自覚なんてなかった。
ただ、内面から湧き出る衝動に身を任せて、刀を握って、振るって、戦った。
そうすれば、いつかの子の黒いのは消えて、世界は平和になって、また普通に暮らせて......
あれ?
生まれ親の記憶も、育て親の記憶もない。
そんな俺に、普通?
「『全く笑えるよなぁ?』」
「あぁ、ほんとにな」
気が付いたらずっといるこの感じ、この声、この靄。
一周回って心地いい。
けど、このまま甘えているのもなんか嫌だった。
「『威力なんざどうでもいい。当たり前だよな?お前が生きてる刀遣いの中で一番強いんだ!恐れをなして勝手に消えて行ったやつもいたしなぁ!?』」
じゃあ、どうしてあいつは抜けなかった?
異様な硬さの、あの『残』は。
「『そんなの知らねえよ。けどいい経験になっただろ?そのおかげで『虚像の弐』まで作れた』」
結局は独りよがりなんだ。
俺が強くて、世界を救ったって。
結局根源は払えない。
俺がいる限り、それは生まれ続けるから。
だって、俺が一番最初の《呪》なんだから。
「『しっかし酷な話だよなぁ?黒い靄を集めて少年に移植しておけば安全なんて、インチキやぶ医者にもほどがあるって話だ。ま、そのおかげで俺はいるんだけどな』」
意識が落ちてる間、思い出したことがある。
まず、俺に親がいないのは当然だった。
俺がこうして厄災を身に取り込んでいるから、刀遣いにならざるを得なかった。
だから俺は、独房みたいなところでずっと剣を振ってた。
時々あふれ出る狂気と、恐ろしいほどの殺人欲求に耐えながら。
人間のマイナスな感情によって生まれるこいつらだから、逆説的に人間がいなければ生まれないものであったことは確実だった。
だから、日に日に俺の中のこいつが暴れていった。
殺せ、殺せと手を動かさせる。
もっと、もっとと体が動かされる。
だから俺は、俺じゃなくなっていったんだ。
あの時、厄災を払いたいって思ったのも。
あの時、《血》を使ったときも。
全部、全部。
ーーこいつの意思だったから。
だから、この世界が滅ぶのは、俺のせいだ。
俺が、これをばら撒いてるんだから。
「『なぁ、ローブ。いや、
「なんだい?私をそう呼ぶということは、そういうことと、取っていいのかな?」
「『あぁ』」
カイトは厄災に意識を持ってかれている。
その上、黒ローブと結託した。
いや待て、カイトの中にいたあいつは何と呼んだ?
なぜ、カイトにいるはずのやつが、カイトとローブのことを呼んだんだ?
「クルア君。一つ忠告、というより、これは警告に近いな」
「......なんだ」
「ーーそのうち君も、そうなるぞ」
はい、予定通り。