この素晴らしい影使いに祝福を!   作:メヴィ

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よろしく カズマ

 時間がたつのは早いもの。ボクがこの世界に来てから2年がたったよ。最初の頃はアビスについて調べてた。アビスはすっごいってことは良くわかったけど、アビスのスキルは大量のスキルポイントが必要みたいだから、まだあんまり取れてない。

 

 今僕が持っているアビスのスキルは、アビスポータル マーキングした闇と闇を繋いで移動するスキルだよ。これがあれば、遠いところに馬車とかテレポートを使う必要が無くなるからね。

 

 そして今は王都のギルドからグリフォンの生態調査のための捕獲のクエストをしてるよ。なんでも、無傷で捕獲できるのはボクだけなんだとか。影の触手は汎用性が高くて耐久度も高いから、最適だね。グリフォンは~と、巣の中で寝てるね……よし

 

 「影よ…捕縛せよ」

 

 ボクが唱えると一瞬でグリフォンは影で絡め取られ身動きが取れなくなった。

 

 「………ツ!!!」

 

 バタバタと暴れようとするが、ボクの影からは逃げられない。グリフォンに王都のギルドから預かった捕獲用麻酔薬を打ち込む。すると数秒もしないうちに深い眠りについた。

 よし、早く王都に届けて、アクセルに帰ろう。

 

 「……闇は我が足となり闇を繋ぐ、アビスポータル」

 

 アビスポータルを発動させるための詠唱をすると、闇が地面に集まり、穴を開ける。地獄の穴みたいでちょっと見た目悪いけど、便利。さて、帰ろう。そしてボクはグリフォンを影で持ってアビスポータルに飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 王都にグリフォンを届けたあと、再びポータルを使い、アクセルのギルドに帰還する。すると、ポータルの先でまっていたのはルナさんだった。

 

 「おかえりなさい、キィラさん、遠征クエストお疲れ様です」

 「ただいま、ルナさん。変わりなかった?」

 「はい。何も問題無いですよ。強いて言えば、またダストさんが覗きをして憲兵さんにお世話になってます」

 「………また、お仕置きが必要………」

 「きっと、キィラさんが帰ってきたと知ったら牢屋から出てきませんよ」

 

 ルナさんは笑いながら言っているけど、ダストは何回お仕置きしたらやめるんだろう……リーンも大変だね……あの性欲魔と一緒のパーティーなんて、

 

 「あ、あの!闇の支配者のキィラさんですよね!私!ファンなんです!握手してください!」

 

 「ん?………そっか、ありがと」

 

 声をかけられ、その方を見ると、恐らく新人の女冒険者がいた。最近はよく、声をかけられて、握手とかをしてるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 ボクがアクセルにきて、半年位がたったとき、モンスターパレードっていう、モンスターの大群がアクセルに押し寄せて来たんだ。  

 その時ギルドでは動ける冒険者全員を使って、モンスターパレードを迎え撃ったんだけど、夜中に襲撃してきたものだから、一部の魔法職の人と、アーチャーは全く役にたたなくて、実質前衛だけで迎え撃つことになっちゃって、ボクもその中に居たんだ。

 この頃はまだボクを小さいからって馬鹿にしたり、言いたい放題にしてる奴らがある程度居たんだよ。夜中に起こされて、ちょっと機嫌が悪かったボクは、その、キレちゃって、一撃熊を殴った時みたいに影を纏って一人でモンスターパレードに突っ込んで、殲滅したんだ…………うん、八つ当たりだよ。ごめん爺ちゃん。

 

 そのあとからなんだよね………闇の支配者って二つ名付いたの……でも、ギルドからは報酬として、5億エリス貰ったよ。何か参加した冒険者に配るためのお金全部だって言われた時はびっくりしたよ。

 

 でも、皆、夜中に起こされて、報酬無しってのはかわいそうだったから、そこから二日間のギルドでの食事はボクが払うことにしたんだ。そりゃもうお祭り騒ぎだったよ。ルナさんはこれでいいのかって2回くらい聞いてきたよ。お代は270万エリスだった。もう少し延長しようかと思ったんだけど、ルナさんが

 

 「甘やかし過ぎです!」

 

 って、怒っちゃったんだよね。それに皆もこれ以上は流石に申し訳ないって言ってて、そこでやめたんだよ。まぁ、今でもたま~に、大成功したパーティーには奢ったりしてるよ。ルナさん曰く、それが目当てでクエストを頑張る人たちが増えたんだとか。

 あと、家を買いました。夢の庭付き風呂付き一戸建ての一人暮らし。でも、大きすぎたかぁって思ってる。でもあの梨モドキを庭で育てていて、いつでも食べれるから後悔はしてないよ。

 ていうか、家にいる間は梨モドキしか食べてないね。まぁ不老不死だから食事も必要無いんだけど、甘いものは正義だからね。

 

 「あ~!おかえり!キィラ!」

 「…ただいま、リーン。急に抱きつくのは危ないよ」

 「えへへ~、キィラはちっこくていい匂いするから仕方ないよ~」

 

 リーンは良くボクに抱きついてくる。リーン曰く梨モドキばっかり食べてるせいか、甘い匂いがするんだって。そういえば、めぐみんは元気だろうか?

 

 「リーン、めぐみんの様子は?パーティーは見つけられたかな?」

 

 めぐみんは紅魔族の少女だ。2ヶ月ほど前にアクセルに来たけど、1日一発の爆裂魔法しか使えないアークウィザードで、爆裂魔法を使ったら魔力切れで動けなくなるからパーティーを組めないんだ。 

 それで、うまくクエストが達成出来なくて死にそうになってたから、ボクが面倒を見てる。ちゃんとしたパーティーが組めるまではお小遣いも渡してるし、保護者みたいな立ち位置になった。

 

 「う~ん…私たちも他のパーティーに頼んではいるけど、やっぱりうまく行かないもんだからね……」

 「………そっか、ありがと」

 「あ、そろそろダストが帰ってくるからもう行くね!ばいばい!キィラ!」

 「ばいばい」

 

 リーンはそういうとパーティーのいるテーブルに戻っていってしまった。

 ルナさんもカウンターに戻っちゃったし、家に帰ろうかな……ん?あの緑色の服は………ジャージ?転生者かな?それに隣にいるのは………いつぞやの駄女神?なんでいるの?…………あぁ、転生者特典か………あの駄女神を選んだんだ………あ、多分転生したてだから、お金持ってないよね、変わりに払って上げようかな

 

 そう思ってジャージの人に近づいていくと、ルナさんが対応していた。

 

 「では、最初に登録手数料が掛かります」

 「はいはい……は?おい、お前金持ってる?」

 「あんな状況でいきなり連れてこられて持ってるわけ無いでしょう?」

 

 女神を無理やり連れて来たんだ……凄いね…

 

 「ボクが代わりに払うよ」

 「へ?」

 

 ボクがそう言うと、ジャージの人と駄女神はボクの方をみて、キョロキョロしてた。ちっさくて悪かったね

 

 

 「あらキィラさん、良いんですか?」

 「うん、多分この人たちはボクの同郷だよ。はい、2000エリス」

 

 ボクが同郷だと言って代わりに払おうとすると、ジャージの人が

 

 「え、いやいや…流石に年下に払って貰うわけには……」

 

 とか言って、申し訳なさそうにしてた。

 失礼な、ボクはもう18だよ

 

 「キィラさんはこうみえて、アクセルのトップクラスの冒険者ですよ?」

 「はぁ!?こんな小さな女の子が冒険者!?」

 「……本当だよ。ほら、」

 

 そういってジャージの人に冒険者カードを渡すと、ジャージの人は読み上げ始めた。

 

 「本当に冒険者なのか……なになに?キィラ、18………18!?年上かよ!?レ、レベルは……57!?」

 「あらキィラさん、またレベル上がりました?」

 「うん。森でトレントにあってね。その時に」

 

 グリフォンの捕獲の前にトレントに不意打ちされたんだよね。急に後ろから枝でパシィン!って叩かれて痛かった。

 

 ジャージの人は見終わったのか、カードを返してくれた。読むの早いね

 

 「とりあえず、ありがとうキィラさん。代わりに払って貰っちゃって、助かりました。俺はサトウカズマって言います。こっちのはアクアって言います」

 

 急に礼儀正しくなったね。敬語使われるのはむず痒いんだけどなぁ……もっと砕けた口調がいい……

 

 「………カズマ、敬語は使わないで?」

 「え、でも先輩だし……」

 「使わないで?」

 「本人が言ってるんだから良いじゃないカズマ!私は女神アクアよ!!よろしくキィラ!」

 

 駄女神はアクアって名前だったんだ………ん?アクア………アクシズ教………う、寒気が……

 

 ボクがトラウマ思い出していると、ルナさんが冒険者カードの説明をしていた。

 

 「では、カズマさん。この水晶に手をかざしてください」

 「こうか?」

 「これで、あなた方のステータスがわかりますので、その数値に応じて、なりたい職業を選んでくださいね………と、サトウカズマさん、ステータスは普通ですね……知力がそこそこですが、あ!幸運値が異常に高いですね。まぁ、冒険者には幸運はあまり、必要ないのですが……これだけの幸運なら、商売人等がおすすめですが……」

 「プークスクスクスw」

 「おい、わらってんじゃねぇぞ駄女神!えっと、基本職の冒険者で……」

 「か、かしこまりました」

 

 ………どんまいカズマ。がんばってね。やっぱりアクアはまだ人の不幸を笑ってるのね……「はぁぁぁっ!?」なに!?

 

 「知力が平均より低いのと、幸運が最低レベルなのを除けば、全てのステータスが平均値を大きく越えてますよ!こんなステータスはキィラさん以来です!!」

 「へ?なになに?私がすごいってこと??」

 

 えぇ……アクアそんなにステータス良いの……?カズマにわけてあげて……あ、いい笑顔

 

 「凄いなんてレベルじゃないですよ!知力を必要とする魔法使い職は無理ですがそれ以外の上級職なら、なんでもなれますよ!!」

 「そうねぇ、女神って職業が無いのが残念だけど、私の場合、仲間を癒すアークプリーストかしら!」

 「アークプリーストか、良いね。仲間支援したり、回復魔法が使えるから、パーティーに一人いれば楽になるよ。良かったね、カズマ」

 「おう……」

 

 ボクがカズマにそう言うと、カズマは何故か落ち込んでた。

 

 「そう言うイベントは俺に起こるんじゃぁ……?」

 

 特典が女神だから………

 

 「さぁ!今日から冒険者生活よ!カズマ!」

 

 アクアはカズマを指差してノリノリで宣言するが、

 

 「お前心底嫌がってただろ?」

 「そうだったかしら?」

 

 アクアは手のひらクルクルみたいだね……さて、これでボクにも転生者後輩ができた訳だ。先輩としてお祝いしようかな。

 

 「カズマ、アクア、冒険者になったお祝いだ。今日はボクがご飯を奢るよ」

 

 そういうと、アクアは目を輝かせ、「あら太っ腹じゃないキィラ!ほらカズマもお礼言いなさい!」ってはしゃいでた。うん、知力が低いってこう言うことが影響してるんじゃ……?

 

 「おいアクア、あんまり騒ぐなよ。助かるよキィラ、ご馳走になる」

 「良いよ、後輩の門出だから、先輩からのお祝いだ」

 

 そして、テーブルにつき、料理を注文し、まっている間に、もっと詳しいことを聞くことにした。

 

 「じゃ、改めて自己紹介をするよ。ボクはキィラ。2年くらい前に転生した元日本人だよ。職業はアビスっていう、かなり特殊な職業だよ。よろしく」

 

 「え、キィラも転生者だったのか!?特典は何を選んだんだ?」

 「あぁ、特典は、影を操る力だよ。こんな感じにね」

 

 ボクはテーブルの下から影の触手を出して、カズマに見せる。すると、カズマは突然出てきた触手に驚いてしまった。

 

 「のわぁ!?すげぇな……俺はサトウカズマ、16だ。俺の転生特典は……まぁ、コイツだ……」

 

 そういってアクアを指差すカズマ。肝心のアクアは運ばれてきた料理を貪ってた。何か目が死んでるよカズマ……

 

 「……まぁ、アークプリーストは優秀なスキルが多いから……がんばってね?」

 「………おう……」

 

 すっごい不安そう……

 

 

 

 

 

 

 

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