「...あれ、どうにかできないんですか」
思考した言葉がそのまま漏れた。
「どうにかできる。できるが...いや、やってもらった方が早いか。こっちだ」
彼に手を引かれ、出てきた建物とは違うところに連れられて入る。
見た目は小屋のようだが、中は広すぎる倉庫だった。
「こ、こは...?」
「見ての通り、武具庫さ。...まぁ、人がいないからそんなに意味はないけれど」
どうにかできる、と言ったからには、それなりに人がいるのかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。
「別に、あれだけの軍勢が一斉に来るわけじゃない。むしろあれはレアケースさ。...お、これだ」
彼が取り出したのは一本の古びた棒状の何か。
「握ってごらん。君にあの黒いのが見えたのなら、きっとそれも...」
「...はい」
俺は、目の前に差し出されたものを握る。
その瞬間、それは輝き、さっきまで古びてたのが嘘のような輝きを帯びた。
「やはり、か」
「これは...?」
「《刀遣い》の刀、だよ」
「《刀遣い》...」
聞いたことはなかったが、不思議としっくり来た。
「それは《試作の壱》。簡単に扱えるが威力は劣る」
...どうでもいい。
これさえあれば、あいつらを消せる。
「威力なんざどうでもいい」
クルアは驚いているが、関係ない。
「...はぁっ!!」
武具庫から飛び出し、黒い靄に突貫する。
「『業火』!!」
刀に炎を纏わせ、突撃する。
やったことなんてなかったけど、自然にやっていた。
こうするべきだって、誰かが教えてくれたかのように。
そうやっていると、かろうじて人型を保っているデカい靄以外、すべて消えていた。
「あとはお前だけだ」
「オォォォォォォ...!」
それは腕を振り下ろした。
咄嗟に飛び退ると、俺がさっきまでいた場所を腕が穿いていた。
その腕は、地面に埋まって抜けなそうだ。
「『豪氷』!!」
その腕を凍らせ、割る。
「ウォォォォ...」
飛び散る氷を足場にして飛び移りながら、そいつの頭らしきものより上に位置取る。
「消えろっ!世界の塵!!『業火』!!」
足場を蹴り、その勢いで炎を纏わせ、頭に突撃する。
その勢いはそれの頭を突き破り、地面を数メートル滑ったところで、ようやく止まった。
「ァァァァァ...」
振り返って見ると、そいつは俺が突き破った場所から崩れていき、跡形もなくなった。
まるで、そこに最初から何もなかったかのように。
『そうだよ。そこには、何もなかった』
「ッ!...誰だっ!?」
高く、そしてよく通る、しかし聞いてて不快感のない女の声だった。
近くで聞こえたような、遠くで聞こえたような、そんな声だった。
『今は、何もわからなくていい』
「どういう意味だ!」
叫ぶが、近くに人影はない。
『そのままの意味。理解して...』
「理解して...?...あっ、おい待てっ...!!」
声がフェードアウトしていって、やがて聞こえなくなった。
「何だったんだ...今の、声...」
聞こえた声を考えることと、さっきまでの体の疲労が重なって、俺はその場に倒れた。
意識がだんだん遠のいて、そして、その場でゆっくりと眠りについた。
技を使い始めるまでの期間が短いですね、チートですか?