史上最強の弟子ケンイチ ダメージカンストRTA 作:内弟子虐待おじさん
仲間になった
早速お客さん、こと叶翔くんの相手をします。
それと同時に、潰した暴力団の施設のあった場所のうち荒凉高校付近のものは全てお花屋さんにします。
なぜなら
残りの土地は飲料&酒造メーカーを作成、超が付くほどの薄利多売商法で海外に酒を輸出しまくりましょう。
これも後で切り札になります。
会話の途中でメニューを開き『静動轟一』『不死身』を習得しておきます。
偶然最近使う人がいましたから、必要ポイントも比較的低いです。
……おっと、ホモくんは比較的天才寄りなのでスカウトされてますね。
なので返事を濁しつつ、最短ルートで購入した近くの空き地に行って組み手を提案しましょう。
ちなみに、今のホモくんの実力でも勝つ事はできます。
ですが、今回の最適解は『引き分け』です。
無敗であることを誇る彼は、実は負けることによるダメージがとても大きいんですね。
また、そんな彼は負けた相手への情も持ち合わせてはいません。
なので、『静動轟一』を使って互いのHP消費を増やして短縮。
ジャストガードより攻撃を優先します。
捨て身は殺人拳の極意、命を捨ててお前を殺す。
最後は反動技である『フライングボディプレス』を使い、相討ちしましょう。
……はい、お互い限界になりましたね。
なんか適当に武術談義でもしつつ、彼に『飛べない鳥の話』や『カラスのかしこさ』的な話などでもしつつ、回復したらバイクショップに向かいます。
この場所の『バイクショップ』は梁山泊に余裕があると逆鬼さんも通い詰めたりしますし、自由な校風の『荒凉高校』ならこれで通学できます。
なので、せっかくですから事業買収しましょう。
利益は出る確率の方が高いです。
……はい、バイクショップに着いたらオイルなどの話をしますが、ホモくんは年齢的にバイクに乗れません。
まあ、叶くんも本来ダメですが既に大型バイクを所持してます。
おいゴルァ、降りろ16歳(原作開始時)!免許持ってんのか!
(翼はあるけど無免許なんで)やべえよやべえよ……
サイドカーでも買うか、と提案してみましょう。
彼はノンケなので答えはYES。尻に当たるとキモいから男の二人乗りはNGだそうです。
というわけで違法運転に同乗して向かうのは闇に入りたい感じの悪い人たちのジム。
ですが実力が低いのに悪いことをしすぎましたね。
死んでいただきましょう。
……おっと、その前に一緒に飲み物や簡単に摘める菓子類を買いにコンビニに寄りましょう。
コレは梁山泊に預けていた
叶くんの観察力は今のホモくんと同レベルかそれ以上に高いです。
あの警察官はよく見てないから知りませんが、闘技場のモブですからそこまでないと思います。
なので、ちょっと距離を取ってお互い視界に入れないようにしましょう。
行ったか?……今度こそ行ったな。
今日のおやつは栗饅頭や!
とりあえず一緒に飲食して親交を深めつつ、全員ぶっ倒します。
翔くんの技が残酷すぎるので4倍速。
ホモくんの技も残虐なので4倍速、
……はい、ここでようやくホモくんが『道なき道』を歩もうとしている事を指摘されるので、選択肢は『死も生も特に重視しない』『友達を傷つけるのは嫌だ』『弱い人より悪い人の方が不快』『結果的に死んでもいい』『制裁を下すのは法がいい』『友達のため』を選択。
というか、『馬鹿正直』のデバフ効果で微妙な顔をされる選択肢となるコレしか選べません。
連打していると最後のチャンスとして拳聖様とお話しできます。
なので選択肢は『絶心流だ』『友達のため』『ぶっ殺す』
慌てて翔くんが止めて来ますが、なんとここで拳聖様の好感度が上昇します。
ここから先、弟子が出来たりしたら刺客として送り込んでくるらしいです。
……YOMIなどの施設も使用許可、ただしブラックリストには載せるため使用中に全てのNPCから攻撃されるらしいです。
つまり敵対しながら協力者になってくれるらしいですね。
なんなんだお前、マジでどういう事だよ。
最後の一撃をもって殺す相手とも接触したので、今回はここまでとします。
ご視聴ありがとうございました。
◇
「よっ!やってるかい、社長さん?」
「あっ、人殺しの目だ!お兄さんも刺客っすか?」
護衛も何もいない社長室に足を踏み入れるなり、かけられたのは妙に落ち着いた対応だった。
……神童だのなんだのと聞いてはいたが、どうやら才能だけの男ではないらしい。
恐らく、何度も殺し合うような戦いを経験している者だ。
「今、新しいビジネスの開発してるんすよ。とっとと要件を伝えてくれると助かるっす!」
「いや、『YOMI』のスカウト……っていうか社長なんだし美人の秘書とマッチョのガードマンくらい置きなよ。俺だったら……やっぱ置かないな。美人だろうと自分について来れない奴は邪魔だし、マッチョは多分ノロいから飛べないし。君って俺と似てるかもね!」
「『YOMI』は名前からして『闇』関連っすか?友達が被害に遭ってるから断るっす、そんな悪の組織」
初手から『悪の組織』とは随分な言われようである。
若干否定できない面はあるが、とはいえ彼は明らかに『こちら側』の人間だとピンと来てしまったのだ。
つまり、彼にこの誘いを断る選択肢など無いのである。
「ま、そういうかもって思ってたけどね。……でも君、俺みたいに強くなってみたいとか思わない?」
「なんでっすか?君より僕の方が強いと思うんすけど」
「ちょっ……」
──あっれれ、予想外すぎる答えが来ちゃったぞ。
流石にその答えは予想不可能で固まっていると、彼はリモコンを操作して何かを出してきた。
見れば、どうやらそれは社長室裏の隠しエレベーターである。
「……ヤクザを追い出して事務所を購入したんすよ。だから、こういうのは付いたままになってるっす!」
「うお……なんていうか、何から何まで予想外なんだけど」
「行かないんすか、空き地。こういうときのためにリングを準備してるんすけど」
かなり覚悟して来ていたが、何から何まで予想外のことばっかりだ。
最短ルート、だという滑り台に乗っかってから歩くと、案外すぐに空き地に着いた。
そこには一箇所だけロープで括られた区画があり、なるほど確かに『リング』と呼ぶにふさわしい場所だ。
「っていうか……この辺商業施設立つんじゃなかった?アンタ、なんでこの狭い土地だけ……」
「リングが欲しかったから買った感じっすね。……なんか、予定してたのがひっくり返っちゃったらしいっすけど。辺りじゃ『カラの一坪』なんて言われてるらしいっすね」
「うーわ、10億くらいの騒動になりそうだなぁ、ソレ。……ま、確かに悪くはないかもね。俺も久々に芝の上で戦いたかったし!」
何より、ここはよくカラスの鳴き声が聞こえるのがいい。
鳥に貴賎なし、嫌われ者のカラスだって、俺は大好きだったから。
「じゃあ、行くっすよ……まずは『逮捕術』で」
「へえ……じゃあ、俺は得意な『空手』で行こうかな」
笑顔になると、互いに向かい合う。
すると、まず最初に動いたのはアイツの方だった。
「逮捕術だし……多分使えるかもっすね、『静動轟一』……!」
「……え?」
だが、その行動はあまりにも意外。
思わず足を止めた瞬間に、飛んできたのは鋭い中段蹴りだった。
「うぐっ……!」
「っはは!まだまだ行くっすよ、『ブラジリアン柔術』……」
続けて、鋭いタックルからの投げ技。
俺はわざと倒れ込みながらの両足蹴りで顔に打撃を与えたが、しかし飛んできたのはまさかのダイビングフット・ストンプ。
……この技は、俺も知っている。
「最後は……『ルチャ』で決めるっすよ」
「っはは……気が早えんだよ……死ぬのはお前だ!」
続けて喉を狙ったヒジを受けたが、その逆方向から飛んできたラリアットに吹き飛ばされる。
目を閉じなかったお陰で危険を察して振り返ると、そこには飛び込んで首を刈ろうとしてくる姿が見えた。
……延髄斬り。
こちらもガードを上げたが、しかしあまりにも重い打撃につい両腕が弾かれてしまった。
全部の技が、まさにクリティカルヒット。
ガードの上からでも余裕で吹き飛ぶ乱撃を前に、忘れかけていた『死』がつい頭をよぎった。
「……まずっ……!」
「とどめの……『フライング・ボディ・プレス』……!」
上空から飛んできた体は、俺の体では受けきれずに地面に激突。
……動けない。
まさか負けたのか、と思っていると、どうやら彼も動かない事に気づいた。
「……トドメを、刺せ……」
「……生憎、体力を使い果たしたっすよ」
嘘だろ、とは思ったが、身じろぎ一つしない辺り本当らしい。
どれが原因だ、と考えれば、まあ確実に最初の『静動轟一』だろうと考えるほかない。
「……反動技だったんすねぇ、アレ」
「っは、当然でしょ。外と内から……同時に爆発起こしてるようなもんなんだから」
かなり短い時間だ。
口ぶりからして、恐らく逮捕術の使用者に『静動轟一』の使用者がいたのだろうか。
……どんな警察官だよ、と思わずにはいられない。
闇人にも警察官がいないわけじゃないが、しかし『静動轟一』は使わないのだ。
どうしてそんな事になっているというのだ。
まさか、技が盗まれたとでもいうのか。
「あの人は無反動で使ってたんすけどねぇ。やっぱり気の運用は難しいっす!」
「マジかよ……警察官って無能な奴らだと思ってたんだけどな。『闇』の正体にも気付いてたりして……」
「そのせいでキリコちゃんが狙われたんで、何も教えないっす」
──例のキリコじゃねえか。
幾度となく聞いてきた、『弁護士暗殺失敗』のニュース。
どうやら繋がりがあったらしい。なんなんだお前は。
ため息を吐きながら寝そべっていれば、余計に空が広く見える。
そうしてみれば、なおさらそんな自由に空を駆け巡る鳥たちが羨ましく見えるのだ。
「……はぁ。欲しいなあ、翼」
「翼なんて何に使うんすか?」
「いや……鳥みたいに自由に飛ぶ、っていうの以外に使う奴はいないと思うぞ?」
随分とズレた言葉だ。
この歳で旧財閥クラスの金を稼いだ天才高校生、なんて聞いた時はまあズレてるだろうと想像していたが、ここまでというのは予想外である。
翼は空を飛ぶためのもの。
それ以外のなんだというのか。
「……ヒクイドリ」
「……ん?」
「ヒクイドリを始めとした走鳥類は空を飛べないっす。でも『だからこそ』大きく進化する自由が残されていて、空を飛ぶ鳥はある程度の重さがあるとどうしても重力に逆らえなくなっちゃうんすよ」
空を飛べない、鳥。
確かにそういう存在が多くいるのも知っている。
だけど、それがなんだというのか。
「アンタ、意外と話が長くってわかりづらい奴だね?まあ、でも鳥の話なら別にいいかな!俺は虫の話は嫌いだけど、鳥の話は誰かと共有したかったから丁度いいや。……じゃ、今通りかかったしカラスの話も聞かせてよ」
「都会だしハシブトの方っすかね?……あの子らは意外と自由奔放な奴らじゃないんすよ。頭が良くて、空が飛べてて安全なんすね。だからこそ自由を捨てて『みんなに合わせる』集団形成を行う事があるんすよ。餌を取るタイミングまで人間のゴミ捨ての日に合わせてる、捨てられてた乾物を噴水で戻して食べる、ジャンクフードとかのポイ捨てが多い地域に群れを作る、みたいな賢いっていうか小賢しい事をやる個体もこの辺じゃ多く観測されてるんすよ」
「へぇ……都会っ子って案外、不自由なんだな」
自分が良い教育を受けている、という自認はあった。
しかし、それ故にこんな風にカラスにクローズアップしてみたり、外界での鳥との日常を知ったり、なんて事はできなかったのだ。
案外、彼との接触はいい刺激である。
「へえ……ハシブトっていうけどさぁ、ハシボソってのもいるの?」
「主にその2種類っすね、日本だと。……あ、アルビノ!珍しいカラスっすねアレ!」
「マジで⁉︎……マジだマジだ
ぐったりしてしまっていたが、お陰ですっかり元気になった。
一旦彼を振りほどいてたち上がると、俺はそのままカラスが飛んでいった方向へとバイクを走らせた。
免許もなければ、そもそもヘルメットは一人分しかない。
よって、俺にとっては珍しいカラスの方が優先だ。
「……知らなかったっすね。なかなかいないっすよ、アルビノって」
「ああ、確かに山にいた頃もなかなか……?」
「山でもそうそういないっすよね。でも、あの子足が黒くなってたっすよね。水たまりに浮いてた油の色合いからして、あのカラスは足にオイルがついていた。この辺だと多分ガソリンスタンドかバイクショップっすけど、ゴミ捨て場に近いのはバイクショップ……だからとりあえずその500m前のところでパーキングチケット取って止めるっすよ!」
……人間の速度制限は、一体何キロまでなのだろうか。
そういえば、日本の法律では『車両』が対象だったはずだ。
だから法定速度から10キロオーバーで走ってる俺よりも、彼の方が常識的であると言わざるを得ないだろう。ふざけんな。
「……っ!お前、随分と足が速いんだな……」
「そりゃ、これでもテコンドーやってる身なんで」
「マジかよ、すげえなテコンドー!そしてそんなテコンドーの源流になった空手ってもっとすげえよ!ですよね!」
「……誰と話してるんすか?」
危ねえ、どこで先生が聞いてるかわからないんだった。
もちろん一番が空手という考えは捨てないが、ここまで速く走られると流石にスピードだけはテコンドーが上だと言っちゃって良い気がしてくる。
……というか、俺はどうやってコイツと相討ちになったんだ。
「……あ、あの群れの形はリョコウバト?」
「マジで⁉︎……マジじゃん!」
だが、それよりもっと凄いものがあった。
……本当だ、確かに絶滅した筈の奴らが空を飛んでいる。
もしかして、日本の辺りとかでひっそりと増えていたのだろうか。
絶滅させられた筈の鳥の群れが、ひっそりと空を回るように飛んでいた。
「凄いっすね、一羽いると案外結構いるもんっすよ!」
「群れ……お前、ツイてんなあ!ますます気に入ったぜ!」
肩を叩きながらバイク屋に入ると、やはりさっきのカラスがいた。
どうやら人間慣れしているらしく、バードウォッチングと呼ぶには少し緊張感が無さすぎるくらいの距離で。
「……さっきの奴、やっぱりここか」
「建物が多くて、影もボイラーもあるからこの辺は夏も冬も生きやすい場所っすからね。人目が多いっすから、カラス嫌いの人でも目立つ真似はできないってのもありそうっすけど」
「カラス嫌いねえ……噂には聞くけどそんなにいるの?あとおじさん、このオイル純正品?……やっぱいいや、これ買うね」
話しながら手に取った缶を見つめると、思い切り『純正品』と書かれている。
……とりあえず、これで良さそうだ。
純正品以外のものはやめておけ、と何かで聞いたので、値は気にせずこっちでいいはずだ。
武術界でもそうだ。
『そのために育てられた奴』が、『そうでない奴』に負ける筈はない。
言うなれば、メーカー補償品と粗悪品どっちが良いかって話である。
──俺は絶対、前者がいいね。
「そうだ、この辺に悪い奴らが集まってるって噂のジムがあったはずなんすけど、帰りに潰さないっすか?……店主さーん、サイドカーとヘルメット。あとここのお店の経営権ってどれくらいっすか?」
「えー、どうしよっかな。……待って、二人乗り云々より凄いことしてない?」
だが、それはともかくこの男は面白い。
趣味も合うし、しばらく観察してみてもいい気がしてきた。
俺は自分のバイクに勝手にサイドカーが取り付けられてゆく様を見ながら、静かにほくそ笑んだ。
◆
「……不吉な気とぉ、知り合いの気が接触してますぅ」
「ふむ……『闇』が動いたというのかい?」
「いいえぇ……それにしてはぁ、もっと小さなぁ、
私が大仏を抱えたままだというのに、この子は随分と余裕そうに話す。
やはり弟子育成計画は間違いでなかったからこのままで行こう、と思わないでもないが、会話の内容は気になるものだ。
「ふむ、『闇』か……どう思うかね、剣星」
「どうも何も、上下に揺れるいいおっぱ……げふん。そうじゃないね、睨まないで欲しいねキリちゃん。どうも何も、梁山泊がないと判断してるんだからまだないね。あと盗撮なんてしてないね、ただ珍しい鳥がいただけね!」
「そうだね、まさかリョコウバト、それも群れとは……まだ絶滅していなかったようだね」
リョコウバト。
本来絶滅した筈の鳥が飛ぶ姿を見て、思わず感嘆する。
どうやら、この辺は珍事のオンパレードのようである。
「あいやっ⁉︎リョコウバトの群れ⁉︎さすがにおいちゃんも気になるね、どこね⁉︎」
「ただ、嫌な予感がする、というのまで無視するわけではないさ。……わかるね、梁山泊・おためしの0番弟子くん……」
「あっ、別の方から嫌な予感がしてきましたぁ。主に後ろぉ……」
その日、厳正な会議の結果『闇』の達人はいない、という結果になり。
同じ会議の中で弟子の修行量を4倍にする法案が提出され、賛成が過半数になったことより0.1秒で可決された。
なお、その際弟子から抗議があったため、『内弟子を人間としてカウントしない法案』も同時に可決された。
◇
「……あれ、女の子の悲鳴が聞こえたような気がする」
「気が合うっすね、具体的に言うと知り合いで不死身だった気がするっす」
「不死身……なら心配ないや。別に優しくするまでもなーいっ!」
とある「喧嘩ボクシング」とやらのジムの中、俺たちはリング上に勝手に椅子を置いて軽食を取っていた。
どうにも、やはりコイツのやり方は奇妙である。
「アンタ、殺人でも活人でもない感じがするね。……外道、って感じもしないし」
「殺人も活人もとくに重視しない流派っすからね」
随分と自由な流派だ。
ため息を吐いきながら、改めてリング上で彼と向き合う。
「じゃ、次やり合ったら俺が死ぬかもしれないってことだ?」
「これは流派的にも僕的にもなんすけど……友達は傷つけたくないんすよ」
そして、それは流派の特色、というわけではない。
どことなく、彼からは闇人のような秩序を感じないのだ。
「そいつが仮に自分より圧倒的に弱かったとしても?……不快じゃねえのかよ」
「昔から……弱い奴より、悪い奴の方が嫌いなんすよね」
活人拳らしさも、殺人拳らしさも。
善人らしさも、悪人らしさも。
……鳥らしさも虫らしさもない、不気味さがこの男にはある。
「へえ……悪い奴は死んでもいいって感じ?」
「まあ……できれば法的に死刑になった方がいいっすね。人がそれぞれ正義を主張し出して勝手に殺し出したらキリがないっす」
何より、勝手なように見えて妙な部分で理性的なのだ。
殺人拳、なんて呼べるものではなく、活人拳とも呼び難い。
コイツは一体、なんなんだろうか。
「……はぁ。じゃあ、俺がもしアンタを闇に誘ったらどうする?」
「梁山泊に『闇』が嫌いな友達がいるんで、逆に翔ちゃんをウチの道場に勧誘するっすね」
梁山泊。
幾度となく聞かされた、不吉な名前。
それを聞いた瞬間、俺は思わず緒方先生に電話をかけていた。
「どーも、緒方先生?聞いてくださいよ、コイツが全然応じてくんなくって……」
『ははは、本郷姓には頑固者が多いとも聞くからね。……ジョークだよジョーク。まあ、どうだい。ここは一つ、彼に電話を代わってくれないか?』
いくらなんでも、俺の師匠はここまでの頑固者ではない。
むしろ、頑固者っぷりなら槍月先生の方が上だ。
そんな風に考えながら、とりあえずケータイを投げ渡した。
「その方は緒方さんって人!一応コレって最後のチャンスだから、失礼な事は言わないでね!」
「わかったっす。……はい、お電話代わりました。絶心流跆拳道場、ないしAAAA財団会長の本郷盛明っす」
……なんて適当な名前の財団だ。
そう思って一瞬、止まったのがいけなかったらしい。
「……実験の手間?アンタ、お弟子さんで実験するつもりだったんすか?……キリコちゃんを襲ったのも……『恐怖』を与える実験?なるほど、そういう事だったんすか……!」
「……なんだかわかんないけどさ、一回落ち着いたら?」
どうやら、相当ヒートアップし始めてしまったらしい。
これはまずい、と電話を取り上げようとした。
だが、彼も一端の武術家だ。
俺の死角に回り込むようなステップで、電話を続行している。
『ふうむ、とはいえ、まさか又聞きの状態から1発で完コピしちゃうなんて……君で実験してみたいな!どうだい、私の弟子になるつもりは……』
「緒方一神斎……
「……ちくしょう!」
緒方先生にだけは言っちゃならないことを、言いやがった……!
「盛明ッ!テメエ、馬鹿野郎……自分が何言ったかわかってんのか!」
「やるべき事っすよ。今から、僕の人生はこの人に向けて伸びる道に変わったんすから」
『まあ、落ち着こうか翔。彼の武術家としての素質……それを最大限高めた上で倒すことは、恐らく武の世界においてかなりのプラスになる事だからね』
彼は気にした様子もない。
つまり、この時点でコイツの運命は決まったも同然だと言えるだろう。
──『拳聖』と呼ばれたあの男の手で、葬られるのだ。
『YOMIの施設を貸してあげてくれ。彼とは……いつか戦ってみたいからね』
「……はぁ。お前、マジでやらかしやがったな……」
この世界の闇への、宣戦布告。
ほぼ予備動作なしにそれをやってのけた存在を前に、俺は大きなため息を吐いた。
【岬越寺秋雨】
異名:『哲学する柔術家』
投げる、極める、締める、だけでなく当身まである実践柔術を教えてくれる柔術家。
武術家、師匠、医師、芸術家、といずれの面でも優秀な人物ではあるものの、ピーマンが食べられない。
【叶翔】
異名:『
『一影九拳』の技を全て受け継いだ後継者。
心の面で色々ダメになってると言われてしまったが、惚れた女を死すら厭わず護り抜いた男気は間違いなく強みである。
谷本くんとは割と気が合う仲だったらしい。
【緒方一神斎】
異名:『拳聖』
だいたいこいつのせい。
ラグナレクができたのも、龍斗が車椅子になったのも、翔が負けたのも、田中勤が復讐鬼に落ちたのも、龍斗がリッミリミにされたのも、まあ最後はともかく大体コイツのせいである。
弟子をモルモットかなにかと勘違いしてそうな奴。
梁山泊も大概だが、若干ニュアンスが違う。
【リョコウバト】
絶滅した鳩。
一年に一回しか卵を産まない。
私、50億羽もいたのに滅んでる。なぜ。