ジョゼフはいくら頑張っても強くなっても正史の通りの扱いですが、
弟のシャルル・ド・ガリアは皆が天才だと褒め称えていますが、実際は劣等感とか兄以上にある者でした。
たしかにシャルルは特別が付くくらいの才能の持ち主です。周りから見たら、万能型の秀才・天才の類でしょう。しかし、兄に比べると傑物とはいかない才能と実力でした。
しかし、兄が魔法を覚える前は、劣等感・負の感情でいっぱいでした。たしかに両親の愛情をたっぷりと注がれて育ちました。しかし、後継ぎとしては全く期待されていませんでした。せいぜい兄に万が一のときのための、兄の穴を埋めるための予備・劣化品程度の期待でした。
それは自我が芽生え、教養をあたえられ、比較されたときと兄と自分を客観的・主観的に比べ、周りの目で子供ながら察していました。自分は特別優秀には違いないが、兄と比べると見劣りすると、しかし、王族・貴族の実力基準で言えばエリートの部類だったので劣等生あつかいはされませんでした。両親も誇っていました。さすが自分たちの息子・弟子・生徒だと誇っていましたし・・・。シャルルはそれはうれしかった。本当にうれしかったのですが、兄に対する劣等感や悔しさが嫉妬が晴れることはありませんでした。
シャルルにとっての夢と目標は、兄にジョゼフに勝利することでした。王になれば、兄に勝てると思いより一層に勉学に励みました。
そして、正史通りに、
シャルルにとっての人生の転機が訪れ、優越感を得たのは、魔法でした。正確には、兄がメイジの証の系統魔法をほとんど使えないことでした。自分には魔法の才能も秀才か天才レベルにあり、ハルケギニアは魔法至上社会で魔法が使えなければ王族・貴族と真に認められない世界、魔法をマスターすれば兄弟とかその他の才能実力関係なく王になれる兄に勝てると内心・大喜びしました。兄に魔法がほとんど使えないことがわかり、周りの期待も自分に移り、シャルルの今までの劣等感・嫉妬という負の感情が一度に晴れた気がしました。魔法で差をつければ自分は跡取りに問答無用で選ばれるとそう思いました。
魔法の練習の際、系統に兄が失敗すれば、
「兄さんはまだ目覚めていないだけだよ。コモンマジックと遠見、固定化、錬金、治癒は使えるんだから『平民』じゃないよ」
と慰めていましたが、嘘です。
これは優越感に浸りたく、兄を内心馬鹿にしていました。悪意を籠めて慰めていました。絶対目覚めない、目覚めるなと思っていました。今までの仕返しと言わんばかりに、この光景は周りには優しいいい人に見えたでしょうが、弟は内心自分が醜悪なことをしているとかすかに自覚していましたが、いままで劣等感で苦しんだのだからこのくらい問題ないと自己完結しました。
その優越感が幻だったと気づき、確定するまでは・・・。
シャルルは努力をして、七歳で火を完全に操り。十歳で銀を錬金し、十二歳のときには水の根本を理解し、スクウェアというメイジの最高位に至りました。それからも努力を怠らず、全属性にいたり、歴史を学び、政治を学び、経済を学び、数学を学び修めました。シャルルは優秀な政治家・最上最高の万能のメイジになりました。
これならば、間違いなく次期国王は間違いないだろう。母も貴族・平民の周りも自分を押してくれるとシャルルはそう思いました。
しかし、そう思いましたが、内心では兄が選ばれるかもしれないと思っておりました。
本当は兄のほうが遥かに優れているとわかっていたので・・・。
兄は魔法がまともに使えないとわかってから・・・、
自分が魔法を覚え鍛えてから、たった7年で、兄からすれば10年近く、
自分ができる魔法と技術を自分とは比較にならないくらい努力し磨き、魔法とそれ以外の能力を使い知識と技術を向上させ、学習・修練を効率化させました。
完全記憶・速読・複数思考・高速思考・同時展開・空間把握・解読魔法(超速読・一回で把握・習得)・探知魔法(空間把握と理解力の性能増幅)・解析魔法・念力(手足増)・遠見(視角拡大)など。傍から見ると精神を病んだものが本に魔法で悪戯をしているように見えます。
それにより今までとは比べ物にならない思考力・知識・技術を獲得しました。
どうやってそこまで至れたのかと尋ねると。兄は驚いた顔をして、
「何を言っているんだ?このくらいお前にもできるだろう。速読や視覚情報をコモンマジックで補助しているだけだぞ。からかっているのか?」
と言っておりました。たしかに理論上はできますが、一度に複数の魔法が使えるメイジは限られています。最高2つの魔法同時操作くらいしか聞いたことがありません。兄は複数の魔法をコモンマジックでも同時に操り、且ついくつもの書籍を同時に高速に読み進めています。
弟のシャルルどころかほかのメイジが同じことをすれば神経をすり減らし精神異常を起こすかもしれません。
魔法に関してもコモンマジックで系統魔法(風・土・水)のようなことをしたり、錬金魔法で全属性の強力なスクウェアの系統魔法以上の現象を自在に操りました。コモンマジックと錬金魔法を併せてさらに、どのスクウェアメイジの系統魔法よりも強力な自然現象を操りました。武術の腕も一般のメイジ殺したちとは比較にならないくらいの強さを誇っています。魔法を応用して強化すれば、まるでイーヴァルディーの勇者のような伝説的な強さを発揮しました。
金属の錬成でシャルル・スクウェアに至ってからは、金の錬成をこなせますが、スクウェア数発分の精神力を籠めても小石を半分作り変えた程度のものです。金の純度も良くなく贋金です。
しかし、ジョゼフはドット未満の精神力で純金を錬成しました。しかも小石を質量を変えず丸ごと錬成するどころか、質量を岩サイズに増大させて。質量の増大は埃や花びらを人間大に変化させたりできるのであまり驚かれませんでしたが、純金が錬成されたことには驚かれました。
このとき、シャルルは、自分は魔法でも一生、兄には勝てないとあの希望と優越感は幻だったのだと絶望しました。
しかし、兄のこの魔法の説明や魔法の分析結果で、これは系統魔法であるがスクウェアスペルにあらず、決してスクウェアを超えていないドット以上か以下の魔法を錬金でスクウェアのように大きく見せた紛い物・奇術・手品の類だと周りは判断しました。
相手が王族・周りは魔法を神聖視しているブリミル信者だったので、受けが悪く、自分たちをだましたと思い込み、決めつけ無能扱いはいままで通りでした。
錬金・治癒・固定化だけはスクウェア(便宜上)並だと皆は認めましたが、それ以外の系統魔法のスペルはドット以前に発動しないため、まともなメイジ・王族ではないと無能扱いされました。技術的に超一流の意外性はあるが、常識的に総合的に見て五流のまともなメイジではないという扱いでした。
シャルルは安心しました。あれは錬金による系統魔法に見せかけたモノだったのだと、使われている精神力も一つ一つがドットクラスかそれ以下だった聞いたときは、
≪驚かせやがって、ペテン師が!無能が!≫
と兄を心の中で罵倒しました。
ドットの錬金ならば、スクウェアのぼくにも容易くできるに決まっている。ドット未満の兄さんでもできたのだから・・・、
そう思って兄のように錬金を系統魔法のように操ろうとしましたが、兄とは違いうまくいきませんでした。なんとかできたものもありましたけど、実用性がほとんどないものでした。演武でもまともに成功させることが至難でした。通常錬金は、攻撃には使わず、系統魔法の効果を向上させるものを生み出したりするための生活や戦闘の補助、ものづくりの魔法です。
兄は錬金だけで攻撃魔法にできたり、より精密に操作するためにコモンマジックまで応用するようなことができました。自分には兄のようなことがあまりできませんでした。
兄はコモンマジックだけでも風系統のスクウェア以上のことができるのです。念力を強力な竜巻に変えて、しかも魔法をかき消してしまう性質をもっている竜巻やエアカッターのような不可視の魔力(念力)の刃とかも放てます。ブレイドも自分のよりも比較にならないくらい強力な切れ味と魔力を秘めています。マジックアローも含めて。マジックアローやブレイドで魔力の剣や槍を作ることもでき、そこらのメイジ殺しとは比較にならないくらいの達人レベルで扱えます。
念力だけで自分を浮かせようとすると系統の浮遊とはちがい馬鹿げた精神力が要ります。シャルルはスクウェアだったのでなんとかできましたけど。浮遊のほうが楽でした。2つ同時に扱うことはこの時はできませんでした。
そうできたら、念力と浮遊を同時に使って兄よりも早く飛べるのに・・・、そう思いました。
自分が兄に勝てているのは、魔法だけというのは正確には誤りだったというのを、気づき
、系統魔法のこなせる数しか兄には勝てていないということがわかりました。兄はコモンマジックや錬金魔法で系統魔法と同じこと以上のことができる。もしかしたら、兄は始祖の再来と呼べるような素質や実力を持っているのかもしれないとシャルルは恐れました。
その考察・不安は的を射ていていました。ジョゼフの真の属性とそれを一生知らなくてもそれを補うような才能・技能・頭脳をジョゼフは持っていたので、そしてシャルルは父王・崩御ののちに死ぬのでそれを確かめることはできませんが・・・。
10年近くの努力を否定され、心も折れたかもしれない、いや、折れてくれとシャルルは心から願っておりました。これ以上、努力されて強くなると自分は兄には一生勝て無くなるからです。
しかし、ジョゼフは長年陰口をたたかれ打たれ強くなっていて、今まで以上に研究・実験・修練を積むようになりました。
外へ出かけるときは王族の身分を隠し、変装とかしました。街の情報集には平民の姿が一番だとか、
母がシャルルを王にしようと秘密裏に北花壇騎士や傭兵メイジに依頼し、ジョゼフを暗殺してくれと依頼もシャルルや父王が知らないところでしていましたが、ジョゼフに返り討ちにされたり、東方から来たモノに偶然助けられたりもして生き延びました。
そんな感じで、外で出会った、東方から来たという得体のしれないメイジや学者、メイジ殺しとか秘密裏に雇い入れ、その知識と技術を分けてもらっていました。
それによりジョゼフはどんどん異常に強くなり、魔法の腕も系統魔法は相変わらずですが、それ以外の魔法は今までとは比較にならない速度で成長していきました。東方メイジに3年ほど教授してもらい。
「もう教えることがない、実に教え甲斐のない弟子だった」
といい去っていきました。
兄は系統魔法以外は異常に上手くできていましたが、東方の技術を取り入れてからはさらに逸脱した実力になっていました。まるで、伝説の使い魔のガンダールヴのような鬼神のような強さでした。
系統魔法と似たような、魔法を操るようになり、性質変化という念力に弱い錬金を掛けて自然属性に変えたようなものだといっておりました。錬金魔法とコモンマジックの併用に比べたら、扱いが楽だと兄は言っていました。
身体能力は複数の犯罪者や野盗のメイジ殺しや、野盗メイジ、凶暴な亜人を単体で圧倒しました。魔法を一切使わず素手や武器で赤子扱いでした。なんでも東方の武術のハッキョクケンやジュージュツ、カラーテ、徹甲作用、居合なるものだそうです。
「兄さん、なぜメイジなのに、素手や武器で、しかも平民が使う野蛮で下賤な技で戦うんだい?」
と聞くと
「俺はお前とは違い魔法がまともにできないだから他を鍛えたんだ、そこらのメイジや亜人、魔物、メイジ殺しとなら互角以上にやりあえるくらいの自身はあるぞ。別に不思議ではないだろう?このくらい?」
≪系統魔法以外はどんどん差がついていく・・・・、あれで非才?無能?ふざけるな無能は周りのみんなじゃないか!≫
シャルルは焦りました。どんな手を使っても王になりたくなり、裏金や母親に頼んだり、兄の悪い噂を流して支持率を無理やりあげて自身が王になりやすい状況を作り上げました。
しかし、
『次王はジョゼフとする』
その一言で、すべて無駄な努力に終わりました。
シャルルは、
はじめはよく理解できなかった。
きっと父は病気で惚けてしまったに違いない。すぐに次王はぼくだと言い直すはずだ。
そう思って父の次の言葉を待ったが、いつまで経っても訂正はされなかった。
それでようやく、これが父の選択なのだと理解した。
もう、ぼくが王になることはないのだ。ぼくのものになるはずだった権力は、この両手からするりと抜け落ちてしまった。ぼくは結局――兄さんに勝つことはできないのだ。
自分の今までの人生はまさに、
いままでの優越感に浸りたくてついた、悪意を込めたフォローでの兄との『温い兄弟愛』。
兄に勝ちたくて血に滲むような『無駄な努力』。努力でも兄に負けていた。
系統魔法以外は全部負けた『空しい勝利』と絶望的な敗北。
自分の人生はまるでなにかの三大禁句のようなものを表していた・・・。
ぼくは絶望に身を落とし、
ぼくの心は暗闇をさ迷う。
すると、兄さんがぼくの顔を窺うようにする気配が感じられた。
何も見たくなかった。
何も聞きたくなかった。
目と耳を塞ぎ、寝台でシーツに包まり塞ぎ込んでしまいたかった。
しかし、兄さんに弱みを見せたくない。だからぼくは、ことさらに満面の笑みを貼り付け、兄さんにこう言ってやったんだ・・・・・。
『おめでとう』
『兄さんが王になってくれて、ほんとうによかった』
『ぼくは兄さんが大好きだからね』
『ぼくも一生懸命協力する』
『いっしょにこの国を素晴らしい国にしよう』
――嘘だ。
そんなこと、小指の爪ほどにも思っていない。ぼくの胸中に存在するのは、絶望と、嫉妬と、憤怒だった。でも、それを兄さんに悟られたくないから、こんな出まかせを口にしたんだ。
そのときの兄さんの表情。呆気にとられたような、何か大きな間違いを犯したことを自覚したような、ぽかんとした顔。
それが少し愉快だった――。
退室するように促す父の指示に頷き、ぼくたちは部屋を後にした。ぼくはその足で、父の執務室へとむかった。
胸の内に渦巻く激情。それは執務室に足を踏み入れたとたん、まるで火竜山脈の火山の噴火のごとく、僕の内からあふれ出てきた。
カーテンを引きちぎり、床敷きを踏み荒らし、机の引き出しの中身をぶちまける。
父の宝石や勲章、書類などが床に撒き散らされた。ぼくはその上に突っ伏し、泣き叫んだ。王家の秘宝である“土のルビー”を血がにじむほど握りしめ、床を力の限り叩いた。
どうして父はぼくを王に選んでくれなかったんだろうか。
貴族にとって最も重要な系統魔法だけは兄さんの何倍、何十倍もできるのに。
兄さんはコモンマジックと錬金、治癒、遠見くらいで、あと東方の始祖の故郷のよくわからない魔法や技術しか使えないのに・・・。
今までのあの血のにじむような努力だってしてきたのに。
・・・本当は、兄さんのほうがたくさん血を滲ませていた。
全ては今日この日、兄さんに勝つために、
・・・兄さんには系統魔法以外は勝てないわかっていた。
ぼくの方が優秀だと証明するためだったのに!
・・・本当は兄のほうが努力していたし、生まれたときから兄は優秀すぎていた・・・。
ぼくの両目からは、止めどなく涙があふれていた。
・・・ぼくはどうやっても兄さんには勝てなんだ。年齢・才能・努力・心においても・・・。
それから数日が経ったある日、犬猟頭から鹿を放ったという知らせを受け、ぼくたちはピエルフォンの森へ狩りに出かけた。
本当は兄さんの顔なんて見たくもなかったけど、そういうわけにもいかない。森にたどり着いたぼくは、愛馬を駆って鹿を追いかけまわした。そうでもしないと、暴れだしてしまいそうだったからだ。
まだ、父は兄さんを次王に選んだことを公表していない。
それならばもしかすると、今からでもぼくが王になる道もあるかもしれない。
≪兄を消してしまえばいい・・・≫
そんなことを考えながら、今にも悔しさと憎悪に歪んでしまいそうな顔を押さえつけ、できるだけ平常に見えるように笑顔を貼り付け、馬に鞭を入れる。
従者に鹿を追い込むように指示を出し、広げさせた――その瞬間だった。
背中に軽い衝撃を感じた。
予想外のことに、ぼくは思わず馬を止める。小鳥か何かがぶつかったのだろうかと辺りを見回すが、そんな姿はどこにもなかった。
じわり、と背中が熱を持つ。
おそるおそる手を回すと、細長いナニカがぼくの背に突き刺さっているのが解った。ぼくはソレを掴み、力をこめて背から引き抜く。
ぼくの手に納まっているのは、熱を持たない凶器の矢だった。
呆然とその矢を見つめる。よく見てみると、矢じりに何か塗られているのがわかった。そこでぼくは、ようやく命が狙われたのだと理解した。
誰が? 何のために? 急速に力が抜けていくのを感じながら、朦朧とする頭でそんなことを考える。
ふと、視線を感じて振り向く。
≪ああ、兄さん。≫
振り向いた先にいた、よく見知った顔と視線が交差する。
≪何故、そんな表情をしているんだい?≫
ゆっくりと体が傾くのが解った。
≪兄さんはいつだって僕を。≫
視線の先にいる親しい人物は・・・。
≪愛してくれていたじゃないか。≫
形容のしようもないほどの笑顔を張り付け、シャルルを見下ろしていました。
あとは正史の通りに、大公家は取り潰され、シャルルの妻と娘は粛清されたシャルルと同じように消される運命にあったところをジョゼフの余興で心を壊され、その娘を暗殺者へと変えました。いずれ、自分を殺しに来いと言わんばかりに・・・。
とまあ、シャルルの劣等感と本音を原作やいろいろなSSを参考に書いてみました。
鋼の錬金術師のエルリック兄弟のような仲のよさだったいいのにと思います。
まあ、あちらの兄は錬金術いがいは負けていましたけど。最後のあたりは勝てるものが年齢と兄という立場だけに・・・。