体が半分斬られたところに、ゲブラーはさらにもう一歩踏み込み、斬り上げで呪霊を完全に真っ二つにしてしまった。

 

「呪霊には再生能力があると聞いた。真っ二つにするぐらいなら大丈夫だろ?」

「……いや、そうなんですけど」

 

 まさかここまで呆気なくやられるとは思わなかったと、動揺しながら夏油はそう答える。

 それと同時に、確かに実力だけで言えばゲブラーは最低一級の実力はありそうだとも、彼は考えた。

 一般人並みの呪力しかない彼女を、上層部がどう思うかはともかくとして。

 

「蝿頭を祓ったときから思っていたが、その武器は一体何だ? 呪具でもないのに、何故呪霊を祓える?」

「これはE.G.Oと呼ばれるものだ。呪霊に通用するのは、これが心から実体化され、心に感化される武器だからだろうな。呪霊は負の感情である呪い、すなわち心の一部から生まれたものなんだろ? 心から実体化されたこの武器が通用してもおかしくはない」

 

 夜蛾の疑問に、ゲブラーは自身の推測をそう話す。

 とはいえ、E.G.Oはまだまだ謎の多い存在だ。

 ゲブラー自身も、この推測が間違いなく正しいとは言い切れなかった。

 

「へぇ、面白そうな武器だね。俺も使えたりする?」

「使えるかもしれないが、おすすめはしないな。心に感化されるから、むしろ使用者の心が喰われることもあるんだ」

「もし喰われたら?」

「多分、ねじれと呼ばれる怪物になる。呪霊が人の負の感情から生まれる怪物なら、ねじれは人の欲望を具現化した怪物だ。どちらも醜いことに変わりはない」

「ウゲッ、それなら別に使いたくないな」

 

 ゲブラーの答えに、五条は嫌な顔をしてそう言った。

 

 余談になるが、ゲブラーが呪霊を見ても大して驚かなかったのは、このねじれや幻想体と言った怪物を今まで何度も相手にしてきたからだ。

 彼女は対人のエキスパートであるのはもちろんのこと、対怪物のエキスパートでもある。

 

「まっ、俺は武器なんて使わなくても最強だからいいけど」

「呪術師の中でならそうかもな。だが、それで私に勝てるとは限らない」

 

 夏油の呪霊による力試しが終わり、実力に不足なしと判断されたゲブラーは、そう話しながらグラウンドで五条と向き合う。

 最高峰の勝負が今、始まろうとしていた。

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