マウスの苦悩   作:イエローケーキ兵器設計局

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新型爆弾:ドゥームズデイの影響について
……不明。さらなる調査が必要。


巨人の足元

「しっかりしろ!代理人!」

「心音は……ある!自発呼吸も……弱いけれどある!誰か!誰かいないのか!?」

「くそっ!ARMSが死んだ!」

「……代理人のARMSは……?」

「駆動系は辛うじて生きてる……兵装系は全滅か。借りるぞ、代理人。」

「あの6発機……今度見つけたら叩き落とす…」

 爆心地からなんとか逃げ延びた補給基地で私は初めて代理人の記憶を覗く。これは同時に、DOLLSの記憶を私が覗くことは初めてであることを指していた。係員から確認するように言われた領域を確認してみる。

「……T34、それが君の名前となる予定だった。しかし、元人間である君には実験体としてさらなる高みへ進んでもらう必要がある。」

「……はぁ。」

 この声の主は代理人だろうな。前にいる研究者はおそらく……星屑連邦学連の者だろう。

 ちらっと見えたカレンダーの日付は……何年前だ?えーと……今が…………代理人が起きたら問い詰めなくてはならない。この記憶は数年前……私がロールアウトした年だ。

「分離式装薬なのは変わりないが、自動装填装置が備えられる。さらに……」

「さらなる大口径化と、ライフル砲からの脱却……ですか?」

「そうだ。翼安定式対戦車榴弾(HEAT-FS)の時代の幕開けが君だ。」

「なぜ、ここまで?」

「黒十字帝国学連が新型戦車の運用を開始した。彼女は非常に重装甲で、もし敵対するようなことになったら……」

「歯が立たない……と。」

「そういうこと。」

「それに対抗する災獣が出現した場合に備えるという名目もあるのでしょうね。」

「流石だな。これからはそうだな……"代理人"と呼ぼう。単体ではなく、DOLLSを纏め集団的に行動を行う。指揮官の代理が必要だからな。」

「了解しました。」

「黒十字の連中がHEAT-FSの情報流出に気がついていなければいいのだが……」

「空間装甲を装備させるべきかと。」

「うむ、そうだな。そうしよう。」

「感謝します。」

 

 記憶を覗き見る装置は稼働限界時間を迎え、オーバーホールが必要となった。代理人は未だに起きない。

「暇じゃ……」

 頬を人差し指で突く。触れば壊れそうなほど繊細な顔。男性なのか女性なのか聞いてはいない。

「どちらにせよ嘘をつくようなやつはこうじゃ。」

 両手で頬を圧迫してやる。面白い顔になった。ふと、二度と顔が元に戻らなくなるのではないかと恐怖を感じた。慌てて手を離すと元通り。ひたすら顔で遊ぶ。

 1時間ほどだっただろうか。心音がするのだろうかと気になりだした。踏み台に立つことで手は届いているが、胸に顔を当てるといったことは難しい。身長が足らないのだ。足らない身長に憤慨しながら妙案を思いつく。

「そうか、ベッドに登ってやればいいのか!」

 台からベッドによじ登って馬乗りのようになる。心音は……少しゆっくりだった。邪魔な帽子はコート掛けに投げ、身を預けてみる。起きたら問い詰めてやろう。なぜ経歴を偽ったのか。そなたは妾を殺すために作られたのではないのか。殺されるのは構わないが、どんな心境で接し、これからを接していけばいいのか……わからない。教えてよ。代理人。

 抱かれるようにして少し眠ることにした。あの6発機は許さない。

 

 夜中に目が覚めた。散策に出るためにベッドから滑り降りる。代理人、待ってて。

「衛兵は……居ないな……」

 中庭に出た。大きな木にかけられたハンモックからレンズの反射光が見える。

「お主はそこで何をしておる?」

「うん……私か?」

 声の主は金髪の女だった。この顔は見覚えがあるぞ……?

「私はA-26B インベーダー。ベルタと呼ばれている。星を見ていたんだ。お前も見るか?」

「星……?」

「ああ。ここら辺は人工光が少ないからよく見えるんだ。」

 フィールドスコープを受け取って見てみる。なるほど……星が散らばっている。

「名前を名乗っていなかったな。妾はⅧ号戦車マウスだ。」

「マウス……確か代理人を引きずってこの基地までやってきたDOLLSだよな?」

「そうだ。」

「伝言を貰ってる。格納庫には誰も近づけるな。そして客人を医務室へ連れて行け、だとさ。」

「うむ……帰ることにする。」

「それがいい。隊長は怒ると怖いからなぁ……」

 

 医務室に戻ると代理人が起き上がっていた。その側にはコルセア……?さっきもそうだったがどうしてここのDOLLSは災獣に見えないんだ?

『こんばんは。第4大隊所属のⅧ号戦車、マウスさん。』

「第4大隊?」

「私達の所属先だ。」

「貴官は……」

『第2大隊所属のニューマコーニオシス中佐だ。』

「……人間?」

「マウス、失礼だぞ。部下がご無礼を。」

『いや、構わんよ。人間かと聞いたな?』

『答えは半分ノー、だ。』

 え?

『代理人、お前も元人間と聞いたが?』

「は!そのとおりであります!」

『ついてこい。見せたいものがある。あ、そうそう……これから行く場所に副官は連れてくるな。清掃がまだなもんでな。』

「了解しました。マウス、良い子にしててな。」

「妾はペットの犬ではない!」

『元気がよろしいようで。』

 

 

 暇だ。とても、とても、暇だ。さっきであったA-26Bの事が頭に引っかかるが、相手はDOLLSである以上、同じ顔の人物はよく居るから気にするべきではないのだろう。服装はA-20Gだったが。

 妾と代理人に爆弾を当てたあのDOLLSは高高度を巨大なARMSで飛行していた。

 代理人は人間ではなく、DOLLSで、妾を打倒する為に試作されたARMSを装備するために生まれた。

 妾は……?

 妾は誰を打ち負かすのだ?

 わからない。ワカラナイ。

『守りたいものを加害する者……といったところじゃないか?』

 声が聞こえる。下ではなく前を見れば私が居る。

声が聞こえる。下ではなく前を見れば私が居る。お主は何者……

『妾はお主……と言いたいところが、私は中佐の姉であり、同時に部下でもあるⅧ号戦車"マウス"……ベースは同型だな。』

「同型……?」

『そう、同型。お主は何のために奴と居る?』

「何の為……?」

『代理人を守りたい?それとも殺すため?』

「妾は……守りたい……」

『そうか。一ついいことを教えてやる。』

『代理人と君からは放射性物質は検出されなかった。』

「……つまり?」

『君たちは被曝しなかった。』

「あれは核ではなかった……?」

 そもそもなぜ知っている?

『元同型機だからな。』

 そう語る目の中に殺意を見た。しかし、敵意は無いと言う。

「妾は代理人を殺そうとしたものが憎い。生きているとはいえ、瀕死になったのは事実。」

 殺意がふっと消えた。代わりに何も見えてこなくなった。

『ニューマ、やはり本当の事を話すべきだ。』

 無線機を手に取った元同型機は静かに言った。

『ついてこい。お主の代理人を殺そうとしたのは中佐だ。』

 あのコルセアモドキの仕業だったのか。仲間ではなかったのだな。

『勘違いするな。我らが先に着くか、処刑部隊が先に着くか、ギリギリだったのだぞ。』

 処刑部隊……?

『そうさ、お主らは処分されるはずだった。能力に以上のあるDOLLSは使い勝手が悪い。後任のDOLLSが到着すれば交換するだけで済む。』

 




新型爆弾:ドゥームズデイの影響について
……通常爆弾と影響は大差ないと判断される。
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