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「ウワ~!ミーボが脱走した~!?ちょっと、誰か捕まえてー!」
そんな声が聞こえて来た時も外出の最中だった。私が声にビクっとなりつつも後ろに振り返ると視界の奥でエンジニアっぽい女の人がメカメカしい犬っぽいロボを4頭ぐらい追いかけてた。もっと言うなら彼女らは私の方に迫って来てた。まじか。
「そこの人~ミーボを捕まえて~!お礼はするから~!!」
嘘。私!?違うよね。そう思って周りを見回すけど誰もいない。嘘でしょ。
そうこうしてるうちにミーボ?は私のすぐ側まで来ていた。ええいままよ。私は覚悟を決めて触手を振るった1、2、3、4。一匹残らず確保。やば、今の漫画のワンシーンみたいだったくない?
触手でロボたちを持っていると直ぐに飼い主?の女の人が駆けよってくる。
「いやー、ありがとう。新しいAIを試してみたらミーボたちが急に逃げ出しちゃってどうしたもんかと困ってたんだよね。私メイヤー。あなたは?」
「あ、キララ……です。ミーボ返しますね」
「キララ……ああ、ユーネクテスが言ってた子」
触手の拘束を緩めてミーボを一匹一匹メイヤーさんに返していく。抵抗するミーボたちは見た目の割りに力が強くて飼い主は大変だろうな~って思ってたら最後の一匹が身じろぎした時に変なものが押された感覚がしたんだ。
ポチ。そんな擬音を感じ取った私は何故かスゴーク嫌な予感を感じた。見ればメイヤーさんは青い顔をして叫んだ。
「それ自爆スイッチ!逃げてー!?」
「やっぱりぃ~!?」
思わず全力でミーボを放り投げてダッシュ。これまでのイケてない人生が走馬灯のように頭を巡ったね。
「ミーボー!!!」
メイヤーさんの悲痛な叫びと共に背後で爆発。
爆風で前にこけちゃったけど黒焦げになるのは回避した。いっそなってみたらネタになったかな?いやいやそんなコミカルな感じじゃ済まんでしょ。
そんなことを考えていると別の方向に逃げていたメイヤーさんと残りのミーボたちが駆け寄って来た。メイヤーさんは心配そうに。
「大丈夫!?怪我無い!?」
「大丈夫……です」
ほんとは少し膝を擦りむいたんだけど自己治癒のアーツで治したから問題ない。それよりも問題なのは。
「あの……ミーボ。ごめん、なさい。私が変なとこ触らなかったら……」
あの場に居合わせたのが私じゃなかったらミーボは爆発しなかったかもしれない。漫画みたいに決まったな。なんて調子に乗らなければよかった。きっと高いし大事なものだった……と思う。どうしようどうしようどうしよう。
「なーにいってんの。おかげでこの子たちは助かったんだよ。あのまま止まらなかったらもっと良くないところで爆発してたかもしれないし。ミーボのボディはまた作り直せばいいんだよ。ありがとう!」
「はい……」
優しい人で良かった……安心して一気に体の力が抜けちゃって座り込んだ。もう調子に乗るのは止めよう。
地面にへたりこんだ私にメイヤーさんは声をかけた。
「そうだ。何かお礼をしないとね……うーん、すぐには無理だけどー。このミーボと同じようなカワウソ型ロボを後で贈るよ。当然自爆スイッチはなしの鑑賞ようね」
「え……そんな悪いし」
ミーボ、カワウソだったんだ……ソイヤソイヤじゃん。それはともかくそんな高そうなもの貰えない。やんわりと断ろうと思ったけどメイヤーさんは笑って言った。
「いいのいいの。丁度AIの学習パターンサンプルが欲しかったし。実験に付き合うと思って、ね。エサも散歩いらないからさ~」
結局押し切られて数日後自室にミーボが届いた。動くのが面倒な時にものを運んできてくれるしゲームをやったり漫画を読んでる時は隣で身を寄せて来る。結構可愛いやつだ。ちょっと寂しいと思うときが減ったような気がする。