「っはぁ、はぁ......」
「うん。だいぶ当たるようになったね。これなら大丈夫そうだ」
刀を手に馴染ませ、業を出すまでの予備動作を短く、相手の首筋を確実に取る稽古を、拾われてからずっとやってきた。
「しかし、カイトは覚えが早いね」
そういわれる通り、どうやったら業を出せるかも、どこをどうしたらもっと早くなるかも、全部一瞬で分かった気がする。
「クルアの教え方がいいんだよ」
「いやいや、カイトの筋だね。もしかしたら、先祖様はそういう家系だったのかもね?」
親がいないから聞こうと思っても聞けないし、幼いころの記憶がないから思い出すこともないが、そういう家系だと言われれば、納得できる。
ともあれこれで今日の分の稽古が終わった。
刀を鞘に納め、さあ水浴びでもしようかと考えた時、不意に頭痛が走り、体を支えられず崩れた。
「っ!」
「大丈夫かい!?」
クルアに支えられ、頭痛が収まってきたとき、頭の中に地図が浮かんだ。
どうやら示された場所は森の方だった。
直感だが、そこに厄災がいる。
「クルア......北の方に、森って、ある?」
「あぁ、あるけど......そこに何かいるのかい?」
「多分、厄災がいる......なんでかわかんないけど、そう思う」
「君のそれを信じよう。それじゃあ向かおうか」
森に向かった俺たちは、一人の人間が黒い靄を振りまきながら暴れているのを見た。
「ウゥ......ウァァァァァァ」
「カイトの言ったとおりだ。けど、人間に憑りついているね」
「あれが、人間に憑りついた......」
「とりあえず様子見で戦ってみよう。それでどの程度かはわかるはずだ」
そう言って、クルアは刀を抜いて厄災に向かっていく。
続いて俺も向かう。
「ウゥゥゥ......アァァァァァァ!!!」
「ぐっ!」
「クルア!この......っ!」
腹に傷を負い、吹き飛ばされたクルアを庇うようにして立ち、厄災を蹴っ飛ばして距離を取る。
「......カイト、あれはもう脈がない。言うなれば死体だ。遠慮はいらない」
「......そんなこと、言われたって」
「世界を護るんだろ?そんなのをためらっていたら、すぐに滅びるぞ」
「......わかった。俺が、奴を片付ける」
刀を握りなおし、いまだに寝っ転がっている厄災を見る。
起き上がる気配がない。
なら、そこを仕留める。
「『
一気に近づき、四肢を消し飛ばす。
業火の反動で打ち上げた厄災の体を、飛び上がって首を一閃。
俺の左側に首から下、右側に首から上が落ち、それぞれの断面から黒い靄が溢れ、空中で霧散した。
「お疲れ様、カイト。初陣にしては、いい動きだった」
「いい気持ちはしないな、これ。それはそうとクルア、傷は?」
「あぁ、別にどうってことはない。ちっちゃいころから傷の直りは早いんだ」
「......そっか」
気のせいならそれでいいんだが、さっきの厄災、クルアが傷を受けた場所を抑えていたように思えた。
「きっと、気のせいだろうな」
「何がだい?」
「いや、何でもない。それよりクルア、俺お腹すいちゃって」
「あぁ、そういえば稽古から何も食べてないね。何か買って帰ろうか」
そう言いながら笑う俺たちは、さっき人間を手に掛けた奴らだとは微塵も思われないだろう。