厄払いの刀遣い   作:ユイトアクエリア

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参話。

厄災の説明回のつもり


参 少年は知る、世界の諸悪の根源

「...っあ...」

「あ...!大丈夫かい!?」

 

目を開けた瞬間に、人の顔がドアップで映る。

 

「あぁ、えっと...平気、です。ご心配、お掛け、しました」

「良かった...いや、僕もすまなかった。君にだけ任せてしまった」

 

顔が離れたので、改めて周りを見回す。

俺が最初に寝てた場所のようだ。

だた、その時とは違い、包帯などの類はない。

 

「驚いたよ。ベッドに寝かせた瞬間についてた傷が全部消えるんだから」

「...それは、この刀の...?」

「いや、それは試作だからね。そんな機能はないよ」

「そう、ですか」

 

しかし、妙に手に馴染んだ。

まるで、ずっと握ってたかのように。

 

「いや...カイト。これは伝えなければいけないな」

「...何を、ですか?」

「その刀を握って、君は炎や氷を出したね?」

「...はい。無意識、でしたけど」

「実は...それによって確定するのは...君に()()()()()、そして()()()()()()()()()()という事実なんだ」

「...え?」

 


 

クルアから言われた言葉を、俺は理解できなかった。

親がいない?名前もない?

いやしかし、幼いころの記憶もなければ、親の記憶がないのも事実だ。

 

「俺は...一体...?」

「今考える必要はないよ。それで...君は、これからどうするつもりだい?」

 

考えていなかった。

でも、やることは決まっている。

 

「あの黒いの...《厄災》って言いましたよね。あれほっといたら、世界がやばいって」

「うん、そうだけど...」

「世界が終わるのは、いやです。だから、俺も、戦います」

 

俺は、彼の眼を見ながらそう言った。

 

「そうか...なら、君も一緒に戦ってくれるかい?」

「はい」

 


 

ベッドから起き上がり、体の状態を軽く確かめながら、クルアに連れられ外に出る。

 

「ふっ!はっ!」

「まだまだ振りが甘いね。そんなのじゃ《信》の厄災すらも払えないよ」

「ぐっ...」

 

刀を握りなおし、再度クルアに斬りかかる。

が、刀を振る前に片手でいなされてしまう。

 

「実際の厄災はここまで理知的ではないけれど、奴らのあんな行動はまれだ。普段は人間に入り込んで動くからね。その人間の知性を利用して動くんだ。...まぁ、その人間の命はすでに消えているけどね」

「...そういや、厄災について、詳しく聞いてないんですが...何です《信》って...」

「あぁ、話してなかったね。それじゃあ稽古の休憩がてら、厄災について、詳しく話しておこうか」

 


 

「まずは君も最初に見た黒い靄、あれが《幸》の厄災だ。今まで5年ぐらい見てきたけど、あれが一番弱い」

「確かに、手ごたえがなかった」

 

というか、『業火』で突っ込んだだけで消えたような気がする。

 

「そう。あれらはとても弱い。しかし、それはあの靄の状態でいればの話。人間に憑りつかれると厄介になる。なんせその人間の知性を使って動くわけだからね。まあ、それはどの厄災も一緒だけど」

「厄災って、全部で何種類ぐらいいるんです?」

「全部で五種類。『(こう)』『(しん)』『(ざん)』『(おん)』『(じゅ)』の五つだ。聞いた通り、呪の厄災が一番厄介で、人間に憑りつくのもそうだし、そのままでも十分に強い故、一人じゃとても払えない」

「じゃあ、どうするんだ?」

「一人じゃだめなら、二人で。過去に僕と組んで厄災を払った人がいたんだけどね」

 

そう語るクルアの顔は、少し暗く見えた。

これ以上暗く前に、他の厄災について聞くとしよう。

 

「クルア、他の厄災は?」

「あぁ、そうだね。では、『信』の厄災だ。それはあまり人の形を取らないが、人間に入った時が厄介だ。幸の厄災より奇怪な動きをいくつもしてくるし、その動きはどの厄災にも当てはまらない」

「幸も信も...弱いけど十分厄介ってことか...」

「そういうこと。じゃあ次、『残』の厄災についてだ。これは人型を取っていても、人間に入っても強くてね。これは『怨』も『呪』も一緒なんだけどね」

「ねぇクルア。人間に入った厄災って、どうしたらいいの?」

 

さっきから、「人間に入った時」の方が厄介と言っていた。

 

「あぁ。厄災が憑りつく人間は、ほとんどの場合生命活動が停止しているんだ。対処法としては、その人間の首を刎ねる以外の対処法はない」

「首を......」

「他も試したんだ。けど、厄災を払うには首を刎ねるのが一番手っ取り......いや、一番確実なんだ。心臓が動いてないから、そこを貫くのは無意味だし、腕や足を斬り飛ばしたところで、奴らは靄で修復するからね。簡単なのは首を刎ねることなんだ」

「そ、っか」

 

生半可な気持ちで世界を救いたいなんて言ったが、果たしてこれは自分にできることなのか?

死んでいるとはいえ、人の首を刎ねることなど、出来ることなのか?

そう考えていると、頭に手が置かれた。

 

「そう難しく考えなくていい。君は慣れるまでは足止めをしてくれればいいから。そのあとの始末は僕がつけるよ」

 

そうやって優しく笑うクルアの顔には、少しだけ曇って見えた。

しかし、その瞬間立ち上がって、まっすぐに俺を見据えて言った。

 

「さて、十分すぎる休憩もとったことだし、稽古を再開しよう。君を強くして、対抗手段を得なきゃ」

「分かった。俺はもっと、強くなる」

 

立ちあがって刀を握りなおし、正面にいるクルアに斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




説明回となるとどうしても字数が多くなってしまうなぁ。
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