トレセン学園の農園で土にまみれる日々   作:タカハン

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関西弁は難しいですね。

今回は少しだけ長めです。

公式でトレセン学園に農園が存在していることをつい最近知りました。


オグリとタマモとニンジンとスナップエンドウ収穫

さて、今日の作業の準備をする。

今日は待ちに待った収穫祭とも言える日になる予定だが、今日来る予定のウマ娘もそれにふさわしいであろうウマ娘だ。

 

「んじゃ、行きますか」

 

俺はいつもの作業セットを持ち、集合場所であるビニールハウス前へと向かった。

 

 

 

「あれ、みんな早いな」

 

俺が農園に着くとそこにはもう、五十嵐と二人のウマ娘が姿を見せていた。

 

「私はまだどれぐらいで準備すれば良いか身に付いていなくて」

 

「いや、早く着くならそれに越したことはないさ」

 

五十嵐はいつも通りといった所。

さて、残り二人のウマ娘だが……

 

「オグリ、タマモ、随分早く着いたんだな」

 

「あーウチは普通に準備してたんやが、オグリがな」

 

「オグリが?」

 

「鬼頭さん、今日はニンジンをやるのだろう?それに、収穫も」

 

「お、おう。楽しみにしてくれてたなら何よりだよ」

 

そう話しているのはオグリキャップとタマモクロス。

 

オグリことオグリキャップは白い上下一体型の作業着に身を包み、淡いグレーの長靴と手袋を着けている。頭には麦わら帽子を被っており、正に農業従事者といった様相だ。

 

対してタマモことタマモクロスは青い上下分割型の作業着で、手には白い手袋、足は青い長靴を履いている。そして頭には青い帽子を前後逆にして被っており、快活さが滲み出ていた。

 

「よし、じゃあ今回の作業について説明しようか。今日はオグリが言ったように、ニンジンの種蒔きとスナップエンドウの収穫を行う」

 

「はい」

 

「ああ」

「任しとき!」

 

「スナップエンドウが収穫できたら、その内幾らかはご褒美として皆で食べよう」

 

「ふふっ、そうですね」

 

「……じゅるり」

「オグリー、ヨダレ出とるで」

 

「ははっ、そのためにもまずは種蒔き頑張らないとだな。じゃあ軽トラに種と道具を積み込もう」

 

「はい」

 

「ああ」

「おうよ!」

 

 

 

「鬼頭さん、このハサミを使うのか?」

 

「おう。それがスナップエンドウを収穫する道具だ」

 

「なんと。それなら積まなければ」

 

「人数分だから4本な」

 

 

 

「じゃあ軽トラに……そうだ。五十嵐、今日はどっちが運転するか?」

 

「今日は私は荷台に乗りたい気分ですね」

 

「そうか?じゃあ、オグリ、タマモ、どっちか荷台に乗るか?」

 

「私はどちらでも構わないぞ」

 

「ウチは荷台乗ってみたいな」

 

「じゃあタマモと五十嵐が後ろで、オグリが助手席だな」

 

 

 

「おーっ!ごっつ風感じられてええなぁ!」

 

「成る程……!これはクセになりますね……!」

 

「そりゃ良かった。俺もこの間荷台に乗ったけど、軽トラの振動と風が気持ちいいよな」

 

「そうなのか。私も次の機会があれば乗せて貰えないだろうか」

 

「お、じゃあ帰りはどちらかと交代だな」

 

「いっそのこと私が運転するので二人が荷台に乗ればよろしいのでは?」

 

「ナイスアイディアやな!」

 

そうやって話していると、畑に到着する。

 

 

 

「じゃあまずはニンジンの種蒔きからだな。まずは耕すか」

 

俺はまずシャベルを持ち、畝を立てる場所の土を掘り起こす。

 

「鬼頭さん、耕し忘れたのか?」

 

「いや、ニンジンの種を蒔く場合は畝を立てる直前に再度耕すんだ。こうした方が土が柔らかくなってニンジンが大きくなりやすい」

 

そう言いながら、土をひっくり返す。

 

「今回は種を二条蒔き(同じ畝に種を二列蒔くこと)にするから、畝のてっぺんの幅は60cm程。なのでおよそ幅80cm程を耕すんだ。三人とも、軽トラの荷台にシャベルが積んであるから、それ持って耕そう」

 

「それはエエけど、どれぐらいの範囲耕すんや?ウチら耕す場所わからへんで」

 

「そうだな……じゃあ、俺がシャベルで線を引くから、その中を耕してくれ」

 

タマモの言葉により俺は畑に二本の線を引く。

それを見た三人は順番に土を掘り返し、俺は線を伸ばしていく。

すると五十嵐が

 

「鬼頭さん。どこまで掘り返すんですか?このままだと畑の反対側まで行くんですが」

 

「おう、そりゃ畑の反対側までだよ。そんぐらいしないと足りないからな」

 

その言葉に顔をひきつらせる三人。とは言いつつ、本当はウマ娘の食欲を考えたら一列では足りないという事実を突きつけるのはやめておいた。

 

 

 

「う、腕が……」

 

「腰に来るな……」

 

とりあえず耕し終わったが、途中から掘り返しに参加した俺含めた四人ともへこたれていた。

 

「鬼頭さん……少し休憩しませんか……?」

 

「おう、元よりそのつもりだったよ……一旦休憩を入れよう。水飲んで休んでな」

 

そうやって休憩してると、タマモからの質問が。

 

「鬼頭さん、一応聞くが、これ元々人の手でやる作業やったんか?」

 

「いや?耕運機とか使うよ」

 

あっけらかんと俺は答えると、案の定三人は愕然としていた。

 

「鬼頭さん、なんで機械に頼らなかったんだ?」

 

オグリが当然の疑問をぶつけてくる。

なんでってそりゃあ……。

 

「元々、この農園はカフェテリアの食事を残すウマ娘の意識改革のための施設だからな。機械に頼って楽して育てたら、有り難みが無いだろ?」

 

 

「確かに……」

 

「あくまでここはできる限り彼女らに手を掛けさせ、彼女らが今までどういう事をしてきたか見直すための場所だ。カフェテリアに食材を卸すのはあくまでオマケなんだよ」

 

「何?食材供給はメインではないのか?」

 

「オグリからすれば少々ショックかな。でも、ここは教育機関の一施設だからな。食材は外部の農家さん達がメインだから」

 

「成る程。因みに鬼頭さん、ここって料理を残すウマ娘に反省を促す農園でしたよね?」

 

「今年はカボチャは育てないが、そうだな。それがどうした?」

 

「その娘達は一度でも農園に来たか判りますか?」

 

「痛いところを突かれたな。俺の知る限りではないよ」

 

「なっ……!来てないんか!?本末転倒やんけ!」

 

「でも聞いた話では、カフェテリアの食事を残す量は減ってきているらしいぞ」

 

「そうなのか?しかし、その娘達は来ていないんだろう?」

 

「あくまでも俺の推測でしかないが、君らが農園で働いてくれているからだろう」

 

「ウチらが?なんでや」

 

「俺はよく知らないが、レースで好成績を残しているんだろう?言わば君達はトップアスリートだ」

 

「まぁ……そやな」

 

「そんな君達が自発的に農園を手伝っている。そんな君達が作った野菜が自分の皿に入っていたら、残したいと思うかな?」

 

「私はそんなことは考えずに食べるぞ。鬼頭さんや農家さんが丹精込めて作った野菜達だからな」

 

「オグリはそやろうが、確かにウチはわかる気がする。買い物の時、農家さんの顔が写っている野菜の方が安心するのと同じやろ?」

 

「そういうことだ。だから君達の働きも無駄ではないんだよ。さ、作業に戻ろうか」

 

俺はトラックの荷台からクワを取り出し、耕した土を起こして畝立てをする。っと、確かニンジンは……。

 

「皆、荷台からクワを出してくれ」

 

「なんや?次はどうするんや」

 

「次は畝立てだな。やり方だが、まずはクワで畝を立てる」

 

そう言って俺は土にクワを突き立て、土を起こす。

 

「そうしたら次は、できる限り土の表面を平らにする」

 

クワの面を上手く使い、綺麗に畝を整地する。

 

「これが畝立ての工程だ。質問は?」

 

「ウチはないで」

「私も無いぞ」

 

「大丈夫です」

 

「よし、じゃあ始めようか」

 

 

 

「よし、終わり!」

 

「さっきのよりはエエな」

「ああ、良いトレーニングになるな」

 

「鬼頭さん、次はどうしますか?」

 

「次は種蒔きだな。まずは俺がやろう」

 

畝の上面の端から約20cmの所に指を立てる。そこから畝の先に向かって指を滑らせ、筋を作る。

 

「俺が筋を作るから、そこの中に種を蒔いていってくれ」

 

「確か二列蒔くんですよね?四人いるので、交代で蒔きませんか?」

 

「お、良いな。じゃあまずは……オグリ、種蒔きやってくれるか?」

 

「わかった。どれぐらいの間隔で蒔けば良いんだ?」

 

「特に気にしなくて良いよ。ニンジンは少し特殊でな、全ての種が発芽するわけではないんだ」

 

「そうなのか?では適当に蒔くぞ。蒔いた後は土を被せれば良いのか?」

 

「おう、上から少し圧を掛けるのも忘れずにな。じゃあタマモと五十嵐は蒔いた所に水を撒いてくれ」

 

「おう!」

 

「わかりました」

 

 

 

「よし、一列終わり!」

 

「ふぅ、この体勢は息がつまるな」

 

「ではタマモさん。筋付けやってみますか?」

 

「お、エエで」

 

「じゃあ俺等は水撒きするか」

 

「ああ」

 

 

 

「鬼頭さん、終わりましたよ」

 

「くぅ、確かに息がつまるな、この格好は」

 

「じゃあ次はいよいよスナップエンドウの収穫だな。休憩はいるか?」

 

「私は大丈夫です」

 

「ウチも要らんで。というより、オグリが行きたがってるしな」

 

「鬼頭さん、早く行こうではないか」

 

「オーケー、じゃあ荷台からハサミとかごを人数分持ってきてな」

 

 

 

「じゃあ収穫のやり方だが、スナップエンドウを片手で持って、茎が1cm程の場所で切ってくれ」

 

「成る程、全て収穫して良いのか?」

 

「いや、莢の表面に豆の膨らみが見えて、艶が出てるものだけだ」

 

「例えばどんなもんなんや?」

 

「そうだな、これなんかどうだ?」

 

「確かにさっきの特徴と似ていますね」

 

「こんな感じで収穫していってくれよな。じゃあ開始!」

 

 

 

「鬼頭さん、これぐらいとれたんだが、どうだろうか」

 

「ウチもごっつとれたで!」

 

「じゃあ終わりにしようか。お、五十嵐のは随分入ってるな」

 

「そうですね。私の近くに沢山あったのでしょう」

 

「じゃあ次はお待ちかね、試食だ。タマモのかごからで良いか」

 

「おう!なんぼぐらい必要なんや?」

 

「かご半分で良いかな。じゃあ他のスナップエンドウは五十嵐のかごにまとめて、オグリのと俺のかごは使うか」

 

「どう料理して食べるんだ?」

 

「シンプルに塩茹でかな。三人とも手伝ってくれよな」

 

「勿論やで!どうすればエエんや?」

 

「スナップエンドウの葉っぱの付いてる部分を千切って、莢に付いている筋を取るんだ。両側に付いてるから、両方取ってな」

 

「成る程、こうか?」

 

「お、オグリ上手いな」

 

「では取ってしまいますか」

 

「じゃあ俺はお湯沸かしてくるよ」

 

「だんだん楽しくなってきたな」

 

 

 

「お、お湯沸いたな。じゃあ塩を入れて」

 

「鬼頭さんは随分塩入れるんやな」

 

「これぐらいやらないと塩味が付かないんだよな」

 

「鬼頭さん、筋取り終わりましたよ」

 

「お湯も沸いたし、じゃあ入れるか」

 

お湯の中にスナップエンドウを入れ、前と同じように30秒から1分程湯がく。そうしたらザルにあけ、氷水で締める。

 

「よし、完成だ」

 

「じゃあまずはウチから貰うで!」

「あっ!タマずるいぞ!私だって」

 

「ケンカすんなよー」

 

「これ……!塩味はしっかりしますが凄く甘いですね!」

 

「だろ?結構塩は入れるけどそれに負けないくらい甘味が強いのがスナップエンドウの特徴なんだ」

 

「うーん。ウチはあまり沢山食えへんが、少しだけでも満足できるな」

 

「これはとても美味しい……!カサマツの皆にも食べさせたいくらいだ!」

 

「ははっ、そりゃあ良かったよ。じゃあ食べ終わったら片付けして、スナップエンドウは俺の方から学園に出しとくよ」

 

「因みにどのようにして食材が学園のカフェテリアに入っているんですか?」

 

「ん?別に変わった事はしてないぞ。グラム数で書類書いて、そのまま提出したら後はあっちでやってくれる」

 

「成る程、牛舎や鶏舎ができたらこちらもやるんでしょうね」

 

「そういえば今牛舎と鶏舎の方はどうなっているんだ?」

 

「鶏舎はまだまだですが、牛舎はだいぶ出来上がっているらしいですよ」

 

「そうなのか。じゃあ今度観に行ってみようかな」

 

「太田さんに聞きに言っても良いかもしれませんね」

 

 

そんな話をしながら片付けを進める。

牛舎か……。どんな方式の牛舎になるのかね?




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