史上最強の弟子ケンイチ ダメージカンストRTA   作:内弟子虐待おじさん

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テコンドー 試合編

しゃあけど残念ながら慈悲がないわ!なRTA、はーじまーるよー。

有料地獄めぐりをすることになるケンちゃんと違い、こちらは無料で地獄めぐりができます。

火木日曜日に自傷じみた鍛錬を、月水金土に手の込んだ自殺をします。

手の込んだ自殺、手込んでる、手込んどぉ、テコンドー……

 

はい、そんなこんなで目力先輩(ホモくん)のステータスが十分になったので、次に行われるテコンドーの試合に出ます。

ちなみにこの大会は男女混合で行われます。……グローブとプロテクターがあるとはいえ、表の格闘大会としては珍しいです。

 

今大会は36人出場のそこそこ長めの大会となっています。

ホモくんは……はい、逆シードですね。

全試合に共通して言えることですが、ワンパンで終わってもスキルポイントが固定で50貰えます。

 

つまり、250の無料経験値がやって来てくれる……と最初は考えていましたが、今チャートでは200だけ、となります。

 

……えっ、あんだけ鍛えといて負けるのかって?

はい、負けないとチャートに支障をきたすのでしょうがないね。

 

しばらくはワンパン(キック)でガードごと吹き飛ばすだけの単純作業が続きますので……

 

皆 様 の た め に ぃ

 

……っと、キックー☆ほんへを流そうとしたところでもう片方が沸き始めましたね。

どうやら、あちらでも女子が勝ち上がってるみたいですよ。

テコンドーのクソ強女子、一体(なん)條キサラなんだ……

 

四倍速にしていましたが、彼女が3回ともKOを決めてくれたお陰で助かりました。

誤差範囲とはいえど、それなりに嬉しいことではありますね。

 

……っと、彼女との試合の前に準備です。

長期戦になるので修行による体調悪化が血尿でバレないようにトイレに行きましょう。

TKOになることがあります(1敗)

あとオモリも全て外しましょう。

決勝戦の後でボディチェックが入ります(1敗)

 

そして最後、なによりも重要な事があります。

NNJU(なんじょう)姉貴はとても『防御』のステータスが低く設定されたキャラです。

くれぐれも攻撃を当てないでください(1勝)

オートカウンターなんかは発動しないように願いましょう(3勝)

 

それから、防具もきちんとつけましょう。

外れたタイミングでハイキックを喰らうと下手したら失明します。

……まあ、私はそんなガバはしませんが。

 

攻撃は『ミドルキック』のダッシュ攻撃のみにします。

目力先輩(ホモ)特有のガバとNNJU(ノンケ)特有の反射神経により、基本空振ります。

……あ、数発危ないのがありましたね。

表面どころが仲間のスポンジまでもがド派手に千切れてます。

こんなものを人に向けて打ってはいけない(戒め)

当たったら逝クゾー!(デッデッデデデデ!)

 

……はい、ここでバステの『究極の馬鹿正直』『真っ向勝負』が発動。

真正面、絶好の位置で姿勢を低くしながら、大振りかつ全力で突っ込んでいきます。

 

ほい、ここでNNJU姉貴の迫真跆拳道奥義『ダブルトルネードチッキ』が炸裂するので、ジャストガードのタイミングで右ミドルを入力。

 

ダブルトルネードチッキの威力自体は高いですが、実を言うと体力が既に限界突破しかけてる彼ならば、実を言うとガードさえしていれば9回まで立てる威力となっています。

 

ですが、ジャストカウンターボーナス(×2)流派一致ダメージ(×1.5)初撃ダメージ(×1.5)に『暴れん坊』の被ダメージ2倍補正が合わさり、9倍ダメージで一撃で倒れることも可能となっています!やったね!

 

……ヘッドギア越しですが、ホモくんは完全KO。

2弾ヒットの技を打たせる事で『ド根性』の発動に対して保険をかけましたが、案外アテが外れましたね。

 

ついでに解説しますと、『ド根性』はHPが低くなるほど攻撃力が上昇する上に50%の確率で死ぬ攻撃を耐える、というスキルです。

修行してるとたまに発動する奴ですね。

 

ですがこのゲームは『敗北から学ぶ』というのが特色。

南條キサラに敗北した事で『対抗心』『観察眼』『フットワーク○』『軽業師』『格上○』『カリスマ○』という有用なスキルのコツを学び、また彼女にスカウトされました。

 

ここでメニューを選択し、今回の戦いから得たポイントで『カリスマ◎』を取得。

そのまま選択肢で『逆にスカウトする』を選択します。

……よし、楽しく話せたな。(スカウト成功)

 

今回はここまでです。

ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

久々に、最悪な気分での試合だ。

イライラしてついやりすぎてしまいそうになり、実際今のところ全試合KOしてしまっている。

 

「……くっ、本当に腹の立つ奴らだね。……私が女だからって!舐めてかかりやがって!」

 

──最悪だ、最悪だ、最悪だ!

次の試合の奴も全試合KOして上がってきた、とコーチは言っていた。

なんでも、ミドル1発だけで上がってきたんだとか。

更にはなんと、はじめて1年にも満たない初心者なのだとも言う。

 

──そのプライドも、粉々に打ち砕いてやる。

そんな理不尽ですらある怒りを抱えながら、噂の彼の前に立った。

 

……だけど、私はそこで思わず立ち止まってしまったんだ。

 

「……つまらない。つまらない……脆くて鈍くて軽くてつまんない……テコンドーは楽しいって言ってたじゃないっすか、ウォンリィちゃん……」

 

空虚。

目の前に立つ男からは予測していた『侮蔑』も、『油断』も、それどころが期待していた『敬意』や『闘志』も、『苦痛』や『疲弊』すらも……何も感じられない。

 

まるでつまらない授業を聴いている同級生のような、単純作業を繰り返している作業員のような、飽きた遊びに付き合わされる子供のような。

 

……まるで何もかもを諦めたかのような、空っぽの表情だ。

 

「……アンタ、一体なんなんだい……?」

「……南條って人っすか?じゃあ、壊さなきゃ……」

 

だが、試合開始のゴングが響いた瞬間にそいつは豹変した。

目は死んだまま。

活力はないまま。

 

ただ機械的に、殺人的な威力のミドルキックが飛んできたのだ。

 

咄嗟に腹に手をやれば、どうやら一撃でプロテクターが引き裂かれたらしい事がわかる。

……まるで馬にでも蹴られたような気分だ。

 

「……空振り?おかしいっすね、早く終わらせなきゃなのに」

「……っち、数ヶ月の蹴りじゃないね、こりゃ……もしかしてアンタ、今流行りのウマ娘って奴かい?」

 

もう一撃、左。

回し蹴りの要領で回って避ける。

右左右のミドルのコンビネーション。

こっちはバックステップで飛んで、少し大げさに避ける。

 

「……避ける……あれ?初めて見たな……こういうのを『人間離れした動き』って呼ぶんすかね?」

「……ッハ、光栄だね……ッ!……ハァ、そっちこそまるで『機械じみた動き』じゃないか!」

「まあ、別にいいか。どうせ壊れる……なんていうかテコンドー、飽きちゃったかもしれないっす」

 

初めて、彼の目に微かな殺気が宿る。

 

──突っ込んでくる。

 

今度は逆向きのコンビネーションだ、という事も、何故かわかった。

そして避けたら今度は単発攻撃に切り替えながらたまにコンビネーション。

避けられなくなったら一撃で仕留められる以上、体力の消耗が激しくたって構いやしないのだろう。

 

「早くぶっ殺さなきゃ……ブッ殺す」

「……ッチ、マジで殺る目してんじゃないかい、アンタ……!」

「ブッ殺す。ブッ殺す。ブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺す。ブッ殺す」

 

突進しながら放たれる、まともに当たれば即死しかねない攻撃の連打。

プロテクターの詰め物のスポンジが血飛沫のように飛び、舞い散り、床に黄色い斑点を作ってゆく。

目の前の男の危険度は、例えるならば大男が大型の刃物を持って臓物(モツ)を裂きに来ているようなものである。

ヘッドギアがあるから無意味だと知っているはずなのに、思わず冷や汗を拭おうと頭に触れてしまった。

 

だが、まさにその時だった。

 

「……ブッ殺す。ブッ殺す」

「……待てよ。臓物(モツ)……⁉︎」

 

バックステップとスウェーによる回避。

2回の攻撃を避けると同時に、ソイツが再び突っ込んでくるのが見えた。

 

──それを確認すると同時に、私は力の限り跳躍していた。

 

わかった。

コイツの弱点は。

……恐らく相当ミドル()()を突き詰めただろう、この怪物の弱点は。

 

「ブッ……殺す……⁉︎」

「ここでブッ倒れな……『ダブルトルネードチッキ』!」

 

上空からの、体重を乗せた全力攻撃だって事だ。

私の読み通り、殺気を溢れさせていたアイツは地面にワンバウンドしてから壁際まで吹き飛び。

 

そして、ついに意識を失ったのだ。

 

 

 

 

「……ここにいるってことは、負けたんすね」

「気がついたかい、本郷。……ああ、アンタの負けだよ!」

 

医務室のソファで居眠りしかけていた所、ソイツは案外早めに起きた。

下手したら病院沙汰かもな、と思っていたので、まあこれで一安心といえば一安心である。

 

「……なんなんすか、コレ。……生まれて初めて、誰かに負けたっす。生まれて初めて、やろうって考えてたのが!やれるって思ったのに、なんか全然出来なかったっす!……ああああ!本当になんなんすか、コレ!」

「ふん、それは『悔しい』って奴だよ!普通は初戦で経験するもんを決勝でやったんだ、得るもんはあったろう?」

「得るもの……そういえば、足を使って避けてたっすね。あの軽業みたいなのも重心を操作して……力の角度?……″悔しい″から強くなりたい。負けたくないってのもはじめて考えた……もしかして、強い相手と戦う時は常に相手の攻撃範囲から逃れながら隙を狙ったほうがいい?それだけじゃない、この子の話し方は何か快い感じがする。それも真似できたら生きるのも楽しくなるかもしれない……」

 

何か、やっぱり変な奴だ。

……ちょっとアドバイスしただけで考え込んだり、悔しがったり、また考え込んだり、褒めたり、また考え込んで……と忙しく動きはじめている。

 

というか、コイツはあの直撃で本当に大丈夫なのだろうか。

……もしかして、おかしくなったりでもしてしまったんじゃないだろうか。

 

とりあえず……仮にそうならば病院に連れてくとして、まずは自分のやりたいようにでもやってみればいいだろう。

 

「……アンタ、強くなりたいって言ったね」

「キサラちゃん、ウチの道場に来て欲しいっす!」

「っはは……いきなりだねぇ、試合の時のアンタみたいだよ」

 

……考えた事ではある。

なんなら、帰ったらコイツのジムを調べてみようとも思っていた。

()()()がいるジムに通い続けるのは、まあ精神的にも愉快なものではない。

というかそもそも、数ヶ月の初心者(シロオビ)をあんな強い奴に育て上げた師匠、というのも興味はあった。

 

「……アンタは、私に来て欲しいのかい?」

「……?そうやって言ったんすけど、もしかして聞き逃したんすか?」

「ははっ……いや、別にそうでもないさ。でも、男の中にもアンタみたいなのが居たら良いね……って考えてただけだよ」

 

──そして何より、私はコイツが好きだ。

 

実力で戦ってくれたコイツが好きだ。

本気で命を取りにきたコイツは信頼できる。

心底悔しがってた姿をカッコいいとすら思ったし、何より女だの男だのよく考えずに誘ってくるところなんて最高だ。

 

そしてこんなやつのいる道場なら。

きっといい道場なのだ、と確信を持って言える。

 

「自己紹介してなかったね、南條キサラだ。道場まで案内してくれるね?」

「自己紹介なら……本郷盛明っすけど、今から行くんすか?」

 

この後、私は後悔することになる。

怪物みたいなコイツを、すぐに信頼したことを。

覚悟も何もなく、道場に足を踏み入れたことを。

 

──何よりも、師匠(ウォンリィ)に出会った事を。

 

私は病室のベッドの上やトレーニングルームの中で、しばらく苦しみながら後悔することになる。




【南條キサラ】
異名:【第八拳豪・バルキリー】
ネコンドー。意味深じゃない方のネコ。
純日本人としてはめずらしいテコンダー。
作中では貧乳キャラで通っているが、よくよく考えたら彼女の言う通り日本人標準サイズはあると思う。
足の長さも東洋人の平均的な長さ。

天才タイプだが努力もしている強い女。
1/3も練習していない男とのスパーリングで手を抜かれて見下されていた、という悲しき過去あり。
猗窩座みたいなタイプのやつで、部下が沢山いるし割と部下に尊敬されてるっぽい。
技の三人衆の上司でもあったりした。

パワーを補うための案なのかブーツを武器にしてるので、なんかテコンドーってよりはサバット感がある。
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