史上最強の弟子ケンイチ ダメージカンストRTA 作:内弟子虐待おじさん
ヤクザを殴った金で猛獣を飼うRTA、はーじまーるよー。
前回連れてきた猛獣ですが、まあ実は動物と一緒にトレーニングするのは割とスポーツ界ではある事です。
サッカー選手が愛犬とプレイしたりしてますよね。
なので動物たちにも格闘技の動画を見ただけでコツを掴んだホモくんからの指導が入ります。
え?動物に技術は教えられないって?
闘忠丸、はい論破。
武器を選ばずに使いこなして数で勝る筈の猫をもその手で倒すネズミ、彼はまさに
というか
BBの数だけ技が増えるタイプなんでしょうかね。
なんというか、天才に作ったホモくんと天才の対義語であるケンちゃんが同じようなことをしているのは奇妙な偶然ですね。
あと、動物ごとにそれぞれ違う武術適性があります。
大丈夫、
本能的に他者を傷つけたがらないゴリラには神武不殺の『逮捕術』、拳を作れない虎には掌底で戦う『骨法』、手のないヒクイドリには手技のない『カポエイラ』を教えましょう。
カポエイラの逆立ち蹴りとかは首でやるらしいです。強いなお前。
ちなみにですが、適性のない技を覚えさせても一応戦えるには戦えます。
ゴリラに自分も相手も傷つける技の『ムエボーラン』を覚えさせても(心を殺して)戦うことはできますし、ヒクイドリに手技ばかりの『ボクシング』を教えたら頭と翼で普通にやり始めます。
虎も『空手』とかやりますよ。正拳突き以外はだいたい使えますから、兼一よりも翔に近いスタイルで固定になりますが。
とりあえず習いたての武術を振り回してくる彼らとスパーリングをします。
ちなみに普通に当たると死にます(14敗)
一撃一撃の威力が素人の段階で既に弟子級じゃ手に余るレベルですからね。
多少かじった瞬間から弟子級最上位レベルの戦闘力になります。
安全なのはゴリラだけ、かと思いきやコイツも全身触れただけで破壊できるパワーの持ち主です。
はい、
ゴリラからは相手のスタイルがわかるようになる『森の賢者』と相手の精神系スキルの発動率を下げる『ドラミング』、ヒクイドリからは噛みつきの威力が上がる『火喰い鳥』と20%の確率で蹴りが斬撃属性のクリティカルになる『鋭利な鉤爪』、そして虎からは動の気を持つ相手にガード不能ダメージを与える『不倶戴天・虎』をもらえます。
……お、ホモくんのポイントが溜まり始めました。
では『地下闘技場』に乗り込んでやりあってみましょう。
その前に下準備、動物たちやキサラちゃんとの戦いで得たポイントを振り分けます。
『静の気』の方も『開放』しつつ、『受け身◎』『格上◎』『対抗心』『森の賢者』『不倶戴天・虎』を次々に取っていきましょう。
……お、余りましたね。
じゃあ投げ技を使ったときの事故を減らすためにも、そろそろ『改心の投げ』を習得して『確定』を押します。
コツなしなのでポイントはやや多いですが、まあ事故を防ぐための必要な犠牲ですね。
そして前回買った『リングシューズ』はここで使えます。
靴があってると機動力が上がるので、積極的に使って行きましょう。
地下闘技場ではファイトマネーがかなりの額出ます。
なので、実は『この先』のために使えるんですね。
1戦目は基本的にパワー系が出てきます。
スタイルは大振りの攻撃が多い『喧嘩』なので、とりあえずミドルを連発してぶっ倒しましょう。
それ以降はとりあえず出来るだけ武器のない奴を倒してポイントを稼ぎます。
ファイトマネー的には武器アリの方が良いのですが、たまに『ファンネルレーザーカノン』とかいうトンデモ武器を持ってる奴がいます(1敗)
その分強い奴にしたら経験値とかがいいので、そうしましょう。
モブは外見使い回しで始まるまでスタイルがわからないので、知らない攻撃を喰らい怯みでロスする事があります。
だから『森の賢者』を取る必要があったんですね。
96戦目のコイツらは全員ボディ打撃無効のボディアーマーを纏ってますね。
せっかくなので一番強いやつを選択。
スキル欄はよく見えませんが、『スロースターター』が付いているので早く終わりそうですね。
と言いつつ焦っててよく見てないので、『柔軟性』も『タフネス』も最高値の奴を間違えて選んでしまうガバをしています。
まあ最速で倒せばリカバリー可能です。
そういう相手はミドルじゃ倒せません、スタイルを『ハプキドー』『逮捕術』『柔道』『クラヴマガ』『古流柔術』『ブラジリアン柔術』『レスリング』とさっき習得したスタイル含めた戦法で切り替えて削りつつ、最後は『骨法』の『徹し』……でも相手の『ド根性』が発動してダメだったのでトドメは次のスタイル変更で出てくるルチャの技で決めましょうか、発生の早い『フランケンシュタイナー』からの『エルボードロップ』でいきましょう。
……あ、今度は『不死身』が発動して殴り返されましたね。
この『不死身』はHPが0になっても15秒間戦える、というものです。
なお、兼一くんは上位互換の『史上最強のタフガイ』を持っています。
こっちはHPが0になるとHPが全回復して15秒無敵になる、というブッ壊れスキルですね。
ちなみにホモくんの場合、HPがゼロになるまでが長すぎるッピ!なのでいずれも採用しませんでした。
ちなみにどちらも15秒間何しても無駄です。
ガー不技の『鎬断』を持った闇のモブが『不死身』を持っていたりしたら、コントローラーを捨てて指のマッサージをしましょう。
死ぬ時は死にます、じゃけんあきらめましょうね(2敗)。
『静動轟一』『流水制空圏』『塊・鎬断』『分身』『音速の警棒』『転げ回る幽鬼』『足印相:刳手の印』『数え抜き手』『ねじり貫手』『印相:蹴合の印』『地獄で遊ぶ天女』『鶚落とし』『マハー・シヴァー・キック』『脳天地獄蹴り』『地中投げ』『フランケンシュタイナー』『死の行進』『兇叉』『無影手』『九撃一殺』、と結構ボコボコにされましたが、時間切れまでに削り切られないのはわかってたので大丈夫です。
だって無事『ド根性』2回も発動したもんね!(計算ガバ)
……素直に反省しましょう。
原因は相手の投げが一度クリティカルだったこと、そして最後に油断して太い一撃を叩き込まれたことですね。
やっぱりガバガバじゃないか。
編集中に気づいたのですが、なんか闇の技ばかりですね。
もしかすると、闇に関わってたのかもしれません。ストーリーはスキップしてたからわかりませんが。
強者もこれ以降出てこなかったので倍速。
……はい、乱入してきたのを倒してついに99勝目ですね。
100回目には『妙手』が出てくるようになります。
安定を取るならここでやめておきましょう。
ですが、本ルートはミドルを超強化しているのです。
『ミドルキック』は妙手以上になった白浜兼一以外の妙手なら確定3発の威力です。
よって効率がいいので、死ぬ気で回避しながら当てましょう。
ちなみにですが、相手が妙手版白浜兼一の場合は普通に倒されます。
だから基本的にアイツが妙手になった時点でここには行かないようにしましょう、プログラム上勝っても進行できるのに今のところ世界中で勝てた人が一人しかいないです。
[【拳聖6文字】白浜兼一殺す【デデンッ】#あんリミでっと配信]
というタイトルのとあるVさんの生配信アーカイブ動画がありましたが、倒すのにかかった時間は負け続けた前置き時間抜きでなんと4時間19分56秒。
防御貫通ダメージ+クリティカル+弱点攻撃を連打することでなんとかして倒した筈なのにムービー入って美羽さんの声援などで復活、をなんとスキル含めて3回もされた時は絶望のあまり悲鳴すら出ないほど殺伐とした配信でした。
最後の方は「
まあ彼女も共犯、応援して残機を増やした罪は重いです。
とはいえ、あのVさんは凶暴すぎましたが。
ちなみに、ウィキ情報ですが、あの彼を倒せた時の投げ銭金額はプラチナのエンブレム10個分にも達したらしいです。
まあ、あの過酷なデスマーチを考慮すると適正金額ですね。
ついでに補足すると、白浜兼一を倒すのにかかった(勝った試合だけの)タイムは女子競歩50kmの日本記録と同じです。
マジで気持ち悪いタフネスしてますね、本当にコイツはホラーです。
いい加減にしろよ
……おっと、100回目で『ネームドライバル』が登場しましたね。
ですが、最初の『ネームドライバル』は実を言うと確定しているんですね……
もるっとした丸顔に覆面ヘッド!
だらしない贅肉プロテクター!
レスラー特有のレオタード!
ミートマンだあああああ!
はい、今回は弟子級上位に位置する3人で挑んでやっと倒せたあの男とやります。
今回は妙手に上がったばかりらしいですが、とはいえ強さは健在ですね。
彼のスキルには打撃への防御力を10倍にする『ぜい肉アーマー』と気血と内功による確定ジャストガード能力『受けの凄み』があります。
だから『不倶戴天・虎』によるガード無効攻撃と『鎬断』の気血無効&封印を使う必要がありますね。
その上で根性の最高値である2倍が乗り、『格上◎』の効果でさらに2倍となりますので、流派一致と初撃ボーナスを上乗せします。
……えっと、多分13.5倍くらいだと思います。
素の威力が
『鎬断』を発動させながらミドルキックを打ちます。
おわり。
え、せっかく出てきた原作キャラの戦闘シーンはあのミドルキック一発なのかって?
はい、1発で終わりました。
2回起こったガバが偶然ミートマン撃破の理論に合致していたため、今回は実証動画的なものも兼ねて闘技場に寄った訳ですからね。
もし単発で出すとしたら『ミートマンを1乙はできる⁉︎やり方、100連勝特別アナウンスについて』みたいな感じになるでしょう。
まあ、ヤクザを殺して回るより拷問タイムがない分か闘技場は効率がいいんですよね。
だってアレ、たまに
その場合、誤って殺してしまうことが多いので非常に困ります。
つまり今回は安定するルートでもあるんですね。
通称・『捕虜への条約違反事故』が起きません。
次の相手は全員『静の気』だったのでここで連勝を中断。
現金輸送車に乗せてたら偽の警備員に盗まれそうな額ジャストのファイトマネーを受け取り、不動産屋に向かいつつ一旦セーブします。
今回はここまでです、ご視聴ありがとうございました。
◆
私の朝は早い。
普通はスズメや鶏の声で起きたい所だが、この道場ではそうもいかないのだ。
「
「……うっさいよ、
「ふぁああ……朝っすねぇ、やっぱ鳥ってみんな早起きなんすか?」
絶心流跆拳道場内弟子の朝は、いずれも世界一醜いと話題の鳥の鳴き声で始まる。
そして自分の朝食より先に眠い目を擦って
「この子、出産はソウルらしいぞのぜ。やっぱり韓国にも虎はいたんだなのぜ!」
「……なら飼育下にあったんだと思うんだよ。この子は脱走して野良に帰っただけっぽいんだよぉ……ふぁあ」
そういえば、最近になって月李さんが常識的なことを言うことが増えたような気がする。
この人も3歳くらいまでは普通の子供だったのだろうし、だとすればおそらく根は普通の人なのかもしれない。
……いや、そう思うのは隣の非常識どもを見て感覚が麻痺してるだけかもしれないが。
「
「
「|ギッギッ。ギーコギーコギャッギギーコ。……ギーコギャギャギャ《ははっ、いいじゃねえかよ。……やっと俺らにできた居場所なんだ》」
コイツらは本当になんなのだろうか。
……最近部屋でスポーツの動画とか見てるし、というかなんか異常な動物ばっか集まってる気がする。
最初は可愛いからってOKしてたけど、流石に限度があるだろう。
「アンタ、そいつらと最近何やってんだい?」
「なんか『教えた方も成長する』って聞いたから逮捕術とカポエイラと骨法を
「……どおりで五月蝿いわけだ。ま、上手くいったら私も混ぜておくれよ。特に骨法ってのには興味があるからね」
横でバーベルを持ってトレーニングをしながら観察していると、突発的な行動ばかりな彼にしては意外と動物をしっかり見て考えている、という事がわかる。
例えば、虎の骨法は『元からある必殺の武器』である爪だけでなく、本来苦手である高い場所からの攻撃にも対応できる『立ち技』だ。
拳を作ると手を斬るから掌打なのもいい。
それに、『不動打ち』のような一見軽く見えるラッシュも、虎がやれば殺意を込めて脳を抉り取る連打に変わるのだ。
『あびせ蹴り』も人ならざる体格から繰り出されれば無論必殺技となるし、『徹し』は肉球を武器に変える必殺技だ。
虎の体は正しく、骨法に特化してるとさえ言えるだろう。
「……案外、アンタも考えてるんだね。今まで考え無しで生きてると思ってたよ」
「ふっ……なんすか?こう見えて……はっ!……事前にっ!考えてるんすよ人生!とりゃあ!」
……とはいえ、流石に技量差は埋まらない。
元より野獣じみた運動神経と身体能力に技術まで併せ持ったアイツを前に、いくら世界最大のネコ科動物とはいえ流石にKOされてしまったようだ。
「
「……っ、しっかしコイツの煩さは慣れないねえ……」
今度はヒクイドリのアクアだ。
コイツはカポエイラを習っているらしいが、正直言って恐ろしい事この上ない。
正面から一撃で人間を蹴り殺せるヒクイドリが、さらに変幻自在で高威力の蹴りを持つという事。
それは例えるなら、斧を持ったハリケーンみたいなもの。
予測もしない所から頭をかち割られるって意味になる訳だ。
「
「オラオラオラオラオラァ!……っへへ、隙ありっす!」
とはいえ、それは『制空圏』を持つ者でなければの話。
同じように足だけで全角度からの即死攻撃に対処した彼は、二段蹴りを打った無防備な胴にミドルキックを叩き込んだ。
──まずいな、こうして見てる間にも成長しているじゃないか。
「
「ウッズ。……割といい奴だよねぇ」
ちょっと乱暴な口調らしいが、行動の端々に優しさが滲み出るメスゴリラのウッズ。
だが、その優しさ故に彼女は『逮捕術』を身につけたというのだ。
当て身は無論必殺の威力だし、投げ技も抑え込む技と連携しているのが逮捕術。
つまり、一撃食らったら負け。
その上に賢く、相手を冷静に見抜いて狡猾に作戦を立てる策士っぷりを見せる彼女は三匹の中で唯一の『静の気』の使い手だ。
「
「当て身で上中段に注意をずらして、ってのは柔術じゃあ教本どおりのいいコンビネーションっすけど……視線で狙いがバレてると読まれちゃうっすよ!」
とはいえ、彼女も初心者。
投げ技をかけようとした瞬間にその勢いごと宙返りされ、後ろからミドルキックを打たれて一撃でKOされてしまう。
──技を身につけた
「ふう。……そこそこいい感じに技は身についてるっぽいっすね」
「そのうち動物に武芸を教えるのが法律で禁じられるかもね。見ててヒヤヒヤしたよ、ただでさえ強い動物に技ってのは……」
「うーん……でも、もっといろんな技を教えられるようになりたいっすね。『地下闘技場』に行ってくるっす!」
そう言うなり、彼は突然どこかに走り出して行った。
……やっぱり、何も考えずに生きてるのだろう。
飼い慣らされたコイツらより、飼い慣らせないアイツの方がよっぽど野獣なのかもしれない、と考えずにはいられないのだった。
◆
『な、なななーんとぉ!本日初挑戦の【
息抜きがてら勉強に行こう、という事で訪れた日本の闘技場で、私は小さく舌打ちした。
……あの男は、本当にロマンとかショーとかそういうものをわかっちゃいない。
どの試合もどの試合も武器を持った相手に、ミドルキックだけ。
避けて避けて、無防備になったら蹴る……という単純作業の繰り返しのようである。
確かに武器を持っていようが武器ごと蹴り飛ばす威力は素晴らしいが、全くもって華がない。
……基本技しか繰り出さいコイツは、全くもってショーというものを理解していない。
「……あの男、たぶん100連勝するつもりだよーん!」
「っち……私なら絶対にあそこでわざと負けかけてからシャイニングウィザードでキメてたわよ。あそこならパイルドライバーが決まるし、あそこはドロップキックから金網のポールを使ったボディプレスで……」
「レイチェル、さてはボクちんの話を聞いてないな?……先輩なのに……ボクちん先輩なのに……さすがに悲しいんだよーん……」
地味な、まさしく塩試合と呼ぶべき試合ばっかり。
舌打ちしつつ、次の試合のカードに目を通そうとした……その時だった。
『On the tail ! 逃げた犯人を現場で撲殺して懲戒免職となるも、ドン底から這い上がってきた元婦警、現弁護士!……【不死身のキラーマシーン】!船坂……キリコーッ!』
「ふっふっふー、見てましたよぉ。……あなたぁ、ミドルキックしか打てないんですかぁ?」
「……あの方が、早く終わるっす」
現れたのは、のほほんとした雰囲気の女性。
恐らく背丈は190cm余りだろうか、かなりの長身だ。
……なにより、その胴には最新式と思われる『耐衝撃ボディアーマー』が付けられている。
しかも、おそらく『妙手』になろうとしているような手練れだ。
実践経験も相当のものなのだろう、と推測する事は容易い。
「……あの少年、終わりね」
「ぶっぶー、勝負はまだわからないんだよーん!」
ミートマンはそんなことを言っていたが、あの少年はミドルキックだけの筈だ。
そう思って振り下ろされる警棒を目で追っていた、その時だった。
──警棒ごと、女が投げ飛ばされた。
「……え?何よ、アレ……」
「……あー、油断しちゃいましたぁ。でもぉ、受け身みたいな初歩の初歩ぉ……警察学校どころが赤ちゃんの頃から毎日練習してるんですけどぉ」
「確かにタフっすね!……っはははは!面白くなってきたっす!」
投げ技を使えたのは驚いたが、しかし同じ技ばかりだ。
女も受け身を取りつつ、多少のダメージ覚悟ですぐに距離を取った。
「まさか投げ技も使えるとは思わなかったけど……今度こそ終わるのよね」
「ぶふっ、ボクちんの目にはむしろこれからが本番に見えるんだよーん!」
だが、その後は確かに地獄だった。
やっと慣れ始めた所で、少年のスタイルが変わったのである。
「……逮捕術の投げなんてぇ、当てつけ的な奴ですかぁ……?」
「元から習ってたんすよっ!はあ!」
それにやっと対処できた所で、今度は柔道だ。
クラヴマガに続けて古流柔術、ブラジリアン柔術、果てにはレスリングの投げまで食らっている。
……全部、受け身を取った所で多少ダメージは残るもの。
それを脱出のために幾度となく受け身をほとんど取らずに受けているのだから、もはや地獄にも等しいだろう。
「あはははっ、こんなに壊れない人、キサラちゃん以外で初めてっす!」
「……はぁ。じゃあ結局、アイツの勝ちね」
「ぶぶふっ、いや……あの女の子もなかなかタフなんだよーん……?」
確かに、あんな回数マットに投げられたら野球ボールだって壊れてしまいそうだ。
……だと言うのに、彼女はまだ立っている。
立って、男を睨みつけている。
「なんでも、ミートマンの情報だと……」
「なら……ここで『徹し』っす!」
あの打ち方の危険性を、レイチェルは知っている。
プロレスで拳打を封じても、時として予後不良が起こるのは何故か?
──決まっている、プロレスというものは大男でも簡単に死んでしまうような、危険な技だけで構成されているからだ。
だからこそのエンターテイメント。
この『骨法』とやらも、ジャパンプロレスを支えた技なのだから無論『
大男をも屠る一撃を受けた女は、それでもまだ立っていた。
それに気づいたのだろう、彼は少し距離を取ってから飛びつくと、相手を投げ飛ばすなり金網を足場にして『とっておきの
無論、地面に投げ飛ばされた彼女は受け身で精一杯。
喉でその技を受けることになる。
「フランケンシュタイナー……そしてエルボードロップね。……終わりかしら」
「……ミートマンの勘違い、だったのかもしれないよーん」
「勘違いって……何が?」
受けた彼女は、心臓が止められる。
人間の体は、衝撃に耐えられないようにできているのだから。
……二足歩行で弱点が増えて、その一つが喉なのだから。
打たれた時点で、死ぬのだから。
『勝者、またしても……ん?』
「……警察が、倒れたら。……市民が、『闇』に……襲われたとき!誰を……」
「……うそ、でしょ……?」
そうならないと、おかしいはずなのに。
彼女は、飛び込んだ姿勢のまま動けない少年を力の限り殴り飛ばしていたのだ。
とんでもないパワー。とんでもない威力。
なにより、とんでもない闘魂だ!
「誰を……頼ればいいんですか……ッ!」
「……うそ、でしょ……⁉︎」
私は普段、自分より目立つものは許せない
だが、この時ばかりはなんて事はなく、彼女に視線を送らざるを得ない。
……あのとっくに壊されたボロボロの体の、どこからこんなパワーが湧いてきたというのだ。
「全ては……守るべき市民の……ために……!」
「っはははははは!さっきより……面白そうっす!」
「制圧……署に……連行、しないと……!」
……あの目には、見覚えがある。
恐らく彼女は、『静動轟一』を発動させたのだ。
ボロボロの体で自分の体を破壊する技を使いながらも、彼女はさらに手を掲げた。
「……制圧ヲ、ォォ、
「えっ⁉︎……静と動って同時に使えるんすね、初めて知ったっす!」
「制アtttttttt『流水制空圏』『塊・鎬断』『死の行進』『分身』」
まるで壊れた機械のように、暴走が始まる。
ぐるん、と異常な軌道で彼女の手が警棒を拾い上げる。
……すると、突然少年が四方八方の金網に叩きつけられた。
「『音速の警棒』」
「……っ!見えてても、避けられない……!」
だが、そんなのは始まりにすぎなかった。
とっくに限界を超えた彼女の暴走だ。
その程度で、止まってくれるはずがないだろう。
「『転げ回る幽鬼』」
「いっ……!わかった、こうだ!」
続けて、関節技と投げ技の高速ラッシュ。
少年は数発投げられて吐血しながらも、ミドルキックを虚空に向けて撃つことで筋肉を操作してその技から逃れた。
「『足印相:刳手の印』『数え抜き手』『ねじり貫手』『兇叉』『無影手』」
「あはっ、フレアのより重いっすね……!」
続けて繰り出されたのは、一撃一撃が必殺となる手技だ。
……しかし、少年はそれを全て急所以外の場所で受けている。
まるで、どこを打たれたら自分が死ぬのかを知り尽くしているかのような動きで受け続けてゆく。
「足印相を解除します。『印相:蹴合の印』『地獄で遊ぶ天女』『鶚落とし』『マハー・シヴァー・キック』『脳天地獄蹴り』」
「ぐ、ぐ……っ!流石に、初心者のアクアよりかは速いじゃないっすか……!」
何度も何度も蹴り飛ばされ、マットや金網にも限界が訪れて所々が破損し始める。
しかし、少年は立っていた。
いくらなんでも硬すぎるだろう、と思わずにはいられない。
「印相解除、制圧します。『地中投げ』『フランケンシュタイナー』」
「こふーっ……ほっ!……てやあ!……いいっすね、やっぱりリーフに見せてあげたいくらいの投げ技っす!」
今度は、再び投げ技の連続。
だが、こちらも受け身を取ってことごとくガードする。
……それでも限界だろうが、コイツは笑顔のままである。
いったいこの男は、何だというのだ。
「……『九撃一殺』!」
「その技は……さっき見た奴っすね。今度は避けられるかも!……っとと⁉︎」
そして、地面にいた彼に対しては必殺のラッシュが飛ぶ。
今度こそ、本来なら初撃で死にそうな攻撃だ。
……だが、彼は全ての攻撃を最初から知ってたかのように避けてゆく。
とはいえ、最後の一撃は流石に知らなかったらしく、モロに食らってしまっていた。
どうやら、この試合はここまでのようだ。
「……残念ね、あの男。ちょっとはルチャドーラの才能があると思ったんだけど」
「……ぶふふ、確かにここで乱入されたら……もうダメかもだよーん!」
そして最後。
ついに、女が確実なとどめを刺そうかというタイミングで。
──遂に足が限界を迎え、彼女は崩れ落ちるように膝をついた。
「不明なユニットの接続を確認。……停ぃ止しmぁす」
「……っはぁ、ダメかと思ったけど……まだ、生きてるっすよ……!」
つまり、どっちが勝つかと迷ってたこの試合は。
……この試合の、勝者は。
『……ッ!なな、なーんと!あの一撃を耐え抜いて……最後に立っていたのはこの男!勝者、本郷盛明……!』
「嘘っ、あれで生きて……⁉︎」
「……ミートマンは100人目に備えて待機していくよーんっ!」
ボロボロの体のまま、しかし同じようなミドルキックで次々に相手を倒してゆく本郷。
確かに、戦い方自体は同じだ。
つまらない、派手さもない、一ミリも飛んだりしなければギミックを使いもしない、そんなスタイルだ。
……だが、違う。
今の彼には、
気がついたら、私は手を上げてボーイを呼んでいた。
「……今、100万円あるわ。
「了解……致しました」
頼む、上がってくれ。
その重い足を上げて、せめて一糸報いてくれ。
ズタボロのまま、彼は眼前のミートマンを睨みつける。
「むふふふふ、ボクちんの前に潰れてくといいんだよーん!」
「……お前、楽しくない奴匂いがするっすね」
「さ、才能がないのがバレてた……!チクショーッ!」
動の気を発動させて最初から仕掛けるミートマンに対して、盛明は……『静の気』。
それを『放出』しながら、彼は無表情のまま無感情に、無造作にあのミドルキックをミートマンへと打ち込んだ。
──ああ、これが見れただけでも賭けた価値はあった。
きっと潰されるだろう彼のこのキックを、最後に一度見ておきたかった。
録画ではなく生で見る、それでこそショーは面白いというものだろう。
「ふぐっ……⁉︎」
「フグだけに、お前と僕は不倶戴天な気がするっすよ……鎬断・
「ひっ、でぶぅ……!」
なのに。
なのに、盛明の蹴りは、あのミートマンを一撃で沈めており。
『ひゃ、ひゃっ、100れれれれ連勝ォーッ⁉︎地こんな事は【逆鬼事件】以来の事です!本郷盛明、1日で殿堂入りだーッ!カードに困るしできればもう来ないでくれ!』
「すっ……すごい……!」
地下闘技場100連勝の実績に、ミートマンすら屠る実力。
必殺技を持ちながらも多彩な技を持ち、身体能力も高い。
見た目は体格こそ一見普通だが、顔は確かに良かった。
なによりもボロボロになっても戦うガッツを持つのがいい。
……いい、これは凄くいい。
確か、本郷盛明と言ったか……
「……あれ、ホンゴウ?……ホンゴウ、ホンゴ……!」
だが、ふとそこで気付いた。
自らの知人の苗字と同じである、ということに。
やっと気付いた私がやった事は一つ、まずは身内に連絡を回す事だ。
「イーサンね!ちょっといいかしら、『YOMI』のみんなに伝えて。『ホンゴウ・モリアキ』って男が100人斬りを達成したわ。今送る写真の……」
この男は、敵に回せば脅威になる。
……コイツは間違いなく、『天才』どころが『神童』の部類だ。
それに、あの蹴り技は恐らく鍛治摩の……
なんだか、不吉な予感がする。
私は金網にもたれかかる彼の写真を送信し終えた事を確認すると、珍しく目立たないようにしてアジトに戻って行った。
【警察】
大体のバトル系作品でよわい。
基本的に無力な組織とされる。
なお、現実では強い。
【ミートマン】
強い動けるデブ。
3人が集まってようやく倒せる。
また復活っすよ、こいつはタフっすね。
しゃべり方が妙にキモい。
師範代は多分妙手のことだと思う。
その辺の設定が固まってなかったんだと思うよ。
【御三家】
上方修正された。
かくとうタイプの技を覚える。