厄払いの刀遣い   作:ユイトアクエリア

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オリジナル作品、始動。

刀とかで某鬼狩りのパクリとか言わないでくださいね。


壱 少年は目覚める、呪いが蔓延る世界で

ーーここは、どこだ。

 

体が動かない。

目が開かない。

 

...俺は、誰だ。

 

開かない目を無理やり開ける。

 

瞼が張り付いているせいか、視界が曇っている。

 

「っ...い、ってぇ...」

 

どうにか開けて、周りを見る。

普通の家ではない、どこか基地のような、そんな印象だ。

そして俺はと言うと、包帯にガーゼに絆創膏と、いかにも怪我人と言った風貌だ。

 

「俺、どうなってんだ...?」

 

そう呟いた時、ドアが開いた音がした。

 

「あ、良かった。気が付いたかい?」

 

声をかけてきたのは、優しそうな青年だった。

 

「まだ、意識だけですけど。体はさっぱり」

「しょうがないね。全身傷だらけ、あざだらけ血だらけ!そんな状態の君を見てしまったもんだから、放置するのも気が引けたよ」

「あぁ、それは...すみません、ありがとうございます。けれど、少し質問が...」

「いいよ、何でも聞いて?」

「それじゃあ、遠慮なく」

 

 

 

「ここはどこで、俺は誰なんでしょう?」

 

「ーーえ?」

 

その質問は、彼を大きく困らせた。

 


 

「えーと...まずは、ここがどこかについてなんだけど...簡単には言えないんだ。それで...君がだれかについては...僕が知るところではないよね」

 

当然と言えば当然の答えに、特段なにも思わなかった。

 

「まぁ、ですよね。すみません」

「あぁ、謝らないでくれ。それは、名前がないのかい?それとも、名前を思い出せないだけかい?」

 

その問いに、半ば無意識に答えた。

 

「...わかりません。つけてもらったのかも、何もかも」

「そうか...なら、こういうのはどうだい?」

 

 

「僕が、君に名前を付けよう」

 

その言葉は、俺の思考を停止させるには十分だった。

 

 

「...え?」

 

ほら、だからこんな素っ頓狂な声を出す。

 

「うーん...そうだなぁ...」

 

彼は一人で考え込んでいる。

俺の事情を知ったところで、彼にはどうこうすることもないのに。

 

「あ、あの。どうして、そこまで?」

「そんなの、僕がやりたいからに決まってるだろ?」

 

あっけらかんとした回答だった。

 

「あ、そうだ。『カイト』っていうのはどうだい?海の音と書いて、カイト」

「海の音で、カイトって読むんですね」

「...まぁ、若干無理矢理感あるけど...どうだい?気に入ってくれたかい?」

「...はい。俺は、カイトです」

「...寝たきりじゃなければ、いい目をしているよ。あ、そうだ。僕はクルアだ、よろしく」

「クルア、さん?」

「あぁ。...と言っても、本名ではないんだ、悪いね。後、僕の名前に敬称はいらないよ」

「分かり、ました...けど、やりたいから、にしては、少し必死すぎるような...」

 

名前を付けたくだりも、少し必死そうに見えた。

 

「あぁ、やはりバレてしまうか...。そしたら、そうだな。見てもらう方が早い。立てるかい?」

「...とりあえずは。ふらつきはしますけど」

「それでいい。外に行くよ。僕が必死だった理由が、わかるかもしれない」

 

そう言って、クルアは俺に肩を貸し、ドアのほうに歩く。

 

ドアを押し開け、目の前の光景を目の当たりにした俺は、声が出なくなってしまった。

 

「...君にも見えるか。あの、黒い集団が」

 

 

地面から噴き出る、無数の黒い靄。

幾つもの形を作り、街を侵食していく。

しかし、道行く人は気づかない。

 

 

 

 

「...っあ...あ、あれは...?」

 

 

 

彼は、それをにらみながら、忌々しげに答えた。

 

 

 

「あれは《厄災》だよ。この世にはびこる、諸悪の根源さ」

 

 

 

 

 




とりあえず初回はこんなとこ。
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