べ、別にあんた達のためじゃないんだからね?
アクアを泉に浸けた翌日、俺たちは報酬金を受け取りに朝からギルドに来ていた。来ていたんだが……
「なぁんでよぉぉお!!」
「アクアの声だったな」
「どうひたんですかねぇ」
隣ではダクネスとめぐみんが朝食を取りながらそんな事を言っている。棒読みだからどうせどうでもいいと考えてるんだろうが、
受付ではアクアがルナさんの胸元を掴んで揺さぶっている。あ、もう少しでたわわがゲフンゲフン
「あいつは騒ぎを起こさなきゃ気が済まないのか!?」
「………今回の報酬……壊した檻の修理代を引いて10万エリスだって…檻の修理代が20万エリス……私が壊したんじゃないのに……!!」
そういえばあの檻って狂暴なモンスターをいれるための特殊な鉄を使った奴だって言ってたな。
「あの男!今度会ったらゴットブローを食らわせてやるわ!」
言われてみれば、檻に止め差したのあのミツルギって奴だったな……ま、あのチートハーレム野郎にはいい薬になるか「探したぞ!サトウカズマ!!」
「お?」
名前を呼ばれて振り返ってみればミツルギがいた。朝から元気だな。おい、なんで後ろの
「君のことはある盗賊の少女に聞いたよ、
「……はい?」
「他にも女の子を粘液まみれにするのが趣味だとか噂になってるそうじゃないか!
「うぉい待て!?誰がその噂広めたかkwsK!!」
俺は脱がせ魔じゃないし粘液まみれにするのも趣味じゃねぇ!!そんな噂キィラに聞かれて「カズマ…最低…」なんて言われでもしたら俺は生きていけねぇぞ!?
「アクア様!僕は必ず魔王を倒すと誓いますから、どうか僕のパーティーに「ゴットブロォーッ!!」ハァォァァアン!?」
俺が問いただす前にアクアはミツルギにゴットブローを食らわせていた。ツインズからは悲鳴が上がりミツルギの顔はひしゃげている。いい気分だ。アクアはそのままミツルギの胸元を掴んで持ち上げて檻の修理代を払えとカツアゲを始めた
「30万よ30万!!」
「え、あ、ぁぁ、は、はい」
……さっき20万とか言ってなかったか?こいつ、サバ読みやがった…
アクアはミツルギから巻き上げると一気に上機嫌になり、カウンターでシュワシュワと唐揚げ大盛を頼んだ。現金な奴だ。
「グッ……こ、こんな事を頼むのは虫が良いのは理解している、だがッ!どうか僕の魔剣を返してくれないだろうか!?変わりに街で一番良いのを「ちょいちょい」へ?」
ミツルギが頭を下げる途中でめぐみんがミツルギの裾を引っ張って俺を指差した。すまんなミツルギ、俺はもう魔剣を持ってないぞ。
「さ、サトウカズマ?ぼ、僕の魔剣は……?」
「売った」
じゃらりと数十万エリスが入った袋を見せてやればミツルギは叫びながらギルドを飛び出していった。
うんうん。急げミツルギ。運が良ければまだ売れ残ってるぞ。
「先程から気になっていたのだが、アクアが女神だとか呼ばれていたが何の話だ?」
……この際だ。こいつらには話しても良いかも知れんな。
「今まで隠していたのだけれど、あなた達には言っておくわ。実は私は水を司る女神なのよ!「「と言う夢を見たのか」」違うわよ!?」
「む、キィラか、おはよう。体調はどうだ?」
ダクネスの視線の先を見るといつの間にかキィラがいた。キィラは何故かすこしだけ気まずそうな表情をしていた。
「うん、おはよう。体調は…いつもより少しいい感じ、かな?」
キィラは自分の身体を確かめるように胸に手を当てていた。
……本当か?体調が悪いのを言わずにクエストを受け続けていたし、何より昨日アクアに呪いを解かれたばっかりだ。
「本当か?」
「ほ、本当だよ?」
顔色をよく見ようと顔を近づけるとキィラは戸惑った声を出した。ふむ……昨日よりは確かに良さそうな?
「キィラから離れてくださいロリコン」
「誰がロリコンだぁ!?」
俺からキィラを離しためぐみんはジト目で俺を睨んでいる。いや俺はロリコンじゃねぇよ!?第一キィラは俺より年上だからロリ……いや見た目はロリだから合法ロリか?
「キィラ、ばんざ~い」
「……え?「ばんざ~い」あ、うん」
……なにしてんだこのロリっ娘は?
急に両手をあげながらばんざいを連呼してキィラにもやるように促している。
キィラが圧に負けて両手をあげるとめぐみんはキィラを抱き締めて持ち上げた。……いや本当になにがしたいんだ?とりあえず影でこそこそとこっちをみてhshsしている野郎はぶちのめしてやろう。
数秒もすればめぐみんは満足したのかキィラを下ろした。
めぐみんは下ろした後手を口に当てて何やらぶつくさ言っている。まぁ予想はついている。昨日俺とダクネスがキィラが軽すぎるって言ったからその確認だろうがな。
「ここまで匂いが薄くなっていたのに何で気づかなかったんでしょう…」
……その話は後でじっくりと聞こうじゃないか。
「あ、あの」
「ん?どうしたんだ?」
「え~ッとね」
キィラにしては歯切れが悪い。……まさか他にも何かあったのか?
「き、昨日はごめんなさい…護衛なのに途中で寝ちゃって…家にも送って貰ったみたいで…」
「……てい」
「あうッ」
申し訳なさそうに頭まで下げて謝罪するキィラに俺は凸ピンをした。こんなことで謝んなくて良いんだっつーの。
「そんなことで町の英雄が頭を下げんなっつの、まぁ悪いと思ってるなら体調が悪いとき位は頼るなり相談なりしてくれ」
俺がそういうとキィラはおでこを押さえながら「そうするよ」とすこしだけ笑いながら返した。……やっべ萌える…普段そんな笑う方じゃない奴が笑うとインパクトでっけぇな……
『緊急!緊急!全ての冒険者は武装し、町の正門に集まってください!特にサトウカズマさん達一行は大至急でお願いします!!』
「え?」
突然のルナさんの放送に驚いた俺たちだったが、ギルドを出ていく冒険者達の後を追ってギルドを出た。
キィラは何か真剣な顔をして「用事があるから先に行ってて」と言っていたが、緊急放送より大事な用なのか?
正門に着くと既に多くの冒険者で溢れていた。そのなかを掻き分けて最前列に出ると、先にはいつぞやのデュラハンがいた。
「何故城に来ないのだ!こ、この人でなし共がぁあ!!」
「……はぁ!?もう爆裂魔法を撃ち込んでいないのに何でまた来たんだ!?」
「撃ち込んでいないだと!?白々しいわ!そこの頭の可笑しい紅魔の娘が毎日欠かさずに撃ち込んでるわ!!」
「……おい」
めぐみんを睨むとあからさまに目を反らした。
こいつ…ッ!まだやってやがったのか!!
「お ま え かぁぁぁあ!!」
「ひ、ひたいでひゅ!ひゃめてくらはい!!ちかふのでひゅ!!きいてくらひゃい!!!」
ほう?理由があるなら聞こうじゃないか!!
「今までならば何もない広野に魔法を放つだけで気が済んでいたのですが、城への魔法攻撃を知ってしまうと…お、大きくて硬いものでないた満足できない身体に///」
「もじもじしながら言うな!?だいたい魔法を撃ったら動けなくなるだろうが!?となれば共犯者が…?」
チラリとアクアを睨むとできもしない口笛で息を吐いた。お前か!!この駄女神!
「あいつのせいでクエストが受けられないから腹いせがしたかったのよ!」
「あのなぁ!うぉ!?」
言い返そうとすると急に突風が吹いた。突風の先ではデュラハンが黒いオーラを纏いながら如何にも怒ってますアピールをしている。
「俺が怒っているのはそれだけではない!!お前らには仲間の死に報いようという気概は無かったのか!?」
……はい?
「俺はこれでも、生前は真っ当な騎士のつもりだった!その俺から言わせればあのクルセイダー!仲間のを庇い呪いを受けたクルセイダーは騎士の鑑そのもの!そのような者の死を無駄にするなど……ん?」
デュラハンは急に話すのをやめ、俺たちの後ろをみて目を見開いた。後ろにはダクネスがいて、うん…まぁ、生きてるんだよなこいつ
「い、いやぁその、騎士の鑑などと…///」
「あ?……あるぅぇぇぇえッ!?」
正門にはデュラハンの声が響いた。それからと言うものの、アクアの煽りに切れたデュラハンにアクアがターンアンデッドとセイクリッドターンアンデッドをぶちこんでデュラハンは情けない声を出してのたうち回った。
魔王軍幹部の威厳とはいったいどこへ行ったのやら……
「ええいもうよいわ!!アンデッド共!街の奴らを皆殺しにしろ!!……は?」
「え?……ピギャァァア!?なぁんで私だけ狙われるの!?」
呼び出されたアンデッド達は街ではなくアクアを追いかけ始めた。
……迷えるアンデッド達は無意識に女神に救いを求めるのだろうか…?
「ッ!めぐみん!あのアンデッド達に爆裂魔法を撃ち込めないか!?」
「え、あぁも纏まりがないと…「かじゅまさぁん!!」
「ッえ?___どわぁぁあ!?この馬鹿!こっちにつれてきてんじゃねぇよ!!」
アクアはアンデッド達を引き連れながら突撃してきた。何してくれてんだこの駄女神は!!
「こ、今度は何か奢ってやるからどっか行けぇッ!」
「私が奢るから助けてよぉ!!数が多くてターンアンデッドを撃っても撃ってもキリが無いのよぉ!!」
ちくしょう数が多すぎる!何か、何か手は…!そうだ!
「おいめぐみん!爆裂魔法を唱えて待機してろ!」
「り、了解です!」
「アクア!着いてこいよ!!」
「なにがよぉ!?」
さっきめぐみんは言っていた。
「めぐみん!今だッ!!」
「な、なんという絶好のシチュエーション!感謝します!深く感謝しますカズマ!!_____穿て!エクスプロージョン!!」
めぐみんの爆裂魔法で周囲が吹き飛び、轟音が鳴る。流石にこれで倒しきれずともダメージは入っただろう。
音が落ち着いて、めぐみんに近寄るとものすごく満足そうに倒れていた。
「おんぶはいるか~?」
「お願いしましゅ♥️」
めぐみんをおぶってその場から離れようとすると、デュラハンの笑い声が聞こえた。
起き上がったデュラハンは無傷で、今度は俺が相手をするとか言っている。
もうめぐみんの魔力が尽きてるし、アクアの魔法も決定打にはならない…どうしろってんだよ!
「ビビる必要はねぇ!すぐにキィラの嬢ちゃんが来る!」
「俺たちはキィラちゃんが来るまで時間稼ぎが出来れば良いのよぉ!」
「一度にかかれば死角が出来る!全員でやっちまえ!!」
そういって男共はデュラハンに突っ込んでいった。
「余程先に死にたいらしいな?」
デュラハンが頭を投げると何かのスキルが発動して瞳が出現する。その瞬間、本能的にわかった。アレは、駄目だ。
「やめろ!行くなぁぁあ!!」
叫んでも男達は止まらずにデュラハンに攻撃を仕掛ける。それをデュラハンが全て避けて大剣を凪払う瞬間、影が動いて男達を吹き飛ばした。
後ろをみれば、足が真っ黒なキィラが腕を横に突き出していた。
「来たか狂影ッ!」
……ん?きょうえい?
デュラハンが呼ぶとキィラは後ろを振り向いた。いや、絶対にあんたの事だぞ。
「後ろを向くな!お前の事だバカタレがぁッ!___え、なにその顔」
キィラは眉間に皺を寄せて物凄く嫌そうな顔をした。割りと格好いい二つ名だと思うんだが
「いや、だっさい名前だなぁって」
「魔王様がお前に付けた二つ名だぞ!?」
……俺、魔王とセンスが似てるかもしれない……
若干落ち込んでいると正門から声が聞こえた。どうやらキィラが来て勝ち確だと冒険者達が喜んでいるらしい。
「ハッ!見ろ!あんな奴らを守るのか?呪いに蝕まれ、苦しんでいるお前にすら気づかないあいつらの為に!」
デュラハンが俺たちを大剣で差しながら言うと今度は戸惑いの声が聞こえてきた。……やっぱりこいつが、魔王軍がキィラに呪いをかけてたのかよ、くそったれが。
でもまぁ?そんなのは俺の特典
「あ、それ私が解いておいたわよ?」
女神アクア様が解いたんですけどねぇぇぇ??
長くなるんで分割します(話数稼ぎ意味はないです)