無理矢理音を歪ませたような声が、僕の耳に入ってくる。
「よしてくれ。そもそもお前に相棒と呼ばれる義理はもうないはずだ」
「『冷てぇなぁ、一緒に厄災を払った仲じゃねえか』」
奴が肩に手を回そうとしてくるので、その腕を払う。
「今更仲良しこよしに戻ろうっていうのか?」
「『違えよ。というか、そんなのこっちからお断りだ。なんでヒトの味方しなきゃいけねえんだ』」
「なら、今すぐカイトから出ていけばいいだろう」
「『このガキから出てったら、困るのはクルアだぞ?』」
その通りだ。
カイトが刀遣いである所以は、こいつが中にいることにある。
戦力が減ってしまうのはなるべく避けたい。
彼と奴の力があって、初めてカイトは刀を振るえる。
その事実が、とても歯がゆく、とても腹立たしい。
「『おっと。そろそろ時間だなぁ。寝かせたあいつが起きてくる。じゃあな、相棒』」
「......二度とその呼び方をするな。次に会ったら、僕は容赦なくお前を斬る」
「『果たして、それはできるかなぁ?』......あ......れ?」
カイト本来の声がする。
「大丈夫かい?」
「うん......なんだか、頭が重い、ような......うっ......!」
カイトが頭を押さえて蹲る。
きっと、また厄災の場所を伝える地図が出ているのだろう。
「......次は、どこだ」
「すぐ、近くに......がっ!」
カイトが血を吐いた。
それと同時に入ってきたのは黒ローブの男。
「やぁ、クルア君。お邪魔するよ」
「邪魔するなら帰れ」
そう言って僕はそいつに刀を突きつける。
「いやはや、手荒い歓迎だ。粗茶の一杯でも出さないのかい?」
「元凶に出すものはない」
一層語気を強めたつもりだが、そいつは意に介していない。
それどころか、勝手に椅子に座り始めた。
「元凶?おかしなことを言うなぁ」
「お前がこの世界に厄災を運んできたんだろ」
首元まで刀を近づける。
けれど、そいつは理解できないと言った顔で僕を見る。
「あれ?君は今さっき自分の元相棒と話したんだろう?なら、元凶は私じゃないことぐらい、理解できたはずだけどねぇ?」
「......どういう、意味だ」
「そのままの意味さ。私は確かにこの世界に流れ着き、副産物として厄災なるものを持ち込みはしたが、それがもし、この世界に
「元から、あった......だって?」
あり得ない。
そんなことが有りえるはずがない。
「あぁ、信じられないと言った顔をしているね。なら、少し語ろうか。この世界についてと、厄災の元凶。そして」
カイトを指さす。
「その子供の正体を、ね」
次回、過去語り。