帰宅のために暗黒大陸を目指す雑な矛盾 作:これからはずっと一緒だよ
ただ、今回自分でも何を書いているのかわからなくなってきたので、今日の高評価・感想の要求はお休みします。
全長20メートル程の船が、ゼビル島に接岸した。船より2回りほど大きい開けた場所から一歩外に踏み込めば、そこは深い森になっていた。
『滞在期限はちょうど1週間!! その間に6点分のプレートを集めて、またこの場所に戻ってきて下さい!』
ナンバーカード同様、ゼビル島での下船の順番もまた、三次試験の通過順だった。1人が上陸してから2分後に次の受験生が上陸する、という方式で、三次試験を早期にクリアしたゴンたち5人は大きなアドバンテージを得ることとなった。
結果、先行したキルアは森の中から、
「ぎゃっ」
「うっ」
「ぐえっ」
スタート地点を囲む森の半ばで、アモリ・イモリ・ウモリの3人が、ドサドサと地面に倒れる。キルアは懐を探って3枚のプレートを抜き取ると、隣にいるゴンに1枚を手渡した。
「ほい、ゴンの分」
「ありがとう、順番のおかげですぐに済んじゃったね。でも、7日後までプレートを奪われずに守らなきゃいけないんだっけ」
「そんくらい、移動しながら交代で見張って休めば余裕だと思うぜ。つーか、今はそれよりやることあるし」
「やることって?」
オウム返しするゴンに、キルアがケケケと笑う。
「あいつに何の罰ゲームさせるか考えるのさ。ゴンも手伝えよな」
(すぐに済んだと思ったのになー……)
……
(あーあ、船降りる順番のことすっぽ抜けてた。何やらされんのかなー、罰ゲーム)
デプスは早々に勝負を諦め、他の受験生と同様に森の中へ身を隠し、のんびりと水場や洞窟などを探していた。
沖で停まっている審査委員会の船まで"
2日目昼、幅広で涼し気な川のそば、デプスが通電加熱した魚の身を木の枝の箸でほぐしている時。事前に他の受験生のマークにあてていた"
『――やはりプレートはカバンの中か』
『トンパ……!! てめェら、グルか!』
『その通り』
(おおー、名シーン。……を、目の前じゃなくて実況中継って見るのはなんかヘンな感じするけど)
三次試験をくぐり抜けていたトンパが、猿使いの受験生・ソミーと臨時のタッグを組んでレオリオを罠に嵌めるシーン。
実際はレオリオが
その作戦は順調に推移し、レオリオのプレートは奪われ、その後も同様の展開となる。
『熱くなるなよ、騙される方が悪いのさ! それに、チームプレイはハンター試験じゃ常識だぜ?』
レオリオを煽りながら、森の中を逃走するトンパ。程なくして、待ち構えていたクラピカの拳打と蹴りを顔面に受け、ひっくり返って昏倒した。よかったよかったと、テレビを見ながら食事をするかのように、デプスは気楽に流していた。
それから、追いついたレオリオがクラピカと合流し、ソミーを挟み撃ちにしてプレートを奪い返す。その時、デプスはソミーのプレートの番号を見て目を疑った。
『よし!! オレのプレートは無事戻ったぜ』
『そして16番と118番のプレートを手に入れたわけだ』
『お前の
「あーーっ!!」
急に立ち上がったデプスの足下、急ごしらえの小さな竈が崩れ、立てておいた串刺しの焼き魚がパタパタと倒れる。
(どっか知らないモブだと思ってたのに、知ってるキャラだったの!? そりゃー無理なわけっすね。後でプレート貰いに行こ……)
……
それから、更に2日後。また別の川で体を洗っている時にことが起こった。
(2番カメラに人影? ……おっと、おいでなすったか)
デプスの知る歴史で死を迎える人物の1人、蛇使いのバーボンが潜む洞窟に、現在まで勝ち残った唯一の女性受験生――ポンズが近づいていた。
バーボンをマークしていた理由は、ポンズによる事故死の可能性を回避するため。その危機が迫っているとあって、デプスは服に染みた水を絞る間も惜しみ、盾を背負って地面を蹴った。
河原の石が砕け、ピンボールのように森の中を跳ね回るデプスが木々を揺らす。
「あーいや待たれーっす!」
最後に一際強く蹴って跳躍し、岩肌の露出した洞窟前に着地。目の前に立ち塞がる形で現れたずぶ濡れのデプスに、ポンズは何事かと臨戦態勢を取った。
「この先毒蛇注意っすよ! 入ったが最後出られないっす!」
大の字、通せんぼのポーズを取るデプスを、ポンズは無感動に見つめる。ただ、見下すような敵意があった。
「ご心配なく。それはもう解決済みよ」
「解決したつもりになってるだけっすよ」
「私のプレートが欲しいのでなければ、どいて頂戴」
「ダメっす」
毒蛇を無力化しようと入り口から睡眠ガスを吹き込んでも、完全には効果が出ず、直後、連鎖的に起きる事故でバーボンが死亡する。そのことを話すわけにはいかず、デプスは同じ言葉を繰り返すしかなかった。
「なんでダメなのか、教えてくれはしないわけ?」
「言えないっす」
互いに白兵戦の意思はなく、近付きも離れもせず、じっと見合っていた。
(そこそこ動けるみたいだけど、全身ずぶ濡れ。盾の他に武器があるわけでもないみたいだし……私とハンター試験を甘く見たツケと思ってもらうしかないわね)
「……そう。じゃあ、さよなら」
自らが被っている丸く大きな帽子を、ポンズが指で弾いた。その中からブーンという振動音が染み出し、やがて鮮明な警告色のハチが帽子の小さな穴を押し広げて飛び出す。10匹、20匹、30匹と数が増えていき、ポンズを守るようにその周囲を固めた。
「いっ――!?」
(――いきなり殺しに来たぁ!?)
ダイヤルが回り、
(かといってここで攻撃タイプは使えないし……これしかない!)
カチリと止まった。
("
デプスが咄嗟にドキドキフィールドを展開、が視線でハチを撃ち抜き、薙ぎ払っていく。フェロモン
「お、おおお……すげー!」
「え? え?」
仕掛けているデプス自身も、その様を見て感嘆の声を上げた。一方ポンズは、苦労して手懐けたハチたちが次々と指示にない行動を始め、最大の攻撃手段を失ったことに狼狽えていた。
みるみるうちに、攻撃性をデプスへ向けるハチはいなくなった。
「ハチの兵隊さんはみんな女の子っすからね。ハチといえど、このイケメンっぷりが通じればなんてことはないっすよ」
余裕を取り戻したデプスが人差し指を持ち上げて揺らすと、それに追随するように、指差す先をハチたちが飛ぶ。
「すごいすごい、めっちゃ賢いっすね! かーわい~」
無邪気に笑いながらデプスがクッと手首を回すと、その意思を汲み取り、ハチたちがポンズを脅すようにその周囲を旋回した。怯みつつも、ポンズはデプスを睨みつける。
「"女の子"って……訓練されたシビレヤリバチよ!? そんな、バカげた話なはずがないわ! 一体なにをしたの!?」
「バカげてなんてないっすよ~。芸を仕込むのにどのくらい愛情を注いだか知らないっすけど、それ以上のイケメンにかかればイチコロだったってことっす。さーて」
デプスが拳を突き上げて開くと、ハチたちが高度を上げて散らばる。何が始まるのかと再びデプスに対し身構えたポンズを、能力発動以降ハチだけを見ていたデプスの視線が、初めて射抜いた。
「~~っ!?」
鳥肌が立つとも痺れるともつかないような感覚が、視線に晒されたポンズの脳天をそのまま貫き、よろめかせた。命のやり取りをする精神状態、殺伐とした緊張とはまた違う、デプスへのドキドキが、無意識から意識へと顔を覗かせる。
寒さに震えるように、両腕で自分の体を庇いながら、デプスへと怯える目を向けた。
「なっ……なに? わたし、どうなって」
その様を見ながら、デプスが眼鏡のテンプルを持ち上げ、ニヤリと笑った。
「ひとりぼっちは、かわいそーっすからね……みんなと同じところに、連れてってあげるっすよ」
「ひっ……!?」
……
その夜。
「あーあ、落ちちゃった……」
罠として使うための薬品類や装備は損失なし。ハチたちのコントロールも返ったが、ポンズはナンバープレートを失い、ハンター試験脱落を受け入れていた。
デプスがプレートを奪ったのは、クラピカとレオリオのその後の会話から、ターゲットが246番のポンズであることを確認していたことに基づく判断だった。
「でも、いっかぁ……」
審査委員会の船の中、空き船室のひとつで、ベッドに横になったポンズが、目を閉じてため息をつき、抱きしめる腕に優しく力を込め、毛布の中で体をもぞもぞと揺らす。
「だって、こんなに幸せだし……♥」
デプスは、狭いシングルベッドの上で後ろから抱きすくめられ、首筋にポンズの息遣いを感じながら、自らの行いを省みていた。
(……いっぺん殺されかけたとはいえ、逸ったかも……でも、他の無力化手段だと念バレしたりトラウマ植え付けたりしたしなぁ……)
「……ポンズさん、他にも空いてるベッドあるっすよ」
「ダーメ♥ 昼間あんな状態で動き回ってたんだから、あったかくして寝ないと風邪引いちゃうわ」
腕をポンポンと叩いて訴えるデプスを抜け出させまいと、ぎゅう、と更に力を込める。
「それに、一度だけエサをやってそのまま、なんて許されないもの。拾うなら責任を持って、最後まで面倒を見てもらわなきゃ……♥」
(……てゆーか、狭いと寝れない
この晩、デプスは案の定一睡もできず、朝方に念で無理やり意識を起こすハメになった。
「熱くなるなよ、こんなもの読む方が悪いのさ」
「それに、お気に入りへの高評価はハーメルンじゃ常識だぜ?」
――新人潰し、トンパ
「後半は賛成だが前半は許せん」
「書く方が悪いに決まっている」
――クルタ族、クラピカ