厄払いの刀遣い   作:ユイトアクエリア

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伍 少年は手にする、新たな力

「『業雷(ごうらい)』!」

 

厄災が入ってしまった人を痺れさせ、意識を奪う。

その隙に首を刈り取り、厄災を払う。

この作業だけは何度やっても嫌な気持ちになるが、だいぶ慣れてしまった。

死人とはいえ人間の首を刈り取るんだ、嫌に決まっている。

しかし。

 

「......世界を護るって決めたんだ。こんなんでへこたれてちゃ......」

 

弱気にはなれない。

クルアの前で宣言したから。

 

「......よし、帰ろう......っ!?」

 

まただ。

あの頭痛だ。

しかも、前のより強い頭痛。

 

「ぐっ......北の、草原......?」

『そう。今までのより桁違いに強い。早く止めないと街が消えるよ』

「あっ......あの時の、待って......」

 

呼び止めるも、「町が消える」とだけ言って去ってしまった。

 

「とにかく、行かなきゃ」

 


 

「アァァァァ......」

「......そのままで暴れてる......?」

 

巨大な黒い靄が、人の形を持って街を蹂躙している。

けれど、そこにいる人は、逃げようとしない。

 

「違う......!()()()()()()!?」

 

気付くそぶりがない。

自分たちが住む街が消えかかってるというのに。

 

「止めなきゃ......ッ!」

 

とにかく、意識をこっちに向けて街から引きはがす。

払うのはそれからだ。

 

「こっちに、来いっ!!」

 

ジャンプして肩あたりに乗り、そのまま刀を突き刺す。

そのまま首に向けて刃を滑らせ......

 

「ウォォォォ!!」

「動かない......っ」

 

刺さったところから動かない。

故に、ここから動けない。

これじゃあ、誘導もクソもない。

そして、最悪なのは。

 

「掴むな......やめろ......っ!」

 

厄災自身が変形を始めている。

下半身を溶かし、その分の靄を俺がいる場所に集めている。

足から掴まれ、もっと身動きが取れなくなる。

 

「ッ......業雷(ごうらい)!!」

 

電撃を起こし、麻痺させている間に脱出する。

 

「どうする......!?」

「カイト!」

 

後ろから呼び声。

 

「遅くなったね、すまない!」

「いや、遅くない。俺も今来た」

 

仲間が一人増え、対するは自分の何倍もある厄災。

 

「ガァァァァァァァ!!!」

「!?」

 

怒号をあげて消えていく厄災。

何があった?

 

『さっさととどめを刺す。それぐらいは理解できるでしょ?』

「......煽りやがって......!」

 

頭で響く少女の声。

 

『怪我してるなら好都合。その血、それに垂らして』

「それって、刀に......!?」

『そう。ま、扱えるかは知らないけど』

 

そうは言うが、使えることを知っているかのようにしゃべるから。

 

「使いこなしてやるさ、どんな奴でもなっ!!」

 

血を垂らす。

持ち手から熱を感じる。

 

「この感覚ね......あぁ、()()()()()っ!!!」

 

下半身が溶けてるから、少し乗りやすくなった厄災に高さを合わせる。

 

「喰らえ世界のシミ!業血火(ごうけっか)っ!!!

 

今までとは桁違いの速さ、強さ。

それは首を刈り取って、体を塵に還した。

 

「『待てよ、さっさと消えようとすんな』」

 

消えゆく塵に手を伸ばし、自分の傷を癒す。

 

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