厄災の説明回のつもり
「...っあ...」
「あ...!大丈夫かい!?」
目を開けた瞬間に、人の顔がドアップで映る。
「あぁ、えっと...平気、です。ご心配、お掛け、しました」
「良かった...いや、僕もすまなかった。君にだけ任せてしまった」
顔が離れたので、改めて周りを見回す。
俺が最初に寝てた場所のようだ。
だた、その時とは違い、包帯などの類はない。
「驚いたよ。ベッドに寝かせた瞬間についてた傷が全部消えるんだから」
「...それは、この刀の...?」
「いや、それは試作だからね。そんな機能はないよ」
「そう、ですか」
しかし、妙に手に馴染んだ。
まるで、ずっと握ってたかのように。
「いや...カイト。これは伝えなければいけないな」
「...何を、ですか?」
「その刀を握って、君は炎や氷を出したね?」
「...はい。無意識、でしたけど」
「実は...それによって確定するのは...君に
「...え?」
クルアから言われた言葉を、俺は理解できなかった。
親がいない?名前もない?
いやしかし、幼いころの記憶もなければ、親の記憶がないのも事実だ。
「俺は...一体...?」
「今考える必要はないよ。それで...君は、これからどうするつもりだい?」
考えていなかった。
でも、やることは決まっている。
「あの黒いの...《厄災》って言いましたよね。あれほっといたら、世界がやばいって」
「うん、そうだけど...」
「世界が終わるのは、いやです。だから、俺も、戦います」
俺は、彼の眼を見ながらそう言った。
「そうか...なら、君も一緒に戦ってくれるかい?」
「はい」
ベッドから起き上がり、体の状態を軽く確かめながら、クルアに連れられ外に出る。
「ふっ!はっ!」
「まだまだ振りが甘いね。そんなのじゃ《信》の厄災すらも払えないよ」
「ぐっ...」
刀を握りなおし、再度クルアに斬りかかる。
が、刀を振る前に片手でいなされてしまう。
「実際の厄災はここまで理知的ではないけれど、奴らのあんな行動はまれだ。普段は人間に入り込んで動くからね。その人間の知性を利用して動くんだ。...まぁ、その人間の命はすでに消えているけどね」
「...そういや、厄災について、詳しく聞いてないんですが...何です《信》って...」
「あぁ、話してなかったね。それじゃあ稽古の休憩がてら、厄災について、詳しく話しておこうか」
「まずは君も最初に見た黒い靄、あれが《幸》の厄災だ。今まで5年ぐらい見てきたけど、あれが一番弱い」
「確かに、手ごたえがなかった」
というか、『業火』で突っ込んだだけで消えたような気がする。
「そう。あれらはとても弱い。しかし、それはあの靄の状態でいればの話。人間に憑りつかれると厄介になる。なんせその人間の知性を使って動くわけだからね。まあ、それはどの厄災も一緒だけど」
「厄災って、全部で何種類ぐらいいるんです?」
「全部で五種類。『
「じゃあ、どうするんだ?」
「一人じゃだめなら、二人で。過去に僕と組んで厄災を払った人がいたんだけどね」
そう語るクルアの顔は、少し暗く見えた。
これ以上暗く前に、他の厄災について聞くとしよう。
「クルア、他の厄災は?」
「あぁ、そうだね。では、『信』の厄災だ。それはあまり人の形を取らないが、人間に入った時が厄介だ。幸の厄災より奇怪な動きをいくつもしてくるし、その動きはどの厄災にも当てはまらない」
「幸も信も...弱いけど十分厄介ってことか...」
「そういうこと。じゃあ次、『残』の厄災についてだ。これは人型を取っていても、人間に入っても強くてね。これは『怨』も『呪』も一緒なんだけどね」
「ねぇクルア。人間に入った厄災って、どうしたらいいの?」
さっきから、「人間に入った時」の方が厄介と言っていた。
「あぁ。厄災が憑りつく人間は、ほとんどの場合生命活動が停止しているんだ。対処法としては、その人間の首を刎ねる以外の対処法はない」
「首を......」
「他も試したんだ。けど、厄災を払うには首を刎ねるのが一番手っ取り......いや、一番確実なんだ。心臓が動いてないから、そこを貫くのは無意味だし、腕や足を斬り飛ばしたところで、奴らは靄で修復するからね。簡単なのは首を刎ねることなんだ」
「そ、っか」
生半可な気持ちで世界を救いたいなんて言ったが、果たしてこれは自分にできることなのか?
死んでいるとはいえ、人の首を刎ねることなど、出来ることなのか?
そう考えていると、頭に手が置かれた。
「そう難しく考えなくていい。君は慣れるまでは足止めをしてくれればいいから。そのあとの始末は僕がつけるよ」
そうやって優しく笑うクルアの顔には、少しだけ曇って見えた。
しかし、その瞬間立ち上がって、まっすぐに俺を見据えて言った。
「さて、十分すぎる休憩もとったことだし、稽古を再開しよう。君を強くして、対抗手段を得なきゃ」
「分かった。俺はもっと、強くなる」
立ちあがって刀を握りなおし、正面にいるクルアに斬りかかった。
説明回となるとどうしても字数が多くなってしまうなぁ。