帰宅のために暗黒大陸を目指す雑な矛盾   作:これからはずっと一緒だよ

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 (一言つき)高評価・感想を下さった方々、ありがとうございます。めでたく色が赤みを増しまして、感謝の念に堪えません。
 今話は展開を決めるのに相当苦労しましたが、それでも書けるのは皆さんの応援あってのことです。
 とはいえ、お気に入りが増える一方で評価数が追いついていない現状を、我々は非常に憂いています。面白いと思って下さった方はどうか高評価をお願いいたします。


15.雑に200階合流

 ハンター試験からおよそ1ヶ月後。デプスの天空闘技場入りからは、およそ3週間後。

 

 天空闘技場200階、エレベータ前から選手控室や受付に繋がる通路。天井から吊り下げられたデジタル時計が、午後10時半過ぎであることを示していた。

 通路の先で座り込み、片耳にイヤホンを差して携帯ゲーム機で遊んでいたデプスは、エレベータの到着音を聞き、顔を上げた。通路の向こうに現れたのは、ゴンとキルア。

 

「……」

 

 デプスはゲーム機をスリープして肩掛け鞄に入れ、制するように手のひらを伸ばして2人に向けた。それと同時に、全身のオーラに"止まれ"という念を込めて、プレッシャーを放った。

 2人は、"纏"で自らの体をオーラで包んでプレッシャーを跳ね除け、デプスに向かってまっすぐ歩いて来る。それを見て、デプスは笑みをこぼす。

 

「2時間ちょっとっすかね。お疲れさまっす」

 

 デプスの眼前まで歩いて来たキルアが、デプスの頭を殴りつけた。

 

「ぐえっ」

「そっちから呼びつけといて通せんぼしてんじゃねーよ!」

 

 横倒しになって転がったデプスに、更に蹴りで1発追い打ちを入れる。

 

「まあまあ、デプスのおかげですぐに念を覚えられたんだから」

「ふんっ」

「ってて……勝手なことしたのはこっちっすから、フォロー無用っすよ。それより」

 

 倒れたままのデプスが、ゴンとキルアに向かって、軽く手を挙げる。

 

「お久しぶりっす」

 

 

……

 

 

 ゴンとキルアが200階での登録を済ませ、その場に居合わせた他の200階登録者の3人に言われてゴンが"いつでもOK"で戦闘希望日を提出した後。ゴンたち3人は、200階クラス選手として割り当てられたデプスの個室に集まった。

 

 100階~190階クラスのシングルルーム然とした個室とは広さも内装も異なり、ベッドの天蓋やシャンデリアなどがグレードの高さを強調していた。3人はそれぞれカーペットの上に胡座をかいた。

 

 デプスが経緯を聞かせて欲しいと頼むと、ゴンが主体となって語った。

 キルアに会うため、レオリオとクラピカと共にククルーマウンテンに向かったこと。ゾルディック家の使用人たちと出会ったこと。自分たちの力で先に進むために、何トンもの重さを誇る敷地正門"試しの門"を通過できるまでの修行をしたこと。

 

 その後、デプスから受け取ったメモを各々が開き、レオリオとクラピカは各々の目的のために旅立ったことまで語り終えると、キルアが横から件のメモを差し出した。

 

「で、オレたちもそのメモでお前に呼び出されたわけだ。金欠だったからタイミングよかったけど――」

 

 キルアが受け取ったメモには、"ギタラクルについて話したいことがあります。ゴンさんと、天空闘技場200階クラスでそれぞれ1勝ずつできたら伝えます"とあった。ゴンの受け取った方には、キルアの分のメモを見るようにと書かれていた。

 

「ギタラクル……本名はイルミだけど。お前、あの時点で兄貴と知り合いって風じゃなかっただろ」

 

 3ヶ月を経て手元に戻ってきたメモを見て、デプスは頷いた。

 

「マジっすよ。ホントはあの人がヤバそーな念能力者だって話をするつもりだったっす」

「"ホントは"?」

「会場を離れた後に事情が変わったんすよ。それに関しては、お2人が1勝してからってことで」

 

 デプスが、ふう、と一息ついてから、再び口を開く。

 

「お2人の活躍は、190階までストレートで抜けてくるのをばっちりタワー内の中継で見てたっすよ。こっそり様子を見に行ったりもしてたら、心源流の念能力者さんと知り合ったっぽいのもわかったんで、念を教えるのはそっちに任せたわけっすけど」

「回りくどいやっちゃなー、最初から念のこと知ってたんだったらそう書きゃよかったろ」

 

 眉根を寄せて苦々しくキルアが言うと、デプスも困ったように腕を組んだ。

 

「したら"教えて教えて"って言うじゃないっすか? でも残念ながら、こっちから教えるわけにはいかないっすから。どのみち、200階に来たところで念の概念だけ教えて、その後は一緒に師匠探しとかするつもりだったっすよ」

「えっ、教えてくれないの?」

 

 ゴンの問いに、デプスが首を横に振った。

 

「教え方が悪いと、教わる側の才能を潰しかねないっすからね」

 

 デプスにはある程度念能力についての知識はあったが、教え育てる側として必要なものに関しては揃っていないと考えており、本心から出た言葉だった。

 

「そっか……200階でもう3勝してるって聞いて、何か参考にならないかなと思ったんだけど」

「試合して実戦で学ぶって形なら歓迎するっすよ。それもしばらくは、その心源流のウイングさんのとこで修行してもらってからがいいっすけど」

「よく言うぜ」

 

 キルアが頭の後ろで手を組み、後ろにあるベッドにもたれかかった。

 

「お前、あそこにいた連中がゴンと試合日合わせようとするの止めなかったろ。あいつらもお前とだけは目ぇ合わせないようにしてたのによ」

「だって止めたって意味ないじゃないっすか。どうせゴンさんが止まらないんだから」

 

 デプスに指差されたゴンが、へへ、と苦笑した。キルアが肩をすくめた。デプスが手を降ろす。

 

「なんというか、発売日に買ったゲームはその日のうちにやりたくなる、みたいな? そんな気持ちだと思うんで、ちょっとわかりますしね。それに、あの3人なら打ち所が悪くても死ぬことはないっすし、まあ許容範囲ってやつっす」

「逆に言えば、200階クラスの中じゃ"その程度の相手"ってわけか」

「よくない言い方っすけど、そーゆーことっすね。お2人ならいずれ難なく勝てるようになるっすよ」

(いずれ……ね)

 

 無言のうち、キルアはゴンを見ていた。そのゴンが、デプスに向かって言う。

 

「そういえば、デプスはあと7勝してフロアマスターに挑戦するの?」

「いや、しないっすよ。ここも家賃タダなのは嬉しいっすけど、試合といい高さといい、あれこれ制約があるのは面倒っすからね。もう住む場所はファイトマネーで他に確保したっす」

「ああ、住所不定無職で銀行口座も電話番号もないんだったなお前」

 

 キルアが笑うと、デプスはむっとして言い返す。

 

「失敬な、ケータイ以外は揃えたっすよ!」

「いや買ってないんかい! ここに泊まってんだから家よりケータイ先だろ!」

「春発売のモデル買う予定なんで、もーちょっと先っす」

 

 言いながら、デプスは時計を見た。時刻は11時近かった。

 

「もう遅いっすし、そろそろ解散した方がいいっすね。ゴンさんの試合日、下手すると明日とかかもしれないっすから」

「そういやそうか。ゴン、お前の部屋で確認しようぜ。もし明日だったらオレも寝坊したくねーし」

「あ、うん」

 

 キルアが先に、それに続いてゴンが立ち上がる。

 

「デプス、ありがとね」

「ん、何がっすか?」

「ホントは、ここに立ってるのはキルア1人だったかもしれなかったから」

 

 ゴンは右手に拳を作り、そこに目を落とす。

 

「オレは、いま念のことを知れて、本当によかったって思ってる。きっとこの力は、親父に追いつくのに絶対必要だから」

「……」

(確かに、GI(グリードアイランド)のことを考えれば必須ではあるけど。それ以前に、今覚えとかないと死にかねないしなあ)

 

 デプスは申し訳無さそうに顔を背け、自嘲した。ゴンには、それが照れ笑いに見えた。

 

「だからオレは、オレのためにも、キルアのためにも、絶対ここで1勝する。それから、デプスにも挑戦する」

 

 ゴンが拳を自分の方に突き出したのを見て、デプスは座ったまま腕を伸ばし、拳を軽くぶつけた。

 

「了解っす。逃げたりしないっすから、焦らず頑張ってくださいね」

「うん!」

 

 開いたドアを押さえているキルアが、ホントかよ、と薄目でゴンを見ていた。

 

 

……

 

 

 翌日、独楽使い・ギドとの試合でゴンは全治四ヶ月の怪我を負い、天空闘技場内の病室でキルアとウイングにしこたま怒られた末、2ヶ月間の念修行禁止を言い渡された。

 それからすぐにデプスの部屋まで乗り込んできたキルアが、ゴンがいかにその試合で無茶をしたかをこんこんと語った後、2人して"やっぱりあのバカは死んでも治らない"と結論した。




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「……何か用?」
――手刀のキルア

「いいや。オレ達も高評価・感想を送りたいから並んでるだけさ」
――不可視の左腕、サダソ
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