ボクが療養を言い渡されてから約1ヶ月が経った。
今日はビークと一緒に朝から馬車の乗り合い所に来ている。
理由は、ビルドが来てくれるからだ。
「ボクが迎えに行っても良かったんだけどなぁ…」
「ギ?」
ビークがは?と言うように首を傾げた。
ビルドの手紙では前日の馬車から乗って別の村で知人に会ってからくるらしい。流石にそこにはマーキングしてないから行けないから仕方ない。
なのだけれど……流石にもうお昼近くだ。
到着予定時刻はもうとっくに過ぎているけど、バスみたいに予定どおりに来るわけが無いんだ。馬だって生き物だからね。
まぁとにかく、お昼の時間だ。
「ビーク、そろそろご飯にしよっか」
「ギッ」
影から器と梨モドキを取り出して器の中に切った梨モドキにビークの蜂蜜をかける。
ボクが食べている梨モドキをあげてみたら皆気に入ったみたいだから各自の蜂蜜をかけて食べるのが当たり前になった。
「はいビーク」
「ギチ」
ビークを膝の上に乗せて差し出すとシャクシャクと音をたてながら食べ始めた。
ボクは梨モドキを蜂蜜でりんご飴風にしたものを食べる。パリパリと固まった蜂蜜と梨モドキの食感が食べてて楽しい。
この世界では先輩転生者様々でザラメやらグラニュー糖やらその他スイーツに使われるものは大体はある。ちょっとお高いけどね。
「ん?」
「ギィ…」
ふとビークを見ると小さくなった梨モドキを食べるのに苦戦していた。掴もうとしても蜂蜜で滑ってうまく掴めないでいた。
それを見て下手くそ~と笑うと手首を噛まれた。
「結構、痛いです…」
「ギィ」
「ごめんって」
自業自得だと言うように睨まれ、器を小突いた。
多分食べさせろってことなんだよね…
残りの梨モドキを摘まんで食べさせた後、指に付いた蜂蜜をペロペロと舐められてくすぐったかった。
お腹も膨れて良い感じにベンチに日が当たってポカポカしてきて眠くなってきた。ビークも同じみたいで羽から完全に力を抜いて膝の上でじっとしている。
ちょっとした豆知識なんだけれど、ビーク達は瞼どころか表情筋がない。その代わりに感情を羽の動きや行動で示すんだ。
だから今のビークはうたた寝ってところかな。
「よぉキィラ」
「ッ!ビルド!」
声を掛けられて顔をあげるとビルドがいた。
前に会った時と変わらずで安心した。ビルドの後ろを見てもアイリさんとリーシャはいなかった。
「ビルド?アイリさんとリーシャは?」
「ん、」
「後ろ?」
ビルドに後ろを指されて振り返って見ても誰もいなかった。
「…ビルド?どこに「「わぁッ!!」」ォ"ア"!?」
「ブハハハハハッ!」
「ギィッ!?」
ビルドに向き直すと目の前に二つの顔があって驚いていて後ろに倒れてしまった。
「いったぁ…」
「ふ、ひひッ、姉ちゃん、大丈夫?」
「あ~…その、ごめんね?」
「………大丈夫」
転がっていると二人に顔を覗かれた。リーシャは笑ってるのを隠そうとしながら、アイリさんはすこし気まずそうにしていた。
二人に手を貸して貰って起き上がりローブを手で払っているとビルドの情けない声が聞こえた。……そう言えばビークは?
「き、キィラさん…た、助けて貰っても宜しくて……?」
「……ビーク?」
ビルドを見るとビークが無言で首もとに鎌を突きつけていた。
ビルドは両手をあげて大量の汗を流している。
「…ギィ?」
「いや、殺して良いかじゃないんだよ。おいで」
そういって腕を広げると渋々と、本当に渋々と言った感じで戻ってきた。
腕に収まったあともずっとビルドを見ていた。そのまま撫でていると横からリーシャに見られていることに気づいた。
「わぁ!姉ちゃん、触って良い?」
そのこがビーク!?と目をキラキラさせて聞いてきた。
「そうだよ、鎌と羽には触らないで、危ないし嫌がるから」
「わかった!」
ビークを手渡すとリーシャはアイリさんと一緒になってビークを撫で回し始めた。
今のうちに皆の荷物を受け取っておこうと聞いてみるとまだ馬車に積んであるらしかった。
馬車から荷物を受け取って影に収納して戻り、とりあえずボクの家に向かうことになった。
家にビルド達を迎え入れて荷物を各部屋で荷解き手伝ったんだけど……女の子って本当に荷物が多い。
ビルド達は冬にすこし前位まで(一月と少し位)泊まることになってるけど、荷物の7/10位がアイリさんとリーシャのだった。
衣服に化粧品や美容品がほとんどで、ビルドの荷物の2倍はあった。化粧品と美容品は持ってないからわからないけど、そういうものなのかな?
アイリさんに聞いてみたら美容品を使わないで何で綺麗な肌のままなのが羨ましいと言われた。多分抱く深淵の効果だからうちにいる間は貸してあげようと思う。
まぁ、そんなこんなで荷解きは終わって今はリビングで一息ついている。
お茶菓子としてアトラの蜂蜜を練り込んだクッキーを出すとかなり好評でリーシャはハムスターみたいに詰め込んでおもしろい顔になってる。
「うま~…これ姉ちゃんの手作り?」
「そうだよ。気に入ったなら良かったよ」
「そんなに甘くないな」
「あ、気づいた?アトラの檸檬の花からできた蜂蜜を練り込んであるんだ」
「もしかしてアトラってこの子のこと?」
「…え?」
アイリの膝を見るとアトラがモシャモシャとクッキーを食べてご機嫌に羽をパタパタさせてた。
いつからいたのか聞いてみるといつの間にか居たらしい。
アトラは家の中ではアイラ達と違って壁とか床を歩いてたりするから気づかなかった。まぁ仲良くしてくれるのはいいんだけどね。
「姉ちゃん!アトラ以外にもいるんでしょ?」
リーシャが会いたい!とアトラを抱えながら言ってきた。元々そのつもりだからアトラを離してあげて欲しい。乗っかるのは好きだけど体動かせなくなるの凄い嫌がるから。
解放されたアトラを頭に乗っけて(乗られた)庭に行くと皆いつも通り蜜を集めてた。
庭を見たリーシャは「森みたい!」と駆け出しそうになったのを止め、ビルドに預けてすこし待ってもらう。
いきなりサテラと会ったら大変なことになりそうだからね。
一番近いローズマリーの所に行くとエトラがローズマリーの剪定をしていた。
「エトらぁッ!?」
声をかけようとした瞬間に膝カックンをされて背中から倒れた。
何が起こったかわからなくて唖然としているとお腹にドスンとステラが乗ってきた。
羽と触覚をパタパタと動かしてご機嫌な様子を見る限りさっきの膝カックンはステラだ。
ステラは悪戯っ子でよくボクや皆にちょっかいをかけてくる。
だいたい後でエトラにしばかれてるけど。
__なんなら今もやられてるし……今回はジャーマンプレスみたいだ。
「あ~、エトラ、今日から暫く泊まるビルド達が来たから庭の入り口に皆を呼んで来てくれるかな?」
「……キ」
「ん~?__あぁ、大丈夫だよ。どこも痛めてないから。ありがとう」
「…キッ」
エトラを撫でてお礼を言うとエトラは地面に頭から刺さってたステラをプラプラとぶら下げながら飛んで行った。
「……ていうか、よく落ちないよねアトラ」
転んでる時も起き上がる時も落ちなかったし。
ビルド達の所に戻って待ってるとすぐに皆集まってくれた。
エトラに改めてお礼を言いながら撫でるとプイと皆の所に戻った。恥ずかしがらなくて良いのに…後で撫で回しておこう。
「うん、じゃぁ右から目が丸いのがアイラ、羽が長いのがセトラ、目付きが鋭いのがエトラで、ぶら下がってるのがステラで、ボクの後ろにいるのがサテラ。サテラは人見知りだからあまり脅かしたりしないであげてね」
「お、おう」
「皆さん暫くお世話になります~」
「よろしく!」
「キィラ、お前よく区別付くな。俺にはさっぱりだったぞ」
「……え?」
【メヴィのトリセツ】
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