この素晴らしい影使いに祝福を!   作:メヴィ

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お久しぶりです。
ここさいきんモチベーションがクソ下がってました…催促で良いんでコメントをお恵みください…


お薬と蜂

 デュラハンを討伐した翌日。

 目が覚めてもまだ体がうまく言うことをきかずにふらふらした。

 原因は血を流し過ぎの貧血だ。

 昨日いざ帰ろうとしたら立ち上がった瞬間に目眩がしてまた倒れちゃったんだよね…それでカズマ達を余計に心配させちゃったし。

 めぐみんにいたってはしばらく一緒にいますと駄々をこねたほどだ。

 でも体に影を纏ってその影を操って動かせばだいぶ楽だからそれは断った。

 

 支度をして梨モドキを齧りながら家を出ると街の人によく話しかけられた。

 主な内容が身体は平気なのかとか、無理はするなとかそんなのばかりだった。

 不思議に思って話しかけてきたおばさんに聞いてみるとボクがデュラハンとの戦闘で重症を負ったのは街の全員が知っていて、なんなら新聞の一面を飾ってた。

 どこで撮ったのかデュラハンに串刺しにされてる写真がデカデカと張り付けてあった。子供の教育に悪いよ本当に。

 

 「正直私も思ってるんだよねぇ…まぁ君が元気そうならよかったよ」

 

 じゃ、と手を上げておばさんは去っていった。

 そこからも色々な人に絡まれながらギルドを目指して歩いた。

 子供達がボクを見つけた途端に半泣きで群がってきたのは驚いた。やっぱりあの新聞のせいだよね…

 花冠やら早く元気になってねと色々な物をくれたタイミングで子供達の親達がやってきて帰っていった。

 

 貰ったものを影に収納してギルドにつくとむせ返るようなお酒の匂いが充満していた。

 多分討伐参加の特別報酬金が出てるんだろうね。

 ルナさんは……あ、カズマ達だ__なんでそんなに落ち込んでるの?

 

 「…アクアが出した水で防壁が壊れたんだよ…一部でも良いから金払えって……三億飛んで四千万…」

 

 えぇ…確かに防壁壊れたけど一部でもそんなにするんだ…ていうかあのクソ領主何もしてないんだからそのくらい多めに見ても良いと思うんだけどな…あ、でもデュラハン討伐したのはカズマ達なんだから報酬金も…

 

 「報酬が三億…四千万の借金だよクソがァ!」

 「………」

 「わ、私も思うところはあるんですよ?!領主様の指示なので…」

 「……フンッ!」

 「え、キィラ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はいこれ」

 

 カズマに請求書を返すと紙を見た瞬間に宇宙を背負った顔になった。紙を覗いダクネスやめぐみんは口を開けてピタリと固まった。

 ルナさんはボクの隣で苦笑いをしている。

 数秒してからカズマは壊れたロボットのみたいに首をこちらに向けた。

 

 「き、ききききぃらさん?かたがわりってどういうことでしか?」

 「そのまんまの意味だよ。本当は全部にしたかったんだけど…ルナさんがダメっていうから…」

 「あ!た!り!ま!え!で!す!」

 

 確かにキィラさんなら払えますけどそれとこれは別です!と怒られちゃったんだよね…お金なんてこの体と世界ならいらないのに…

 カズマ達が固まっている中アクアは太っ腹ねぇ!と背中を叩いてきた。パァンといい音がした。

 

 「アクッお前なぁ!?病み上がりになにしてんだ!」

 「もう治ってるんだから良いじゃない」

 「そう言うことじゃねぇだろ!?」

 

 別に良いんだけどね…て、あれ?影がうまく動かなってきた…

あ、やばいかも

 

 「…どうしました?やっぱりまだ体調が」

 「いや、大丈夫…血が足りてないだけだから」

 

 ルナさんに寄りかかるとかなり心配そうにしていた。いや、本当に貧血なだけだから。

 

 「そうですか…そういえばウィズさんのお店は増血剤を扱っていたはずなので取り寄せましょうか?」

 「そうなんだ…いや良いよ。どうせ暫くは暇だから自分で行ってくるよ」

 

 さっきギルマスに療養しろって言われたんだよね…傷は治ってるのに

 

 「あ、ちょまてキィ」

 

 ギルドを出るときにカズマが何か言っていたような気がしたけど正直貧血がしんどいからごめんね。

 

 

 

 

 

 「あ、いらっしゃいませキィラさん!今お茶を入れますね!」

 「ん、ありがと」

 

 ウィズにお茶を入れて貰っている間に店内を見て回ると確かに増血剤が置いてあった。

 錠剤、粉末、液体…クッキー?いろいろあるんだね…いや、ウィズの店だからかな?

 

 「お待たせしました~」

 「あ、うん」

 「お久しぶりですね~あ、そうだ。ベルディアさんを倒したんですよね?」

 

 ウィズは両手をあわせておめでとうございますと言ってくれた。

 こう見えてもウィズは魔王軍幹部の最上位アンデッドのリッチーだ。

 とは言っても魔王城の結界を維持しているだけで昨日のデュラハンみたいな事は一切していない。  

 まぁ要するに無害な魔王軍幹部なんだけど…同じ幹部なら思うこととか無いのかな?

 

 「いえ別に…魔王城でたまに会うくらいでしたし…それに」

 「それに?」

 「私の足元に首を投げてスカートを覗こうとする人でしたから…」

 

 ウィズは苦笑しているけどそれは怒っていいと思うんだ。うん。

 

 「あ、そうでした!お怪我は大丈夫だと思いますがどうされたんですか?」

 「うん、実は血が足りなくて貧血になっちゃってね。ルナさんに増血剤があるって聞いて」

 「血が?……もしかして再生するのは肉体だけなんですか?」

 「うん。あまり融通が聞かないみたいでね。血液は戻してくれないみたい。…確実に死んだのは昨日が初めてだったから」

 

 実を言うとウィズにはボクが不老不死ということは話してある。初めて会った時に凄い驚いた顔で貴女もリッチーなんですか!?なんて言われた時は驚いた。

 なんでも魔力の循環や質が不死者と同じだかららしい。

 

 「そうでしたか…その、苦しかったりしませんでしたか?」

 「そういうのは無かったよ。大丈夫」

 

 ボクがそういうとウィズはなら良かったですと微笑んだ。

 

 「あ、増血剤でしたね。色々種類がありますけど、どういったものが良いですか?」

 「できれば即効性重視のが良いかな。今でも結構しんどいし、その、周期的にもそろそろだから…」

 「そうですか…なら、これとかどうですか?結構人気なんですよ?」

 

 ウィズが持ってきてくれたのはクッキーの増血剤だった。

 まぁ、食べやすそうだから人気なのかな?

 

 「すこし苦味がありますけど一袋程食べれば一週間もすれば貧血も収まると思います」

 

 即効性は2番目です!とウィズは得意気になった。

 苦味があるんだ…別に嫌いじゃないけどなんで人気なんだろ?それに一週間で2番目なら一番目は?

 

 「あ~…その、一番目は液体のほうで、飲んだ翌日には貧血が治るのですが、ち、ちょっと味が良くないんです…それにお腹を壊してしまうみたいで…」

 「なるほど…早く治したいけどお腹壊すのはやだな…うん。クッキーのにするよ。じゃあまた今度」

 「はい、またいつでもいらしてくださいね」

 

 ……クッキー多くない?食べきれるかな…がんばろ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウィズのお店を出たあとギルドに戻ろうかと思ったけどやめた。お酒の匂いも凄いだろうし、クエスト受けさせて貰えないし…やることが無いんだよね。……庭で日向ぼっこでもしよう。

 

 「ん、ゴーヤチップみたいな味だ」

 

 梨モドキの木の下で増血剤クッキーを食べると案外しっとりしていた。流れていく雲を寝そべって見ながらサクサク食べているとどこからか猫が入ってきた。

 凄く人懐っこいみたいで暫く撫でるとグルグル喉を鳴らして頭を擦り付けてきた。

 動物って癒されるよね…いっそのことペットをお迎えしてみようかな?

 

 「うちの子になる?」

 「ん~に!」

 「そっかぁ…ざんねん」

 

 ボクのお腹の上を陣取ったお猫様に聞くと心なしか目で拒否を訴えてきた。でも頭を擦り付けてくるからボクのことは嫌いじゃないらしい。まだまだ自由でいたいんだろうね。

 

 それから暫くしてお猫様は満足したのか何処かに行ってしまった。名残惜しいけど気まぐれの象徴だから仕方ない。

 

 「お迎えするなら何が良いかな…」

 

 犬…猫…鳥とか?………この際モンスターでも良いかな?可愛いのもわりと多いからね…グリフォンだってそうだ。田舎の町では卵から世話をして刷り込みをすればペットになっていた。

 なんならその地方ではグリフォンを使って配達なんてことも、してた。

 

 野生のグリフォンはどこぞの戦闘民族かって程狂暴なのに飼い慣らされた犬みたいになるからね…可愛かったな。

 でもアクセルでグリフォンを飼うのは…無理そうだな。そもそも田舎の広い農地だからこそ飼えるわけで……うん…グリフォンは諦めよう。

 

 う~ん……だとしてもなんか、こう、この家って寂しいな。基本的に帰って寝るだけの場所になってたからなぁ…暫くはクエストも受けれないし、だからといってギルドに居座るのも迷惑……にはならないか。うん。ギルドを家みたいにしてる人も多いからね。

 

 まぁそれはそれとして話を戻そう。

 

 「無難に犬か猫かなぁ…ん?……蜂?」

 

 独特の羽音につられて起き上がると蜜蜂が花から蜜を吸っていた。

 

 「………そういえば、居たね。でっかいの」

 

 グリフォンがいる田舎ではもうひとつ産業が発達してた。

 それが養蜂だ。

 もちろん普通の蜂なんかじゃないし、オオスズメバチなんか非じゃないくらいでっかい。小型犬くらいの大きさの蜂だった。

 初めてみたときは凄く驚いた。

 だって巨大な蜂だもん。それに加えて群がってくるんだよ?リアルB級映画を体験した気分だった。…二度と体験したくないね。

 それで、確か蜂の名前は柴蜂(しばはち)だったはず。

 

 

 

 

 実はこの柴蜂、何十年前にその村の村長が見つけてきた蜂らしい。まぁ訳あってその村長の日記を見せて貰ったんだけど日本語だった。

 それを読んでみるとまぁびっくり。とんでもない蜂愛好者だった。日記の内容はだいたい蜂を殺すなとか蜂は可愛いんだぞとかそんなのばっかり。

 

 

 

 そんな蜂バカ村長の転生特典がキメラを作る能力だ。

 蜂バカ村長はその力を使って皆に愛される柴蜂を作った……ベースは柴犬と熊蜂らしい。

 柴犬の要素は人懐っこいのと忠誠心の習性、熊蜂の要素は体らしい。もっとわかりやすく言えばでっかい。熊蜂に柴犬の心を持たせましたということだ。

 

 ___キメラ作れるんなら【ぼくのかんがえたさいきょうのいきもの】でも作って魔王倒せよ。こう考えたボクは悪くないと思う。

 

え?お前も?やだよめんどくさいし…そもそもそんな柄じゃない。ミツルギがいつか勝手にやるでしょ。僕には使命があるんだってうるさいし。

 

 ミツルギはほっといて、柴蜂慣れると可愛いんだよね…蜂蜜も作ってくれるし、何より懐いてくれるし言葉を理解してくれる。

 そして!もふもふなのだ!まぁもふもふに花粉がいっぱい付くから花粉症の人は地獄だけどボクは平気だからヨシ。

 でも本当に良いかもね、柴蜂。

 基本広い庭と花があれば飼えるし………養蜂家さんも欲しくなったらいつでも来て下さいって言ってたし…よし。

 お迎えしようか柴蜂。

 

 「思い立ったが吉日___あれ?もう夕方か…明日にしよう」

 

 明日養蜂家さんの所に行って、お花屋さんで花を買って……あれ、クッキーいつの間にか食べ終わってたんだ。

 空になった袋を持ち上げるとクッキーの細かい欠片がぱらぱらと落ちた。

 袋を持って起き上がるもうクッキーの効果が出始めてるのかふらつきは大分マシになった。

 

 「……やっぱ、消化器官弱くなったかな…?」

 

 お腹が久しぶりに稼働したせいかギュルギュルと音をたててる。それにすこし苦しい…

 

 「今日はもう寝よう…お風呂は__抱く深淵でいっか…」

 

 

 

 




【メヴィのトリセツ】
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 「続き早くしろハゲ」
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