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なんだか外出する度に何かが起きている気がする。中でも今日は飛びきりやばい。追われてるんだ、私。
私をチェイスして来てるのは漫画とかで絶対信用しちゃ駄目っぽいマスクをつけた男だが女だかもわからない人?だった。部屋に帰ろうとしたら部屋の前立っていたこの人は私を見かけとズンズンと無言で歩いてくる。めちゃくちゃ怖い。私がその場から逃げ出す素振りを見せるとその人は歩きから走りに切り替えてきた。以降私は全力で逃げている。
ロドスの制服を着てるから多分大丈夫……だと思いたいんだけど無言で追って来るのは何故!?何で喋らないの!?
走っていたら直ぐに足が重くなってきて息が上がって来る。もっと運動しておけばよかった。そうだ、今度ミーボを散歩に連れていってやるのもいいかもしれない。
そんな風に現実逃避していたら気付けば行き止まりに追い込まれていた。逃げらんない!?と、思ったんだけど私を追ってきた人も凄く息が上がってる。運動不足はお互いさまみたいだ。これなら隙をついて逃げられるかも。でも一か八かに出る前に聞いておくことがある。
「ちょっと……ハァ、まじで……ハァ……何……?」
「…………」
マスクの人は息を整えると小さな声で言葉を返した。その人が言うには自分はドクターといってロドスの指揮を執る人物らしい。私に用があって今日部屋を訪ねるとメッセージを送っていたらしい。私はメッセージを確認してなかった。ごめん。
「…………」
ドクターは私に沢山のオペレーターたちが助けられ感謝しているってことを伝えてくれた。そんな大したことやった覚えがないんだけど。ヤバ。今凄く顔が赤いかも。
そのことを踏まえてドクターは私にオペレーターとしてロドスの一員にならないかと誘ってくれた。私の力が、ロドスに必要なんだって。
なにソレ。マジで言ってる?私だよ?重い、重いって……断ろう。そう思ったんだけど。思ったんだけどさ。何でかちょっとここに来てからのことを思い出しちゃった。外に出る度いろいろあったけど。毎回誰かがこんな私を頼ってくれて。ありがとう。っていってくれた。その度にちょっとだけ私の心はあったかくなった。
もし、もし本当にこの人達が私の力が必要で。私の……私の中身まで受け入れてくれるんだったら……。
私の答えは決まっていた。ウタゲもいるしね。
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数日後。ドクターの執務室にドクターとエーギルの少女、キララがいた。今日は彼女のロドスへの入職日だった。
キララはドクターの前でぶっきらぼうにあいさつをした。
「……キララです、よろしくおねがいします。……えーっと、特に用件がないなら、もう行っていい?っえ、だめ?伝えることがある?」
「…………」
その日の夜、ロドスは寄港した先でキララの入職祝いを兼ねてBBQ会が開かれることになった。キララ曰くこんなにも落ち着かなくて、疲れながらご飯を食べたことはないと、またこれほど美味く感じた食事もなかったという。
これにてキララ入職日は完結です。お付き合いいただきありがとうございました。
キララが主人公の二次創作をシリーズ化することにしたので明日よりキララとソラとフィリオプシスアイドルユニット活動する話を連載します。