厄払いの刀遣い   作:ユイトアクエリア

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肆 少年は動き出す、初戦闘

「っはぁ、はぁ......」

「うん。だいぶ当たるようになったね。これなら大丈夫そうだ」

 

刀を手に馴染ませ、業を出すまでの予備動作を短く、相手の首筋を確実に取る稽古を、拾われてからずっとやってきた。

 

「しかし、カイトは覚えが早いね」

 

そういわれる通り、どうやったら業を出せるかも、どこをどうしたらもっと早くなるかも、全部一瞬で分かった気がする。

 

「クルアの教え方がいいんだよ」

「いやいや、カイトの筋だね。もしかしたら、先祖様はそういう家系だったのかもね?」

 

親がいないから聞こうと思っても聞けないし、幼いころの記憶がないから思い出すこともないが、そういう家系だと言われれば、納得できる。

 

ともあれこれで今日の分の稽古が終わった。

刀を鞘に納め、さあ水浴びでもしようかと考えた時、不意に頭痛が走り、体を支えられず崩れた。

 

「っ!」

「大丈夫かい!?」

 

クルアに支えられ、頭痛が収まってきたとき、頭の中に地図が浮かんだ。

どうやら示された場所は森の方だった。

直感だが、そこに厄災がいる。

 

「クルア......北の方に、森って、ある?」

「あぁ、あるけど......そこに何かいるのかい?」

「多分、厄災がいる......なんでかわかんないけど、そう思う」

「君のそれを信じよう。それじゃあ向かおうか」

 


 

森に向かった俺たちは、一人の人間が黒い靄を振りまきながら暴れているのを見た。

 

「ウゥ......ウァァァァァァ」

「カイトの言ったとおりだ。けど、人間に憑りついているね」

「あれが、人間に憑りついた......」

「とりあえず様子見で戦ってみよう。それでどの程度かはわかるはずだ」

 

そう言って、クルアは刀を抜いて厄災に向かっていく。

続いて俺も向かう。

 

「ウゥゥゥ......アァァァァァァ!!!」

「ぐっ!」

「クルア!この......っ!」

 

腹に傷を負い、吹き飛ばされたクルアを庇うようにして立ち、厄災を蹴っ飛ばして距離を取る。

 

「......カイト、あれはもう脈がない。言うなれば死体だ。遠慮はいらない」

「......そんなこと、言われたって」

「世界を護るんだろ?そんなのをためらっていたら、すぐに滅びるぞ」

「......わかった。俺が、奴を片付ける」

 

刀を握りなおし、いまだに寝っ転がっている厄災を見る。

起き上がる気配がない。

なら、そこを仕留める。

 

「『業火(ごうか)!』」

 

一気に近づき、四肢を消し飛ばす。

業火の反動で打ち上げた厄災の体を、飛び上がって首を一閃。

俺の左側に首から下、右側に首から上が落ち、それぞれの断面から黒い靄が溢れ、空中で霧散した。

 

「お疲れ様、カイト。初陣にしては、いい動きだった」

「いい気持ちはしないな、これ。それはそうとクルア、傷は?」

「あぁ、別にどうってことはない。ちっちゃいころから傷の直りは早いんだ」

「......そっか」

 

気のせいならそれでいいんだが、さっきの厄災、クルアが傷を受けた場所を抑えていたように思えた。

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「きっと、気のせいだろうな」

「何がだい?」

「いや、何でもない。それよりクルア、俺お腹すいちゃって」

「あぁ、そういえば稽古から何も食べてないね。何か買って帰ろうか」

 

そう言いながら笑う俺たちは、さっき人間を手に掛けた奴らだとは微塵も思われないだろう。

 

 

 

 

 

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