【転生】転生した先が激ヤバな件【おまけ込み】 作:アーヴァレスト
「うーん、この」
(どうしたというのだ怠け者?)
「なんでか北部方面軍の指揮官になったのは良いんだけど、ココのハンドラーって資材馬鹿食いしまくってんなぁっと思ってな。あと怠け者は余計だ」
(事実だろう、自分が楽して昇進出来る方法に他者を蹴落とすという手段を講じるクソ野郎め)
「お前辛辣すぎない?」
家を追い出されて軍に入って一年、俺は同居人のノインツェーンと話をしていた
傍から見れば電話で誰かと話しているような感じに見えるようにしているが実際には違う
「一応ハンドラーでもあるからいっその事、退任させるか」
(後釜狙いか?)
「プロセッサーがどういう存在か知ってるしな、俺の担当するエリアでこの国のような愚かしい事はしないつもりだ」
(まぁ、簡単にはいかんだろうな)
「そうでもないぞ、指揮通信は大体中央でやってる、であるならば」
(通信を傍受して録音、それを証拠として出して落とすか?相変わらずゲスな奴だ)
「言ってくれるじゃねぇか」
だが、事態は思ったより早く動いた
同人種の女性に対して性犯罪を行い逮捕されたのだ、愚かしすぎて笑いすら起きなかった
「よし、では俺も動くか」
(どこに赴く気だ?)
「それはもちろん、プロセッサーの子供たちに会いに行くのさ」
(どんな事になっても知らんぞ)
「安心しろ、俺が人心掌握が得意なの知ってるだろ?」
(好きにしろ)
そしてやってきた場所を見て一言俺は告げた
「立て直しだな、立て付けも酷い。吹き曝しと大して変わらんではないか」
「大佐がそう言うなんて余程ですね、で、ココには何の用で?」
「整備班の班長かな?」
「えぇ、そうですが」
そしてエンカウントしたのは整備班の班長だった、聞きたい事が多くあったので助かる
「運用している機体を見せてくれないか、カタログスペックしか知らなくてな」
「モノ好きですねぇ?」
「君達に負担を強いておいて、自分達は素知らぬ顔なんて俺には出来んよ。カタログスペックからして欠陥兵器なのは知ってるがね」
「駄作機以下の存在ですか、貴方から見れば」
「鋳直して別の機体にした方がまだマシだとすら思うよ」
そして見せられたのは現行主力機ジャガーノート、カタログスペックを見た時からアルミの棺桶と揶揄するものだった
「カタログスペック以下だな、見るに堪えん」
「一目で見抜きましたか、慧眼ですね」
「各部の溶接精度が甘い。ココで整備している部分は逆にそれが上手い、左の前脚と右の後脚、ココで再整備したものだろう?」
「えぇ、そこまですぐにわかりますか?」
「これでも技術開発部門の長でね」
大佐に上り詰める一年足らずの間に技術開発部門の長にもなっている
それが可能だったのは俺の細かなところに目が行く性質と同居人たるノインツェーンの技術提供があればこそだ
「コックピットは狭いしシートはあってないようなモノ、ベルトに至っては置物同然だな」
「ボロカスに言いますね」
「装甲もなんで電気を無駄に使って作るアルミなんかね、安価ではあるけど役に立たんモノ採用しても意味なかろうに」
そう言ってナイフを突き刺すと深々と刺さった
「純度低すぎるし、こらアカンわ」
「純度の高いアルミだとどうなるんですかね?」
「根本までは刺さらんよ、高純度ならな」
抜く時ですら、たいして力を入れずに済んだ
本来高純度のアルミであれば粘性が多少あり少し力を入れないと抜けないのだ
「あまりにも酷いな、碌な設備もない」
「じゃあ用意してくれるんですか、壁の内側にいて、命令するだけで死ねという側の人間が」
その声が聞こえたのは外側からだった、目を向けるとそこにいたのは年端も行かない少女
プロセッサと呼ばれる存在に落とされた元国民だった
「君は?」
「ここの小隊の隊長をしています、パーソナルネームは」
「アデル、だったかな?」
「そうです、ご存じでしたか」
「あぁ、君に俺の階級と役職を言っておこう。北部方面軍指揮官、オッツダルヴァ・ノインツェーン。階級は大佐だ、技術開発実験団団長も務めている」
そう言って俺は持っていたバッグからとあるものを差し出す
それは首都でしか売ってない菓子類だ
「これは?」
「お近づきの挨拶に、俺からのプレゼント」
そう言って小隊全員分を彼女に渡し、俺は告げる
「ここに俺の技術部が開発した新型機の試験機を持って来よう。実験につき合わせて済まないが、今の機体より何倍もマシだと約束する」
「信用できません」
「だろうな、これからそれを口頭で説明していこう、丁度よく比較対象もある事だしな?」
そう言うと彼女は、皆の意見も必要と言って出て行った
しばらくして小隊全員と帰ってきた彼女は説明をお願いしますと俺を半ば睨みながら言ってきた
それに苦笑いしながら答えて全員を見る
「よし、それじゃあ説明するぞ」
そう言って俺はまずナイフで傷つけた装甲を叩いた
「まず、装甲の素材自体が違う。これはアルミだが、技術部が開発した新型機は均質圧延鋼を採用し125㎜砲の直撃に耐える性能を有する」
「へぇ、それは凄い・・・何機あるの?」
「君達に余裕で使って貰える分は既に作ってある、機体ごとに少しばかりバリエーションが異なるがそこは我慢してくれ、予備機もあるぞ」
少しばかり鬱陶しそうにしていた子にそれを言うと驚きに顔が固まった、それを無視して進める
「次に脚部、接地圧に関して現行機には重大な問題がある事を技術部は把握しこれを改善した、よって機動性は現行型より大幅に改善している」
「具体的には?」
「アクロバットな動きが今よりしやすく、負担なくできるぞ」
「良かったねアルシュ、壊さなくて済むよ」
「やったぜ」
アルシュと呼ばれた子が言われてガッツポーズした、どうやら激しく動き回る子のようだ
「続いてコックピット。まずシートだが、こんな板ではないしっかりとした物が付くぞ、ベルトに関してもお飾りではない安心安全なものだ」
「システム面はどうなってますか?」
「現行型のものからバグや要らない機能を消して必要なものを加えた新システムだ、今の奴とは比べ物にならない違いだから戸惑うかもな?」
「見難くなってたら捨てるけど」
「安心しろ、誰でも見やすいように工夫を凝らしたからな」
鬱陶しそうにしていた子が回復したのか吐き捨てるように言ってきたが即応して再び黙らせた
「技術部としてはこの新型機の試験運用をこの小隊で行いたい、協力してくれるか?」
「命令ではないのですか?」
「これはあくまでお願いだ、君達に強制して実験をさせるほど俺も非情ではないよ、求められるならそうするが」
「お願いします、この機体を私達に使わせてください」
小隊長ちゃんの反応は即決だった
それに他の小隊メンバーは驚きながらも反論を言わない、それどころか
「小隊長がそういうなら、問題はねぇだろうな」
「異議なし」
「貴女がそういうなら、大丈夫ね」
と口々に賛成すると解散していった
「意外だな、ここまであっさり決まるとは思ってなかった」
「小隊長の異能でな、相手の嘘が分かるんだよ。あの子が即答したのは嘘を言ってないアンタを信用しての事だろうさ」
「班長、それは言わないで下さいって前に言いましたよね?」
「おっとこれはマズい」
最後に残った整備班の班長は小隊長ちゃんの声に驚いて逃げて行った、以外にもビビりらしい
「気味悪いですか?」
「そう思ってないのはバレバレじゃないかな?」
「つっ・・・!!」
驚いた顔を見せる彼女に俺は近づき頭を撫でる
「君達も俺と同じく人、ほんの少し特別な何かを持っているだけだ。それで差別をするなど本来あってはならない事、我が国の連中はその事に未だ気づかぬ愚か者共だ。いずれその代償を払う日が来た時、誰に頼れもしない愚民だよ」
「少し、怖いです」
「すまんな、今のが俺の本性だ」
そう言って目線を合わせ、俺は告げる
「俺は君達を差別しない。俺がこの小隊のハンドラーである限り、誰も無駄な犠牲にしたりはしない。それをこれから、少しずつ実証してみせると君に約束する」
「期待してます、ハンドラー」
「あぁ、期待にはこたえるとも」
そう言って俺は小隊の基地から北部方面軍の基地に帰る
即座に小隊基地の再建に着手、設備を刷新し新型機の試作機を現行機と交換する形で配備するよう厳命を下した
同時に勘当されていた実家から電話が来ていた事を伝えられ、折り返し電話すると・・・
「ようドラ息子、軍に入ってハジけたようだな?」
「自分の息子に平然とドラ息子というアンタも相当だと思うぞ、クソBBA」
「はっ、軍に入れた事をまだ根に持ってるのか?私としてはお前のエキセントリックな性格を直せればと思ったが、目論見が外れたな」
「それはどうも、で、どういう意図の電話なんだ?」
しばしの沈黙が流れた、相手の声を待つのは意外にもしんどい
「切るぞ」
「勘当を解く、資金面で援助をしてやろう」
「それはありがたいと言った方が良いか?」
「あの馬鹿がお前を勘当した時から何か怪しいと思って素行調査していたら、真っ黒でな」
あら、勘当された時に俺が感じていた違和感にマミーも気づいてやがったか
「離婚したのか」
「話が早いな、その通りだ。会社乗っ取って離婚してやった」
「ざまぁねぇなパピーめ、欲望に正直になり過ぎたのが運のツキだ」
「お前に言えた事ではないぞ愚息」
ふむ、用件はこれで終わりだな
ではこちらの要求をしてみるか
「じゃあ早速だが、少しばかり資金が欲しい。北部方面軍の資金が僅かに足りん」
「いくらだ?」
「ざっと見て○○○○くらいだ」
金額を告げるとマミーは呆れた声を出した
「お前は金銭感覚が鋭い、が、もう少し遠慮というものを知ったらどうだ?」
「気にしているほど時間もなくてな」
「取締役会にかける、決定次第送金してやろう、あて先は北部方面軍でいいな?」
「あぁ、それでいい」
無言で電話が切れた、もう必要な事も話し終えたと判断したのだろう
相変わらずのようで何よりである
(本当に読めん人物だ)
「勘当を解くっていうのはただの理由付けのためさ、本題は愛する我が子がスレてないかの心配からだろう」
そう言って俺は指揮官用の椅子に座りながら・・・
「書類多すぎね・・・?」
書類の束と格闘する日々を開始するのであった
主人公@ワーホリモード