史上最強の弟子ケンイチ ダメージカンストRTA 作:内弟子虐待おじさん
訴えたら114514軒くらい家が建てられそうな
今日は下半身を中心にやるので、腕立て伏せは1万回で切り上げるらしいです。
キサラちゃんは血を吐くまでトレーニングしたり内臓を鍛えられたり血尿がディフォになるまでホモくんや
心底かわいそう(小並感)
ですが
我慢して死ぬより酷い目に遭ってもらいましょう。
はい、とりあえず組み手は毎日
ちなみに活人拳なので
ホモくんには……ゆッ⁉︎
ど ぼ じ て 鎬 断 さ ん 出 る の ぉ ⁉︎
ゆっ、ゆっくりっ、ゆっくりっ、ゆっ……ゆっくりっ
……失礼、取り乱しました。
どうやら神童特有のイベで無から技を思いついたらしいです。
たしかに攻略本にも『弟子級で習得可能な技からランダムで』と書かれてますから
無からラスボスの技を思いつくとかバグかな?
いえ、よく考えたらバグを起こしに行くタイプのバグでしたね。
このクソ目力がよ……
本チャートでは忍術を組み込む予定は無かったので、混乱してスタイルを『ハプキドー』の方にしてしまいました。
投げ技は相手が受け身する限りクリティカルが出ない仕様なので、延々とキサラちゃんを投げます。
……はい、対応されはじめましたね。
この組手はガバ要素なのでオートで
キサラちゃんの綺麗な受け身を見て『受け身◎』『重心操作』『重い腰』のコツを思いつく神童の鏡なので即
今日はトレーニングがいらないくらい
ちなみに風呂もベッドも客室が一つしかないので一緒ですが、ケンイチ特有のご褒美イベントは
なので『投擲○』『受け流し』がついた理由は知りません(無知)
ランダムイベントだと思いますが、まあ誤差なんで別に良いです。
……お、朝から
どうも『気の解放』やら『制空圏』やらを教えてくれるらしいですね。
ちなみにホモくんは『すでに動の気を解放している』と言われました。
キサラちゃんも発動自体はしてるっぽいですね。
ですが、共に(静の気の)素質あるよ!とNTRみたいな事も言われましたね。
とりあえずは完全な形で『気の解放』をしつつ、その気の解放を高めるために組み手をします。
また、活人拳的な気質の気を流してもらうことで力加減しやすい状態にしつつ、まずキサラちゃんに手加減を教えます。
するとホモくんがソレを見て覚えます。なんで?(才能の理不尽)
慣れない手加減をしつつ
今回は2回とも勝ちました。
やめたくならないので風呂入ってさっぱりしましょう。
朝起きたらイベントが発生して日梅ニキも一緒に鍛えてくれるようになります。
今回はここまでです、ご視聴ありがとうございました。
◇
トレーニングはとても楽しい事なんだ。
だからね、最近やってきた女の子にも後遺症が残らない程度の筋トレと私が治せる範囲でたくさんの組み手をして楽しく過ごしてるの。
もちろん、内功を練るのも忘れないよ。
そうしないと、すぐに入院しちゃうからね。
「ふふふ……トレーニングは楽しいんだよ、キサラちゃんっ!」
「ゲホッ、ゴホッ……ゔ、ぁ……」
うん、キサラちゃんもとても楽しそう。
でも口から血が出ちゃったみたいだし、ちょっと潰れた肺とかを手術してから再開しよっか。
切れた血管を繋ぎ直し、ひび割れた骨をつぎ直す。
破れた内臓も、正しく繋ぎ直さなくてはなりません。
壊すのは簡単ですが、治すのはとっても大変です。
「うふふふ……すっごく楽しいんだよ!」
「ま、麻酔……ないん、ですか……⁉︎」
「
「ぎっ……ぶぃ?」
「あっ、限界なのに悲鳴をあげようとしたから声帯も切れちゃったんだよ!多分原因は最初からずっとはしゃいで叫びすぎてたからなんだよ!トレーニングが楽しいからって叫びすぎなんだよ!」
気さくな雑談も交えつつ、トレーニング。
この辺は盛明くんと同じなので、やっぱり誰とでも仲良くなれる才能が私にはあると思うのです。
そうでもなければ、こんなに楽しくおしゃべりなんて出来ませんからね!
「ふふ……完璧に治ったんだよ。じゃあ、
「……っは……そりゃ、数ヶ月で化け物になるわけ、だよ……」
キサラちゃんはやる気まんまん。
トレーニングと効いただけで武者震いが止まりません。
そうとなれば、私も応えてあげなくては。
──今日は、キサラちゃんのための特別メニューです。
「どうもっす!キサラちゃん、元気にやってるっすか?」
「……フン、これが元気に見えんのかい……!」
「口と鼻からしか血ぃ出てないし、元気そうっすよ?」
盛明くんの観察眼は私譲り。
大きなおめめでじっと見つめる姿がかわいくって、私もつい2人のトレーニング量を増やしてしまいます。
「うん、2人とも今日はそこまでなんだよ!……体は大丈夫かなだよ?」
「多分手の骨にヒビが入ってるけど、十本くらいだし特に問題無いっすよ?」
「ごふっ……問題だらけじゃないかい!先生、手術を……」
そして、キサラちゃんはとっても優しい子です。
他人の骨折の痛みを本人以上に感じ取れる、それこそまさに『優しさ』というものでしょう。
きっと彼女は、いいお医者さんになれます。
今日の組み手は、特別に心肺停止まで続けさせてあげましょう。
「腕立ては終わったし、骨折は別に問題無いっすよ?……あと、前から気になってたんすけど倍以上やってる師匠はなんで骨折しないんすか?」
「質問は一つにして欲しいんだよ。一つ目、組み手だからその前に手術なんだよ!二つ目、私はいつも全身を気血で固めているし、『
「あ、だから死なないんすね。わかったっす!」
やはり私は先生として優秀です。
もちろんお医者さんとしての″先生″もそうですが、″教師″としても優秀なんだと思います。
だって、キサラちゃんも盛明くんもとっても楽しそうだからね!
「ぶっ殺す!」
「こんな所で……死んでたまるかああああ!」
ほら、あなたも聞いてみて。
とっても楽しそうな声が聞こえるよ!
ここは、『絶心流跆拳道場』。
遊園地みたいに心躍る、まさにこの世の楽園なのです!
◆
「……うん、手術は普通に成功したんだよ!」
「大丈夫っすかキサラちゃん、心臓と肺が破けたって聞いたんすけど……」
目が覚めると、見慣れた病室にいた。
どうやら私は、さっきの組み手で心肺の両方を破壊されて負けたらしい。
そう聞いた瞬間、私の胸に走ったのは骨折とも内臓破裂とも心肺停止とも付かないような、そんな異質な痛みだった。
──この痛みを、私は知っている。
前のジムで、あの男に手を抜かれたと知ったとき。
その時にも感じた、ちょうど最近目の前の男に教えてやった感情だ。
「……やっぱ、悔しいもんだね。見事なカウンターとはいえ、一撃くらい耐えられると思ったんだけど」
「そう言うと思って、
「……気血?」
なんだか知らない用語が出てくる。
いつものこととはいえ、やはりこの男が知っていることを知らないのは悔しいので先生に目配せしてみた。
「うんっ!気血は体内を巡っている『力』みたいに表現するものなんだよ!キサラちゃんも盛明くんも天才だから、攻撃されると無意識のうちに使っちゃってるっぽいね!」
「へぇ……つまり、私は腹筋に力を入れて耐えたと思ったけど、実際は全く力の入ってない腹を打たれてたってのかい。そりゃあ確かに死ぬねえ……」
「……『気の掌握』ができればなんて事はないような小技だけど、気を重視しない流派だと『達人級』でも対処できない人がいたりするんだよ。『掌握』は努力していれば才能がなくてもできる技とはいえ、キサラちゃんのトレーニングはどんなに頑張っても倍までしか増やせないんだよ……だからできるようになるまでみんなで組み手をするんだよ!」
なるほど、確かによくわかる。
どんな攻撃だろうと受けた時点で明確に『
だが、コイツの場合はそれを無視して攻撃してくるのだ。
確かに大変だが、何かそれ以上に大変な事を言われた気がする。
「えっ、組み手を倍にするって言いましたか?」
「大丈夫なんだよ!死にたくても死ねないんだよ!」
「ああ……」
最初の方は叫んだりなんだりしてたが、どうにも人間は本当に絶望したら悲鳴を上げられなくなる生き物らしい。
その後の組み手で私は打撃技を警戒していた矢先の投げ技に翻弄されつつも、猫足立ちからの
死と隣り合わせの日々にため息をつきながらも、冷や汗やら血やら脂汗やら肉片骨片を流すべく風呂に入っていた。
まさにその時、突然ドアの開く音がした。
「あ、キサラちゃん。先入ってたんすね?」
「……うわあああああ⁉︎」
思わず持っていたタライを投げつけるが、彼はそれを左手のみでいなした。
相変わらずのジャストガードである……が、問題はそこじゃない。
「な、な、ななな……なんで入って来てんだよ!」
「9時には寝たいんすよ。……良いフォームっすね。色々な道具の形の考慮、筋肉の使い方……椅子から立って踏み込んで投げていた。反動?そういえば腹筋の時に反動を付けるなって言っていた。つまり、反動をつければ楽になる、言い換えれば反動も本来の動作も同時に行えば強化……全身の筋肉の連動。重要なのは肩と正中線の安定……わかったっす!」
「冷静に分析してんじゃないよ!」
手当たり次第に投げつけるが、目の前のコイツはそれらを全て受け流しては使い、あろう事か普通に頭を洗いやがる。
……ちくしょう、もう弾丸が尽きやがった。
コイツの異常行動はいつものことだ、もう諦めるとしよう。
「……キサラちゃん、結構良い感じに筋肉ついて来たっすね。前に見た時より絞られた感じがするかも」
「ハッ、そりゃあ死ぬほどこってりと絞られてるからね。今じゃコンクリートブロックどころが鉄骨だってぶっ壊せるように改造されたよ……」
「わかるかもしれないっす。鉄骨ってすぐ壊れちゃってつまんないっすよね」
コイツの気持ちがわかる日は来ない気がする。
勝率は今のところ30%くらいだが、しかし鎬断なんていうのを生み出された以上はもっと下がるかもしれない。
……私も、上手いこと対策を考えねば。
「……はぁ、楽じゃないねぇ」
「なになに⁉︎なんか
「っはあああああああ……!アンタのことだよ、馬鹿野郎……!」
そうだ、それなら明日はいっそアイツの『気』とやらを閉じ込めてやったらどうだろうか。
私は『鎬断』の一足早い攻略法を考えて持って来ていたノートに書き込みつつ、一つ伸びをしてベッドに入るのだった。
◇
「……それは、虐待ってモンだろのぜ!」
「違うんだよ!トレーニングは楽しいんだよ!」
「常識的な範囲を考えた場合はなのぜ!お前のは死ねってのと変わらないのぜ!」
「手術で治るから死んでないんだよ!ボクは後遺症だって残さない名医だからね!」
道場の様子を見に来た俺は、早速姉と口論になった。
理由は、あまりにも過酷なトレーニングである。
自分のもそれなりに厳しい方だと思っていたが、しかし姉のソレはもはや拷問を通り越して処刑だ。
これについては殺人拳の自分が言うのはおかしいと思われるかもしれないが、まあ言わざるを得まい。
床に置かれた飯を食いながら口論していると、帽子の少女がため息をつきながら最初に立ち上がった。
「しっかし、アンタの『アレ』は一体なんなんだい?」
「アレってなんの事っすか?」
「試合の時のアレさ。ブッ殺すブッ殺すブッ殺す……って奴。多分、他の奴にやったら育ちが悪いと思われるだろうね」
「育ちはそんな良くないし、死会で何言ったかなんて覚えてないっすよ?」
その話を聞いては、黙ってなど居られない。
……活人拳であると見込んで姉の元に預けたのに、心の奥底まで殺人拳に染まり切ってしまっている。
ソレどころが、おそらく彼は『動』の気を自力で開いてしまっているのだ。
天才だと思っていた。
天才だと思って、警戒はしていた。
だからこそ、準備もしていた。
「……とりあえず、今日は俺が教えたいんだのぜ」
「気分転換ならいいんだよ!たっぷりトレーニングさせるんだよ!」
今日のところはまず一つ。
……彼らの組み手を見て実力をチェックしようと、姉貴を連れて道場に行った。
まさに、その時だった。
「ブッ殺す!」
「まだ死ねない……アンタを超える、その時までは……殺されたって死なないよ!」
──弟子級、それも気の解放を済ませてない者。
そんな話を聞いていたが、とてもじゃないがそうは見えない。
……ここにいるのは、死ぬ覚悟と親友を殺す覚悟、その二つを決めた殺戮者2人。
この戦いは、人の形をした猛獣同士の共食いだ。
「ブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺すブッ殺す!」
「シャー……フゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!ニャッ!」
同じ動の気、同じテコンドー、同じ年齢に似たり寄ったりの体格。
確かに似てこそいるが、戦えばその違いは歴然としている。
倒すために頭を狙う南條。
極めるために胴ばかり狙う盛明。
回避しつつ四方八方から殺す南條。
ガードしつつ正面から殺す盛明。
「ブッ殺す……
「ニャフゥゥゥ……
「なっ……『気の掌握』をしてるだとのぜ……⁉︎」
……制したのは、南條だった。
『鎬断』発動のタイミングを突進でずらしながら気を放出する事で、彼の体内で気を炸裂させて自滅に追い込んでいる。
確かに見事な技だ、と感心したのも束の間、地面に倒れ込んだ彼の頭部に踵が振り下ろされた。
しかし、倒れたはずの彼もソレをあっさりと受け流して見せる。
「あれ……本当に組み手、なのぜ?」
「ニャ……アアアアア!」
「ブッ……殺す!」
──待て、まだ続けるというのか!
倒れ込んだ姿勢のまま彼女の腰に一打を加えた盛明と、交差するように彼の胸に爪先をめり込ませたキサラ。
どちらも動かなくなったが、しかし重症なのは盛明だ。
「うん、キサラちゃんいい動きだったんだよ!盛明くんもかなり惜しかったよ!……ってわけでほい、手術完了だよ!」
「姉さん……これを毎日やってるのかのぜ?」
「……っはあ、1日で対策されちゃったっすね……また新しいやり方を考えなきゃっす」
「ふん……ならそいつも1日で攻略してやんよ!私は実戦で強くなるタイプなんでね!」
あまりにも、さわやかな会話。
ソレを聞いた時は背筋が凍るのを感じた。
生も死も、もはや何とも思ってないみたいな態度なのだから。
姉の手で作られた食事を食べながらも、確かに確信していた。
恐らく……姉は、活人拳から外道に堕ちようとしている。
「……とりあえず、2人はこれが終わったら来いのぜ」
「
「はい、わかりました!」
ならば、やるべきことは一つだろう。
直ちに2人を正さなければ。
食事が終わるなり建物の影に2人を呼び出すと、直ちに俺は制空権を発動した。
「100キロだかの重りも外して楽な姿勢で聞いてほしいのぜ。……まず、これを見てくれのぜ」
「その丸いのっすか?」
「なんか盛明のとは随分形が違いますね。綺麗な丸になってる……」
どうやら、その段階には既に来ているようだ。
安心して今度は『動』の気を発動する。
「……これはわかるかいのぜ?」
「なんか……すっごく楽しいときのキサラちゃんみたいっす!」
「殺すしか言わないときの盛明のモノマネですか?」
どうやら、2人とも既に中途半端ながら身につけていたようだ。
だが、動の気はその段階が最も危険だ。
すぐさま、今日にでも身につけて貰わなくてはならない。
「どっちもハズレだぜのぜ。正解は……」
殺人拳から活人の道に進んだ自分だからこそ、できる技。
動の気による『活人拳』への更生なんて、軍部のミッションでもトップの難易度だ。
──でも、姉の悪事の責任は唯一の肉親がとるぜのぜ。
「……キサラちゃんはまず、猫をイメージするのぜ」
「わあああっ⁉︎私は別に猫好きじゃねえ!……ですよ?」
「……いいから想像しろのぜ。『虎に食われそうになってる子猫』をよーく想像してみろのぜ」
慌てたせいなのか敬語が崩れているが、育ちも良さそうだし基本的には良い子なのだろう。
彼女は言われた通りに想像したのか、何やら既に気を暴発させかけている。
「……その虎を。『お腹が空いて仕方がなく近くにいた子猫に手を出してしまいそうになった虎』を想像しながら、技を繰り出すんだのぜ」
「シャっ……ふニャ……シャ……っ……」
すると、言われた通りにイメージしたのか少し躊躇った後に、威力を十分に弱めつつも速さ、鋭さ、正確さは変わらない
それと同時に彼女の目に、わずかに涙が浮かぶ。
……どうやら、あの組み手時の動きからの分析は間違ってなかったらしい。
「やっぱり、猫好きの優しい子だと思ったのぜ。次、盛明くんは……」
「……なるほど。確かにああやった方が連続で遊べて楽しそうっすね」
だが、彼には最早必要なかった。
彼は既に、自ら『手加減しようと思うこと』を学んだのだから。
なら、あの天才っぷりを見せた彼が手加減できない道理などない。
「……じゃあ、早速2人で打ち合ってみろのぜ」
組み手。
実戦で手加減できるかを試すには、ソレが一番いいだろう。
「わかりました、師匠。……いくよ、盛明。私が勝つ」
「じゃあこっちも行くっす。……あと、今回は僕が勝たせてもらうっす」
開始と同時、2人の目が爛々と輝き始める。
確かに戦闘スタイルは同じだ。
ほとんど変わってなどいないし、むしろ『制空圏』や『気の操作』を習得したせいで激化すらしている。
でも。……だけど。
「っはは……これで決めるっす!」
「ぶっ……クソぉ!夕食後にもう一回やるからな!」
まるでゲームでもやるみたいに、2人は笑顔でテコンドーができるようになった。
少なくとも今は、ソレで良しとしたい。
「いいけど……僕はいつでも本気っすよ?」
「ッハハ、いいね!そうだよ、だから私ゃアンタが好きなんだ!」
「そうなんすか?僕もキサラちゃん大好きっす!」
だからこそ、この幸せは自分の手で守り抜きたい。
例え……自分自身が地獄に落ちるとしても。
──繰り返し言うけど、肉親の悪事の責任は俺が取るんだのぜ。
◆
「んー、やっぱ街だとそんな星見えないんだよ。……見てよ、日梅。扶餘にいた頃はもっと見えたのに、東京は星が少ないんだよ。まるであのビルが星を閉じ込めてるみたいなんだよ。恨むならこの国のザイバツを恨むんだよ」
姉さんは、いつもどおりの笑顔だった。
……思い返せば、いじめられていた俺を庇って大怪我をした時だって笑っていた。
もしかすると彼女なりのポリシー的なものなのかもしれない。
だが、よく考えれば俺はその理由を一度だって聞いていなかった。
「……謝りたいことがあって呼び出したんだぜのぜ、姉さん」
「謝らないでいいんだよ、日梅はボクの弟だよ!」
ずっと、そうだった。
自分1人で抱え込んで、誰が知ることもなく
誰よりも無責任に責任を背負い込むのが、俺の姉だった。
「……姉さんがおかしくなったのは、家族がみんな死んだせいで」
「私の腕だと死人は治せなかったからなんだよ。……にしてもさすがボクの弟、家族の死因をうっかり間違えちゃう姿もかわいいんだよ!」
「……死ぬ以外の怖いことを全部忘れちゃったのは、友達が死んだせいって聞いたんだのぜ」
そうやって、きっと大きな負担と小さな破綻が積み重なって……
多分、それで姉さんは壊れてしまったのだろう。
「あの子たちの稽古には、明日から立ち合わせてほしいのぜ」
「いいんだよ。ハプキドーもまたテッキョンの派生、テコンドー家の2人が習うのはむしろ自然なんだよ!」
姉さんが心に負った怪我は、きっと姉さんがもう1人いたって治せない。
即死を治せる姉さんに無理なら、もしかすると『アキサメ』とかいう名医を呼んだって無駄なのかもしれない。
でも、せめて。
また彼女が普通に生きていけるようになる可能性が。
彼女が心から笑えるようになる可能性が、少しでもあるというのなら。
「……姉さん、話は変わるけどザイバツの人でも流石に星は買えないのぜ」
「ええっ!じゃあさんかく座は『憎いザイバツ』の植民地じゃないんだよ⁉︎さんかく座にすむ宇宙人のみんなはもうなにを憎めばいいんだよ⁉︎やり場のない復讐心は虚しいだけなんだよ!目に映るもの全てが憎いね!ってなって奪い合いは醜いね!ってなるんだよ!」
「別にあの会社も本気で憎まれてはいないし、ザイバツはとっくに解体しただろのぜ……あと、宇宙人はいないって何度言ったらわかるのぜ」
「嘘なんだよ!宇宙人はいるんだよ、ちなみにランドセル背負ってニージマって名札付けてたんだよ!」
「それは多分ただの日本人の新島くんなのぜ」
俺は絶対、その日が来るまで諦めたりはしない。
そして絶対に、彼女に誰かを殺させたりもしない。
俺は活人拳の、この人の弟なんだから。
姉に代わって、俺が活人拳を執り行うのぜ。