刀とかで某鬼狩りのパクリとか言わないでくださいね。
ーーここは、どこだ。
体が動かない。
目が開かない。
...俺は、誰だ。
開かない目を無理やり開ける。
瞼が張り付いているせいか、視界が曇っている。
「っ...い、ってぇ...」
どうにか開けて、周りを見る。
普通の家ではない、どこか基地のような、そんな印象だ。
そして俺はと言うと、包帯にガーゼに絆創膏と、いかにも怪我人と言った風貌だ。
「俺、どうなってんだ...?」
そう呟いた時、ドアが開いた音がした。
「あ、良かった。気が付いたかい?」
声をかけてきたのは、優しそうな青年だった。
「まだ、意識だけですけど。体はさっぱり」
「しょうがないね。全身傷だらけ、あざだらけ血だらけ!そんな状態の君を見てしまったもんだから、放置するのも気が引けたよ」
「あぁ、それは...すみません、ありがとうございます。けれど、少し質問が...」
「いいよ、何でも聞いて?」
「それじゃあ、遠慮なく」
「ここはどこで、俺は誰なんでしょう?」
「ーーえ?」
その質問は、彼を大きく困らせた。
「えーと...まずは、ここがどこかについてなんだけど...簡単には言えないんだ。それで...君がだれかについては...僕が知るところではないよね」
当然と言えば当然の答えに、特段なにも思わなかった。
「まぁ、ですよね。すみません」
「あぁ、謝らないでくれ。それは、名前がないのかい?それとも、名前を思い出せないだけかい?」
その問いに、半ば無意識に答えた。
「...わかりません。つけてもらったのかも、何もかも」
「そうか...なら、こういうのはどうだい?」
「僕が、君に名前を付けよう」
その言葉は、俺の思考を停止させるには十分だった。
「...え?」
ほら、だからこんな素っ頓狂な声を出す。
「うーん...そうだなぁ...」
彼は一人で考え込んでいる。
俺の事情を知ったところで、彼にはどうこうすることもないのに。
「あ、あの。どうして、そこまで?」
「そんなの、僕がやりたいからに決まってるだろ?」
あっけらかんとした回答だった。
「あ、そうだ。『カイト』っていうのはどうだい?海の音と書いて、カイト」
「海の音で、カイトって読むんですね」
「...まぁ、若干無理矢理感あるけど...どうだい?気に入ってくれたかい?」
「...はい。俺は、カイトです」
「...寝たきりじゃなければ、いい目をしているよ。あ、そうだ。僕はクルアだ、よろしく」
「クルア、さん?」
「あぁ。...と言っても、本名ではないんだ、悪いね。後、僕の名前に敬称はいらないよ」
「分かり、ました...けど、やりたいから、にしては、少し必死すぎるような...」
名前を付けたくだりも、少し必死そうに見えた。
「あぁ、やはりバレてしまうか...。そしたら、そうだな。見てもらう方が早い。立てるかい?」
「...とりあえずは。ふらつきはしますけど」
「それでいい。外に行くよ。僕が必死だった理由が、わかるかもしれない」
そう言って、クルアは俺に肩を貸し、ドアのほうに歩く。
ドアを押し開け、目の前の光景を目の当たりにした俺は、声が出なくなってしまった。
「...君にも見えるか。あの、黒い集団が」
地面から噴き出る、無数の黒い靄。
幾つもの形を作り、街を侵食していく。
しかし、道行く人は気づかない。
「...っあ...あ、あれは...?」
彼は、それをにらみながら、忌々しげに答えた。
「あれは《厄災》だよ。この世にはびこる、諸悪の根源さ」
とりあえず初回はこんなとこ。