この素晴らしい影使いに祝福を!   作:メヴィ

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決戦 ベルディア

 

 「やらかした……」

 

 おはよう世界。

 どうも、先日クエスト中に寝落ちして気づいたら自宅で目が覚めたクソ冒険者キィラです。

 ……いや本当にやらかした……とにかく、カズマ達に謝らないと…

 手早く身支度を済ませてギルドへ向かう。ギルドの前に着くといつもより騒がしい声が聞こえてきた。

 

 「ちっくしょぉぉぉお~~~~ッ!!!」

 「ゑ?」

 

 バァンッ!とギルドの扉を音を開けて走り去っていく青年と二人の女の子がいた。青年の鎧には見覚えがあった。

 

 「ミツルギ?」

 

 ボクが王都へ行くと高確率で絡んでくる転生者だ。

 正直キモいし鬱陶しい。あとウザい。魔法職一人は危険だとか、もっと良い装備をあげるとか詰め寄ってきて本当にウザい。

 それにグラム以外の剣はそこら辺の冒険者くらいの実力しか出せないし。なんなら今のカズマの方が強いんじゃないかな?

 

 まぁミツルギのことは放っておいて、今の目的はカズマ達に謝ることだ。多分カズマは許してくれるだろうけど……まぁアクアはシュワシュワとか奢れば良いかな、アクアだし。

 

 やっとギルドに入ると、カズマ達は酒場のカウンターに集まっていた。

 

 「む、キィラか。おはよう、体調はどうだ?」

 「うん、おはよう。体調は……いつもすこし良い感じ、かな?」

 

 言われて気づいたけどなんか昨日よりも身体が軽い。咳も出ないし。

 

 「本当か?」

 「ほ、本当だよ?」

 

 考えているとカズマがじと~っと顔を近づけてきた。するとめぐみんが「離れてくださいロリコン」とカズマを追い払った。

 

 「キィラ、ばんざ~い」

 「……え?「ばんざ~い」あ、うん」

 

 めぐみんはfallがいずの様に両手を上げて真似するように圧をかけてきた。言われた通りにすると両脇に腕を通してぬいぐるみみたいに持ち上げられた。

 ……何がしたかったのかな?

 

 「あ~…え~と?」

 「流石に、ここまでとは思いませんでした。匂いも薄くなってます…」

 「ど、どうしたの?」

 「いえ、なんでもありません」

 「えぇ…?」

 

 めぐみんに下ろされて困惑していると、本題を忘れかけていることに気づいた。頭を下げて謝るとカズマに凸ピンをされた。

 

 「あうッ」

 「そんなことで町の英雄が頭を下げんなっつの、まぁ悪いと思ってるなら体調が悪いとき位は頼るなり相談なりしてくれ」

 「…うん、そうするよ」

 

 こういうところはイケメンなんだよねぇ…

 

 『緊急!緊急!全ての冒険者は武装し、町の正門に集まってください!特にサトウカズマさん達一行は大至急でお願いします!!』

 「「「「え?」」」」

 

 突然の放送に驚くカズマ達と冒険者達。放送に従って移動を始めると、頭の中に声が響いた。受付嬢、ルナさんの固有スキル【伝達】だ。

 

 『キィラさんはギルマスの部屋に来てください!お願いします!』

 

 放送で言わないと言うことは機密か何かか?

 カズマ達にすこし遅れる事を伝えてギルマスの部屋に行くとルナさんとギルマスが険しい表情で待っていた。

 

 「突然呼び出してすまなかったね、身体に異常は無いか?」

 「昨日よりは良いかな」

 「そうか、では本題に入ろう。また魔王軍幹部が襲来した。前回同様デュラハンだ。王都の討伐隊は___全滅した」

 「……そっ、か」

 「王都の討伐隊が全滅した以上、今のこの町での最高戦力は君だ」

 

 ギルマスら何かにサインをして、それを見せてきた。

 

 「ギルドマスターとして依頼する。冒険者キィラ殿、デュラハンを討伐してくれ」

 「依頼、承りました」

 

 その瞬間、地響きと共に爆音が聞こえてきた。窓を見れば赤い光が空に上っていた。

 多分、めぐみんの爆裂魔法だ。  

 その場で影を腰から下だけに纏い、脚力を強化して窓を蹴破って屋根を走り、正門を目指す。

 ……ギルマスはともかく、ルナさんには後で謝っておかないとな。

 

 

 

 全力で走っていれば、あっという間に正門についた。すると、一番にカズマの叫び声が聞こえた。

 

 「やめろ!行くなぁぁあ!!」

 

 カズマの視線の先にはセドルを筆頭にした脳筋達がベルディアに特攻いていた。

 ベルディアは自身の頭を空に投げると巨大な瞳が出現した。

 

 「ッ!」

 「ッ!来たか狂影(きょうえい)!!」

 

 ベルディアが脳筋達の攻撃を避け、カウンターをする寸前で何とか影で防いで後ろに脳筋達を放り投げる。

 ……きょうえいって何?

 

 「後ろを向くな!お前の事だバカタレがぁッ!___え、なにその顔」

 「いや、だっさい名前だなぁって」

 「魔王様がお前に付けた二つ名だぞ!?」

 

 いや知らないよ。(魔王)に付けられた名前なんて嬉しくないし、と言うか厨二臭いし……そんな名前、喜ぶのは紅魔族くらいだよ?

 

 「キ、キィラちゃんが来たぞ!」

 「よっしゃぁ!やっちまえ!!」

 

 後ろからは冒険者達からボクへ対しての応援の言葉が飛び交っていた。それを聞いたベルディアはハッ!とわざとらしく鼻で笑った。

 

 「あんな奴らを守るのか?呪いに蝕まれ、苦しんでいるお前にすら気づかないあいつらの為に!」

 

 ……呪い?呪いなんてかけられてたの?

 

 「あ、それ私が解いておいたわよ?」

 「……ファッ?」

 「そうなの?」

 「昨日ちょちょちょ~いってね!女神であるこの私にかかればどうってこと無いわ!あ、お礼は唐揚げとシュワシュワで良いわよ 」

 

 むふ~んと胸を張りながらドヤ顔で言いきったアクアにベルディアはプルプルと震えていた。

 ボクが知らない間にそんなことが……なら、最近の体調不良は呪いのせいかな?現に今日は咳出てないし。

 

 「ふ、ふっざけんなぁぁあ!?俺の!スキルが!何故駆け出し冒険者に一度ならず二度も!?さっきの聖魔法といい!お前本当に駆け出しかぁ!?」

 

 ベルディアはついに癇癪を起こして両足で地面を踏みつけてわめき散らし始めた。

 ……なんか、どんまいって感じだね。アクアはとりあえず笑うのやめてあげない?無理?あ、そっかぁ……

 

 「えぇい!もう良いわ!!狂影!貴様さえ殺せればこんな所すぐに「クリエイトウォーター!!」___なんだ貴様!?」

 

 突然上から滝のように水が降ってきてベルディアはその場から飛び退いた。ボクはベルディアが飛び退いた所を追撃しようとしたら更に上から水が降ってきて蛙の様に地面に倒れた。…ずぶ濡れだ…

 

 「カズマ……?」

 「い、いや違うんだ!こうしたかったんだよ!フリーズ!!」

 「ぬぅ!?」

 

 水が一瞬で凍りついてベルディアの足を凍らせて自由を奪った。

 

 「キィラ!今だ!」

 「ッらぁ!!」

 「ぶふぉあ!?」

 

 影を全身に纏って、全力でベルディアを殴って地面に叩きつけると土煙が上がった。止めを差すつもりで飛び上がって重い一撃を食らわせようとするが、土煙の中から斬撃が飛んで来て吹き飛ばされた。

 咄嗟に両腕でガードをしたからダメージは無いけど、すこしだけ距離が空いてしまった。

 

 「キィラ!無事かッ!?」

 

 土煙を吸い込んで咳き込んでいるとカズマが駆け寄ってくるのが見えた。その後ろには、大剣を振り上げている。

 

 「カズマッ!!」

 

 咄嗟にカズマの影を操って横に突き飛ばす。本当に本当にギリギリだった。けど、ボクの防御は間に合わなくて

 

 「……愚かだな狂影」

 「いったい、なぁ…ゴフッ」

 

 咳をすると口から赤い塊が飛び出て来て地面を汚した。立ち上がろうとしても胸の激痛で立ち上がれなかった。胸を見れば右肩から左脇の下くらいまでをバッサリと切られていた。

 …無い胸が、余計削られたなぁ…不老不死だから、死にはしないだろうけど、痛いものは痛いね…カズマは___良かった。

 突き飛ばした場所を見ればカズマがこっちを見ていて、ボクと目が合った。

 ドンと衝撃を感じると、ベルディアがボクを踏んで見下ろしていた。

 

 「貴様とは一騎討ちをしたかったが、この機会を逃すわけにはいかん。さらばだ狂影」

 

 大剣を胸に突き立てられて喉に血が上ってくるのがわかった。けど、不思議と苦しくはなくて、何も感じなかった。

 暫くそうしているとベルディアは胸から大剣を引き抜いて街の方に歩き始めた。

 その間にボクの身体はミチミチと肉が練られるような音をたてながら傷口を塞いでいた。……いやスプラッター過ぎない?

 数秒もすれば傷口は完全に塞がっていて動けるようになった。ゆっくりと立ち上がって、ベルディアの無防備な背中を蹴り飛ばす。

 

 「いってぇ!?__はぁ!?何で生きてんの!?」

 「そゴファッ!?ゴホッエホッ!」

 

 喋ろうとしたら喉に貯まっていた血液でむせた。……復活したのにしまらないなぁ…

 

 「オェ…ボクが、あんな攻撃で死ぬと思った?_____さぁ、第二ラウンドを始めようか!!」

 

 

 

 

 それから数分間、ボクが殴り、ベルディアがそれを受け流してカウンター、それを避けてカウンターというのが続いていた。

 

 いやベルディアの鎧硬い!!影で貫けないとかどういう硬度してるのかな!?それにベルディアの剣の使い方がうまいし!

 

 いまいち火力が足りない。うまく殴れても鎧でダメージが入らないし、鎧が無い腰の部分を狙えば大剣でガードされてカウンターが飛んで来る。

 いっそのことアルマゲドンを使ってみようかと思っているとボクとベルディアの間に水が飛んで来た。

 

 「だからなんなのだ貴様は!?水遊びがしたいなら「水だぁぁあ!!」やかましいわ!?」

 

 カズマが叫ぶと回りにいた魔法職の冒険者達が一斉に水を飛ばしてきて、それをベルディアは避け続けていた。

 不思議に思っているとカズマとアクアの言い争っている声が聞こえた。

 

 「何で水遊びしてるの?バカなの?」

 「お前なぁ!?あいつは水が弱点なの!お前も水の女神なら出せるだろ!?」

 

 ……だからベルディアは水を避けてたのね……ならボクのやることは一つだね。

 

 「ぬぉぁぉあ!?貴様やめろ!濡れるだろうが!?」

 「水も滴るいい男になれば?」

 「……え、なに急に、俺に惚rぶふぉ!?」

 「自惚れないでよ気持ち悪い…」

 

 あまりの気持ち悪さに顔に水をかけちゃった。ていうかボクも初期魔法覚えてるんだからクリエイトウォーター使えるじゃん。

 それに気づいてからはベルディアを影で拘束して顔面に水を当てると言う的当てゲームをしていた。

 すると不意に空が暗くなった。空を見上げると、今にも降りだしそうな黒い雲があった。

 

 「ちょっとキィラ!今からすごいの出すからそいつ押さえといて!」

 

 アクアはそう言うと手のひらを空に向けると、物凄い量の魔力を練り始めた。それを感じたベルディアは逃げ出そうとした。

 

 「や、やめろ!離せ狂影ェ!!」

 「逃がさないよ♥️」

 「アッ!み、水!水がぁぉぁぁあ!?」 

 「……流石にボクも逃げれば良かったかな…」

 

 ボクが物凄い量の水を見上げて後悔をしているうちにその水はベルディアとボクを飲み込んだ。

 そのまま流されていって、途中まではベルディアを離さないようにしていたけけど、何故か影が水に溶けていって離されて、それから息が持たなくて気絶した。

 

 

 

 

 目が覚めると目の前にはベルディアの生首があった。

 

 「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

 「オラッ!!お、起きたかキィラ」

 

 視線をあげるとカズマが良い笑顔をしていた。

 

 「えっと、ベルディアは?」

 

 カズマはニコニコとしていた。聞けばあのあとスティールでベルディアの頭を奪って冒険者全員で生首サッカーをしているらしい。

 なかなかに残酷なことになってる……ボクも生首にされたらああなるのかな……?

 

 「わッ!?」 

 「も、もう勘弁してください…

 

 ボクの所に飛んで来たベルディアをキャッチするとものすごく弱っていた。……ボクも一回は殺されたし、やり返しくらいしとこうかな

 

 「……ばるす」

 「いやぁぁぁあ!?目がぁぁぁあ!?

 

 甲冑の隙間から見えていた目をバルスすると絶叫をあげた。

 死ぬより痛くないでしょ?ね?

 

 「も、もうこれだけ弱ればアクアの魔法で終わるだろう。アクア、一思いにやってくれ」

 

 ダクネスがそういうとどこからか杖が飛んで来てアクアが魔法を発動した。いつもより女神らしくなったアクアがベルディアを浄化すると、天に光が上っていった。

 

 「カズマ、お疲れ様」

 「おう!キィラもお疲れ様!」

 

 

 

 




やっぱりこのすばにシリアスぶちこむのは本能が抵抗してコメディーに……今回のカズマ視点、いります?

カズマ視点いります?

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