「『
厄災が入ってしまった人を痺れさせ、意識を奪う。
その隙に首を刈り取り、厄災を払う。
この作業だけは何度やっても嫌な気持ちになるが、だいぶ慣れてしまった。
死人とはいえ人間の首を刈り取るんだ、嫌に決まっている。
しかし。
「......世界を護るって決めたんだ。こんなんでへこたれてちゃ......」
弱気にはなれない。
クルアの前で宣言したから。
「......よし、帰ろう......っ!?」
まただ。
あの頭痛だ。
しかも、前のより強い頭痛。
「ぐっ......北の、草原......?」
『そう。今までのより桁違いに強い。早く止めないと街が消えるよ』
「あっ......あの時の、待って......」
呼び止めるも、「町が消える」とだけ言って去ってしまった。
「とにかく、行かなきゃ」
「アァァァァ......」
「......そのままで暴れてる......?」
巨大な黒い靄が、人の形を持って街を蹂躙している。
けれど、そこにいる人は、逃げようとしない。
「違う......!
気付くそぶりがない。
自分たちが住む街が消えかかってるというのに。
「止めなきゃ......ッ!」
とにかく、意識をこっちに向けて街から引きはがす。
払うのはそれからだ。
「こっちに、来いっ!!」
ジャンプして肩あたりに乗り、そのまま刀を突き刺す。
そのまま首に向けて刃を滑らせ......
「ウォォォォ!!」
「動かない......っ」
刺さったところから動かない。
故に、ここから動けない。
これじゃあ、誘導もクソもない。
そして、最悪なのは。
「掴むな......やめろ......っ!」
厄災自身が変形を始めている。
下半身を溶かし、その分の靄を俺がいる場所に集めている。
足から掴まれ、もっと身動きが取れなくなる。
「ッ......
電撃を起こし、麻痺させている間に脱出する。
「どうする......!?」
「カイト!」
後ろから呼び声。
「遅くなったね、すまない!」
「いや、遅くない。俺も今来た」
仲間が一人増え、対するは自分の何倍もある厄災。
「ガァァァァァァァ!!!」
「!?」
怒号をあげて消えていく厄災。
何があった?
『さっさととどめを刺す。それぐらいは理解できるでしょ?』
「......煽りやがって......!」
頭で響く少女の声。
『怪我してるなら好都合。その血、それに垂らして』
「それって、刀に......!?」
『そう。ま、扱えるかは知らないけど』
そうは言うが、使えることを知っているかのようにしゃべるから。
「使いこなしてやるさ、どんな奴でもなっ!!」
血を垂らす。
持ち手から熱を感じる。
「この感覚ね......あぁ、
下半身が溶けてるから、少し乗りやすくなった厄災に高さを合わせる。
「喰らえ世界のシミ!
今までとは桁違いの速さ、強さ。
それは首を刈り取って、体を塵に還した。
「『待てよ、さっさと消えようとすんな』」
消えゆく塵に手を伸ばし、自分の傷を癒す。